イベント自体は次回になります。
厳しい寒さもいくらかやわらぎ、降り積もった雪もだんだんと溶けだしている。とはいえまだ日によってはいくらかの寒さを残している2月中旬
ルウィー教会ではミナが忙しなく動き回っていた。忙しないのはいつもの事だが今日忙しいのはまた別の事によってだった
現在ルウィーでは各国の女神が来たるべきバレンタインデーの企画として毎年行っているお祭りの打ち合わせをしている
そのため今日はブランが不在なのだ
とはいえ今日の為に徐々にだが今日の仕事が少なくなるよう調整しているのでそこまで大事には至っていない
「ふぅ・・・」
ミナは一つ息を吐く
調整のおかげでもう仕事の八割方が終わっている。後はいつも通りの家事だけだ
―――バタッ
突然扉が開く音が聞こえる
そう言えばそろそろブラン様達の打ち合わせが終わるころだ。ブラン様が帰ってきたのだろう
ミナは部屋の出口の方に行き、廊下を見に行く
「うっ、・・・あら?」
部屋の出口に近づくと急に風邪が吹き、顔をしかめる。その風も一瞬で風が止んだ後、廊下見てもブラン様はおろか人すらいなかった
確かに扉が開く音がしたのだが・・・
(風が扉を叩いたのかもしれませんね・・・もう春なんですね、春一番ですか)
ミナはそう思い開いてしまったであろう扉を閉めに行った
―――バタン
「ん?」
バタンといった音に顔あげ、思い出したように壁にかけてある時計をみる
「あ、もうこんな時間か。帰って来たのかな?」
ハクは掛けていたメガネをはずし、机に置く
今日、ブラン達はバレンタインの・・・え、もう分かってる?
まぁかくかくしかじかで今いない、まぁ時間的に今帰って来たらしいが
こっちもちょうど書類を今作り終えたところでプリントアウトを待っている
机に置いてあるカップを手に取り飲もうとそのときだった
―――バーーン!!
「!?」
大きな音と共にドアが勢いよく開いた。危うくカップを落としそうになる
「なんだ!?」
「――くぅ・・・」
そこにはブランがおり、何か呟いている
「ブ、ブラン?・・・」
「・・・」
「え、えと・・・おかえり?ず、ずいぶんとダイナミックなおかえりだね・・・ハハハ」
今度は何も言わないブランに俺の額から汗が流れる、オカシイナーソンナアツクナインダケドナー
それになぜかブランは女神化している。ハクはありったけの力で脳をフル回転させる
(何に怒ってる!?何かしたか?あれか?ブランのプリンを・・・ってそんなことした記憶ねぇよ!)
ありもしない記憶が頭を渦巻く、正直心当たりがあり過ぎてどれなのかすら見当がつかない
「・・・ハク」
「は、はい!!」
「・・・来い」
「はい!・・・え?」
次の瞬間、部屋にいたはずの俺は空を泳いでおり、俺の部屋が遠くに見える。いつの間にかブランが自分の後ろにいて俺の首根っこを持っている
頭の整理が追いついていない、よく見れば部屋の窓が開いているのが見える。あそこから飛び出たというのか?いやいやそれより・・・
「うわああぁぁぁ・・・」
ブランのスピードはとてももう一人を運んでいる事を考えている速さではない、だんだん気が遠くなってくる
あ、スタッフロールが見えるよ。今まで見てくれた人ありがとう、作者の次回作にご期待下さい・・・
「ハクさん、入りますよ?」
ミナはそういいながらドアを開ける。ここはハクの部屋だ
どうやら風が強いので部屋を回って窓を閉めてきた。後はここだけだ、ハクが居るから一応言うだけと来たのだが中から返事がない
「ハクさん?」
ドアを開けるとハクの姿は無く、窓が開けられており、カーテンが激しくなびいていた
(どうしたんでしょう?)
その状況を不思議に思いながらも窓を閉め、プリントアウトされた書類を見つける
一応仕事は終わらせているらしい。ミナはそれを回収すると少々の疑問を抱きながらも部屋を後にした
先ほど起きた事になど気付くはずも無く・・・
「さぁ、説明してもらおうかぁ?」
「ブ、ブラン。これにはふか~い訳が・・・」
何も言わず手元にハンマーを握るブラン。身体の水分が全部出てしまうのではないかというほどに背中に水分を感じる
救済のまなざしをネプテューヌ達に向けるが・・・
「まさかはっくんがアイドルになりたかったなんてね」
「女神の許可も無くそれはダメね」
「教会の立場も考えないとですわね」
三者三様の答えで首を左右に振られてしまう。
「・・・さぁ覚悟はいいか?」
「ま、待って、分かった。説明する、説明するから!」
もう土下座でもしようかという勢いだ
ブランもそれを察したのか武器を消してくれる。マジありがとうございます!
「この前の事だったんだけど・・・」
時間は数日前にさかのぼる―――
ハクは出版社にいた
「・・・ここはこんな感じで、こっちをここに持ってきます」
「なるほど、分かりました。問題ありませんね」
ハクとスーツを着た男性は資料を挟んで向かいあう形で話していた
何をしているのかというと雑誌でやる女神関連の企画についての打ち合わせをやっていたのだ
つまりハクの向かい側にいるスーツの男性はこの企画の責任者で内容に関して話し合っていたというわけだ
「そうですか!じゃあ今度取材をするということで」
「分かりました。こちらで話はしておきますね」
「いや~助かります。場所は・・・おっと、すいません」
打ち合わせている途中で彼のケータイの呼び出しがかかってくる
打ち合わせ中とはいえ彼はこの中でも有数の敏腕の編集長で知られている。ここで受け持つ仕事も多数だろう
「いえ、大丈夫ですよ」
俺は承諾の意を表し、彼はすいませんと電話に出る
「デンゲキコか、どうした?・・・」
(出版関係の仕事なんてどうしようかとおもったけど、なんとかなって良かった・・・)
正直いうと女神関連の企画に関しての助言が欲しいなんて言われてきたものだからと身構えてきたがその心配は杞憂だったようで内容はほぼほぼ完成しており最後の確認程度だったので仕事という仕事も無かった
「なにっ!?」
突然、電話で話していた編集長の声が部屋に響き渡る
「お前、急に辞退って美男子コンテストはうちの目玉企画だぞ!毎回何百人って来てんのに選出人数減らしたなんか言われたら苦情殺到だろうが!!」
美男子コンテストとはこの編集部が企画しているもので定期的に参加者を募集し、その中で最後の一人に選ばれるとモデルデビュー出来るという企画だ
数ある企画の中でも人気企画であまり詳しくないハクでも名前は聞いたことがある
「んな事言ってももう選考は終わっちゃってるし、今から再選考じゃ間にあわねぇ・・・あ!」
(ん?)
切羽詰まった表情の編集長は俺を見て固まってしまった。どうしたのだろうか・・・
「取りあえず分かった、俺の方で何とかする。――ああ、そっちは任せたぞ」
編集長は電話を切ると俺の前に座り、口を開いた
「・・・ハクさん」
「は、はい?」
「モデルをやってみませんか?」
「はいいぃぃ!?」
時間は戻り、場所は会議室。
「・・・ってわけだ」
「なるほどね、事情は分かったわ。でもどうして私に言わないの」
話をしている間にブランも落ち着きは取り戻してくれたようで変身は解いている
「それは・・・」
珍しく口ごもるハクを見逃すほどブランは間抜けではない
「まだ何か隠すとはいい度胸ね・・・」
ネプテューヌ達の方を見ても早く言った方がいいといった視線を向けている
「そりゃ言おうとしたけど、ブランがなんか落ち込んでるみたいだったし、一緒に寝てほしいとか言いだすし・・・」
「だああぁぁぁぁ!!!?」
ブランはすぐにハクの口をふさぐ。それと同時にタイミングの悪さを呪った
(あの日かああぁぁぁ!!)
「あれ~、もう二人ってそんなとこまで行ってたんだぁ~」
「・・・早速、惚気られたわね」
「わたくしたちよりもこんなに早く・・・ブラン、侮れませんわね」
「ちげぇ!!行ってねぇし、寝てねぇ!!」
ブランはもう顔から蒸気が噴き出すのではないかというぐらいに顔を真っ赤にしている
ハクの方を睨めば、先ほどまでとは一変、にやにやと笑っている
ハクの言っている日とはあの夜にミルクを飲んでいたあの日だ。言っている事に間違いはない、ないのだが・・・
ブランはあまりの恥ずかしさでテーブルに突っ伏した。ブラン撃沈・・・
「はっくん、ほんとにそんなことヤったの?」
「いや、冗談ですよ。それよりネプテューヌさんその字体はまずいです・・・」
非常にまずい、レーティング的に・・・
「まぁ、一応ピンチヒッターって事で掲載だけしてその後の審査で落ちたって事にするからと言われたんですけどね」
「なるほどね、でもネットじゃどうして落ちたんだとか色々言われてたわね」
「ははは・・・」
ノワールの言葉にハクは苦笑を浮かべるしかない
「でもちょうどよかったですわ」
「どういう事です?」
「実は頼みたい事があるんですわ」
それからハクはノワール達に先ほどまでの話をされた。ブランも復活してくれたようだがまだ顔が若干赤く、俺を睨んでくる。正直言ってかわいい
「つまり、僕もブラン達側に居て配ってくれって事ですか?」
「そう言う事になるわね。無理にとは言わないけどどうかしら」
ハクは少し考え込む、確かに役に立てるのは嬉しいのだが、秘書である自分が女神達と同じステージに立つというのもどうなのかと思ってしまう
その様子を見かねたのかブランがくちを開く
「・・・別に大丈夫、ハクが出てきたところで私たちのシェアが落ちる訳ではないわ。それより客足が減ってきている方が問題」
「分かりました。ブランもそう言ってるし協力させてもらいますよ」
「さっすが、はっくん!デキる男は違うね」
(ダメだ、ネプテューヌさんが言うとどうしても引っかかる・・・)
・・・何はともあれなんとか話はまとまり、時間も時間だったのでネプテューヌ達には教会に泊まってもらう事になった
「なんか教会の方騒がしくないか?」
「確かに・・・何か問題が発生したのでしょうか」
教会に近づいていくと何故か辺りが騒がしい。数年前であれば自国以外女神がその国を歩いていればそんな騒ぎになっていたろうがもうそんな時代も終わり、この光景にも何ら不思議はない
それにこの騒ぎの中心は違う所にあるような・・・
「ミナ、どうかしたの?」
教会に戻り、入口にいたミナにブランは声をかけた
「ああ、ブラン様に皆様!大変です。ハクさんが急に消えて・・・」
「え?はっくんはここにいるよ」
「・・・えぇ!?ハクさんいつの間に・・・協会中どこを探してもいませんし、守衛の方に聞いても見ていないといわれていたのですが・・・」
「「・・・・・」」
この後ネプテューヌ達によって事情を説明されたミナは事態の収拾に追われ、ブランとハクはミナにこっぴどく説教されたのだった・・・
一応ですがハクはブラン以外の女神にはさん付け、ロムラム以外の女神候補生にはちゃん付けっていう設定です。