タイトルでお察しの通り透明人間です。こういう小説書くと定番しか思いつかないのですw
追記 ご指摘により一部編集しました
「はぁっ!!」
振り上げたハンマーを目の前のモンスターに振り落とす
見ての通り私はいまクエストに来ている
女神としての大事な仕事であるからやっている訳なのだが、ちょっと別の理由もあったり・・・
重量のあるハンマーと地面に挟まれたモンスターは絶命の音と共に飛散し消えて行った
そのもう一つの理由はハクのせいだ
朝にあんなことがあったせいかあいつの顔が妙にちらつく
『何ってブランのかわいい寝顔を堪能してただけだ』
こんな風に集中していないとあいつの事が脳裏に浮かぶ、それが腹立たしい
「うっ・・・」
いっているそばからこんな風にまたあいつの事を考えている
顔をあげて周囲を確認するがそばには何の影もない、そこまで倒したという気はしていなかったがいつの間にか全滅させていたらしい
「・・・助けていただいてありがとうございます」
「お前は・・・?」
不意に後ろから声をかけられる。ここだけの話、モンスターを相手にしていたとはいえこの人間の気配を感知出来ていなかったため少々驚いていた
黒っぽいような紫色のローブを纏い、それと同色のハットをかぶっている女性。アニメやゲームに出て来るとすれば魔女のイメージがぴったりくる
「モンスターに出くわしてしまったところを助けていただいたものです、助かりました。何かお礼を・・・」
「いや、気にすんな。人間を守るのが私たち女神の仕事だ」
「そうですか・・・ではたいしたものではありませんが、こちらをお納めください。せめてもの気持ちですよ」
「これ?」
ブランは謎の女性から渡された物を見る。小さい小瓶で中には何かの薬だろうか、錠剤状の物がいくつか入っているようだ
ラベルなどは一切なく、市販されているような物で無いというのはなんとなくわかった
「なんだ、こ・・・」
これは。と言おうとしたがその時には既に謎の女性はおらず、辺りを雪に囲まれており立ち去ったなら残っているはずの足跡すら残っていない
「・・・消えた?」
結局どうしようもなく、取りあえず教会へ戻る事にした
一体どうしたものか・・・
ブランは一人、自室に戻り先ほど受け取ってしまった小瓶を眺めていた
一応、中身を一つ取り出し眺めているが特に何も分からなかった
こんな得体の知れないものをあそこに置いていく訳にもいかず、持って帰ったもののどうしたらいいものやら・・・
正直言ってこの教会にはロムやラムが居るのでこんな怪しい物、彼女たちには知られたくない
なんだかこんなことをしているととても悪い事をしているような罪悪感に襲われるがしょうがない
この部屋に隠しておこうと立ち上がった時に不意に声をかけられた
「ブラン様、いらっしゃいますか?」
「わっ、とと」
「ブラン様?大丈夫ですか?」
「え、えぇ問題ないわ。どうかしたの?」
ドアからミナの声が急に聞こえ、思わず小瓶を落としそうになったがなんとか両手でキャッチし、事なきを得た
「はい、書類の方はどうですか?終わっていれば回収致しますが」
「あぁこれ、大丈夫もう終わってる」
「そうですか、お疲れ様です。これはお預かりしますね。それでは失礼します」
ミナは書類を受け取ると部屋を後にした
別に悪い事をしている訳ではないのに思わず隠してしまったがまぁいいかという事で机の上ののみかけだった飲み物を飲みほし、趣味の同人誌を書く為に横に置いてあったノートパソコンの電源ボタンを押す
椅子に腰をおろしてから小瓶をしまうのを忘れていた事に気付き、立ち上がる
(どこがいいかしら)
隠す場所をあちこち考えながら部屋を歩き回るが、結局机の引き出しが一番だろうと思い、もう一度机に向かう・・・途中で違和感を感じた
「あれ・・・?」
・・・今、鏡になにもうつらなかったような
もう一度、行動を巻き戻し鏡の前に立って絶句する
「うつって・・・ない・・・?」
首を動かし自分の身体を見るも何も見えない
どうして?と思い、考えると一つの結論にたどり着いた
(あの薬!!)
右手に持っていた小瓶の中身を机の上に全部出すと中から一枚の白い紙が入っていた
「身体・・・透明化剤・・・?」
身体透明化剤と書かれたこの紙にはこの薬の効果を説明していた
『・・・。この効果は1時間ほどもちます、適切な量を守りお使いください』
(でもこれをどこで?そもそものんでないし・・・!!)
ここまで考えを巡らせた結果、一つの事に気が付いた
「あの手に持っていたやつは・・・」
ミナが入ってくる前に眺めていた一粒の錠剤が無くなっている事に気付き周囲を見渡すが見当たらない
私は記憶を思い返し、さっきの風景を必死に思い出す
(あれを眺めてて、ミナが入ってきたのに驚いて・・・あ・・・)
頭に浮かんだのは両手で小瓶を掴んだ映像。両手でつかんだ・・・つまり先ほどまで右手でもっていた錠剤は・・・
机の上のコップの中を見る、飲み干され空になったカップの底に白い粉が固まったような跡が少し残っているのが見える
(これだ・・・)
ブランはこれからの一時間にため息をついた
――30分後・・・
・・・面倒だ。当然といえば当然なのだが声は相手に伝わる、しかし姿が見えない為、誰かと話す訳にもいかず、一時間というのはここまで長いものかと痛感していた
あの瓶に入っていた紙をよく読むと本来は服用から効果が出るまではタイムラグが発生するらしいのだが飲み物に溶けてしまった為に効果が瞬時に働いたらしい
ここまでの30分さえ大変だった・・・
取りあえず自室にいればと思い、立ち上がったノートパソコンで本の原稿をつくっていればその音で中に私が居ると思ったのかラム達が来たりした
その後でミナも来たがさすがに誰もいない事になっている部屋から私の声だけが聞こえているとなれば大変な事になるので仕方なく居留守を使ったりと普段より気を張る事が多い
だからと言って自室の外に出ればまるで私に吸い寄せられるかのように教会職員とぶつかった
普段はあっちが私に道を譲っている為か廊下を歩く事もいつもよりかは大変だった
マンガなどでは透明人間というのがいかにも便利な能力として出てくるが実際になってみるとそうでもないらしい
効果持続はようやく半分を切り、そろそろ解けるときの事を考えなくてはならない
今は一応自室にいるがここではちょうどという時人が入ってくる可能性がゼロではない
確かに可能性は低いかもしれないが万が一があっては困る。ここより可能性が低い所・・・ブランは考えを巡らせた結果・・・閃いた!!
(そこだ!)
四方を壁に覆われ、唯一ある窓もしまっている状態では中からも外から見えないタイプのもの。ここへと入るドアも一つだけ、強いて言うならば窓と同じスモークガラス・・・完璧だ
ブランが現在いるのはつまり浴室だった
構造上、外部から見られる心配はない。それに加えここは教会の中でも私たちの生活フロアの方にある為、教会職員はここに近づく事すらない
たとえブランのようにここに住んでいる者だったとしてもドアの向こうの脱衣所まで来ることはあるかもしれないが時間は正午まであと少しといったところ、ここへは来る理由がない
同じような理由でトイレも考えたが解ける時間が曖昧な現段階では長居してしまう可能性もある為こっちを選んだ
時間も一時間まであと20分弱といったところ、多少切れるのが早まった時でもこれなら対応できるだろう
まさに完璧としか言えない布陣だ・・・
――だがブランは知らなかった。立ち過ぎたフラグは思いもよらない展開を引き寄せるのだという事を・・・
ガチャッ
ドアを開く音にブランは思わず身体をビクッとさせる。誰かが入ってきたようだ、開始早々ブランの作戦が破られたたがそんな事で詰むほどブランの戦略は単純ではない
入ってきたのは脱衣所であり、今自分がいるのはその先の浴室だ。おそらくミナが洗濯物か何か取りに来たのだろう
「ふぅ~、つかれた~」
(!?)
思わず声を出しそうになり慌てて両手で自分の口をふさぐ
(ハク!?どうして?今はたしかクエストに・・・!!)
ブランは改めて時間を確認する。ハクが出かけたのは自分とほぼ同じ時間、自分はクエストを終わらせ、帰って来てからここに隠れるまで最低でも一時間はたっている。そんなに時間があればハクが返っていても何ら不思議は無い。それどころか今クエストから戻ったという事は・・・
脱衣所の方からボタンをはずす音が聞こえて来る
(・・・・・・・)
顔の温度がどんどんと上昇してくるのが分かる
生憎今、鏡を見ても何も映らないがもし見えていたら顔がすごく真っ赤になっていることだろう
(ど、ど、どうする!?・・・・)
ブランは見えないからだで慌てふためく。もう少しでハクが・・・ハクが裸でこっち来てしまう!!
ガラガラ・・・
そうしている間にドアは開かれ、ハクが入ってくる
ブランは何も見ないようにと後ろを向き、必死に息を殺していた。正直言って心臓の音でばれないかひやひやしている
そんな事も知らずハクは閉まっていた窓を開け、シャワーで身体の汗を流していた
ブランはというと・・・どうしようもない状況に悶え苦しんでいた
後ろを向いているとはいえ密室に二人、何の拍子にハクを見てしまうかわからない。だからと言って目を堅く閉じれば執筆活動で培われた想像力が一層と掻き立てられるという生き地獄・・・
もうどうにかなってしまいそうだ・・・
自分にはただただ、はやく終われという切な願いを祈るばかりしか出来ない
だがそのまま終わる事は、神も貴君ら読者も許してくれない・・・
ガタっという音と共に突然の来訪者は窓からやってきた
「ニャー」
「ん?」
突然の鳴き声にそちらを見そうになったが瞬時に今状況を思い出し、首を振る
「お、にゃんこ」
どうやら鳴き声通り猫らしい、おそらく窓から来たのだろう
「ニャ?」
(な!?ちょ、ちょっと)
私はとうとう運から見放されたのだろうか。その猫が私の方に近づいて不思議そうに鳴く
思わずその猫の方を見る、目には見えていないようだが何かを感じ取っているように見える
動物は人間より視覚が優れていない分他の機能が発達していると聞いたことがある。いくら目に見えなくても猫の視覚以外がここにいるはずの謎の物体を感じているのだろうか
「よっと捕まえた、お前も洗って欲しいのか~?」
見ていた猫がハクに捕まえられたことで視線が猫からハクへと移ってしまう
ハクの見た目の細さに似合わず徹底的にいじめ抜かれた筋肉質の体をブランの視界がとらえる
「ぶふっ!?」
「え・・・?猫って以外と人間みたいな驚き方すんだな」
「ミャー、ミャー!」
「あ・・・」
ブランは思わず噴き出しながら後ろに向き直る。幸いにもハクには噴き出した音は猫から聞こえたように感じられたみたいだ
お湯をかけられた猫はハクの手元を抜けだし、先ほど入ってきた窓から出て行ったようだ
「あ~でてったか。まぁいいや、取りあえず出るか」
ハクはそう言うと浴室のドアを開け浴室を後にする。出てった瞬間、私は腰が抜けそうになるがなんとか耐え、浴槽の淵に腰掛ける
ふと鏡をみると薄くではあるがだんだんと自分が見えるようになってきていた。薬の効果も限界が近かったようだ。全くギリギリというか・・・なんというか・・・
するとどこか安心してしまい、思わず倒れそうになる。思わず先に手をつくが着いた場所が悪かった・・・
(あ・・・!!)
――カコーン
ちょうど手をついた先に桶があり、手の反動で突き飛ばしてしまった。つくろいようがないほど分かりやすい音が響き渡る
「ん?誰かいるのか?」
脱衣所の方からハクの呟きが聞こえてきた
まずい・・・ハクはこちらに近づいてきているし、わたしはもうはっきりと視認できる程に戻ってきている
ブランにはもうどうする事も・・・いや、まだ・・・でも・・・
この状況を打破できる名案が頭でうかんだのだが行いのに若干ためらいが生じる。だがハクはこちらへと歩いてきている・・・
(もうどうこう言ってらんねぇ!!)
ハクがドアに手をかける。ちょうどその時・・・
「にゃ、にゃあ~・・・」
ブランは猫の鳴き前をするが緊張しすぎて変になってしまったかもしれないと思い、心臓の鼓動を一層速める
「あ、なんださっきのにゃんこか」
ハクはそう言い残すと踵を翻し、こちらとは反対に歩いていき脱衣所から出て行った
「・・・し、死ぬかと思った」
あまりにも張りつめていた緊張の糸が緩みブランは思わず脱衣所に倒れ込んだ
そのあとドアの近くまで行くと、誰かとハクが話していたようでその話が終わったのをみはからいその脱衣所を後にした
「ブラン?まだ朝の事怒ってるのか、俺が悪かったからさ機嫌直してくれよ。な?」
「・・・知らない」
昼になったのでテーブルに座っていたところ、やけにぐったりとしたブランが現れた。どうしたのか聞いてみても何も答えてくれないどころか目も合わせてくれない
だからこうして謝っているのだがやはり顔を紅くするだけでまだ怒っているようだ
「けんかだめ・・・」
「うっ、悪かったって。ブラン」
ロムにすら痛いところを突かれ、ただ謝るしかなかったハクであった・・・・
――時間は少しさかのぼり、シャワーを浴びたハクが着替えを済ませたぐらいの時間・・・
ミナは洗い終わった洗濯物を回収しようと脱衣所に向かっていた。すると向かいからハクが歩いて来ていた
ミナはハクがシャワーを浴びに行ったのを知っている為、特に何も不思議に思わず声をかける
「どうでしたか、ハクさん」
「あ、ミナさん、お陰様でさっぱりしましたよ。ありがとうございました。さっき入ってる時に猫が入ってきたんで可愛がってたら遅くなっちゃって、お昼急いで作りますね」
ハクさんはそう言うとキッチンの方に走って行きました
「大丈夫ですよー、私も洗濯物回収してから行きますからー」
一応、声はかけたが果たして本人まで届いただろうか。いや届いても届かなくても彼なら急ぐのだろうなと思い、脱衣所へ向かった
最後の角を曲がると脱衣所のドアが急に開き、中から疲れた様子のブラン様が出てきた
私は思わず曲がり角に身を隠す、そのせいかブラン様は私には気付かず部屋へと戻って行った
(え!?さっきまでハクさんが入っていたのにブラン様が出てきて、それになんかぐったりしてて・・・なんか顔赤かったかも。そう言えばさっきハクさんが『猫』可愛がっててって遅くなったとか言って・・・・・・まさか『猫』ってブラン様の事・・・)
「あ・・・」
ミナはたどり着いた答えに顔を真っ赤にする
バラバラだったピースがミナの中で奇跡の繋がりを見せ、一つの絵が完成してしまった瞬間だった・・・
何故、主人公を透明人間にしなかったかだって?ハクくんにそんなもん持たせたらR18は逃れられませんw
しかし男のロマンとか言っといてほとんど主人公の視点がないのはどうなんだ・・・