あと今さらながらようやく他女神の登場です
―――バレンタイン・デー
この日に人は歓喜し浮かれ世界が温かなムードに包まれる
始まりは愛に生き、無情にも処刑されてしまった偉人を聖人として人生の参考にする日でそれが後々恋人たちが手紙や贈り物をおくったことかららしい
バレンタインといえばチョコというのもそれに目を付けた菓子類企業がチョコレートと関連付けたのが始まりだ
だがこんな素晴らしい日にも残念ながら休みは無い・・・
「・・・というのが、今年の計画でございます」
スーツを着た社員が指示棒をたたみながらそう言い、こちらに向き直る
「うーん・・・なんかこうパッとしないわね」
「そ、そうですか・・・」
ノワールの批評に社員はうなだれる
ノワールのこのズバッという所は嫌いがじゃないが、いくら女神達との商談を任される程の社員とはいえ女神からの批評にはさすがにくる物があるのだろう
今さらだがブラン含め各国の女神達は現在、商談の真っ最中だ
商談というのも年に一度、バレンタインデーに行われる催し物に関するものだ
バレンタインデーにチョコを配るというのがこの催しで大手菓子企業と組むことや女神が全員集まることもあり一般国民だけでなくメディアの注目を集まる一大イベントだ
こちら側としては莫大なシェアの獲得、企業側としては自社の広告とお互いに相応の利益が得られる
「まぁ、毎年やっているのですから仕方ないところもありますわ」
ベールのフォローが入る。社員も幾分かは力を取り戻したように見える
「とはいえ、確かに来場者数が年々、低下傾向なんです。どうにかしたいところではあるんですが・・・」
どうやらノワールの指摘は的確だったらしく、企業側としてもこの問題は把握しているらしい
みているだけでは動員数の低下など感じなかったが、そこを細かく把握している辺り流石は大手といったところか
「そこで私たちから助言を仰ぎたい。ということね?」
「はい、企画はうちの担当なのですが・・・」
「気にしないでいいわ、私たちもただでシェアを得るつもりはないもの」
ブランの言葉に社員はありとうございますと頭を下げる
下げられてから言う事ではないかもしれないがこれはおもったより難しい問題である事は変わりはない
この行事は毎年行われている人気行事だ、テレビ中継も大々的に行われ足を運べなくてもその模様を見ることは出来る。だがそれ故に飽きられてしまえばそこまでだ、現に動員数の低下はこれが原因だと言ってもいいだろう
今年いけなくても来年行けば・・・、いかなくてもテレビだけで・・・といった具合に今年は絶対に行きたいという何かが足りないのだろう
「どうしたものかしらね」
「あまり大きく変えては反発を生みかねないわ」
ガラッと変えてしまっては今までのユーザーが離れ、帰って悪い結果を招きかねない。これだけは避けたい
「しいて言うなら若い女性層がうすいですわね・・・」
(そういえば今日いつになく真面目に進んでるような・・・)
ベールはそう呟き、ブランにそんな思いがよぎった。その時――
「それだーーーーー!!」
「うわっ!?」
突然の叫びに社員は驚き、尻もちをついてしまう
それと裏腹に三人の女神はため息が漏れる。どうやら真面目な話し合いはここまでのようだ
「はぁ、しょうがないから聞いてあげるわ。どうしたのネプテューヌ?」
ノワールの問いは誰が聞いても分かるぐらいの棒読みになっていた。気持ちが分からない訳でもないが・・・
「ちょっと、なんでそんな棒読みなのさ!」
「・・・そりゃそうでしょ、あんたが口を開いてよくなった試しがないわ」
ノワールの言うとおりネプテューヌが口を開いて良くなった記憶は数えるほどしかない
「えー?いい方向にしか行かないの間違いでしょ?」
「「「・・・・・」」」
しかも本人に自覚がないと来た。神様助けて・・・あ、こいつ女神だった
「そんな事より打開策でしょ?私に完璧な考えがあるもんねー」
ネプテューヌはそういいながらえっへんと胸を張っている
こいつはこっちが聞いてやるまで終わらないやつだ
ノワールとベールから聞いてやれといいたげな視線が送られて来る。しょうがなく代表して私が聞く
(分かったわよ、私が聞けばいいんでしょ?)
「全く・・・一体どんな案だというの?」
「ふっふーん、よく聞いてくれた。ブランよ」
(聞かせたのはどいつだと思ってんだ・・・)
思わず裏の口調が出てきそうだったが心の中だけになんとか押しとどめる
「はっくんに手伝ってもらえばいいんだよ!」
「何を言ってるんですの?ハクにはいつも手伝ってもらっているではありませんこと?」
ネプテューヌの言っているはっくんというのはハクの事だ。ベールの言うとおりハクには毎年この行事を手伝ってもらっている
「違う違う、はっくんを裏方に回すんじゃなくてメインに出てもらうんだよ」
「はあっ!?」
ネプテューヌの意見に思わず声が出てしまった
「お前、バレンタインのイベントに男を出してどうすんだよ!」
企業側の考えには今年は裏方含め女性だけで固めようかという考えがあったにも関わらず、裏方どころかメインに持ってくるとは何を言っているのだろうか
「・・・なるほどですわ」
「え?」
「ネプテューヌの案にしては中々ね・・・」
「おい、おい・・・」
驚いた事にノワールとベールまで頷きを示している
もはや裏の口調が出てきていることなんか気付きもしない
「あいつなんかを出してどうすんだよ」
「ブラン、これはなかなか名案ですわよ。」
「は?」
「よろしいですこと?去年までの主な参加層はここですわ」
ベールは書類の中のグラフを指差す。その書類は参加者の男女別の年齢層に関してのものだ
指差したポイントは若い男性の層で他の層に比べ厚く見える
「チョコを配るっていう企画だし、そうなるわ」
「違いますわ、この層だけ男女の差が激しいんですの」
ベールに言われ良く見直してみるとこの若い層だけが他の層の男女比に比べ差が激しい
「つまりは若い女性の参加者が少ないってことよ」
「そうそう、だーかーらここではっくんの出番ってわけなのだ」
女性層が薄いのはわかったのだがどうも話が見えてこない
首をかしげている私を見て良くわかっていない事に気付いたのか再びネプテューヌのドヤ顔が視界に入ってくる。イラっとくるがいちいちそれに付き合っていては身が持たない
「もーまだわかんないの?全く、幼児なのは体型だけにしてよー」
「た、体型なんざお前も一緒だろうが!!」
前言撤回、こいつの好きにさせてはならない・・・
「ふふーん、私は女神化すればそんな事ないもんね」
「な、ぐぐ・・・」
くってかかっていこうとしたが、さも簡単にカウンターされてしまう
ブランは悔しさか恥ずかしさか顔を赤く染める・・・いや、悔しさの方が大きい事は誰からの目でも明らかだ
「はぁ、珍しく真面目なネプテューヌが来たのかと思ったらやっぱりいつも通りね」
「なにさー!」
「やっぱり、ちょっと黙っときなさい」
「あ、ちょ・・・んー!」
ノワールはそう言うとネプテューヌの口にテープを貼り、どこから取り出したのかロープで縛りあげてしまった
・・・・一国の女神にそれいいのか
「ハクの人気を知っていまして?」
(あ、スルーなのね・・・)
「人気?」
「そうよ、ルウィー発信なのに把握してないの?」
(ハクの人気なんて気にした事なかった・・・)
「ハクの人気なんて気にした事なかった・・・って顔ですわね」
「な、どうしてわk。いや、・・・それが?」
「まぁ、いいですわ。これ、ご存じですわよね?」
そう言ってベールが出したのは雑誌だった
特に詳しいという訳ではないが確かファッション関係やその他各国の流行だとか乗っている正に雑誌といえるものだったはずだ
「ええ、ってこれリーンボックスだけで出てるものじゃないわよね」
「そう、ゲイムギョウカイ全土にうってるものですわ。そしてその雑誌に・・・」
ベールは雑誌のあるページを開く。そしてその中身を見て私は驚愕する
「な、なんだよこれぇ!?」
ベールが開いたのその雑誌が主催する美男子コンテストの一次合格者のページだった
「これ、ハクよね?」
「あ、あぁ・・・」
何人かの顔写真の中にハクのそっくりさん・・・いやハクが載っている
ノワールの問いに私は頷く事しか出来ない
「私はてっきりブランがシェア獲得にハクを使い始めたのかと思ったのだけれど、違ったのね」
「――る・・・」
「え?」
「連れて来る!!」
「ちょ、ちょっと!?」
ブランはそう言い残し、目で追う事が困難な程の勢いでドアから出て行ってしまった
「・・・想定外ですわ」
「ええ、ていうか今、女神化してなかった?」
これはハクは無事にはここに来れないかもしれない・・・
その考えは一致しておりノワールとベールはここにはいない青年に合掌をささげた
「あの~すいません」
「ん、どうかしたの?」
先ほどまで目の前で起きた事件により空気と化していた社員の女性が声をかける
正直、存在を忘れていたのは内緒だ
「すいません、私そろそろ時間で会社の方に戻らないといけなくなってしまいまして」
彼女は申し訳なさそうに言った
元々この集まりも女神達への報告が主で具体的な会議をやることは予定外だった為、時間が来てしまったようだ
「大丈夫よ、後はこっちでやるわ。あと会社に戻ったら予定が変わるかもしれないって言っておいてくれるとありがたいわ」
「は、はい承りました!」
「ありがとう、遅くなってごめんなさい」
「いえ!大丈夫です。お先に失礼します」
そういうと彼女は荷物を持って速足で帰って行った
大丈夫と言っていたがここまで長引かせてしまい若干申し訳なる。まぁこれからの方が長いのだが・・・
「これはブランが戻ってくるまで待ってないとダメね」
「ええ、まぁブランの事ですから大して時間はかからないと思いますわ」
「そうね。・・・そう言えば何か忘れているような」
「んー、んーー・・・」
「「あ・・・」」
完全に放置プレイをかまされていたネプテューヌであった・・・メデタシ メデタシ
やたらネプテューヌの扱いに慣れてるノワールについて・・・
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