東方projectのオリジナル作品。
長らくお待たせしました、新作です。
ファイタースピリット終わってませんが新作です。
前編と後編に分かれている短編小説です。
では本編をお楽しみください。
ある朝の日、俺は木々に囲まれた暗い森の中の道を一人歩いていた。
暗い森の中では鳥たちの鳴き声はいつもより大きく聞こえ、風の音や獣の鳴き声など様々音が聞こえ森の不穏さを感じさせる。
俺は暗い森が好きだ。
森は心を癒してくれる、暗い森の中にいると何も考えずに済んで静かな時を過ごせる。
しかし運命は俺に癒しのひとときを与えてはくれないようだ。
「うわぁ!」
この静かな森に雷鳴のような悲鳴が響き渡る。
「んだよ、うるせぇな」
俺は声のした方に走っていく。
木々を避け森を抜けたところで人間の男がその身長の倍はある大きな黒い妖に襲われていた。
「や、やめろお!」
「ウルサイニンゲンダナ、サッサトシネ」
妖は何かを言いながら大きな手を上に上げる。
「はぁ...やれやれ」
俺はその場に荷物などを置く、最近妖怪も少し増えてきた気がする。
妖が男にその大きな手を振り下ろそうとした直後、俺は懐から刀を取り出し妖を四等分に切り捨てる。
「ナ、ナニ!?」
「悪いな、俺は人間側なんだ」
俺はそう言い、妖に止めを刺した。
妖は何かを呟きながら黒い霧になって消えていった。
黒い霧が去ったあと俺はゆっくりと荷物の方へ歩く。
すると、さっきまでわめいていた男が立ち上がり、話しかけてきた。
「あ、あんた...ありがとうよ、助けてくれて」
「いいよ別に」
「な、なんか礼でもできればいいんだが...おらぁさっきのバケモンから逃げるので精一杯で荷物を忘れてきちまったんだ」
「いいって、礼はいらんよ」
「す、すまねえな」
男はさっきの恐怖がまだ抜けきってないのかずっとおどおどしながら話す。
と、話している間にものすごい風が俺たちを襲った。
俺は慌てて笠が飛ばないようにしたが間に合わず笠が飛ばされる。
すると、男が俺を指さしながらまたしりもちをついていた。
怯えた声で男は言う。
「あ、あんた...その頭はいったいなんだ!?」
男はひどく怯えている。
そんなに怖いのか?たかが『耳が生えてるだけだぞ』。
「これか?これは耳だ」
「そ、そんなことはわかってる!!
なんで頭から耳が生えてるんだって言ってんだよ!!」
「だって俺、妖怪だし」
「な!?」
「名乗るほどの者でもねーが一応名乗っといてやる」
俺は男に近づき男の前に落ちてる笠を拾い上げながら言う。
「俺の名は九羅魔、
「く、くらま?」
「しょうた」
「な、なんだそりゃぁ」
「名前」
「いや、そうじゃなくて...」
「ああもううっせえな!早く帰んないと阿求に怒られるんだよ!」
俺はそう言いながら急いで荷物に駆け寄る。
「じゃあなおっさん、もう妖に襲われるんじゃねーぞ!」
俺は走りながら男に言い、再び森に入っていくのだった。
・
・
・
森を抜けると一つの人里に着いた。
ここは幻想郷でも結構大きな人里だ、俺はここに住んでる。
ん?どうして妖怪のはずの俺がここに住んでるかって?それはだな...
「あ、九、九羅魔さん!」
俺は名前を呼ばれ右に向く。
そこには見慣れた女性が立っていた、村の知り合いだ。
「よ、よかった...帰ってたんですか!」
「どうしたんですか?そんな慌てて」
「そ、それがですね...」
俺は女性に慌てているわけを聞いた。
「へ?女性ものの着物が盗まれている?」
「そうなんですよ!妖怪かなんかの知りませんがもうさっきので十件目!」
「ほう、随分とやられてますね」
「そうなんですよ...もう本当に困ってて」
「目撃情報は?」
「え、えぇそれが...目撃情報によれば姿は見た者はいませんが夜中に『ハァハァ』と言う、声を何人か聞いてるそうなんですよ」
「へぇ...」
「『何でも屋』の九羅魔さんならきっと解決できるかと...」
「まぁ、今回はたいして大きなネズミはいなさそうですしね」
「??」
「いえ、こちらの話です」
「は、はぁ」
「いいでしょう、この異変俺が見事解決してみましょう」
「ほ、ほんとうですか!?」
「ええ」
「ぶっちゃけ、もう犯人わかってんだよなぁ...」
俺は小さく呟く。
「え?なんか言いましたか?」
「なんでもないですよ」
「そ、そうですか、ではよろしくお願いします」
「あい」
俺は女性と別れた後『スペルカード』を使う。
【
すると俺の目は緑色に変化し周りに大量の烏の羽が出現した、それらが俺の背中で集まり一つの大きな羽になる。
俺はその状態で人里から離れた博麗神社のある方に高速で飛んだ。
博麗神社の前の階段の下に着く。
やはり天狗の力は便利だな、ここまで来るのにそんなに時間かからなかったぞ。
博麗神社の階段を上るとそこには博麗神社の巫女、『
「あら珍しいわね、あんたがここに来るなんて...旅は終わったのかしら?」
「ご無沙汰しています、霊夢さん」
「先ほど旅から帰ってきたところですよ」
「そう、で?ここに何しに来たのかしら?お参りしに来たのなら歓迎するわよ」
「お参りもかねて少しここの居候に用事がありまして」
「ふーん、あいつに用事?あんたが?」
「はい」
「まぁ何でもいいけど、せっかく来たんだしゆっくりしていきなさい」
「どうも」
俺は霊夢さんと会話を終えると神社に入る。
玄関から入り土間から六畳の部屋に入る。
そこには誰もいない。
「また自空にいるな...」
俺はため息混じりの言葉を呟き再びスペルカードを使う。
「まったく余計なことに力使わせやがって...」
俺は拳に力を溜め呟く。
【
呟くと同時に俺の目が赤色に変化し体から赤い煙が出る、そして思いっきりその場で正拳突きをした。
瞬間、その場で大きな爆発が起こりあたりが白い煙で包まれる。
遠くから霊夢さんの声がする。
「ちょっと!?神社壊さないでよ!?」
俺はそれを大きな声で返答する。
「わかってますよ!!」
俺が返答した後、煙が少し晴れてきた。
そして煙の中から少しづつ何かが見えてくる。
俺は呆れた声で言う。
「やっぱりあんただったか...アドバンス」
そこには大量の女性ものの着物に埋もれた人間の姿があった。
・
・
・
人間はもぞもぞと動きながら着物の中から出てきた。
そして俺を見て平然とした顔で言う。
「お!九羅魔じゃないの!おひさー!」
「どうも、この変態野郎」
俺は冷たい視線を向けながら言う。
「なんだよ!もう旅を終わったのか?」
「あぁ、ところで一つ質問していいか?」
「ん?なんだ?」
「その着物はなんだ」
「あ、これ?これはー...」
「...」
「落ちてた!」
アドバンスは笑顔で答える。
カチンと、俺の中で何かが折れる音がした。
「鬼符...」
俺はスペルカードを唱えながらゆっくりとアドバンスに近づく。
「わー!!まてまて九羅魔!!お、落ち着けって!!」
【
「死ねぇぇぇ!!!」
「わあああ!!」
俺はそのままアドバンスを中庭の方に吹き飛ばす。
アドバンスはものすごい勢いで中庭の方に飛び、そのまま思いっきり地面に三回ほど叩き付けられ埋まる。
それを見ていた霊夢さんが俺の方に駆け寄り言う。
「あいつなんかしたの?」
「ん」
俺は六畳の部屋の方を指さす。
それを見た霊夢さんは少し引いたような顔で言う。
「なにあれ?」
「女性ものの着物」
「そんなの見ればわかるわよ」
「なんでそんなものがここにあるのよ、私のじゃないし」
「あいつに聞けばいいんじゃないんですかね?」
そういい俺はアドバンスの方を指さす。
「盗んだの?」
「さぁどうでしょうか」
「これは異変ね」
「異変ですね」
「解決しないと...よね?」
霊夢さんから殺意が伝わってくる。
「自分が片付けるんで霊夢さんが動くほどの事じゃないですよ」
「そう...」
霊夢さんは少し残念そうに呟く。
「はは、後であいつのサンドバック作るんでそれでもいいですか?」
「そんな悪趣味、私にはないわよ」
「そうですか?すっきりしますよ」
「いいわよもう、私少し散歩してくるわね」
「はーい」
霊夢さんはそう言い散歩に行ってしまった。
「さて」
俺は目を光らせアドバンスの方を向く。
アドバンスは自分に付いた土を掃いながらこちらに歩いてくる、そしてしゃべりだす。
「ひどいなぁおい、いきなりぶっ飛ばすとはいい度胸...」
アドバンスがまだしゃべっている途中だが俺は躊躇なくその顔面にパンチを入れる。
アドバンスはそのまま空の方へ吹っ飛ぶ。
俺は再びスペルカードを使う。
【
大きな羽が生えアドバンスの後を追う。
そして飛んでるアドバンスの真横に並ぶ。
「おいおいおいまてまてまてって!!」
「死ね」
俺は一言いいアドバンスを思いっきり地面に向かって蹴り飛ばす。
アドバンスは吐血しながら地面に急落下しそのまま突っ込んだ。
大きな爆発音に続き煙と土埃が宙を舞う。
俺はゆっくりと現場に降り、大きなクレーターになってるところの横に立つ。
そしてクレーターの中心の方に向かって大きな声で言う。
「おーいアドバンス、どうせ死んでないんだろ?着物は押収するからな」
そういうとクレーターの中心の方で爆発音と何かを呟く声が聞こえる。
【
「やべ...!!」
俺は反射的に高速でその場から離れる。
直後、クレーターから大きなレーザー砲が俺に向かって飛んできた。
俺は高速で回避し続けるがレーザー砲は追尾してくる。
「っ!!めんどくせぇ!」
俺は懐から刀を取り出し、レーザー砲を真っ二つに切る。
同時にクレーターからアドバンスが出てきて何かをほざく。
「着物はやらん!」
なにいってんだこいつ
「やらんじゃねえよ!人のもんだろ!」
「知ったことか――!!」
アドバンスはそう言い空中に巨大な陣を展開する。
「能力だけは化け物なんだよなぁ」
不死身の神様...だっけ?
俺は疲れた声で言う。
「ほんとめんどくさいな」
アドバンスはスペルカードを唱える。
【
すると背後に巨大な月が出現する。
少しずつ下に落下していく。
《月が落ちるころに世界は終焉を迎える》
たしかそんな感じのスペルカードだった気がする。
「おいおいアドバンス!着物のためにあんた世界消す気かよ!」
「着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ着物ハァハァ」
「ダメだありゃ...完全に逝ってる」
やるしかないか...
俺は刀を構え下に陣を展開する。
そして構えながら刀の先端部分に手を添え詠唱する。
『千の屍を超え万の敵を切り神の名を受け継ぎし神器よ
我の敵となる才を狩り尽せ、スペル!!』
【
刀が光りだし黒かったはずの表面がはがれ金色に変わっていく。
アドバンスはイカれながら陣から無数の弾幕を放つ。
美しさを競い合う少女たちの遊び『弾幕ごっこ』。
イカれてるとはいえその辺はちゃんとしてんのな。
まーあいつ男だけど...美しい弾幕が宙を踊る。
俺はそれをまるで弾幕と踊るかのようにかわす。
そして自分のサイドに光でできた剣を出現させる。
剣からは光の弾幕を無数に放つ。
アドバンスはそれらを弾幕で打ち落としながら弾幕の打つパターンを変えながら攻撃してくる。
早くしないと月が落ちる。
少しでもアドバンスに近づこうとするが弾幕が邪魔でなかなか近づけない。
どうしたものか...
「まったく、なんでこんな人があの人の力を使えるんだよ...人材ミスだろ絶対」
文句を言っていてもらちがあかない。
どこか隙が出来れば...
弾幕をかわしながら隙を窺っているとチャンスが巡ってきた。
弾幕のパターンが切り替わる一瞬の小さな隙...
俺はそれを見逃さなかった。
「今だ!」
【
瞬間、大量のレーザーがアドバンスめがけて飛んでく。
アドバンスはそれに気づき同じくレーザーでガードするが防ぎ切れず直撃する。
体勢が崩れる。
【
俺はアドバンスの腹に重い一撃を入れる。
アドバンスは吐血しそのまま山に向かって吹っ飛ぶ。
山にぶつかり大きな爆発音と煙が舞う。
弾幕と月はゆっくり消えてった...
アドバンスが埋まってる場所に降りる。
「はぁ...手間かけさせやがって」
俺はそう言うとアドバンスを土の中から取り出し縄で縛り上げた。
・
・
・
気絶しているアドバンス縛り上げて村に持っていこうとしていると霊夢さんが慌てた様子で帰ってきた。
息を切らしながら問いかけてくる。
「はぁはぁ...い、いったい何してんのよ!?」
「何って?」
「こ、このありさま...ごほごほ!」
どうやら霊夢さんはこのありさまを見て混乱しているようだ。
木々は倒れ、地面は抉れて土煙が舞っている。
「あぁ...」
霊夢さんは鬼のような形相で言う。
「あぁじゃないわよ!!どうしてくれんのよ!!」
怒鳴る霊夢さんを横目に壊れた山の方を向き手を広げる。
「な、なにしてんのよ?」
「まー見ててって」
「?」
【
スペルを唱えると右の手の平からしめ縄のようなものが出てきて壊れた一帯を囲むにして伸びていき再び俺の所に戻ってくる、それを俺は左手で掴む。
掴んだ瞬間しめ縄が光りだし壊れた一帯に結界のような物が浮かび上がり強く光る、眩しさのあまり俺も霊夢さんも目を瞑った。
目を開けると壊れていた部分は綺麗に修復されていた。
「これでどうですか?」
「へぇ、便利ねそれ」
霊夢さんは少し機嫌が戻ったようだ。
「まーね」
俺は少し得意げに言う。
「そんで?そいつはどうすんの?」
アドバンスの方を指して言う。
「村に持っていきますよ、着物と一緒に」
「そう、あれは村の人たちの着物だったのね」
「てかあんた、帰ってきて早速依頼受けてきたわけ?」
「帰ってきたらいきなり依頼されたんですよ、犯人もわかってたんでちゃちゃっと終わらせちゃえと思って」
「大変ね」
「はい」
俺は苦笑いをしながら言う。
「まーそれが終わったらお茶でも飲みにまた来たら?」
「いいですね、そうさせてもらいます」
俺はアドバンスを担ぎ村に下りて行った。
村に着くとまた何やら人が集まり騒がしくなっていた、しかし村人が博麗神社の方を指さしている時点で原因はすぐわかった。
俺はその人だまりを避けて依頼者の家に向かう。
家に着き戸をたたくと中から依頼者の女性が出てきた。
「あ!九羅魔さん!」
「どうも、依頼の件ですがこの通り元凶を潰しときました」
俺はアドバンスと着物の入った風呂敷を見せる。
「その方が今回の騒動の元凶ですか?」
「はい、こいつはこっちで処分するのでこの着物の方を持ち主に返しておいてもらってもいいですか?」
「はい!お任せください、本当に助かりました!」
「いえいえ、では俺はこれで」
「あ、待ってください!」
俺は帰ろうとしているところを止められ何かが入った包みをもらった。
「これは?」
「今回のお礼ですよ」
女性は笑顔で答える。
「俺はお金は取らないのですが?」
紳士的な雰囲気で答える。
「知ってますよ!これは羊羹です」
俺はさっきまでの紳士モードが崩れ、にやけながら言う。
「え?ほんとですか!?いやーありがとうございます!」
「ふふっ大好物なんですよね?喜んでもらえてよかったです」
妙だ、確かに俺は長いこと此処に住んでいるが自分の好物なんてこの女性に言った覚えはないはずだが。
「なんで俺の好物を?」
「阿求さんに教えてもらったんですよ」
「なるほど」
そうゆうことか、なら問題ない...のか?
「それでは今度こそ失礼します」
「はい、それでは」
俺はその場を後にし家に帰ることにした...
家の前に着く、家の戸を開けると使用人が迎えてくれた。
俺が住んでいるこの屋敷『稗田邸』には『
人里にある名家『稗田家』の当主で俺はここで居候をさせてもらっている。
「お帰りなさいませ九羅魔様」
「ただいま」
「そちらの方は?」
「ちょいと今異変を解決してきたとこでな、こいつが元凶」
「左様でございますか」
「ああ、ところで阿求は?」
「寝室におられますよ、少し機嫌が悪いようですが...」
「そう...か」
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫だ」
正直大丈夫じゃない、阿求に早めに帰ると言っておきながら帰ってくるのに随分かかってしまった。
ほとんど
とりあえず俺は屋敷に上がり阿求のいる寝室に向かう。
「お荷物お持ちします」
「ありがとう」
寝室の前に着き襖を開ける。
すると巻物が顔めがけて飛んできて見事に俺の顔面に命中する。
「痛!?」
俺はその場に倒れこむ。
そして倒れこむ俺を見下ろすようにして女の子が怒鳴ってきた。
「ちょっと九羅魔!早めに帰ってくるって言ってたわよね!?」
この女の子が阿求だ、だいぶお怒りのようだ。
とりあえず言い訳して許しを請いてみよう。
「いや阿求!これには理由があるんだ!」
「へぇ理由ね?」
「これ!こいつのせいで遅くなったんだ!」
俺は気絶しているアドバンスを持ち上げ阿求に見せる。
「あらアドバンスさんじゃない、この人がどうかしたの?」
「今回の着物泥棒の犯人」
「はぁ...やっぱりこの人だったの?」
「なんだわかってたのか?」
「まー着物がなくなったら真っ先に疑われると思うけど」
「アドバンスだしな」
「アドバンスさんだしね」
「ははは」
俺と阿求は声をそろえて笑う。
「まーそうゆう理由があるんなら遅れたことは大目に見てあげるわ」
「ほんとか!?」
「ただし!明日一緒に寺子屋に行くこと!」
「へ?なんで...」
「あんたが外の世界で見てきた事を寺子屋の子供たちに教えてあげるの、みんな喜ぶと思うし」
「なんで俺がそんなこと...」
「あんた自分の大事な女待たしといてただで済むと思ってんの?」
「誤解を招く言い方やめてください」
「ペットの分際で口答えしない!」
「へーい」
俺はこの家に居候する事となったのは今からちょうど一年前くらい、当時俺は行く当ても生きる目的もなくただ何百年も風の吹くままに旅をしていた。
その途中何日もろくに食事をしていなくその場で倒れて気を失ってしまった。
次に目を覚ました時、俺はこの屋敷にいた。
阿求のとこの使用人が俺を見つけて運んだそうだ、それから色々あって阿求の家に住むこととなった。
俺は妖怪だったが阿求の言い付けで身分を隠し『何でも屋』というよくわからない職業を押し付けられた。
周りには妖怪ではなく人間と思われている。
「んで、その人どうするの?」
アドバンスの方を見て言う。
「ん~」
俺は起き上がり考える。
処分とは言ったものの流石に殺そうなんて思ってない、しかもこの人は不死身で死なない。
「とりあえず...サンドバックにでもする?」
「どんな発想よそれ」
「まー映姫様に叱ってもらうっていう手もあるな、それか地獄に落とす」
「地獄に迷惑かかるんじゃない?」
あり得る...いや普通じゃありえないがアドバンスならあり得る。
「他人に迷惑かけるわけにもいかないしな、やっぱサンドバックにすっか」
「だからなんでそうなんのよ...」
「サンドバックなんてひどいじゃないか九羅魔君」
眠そうな力のない声が俺に話しかけてきた、振り向くとアドバンスが起きていた。
「なんだ起きたのか」
「おう」
「今お前の処分を考えてたとこだ」
「処分って...着物盗んだだけやん....」
「窃盗罪だこのやろう」
「幻想郷に法律ないもんね~」
イラッときて腹に一発入れる。
「ごはっ!」
「黙れ」
「とりあえず木にでも逆さ吊にしとくか」
「地獄に落とすより随分と軽い刑ね」
「地獄に落とすはいいがどうせ帰ってくるしなの人、それなら一生木に吊るしとけばいいんじゃね?」
「それもそうね」
「わーまてまてわかった!もう着物盗んだりしません!」
「信用できないな」
「信用できないわね」
俺と阿求はアドバンスを睨みながら言う。
「本当です!もうしませんから!」
「ほんとか?」
「ほんとです!」
うーんどうしよう、正直全く信用できない。
だがまー正直この人に絡むのがめんどくさい。
「わかった、今回は見逃してやる」
「やった!」
「え?本当にいいの?」
「次やったらあの人に言って不死身取り上げてもらって殺す」
「わ、わかった」
俺はアドバンスの縄解いてやった。
「うー自由だー」
あんまりうれしくないような言い方をする。
「なんだ、うれしくないのか?」
「それがね、今呼び出しがあって行かなくちゃいけないんだよ」
「あードンマイ」
「んー、ちょいと行ってくるわ」
「いてら」
「ん」
アドバンスは一言いうと空間の裂け目を作りそこに入って行った。
「呼び出しって?」
「あの人の仕事の事だよ」
「何やってるんだっけ?」
「うーん、『何でも屋』?」
「アドバンスさんもやってたっけ?」
「あの人に言われて俺に『何でも屋』とかいう変な職業押し付けたんだろ?」
「そうだっけ?」
阿求はとぼけながら言う。
「...まーいいや」
「じゃー俺博麗神社行くから」
「え?なんで?」
「お茶飲みに行く」
「他の女に乗り換えるんだ?」
「だから誤解されるような言い方やめてください」
「じゃあ私も行く」
「へいへい」
俺は阿求と一緒に博麗神社に行くこととなった。
博麗神社に着く、時間はまだ午後くらいだ。
「ふう、久しぶりに来たわね博麗神社」
阿求が言う。
「そうなのか?」
「最近色々忙しくてね、神社に来る暇もなかったのよ」
「ふーん」
俺たちは神社の賽銭箱の前に立ちお参りをする。
「あら九羅魔と阿求じゃない、二人で来たの?恋の運勢でも聞きに来た?」
霊夢さんは意地の悪い言い方をしながら神社から出てきた。
「ち、違いますよ」
「俺は恋人ではなくペットです」
「なんだ面白くない」
霊夢さんは残念そうに言う。
「こいつがお茶会に行くっていうからついてきただけですよ」
「お茶会ってほどものじゃないわよ?」
「霊夢さんこれ」
俺は手に持っていた風呂敷を見せる。
「ん、これは?」
「羊羹です」
霊夢さんが目を光らせる。
「あら気が利くじゃない!」
霊夢さんはそれを俺の手から泥棒のように取って神社の台所の方へ向かう。
「あんたたちも早く上がりなさい」
霊夢さんはそう言うと神社に入って行った。
「そんじゃま俺たちも行きますか」
「そうね」
俺たちは神社に入り霊夢さんと阿求と俺で世間話を交わした。
・
・
・
烏の鳴き声が聞こえてくる、あたりはすっかり秋の葉のような色に変わり夕日の光が空を切り裂いたかのような模様に変えていた。
「もうこんな時間か...」
お茶会だったはずの俺たちは霊夢さんの提案で宴会と変わり遊びに来た人たちと酒を飲んでいた。
阿求や霊夢さん、魔理沙さんや紫さんなど色々な人が居てみんな酔いつぶれたりまだ飲んでいる者もいる。
俺は酔い覚ましのために少し外の空気を吸っていた。
「なにを黄昏ているのかしら?」
そういって『隙間』から紫さんが上半身だけ出して言ってきた。
「別に黄昏ていたわけではありませんよ」
「そう?過去を見つめるような眼をしていたけど」
「そんなことないですよ」
「外の世界で何かあったかしら?」
「どうしてそう思うんです?」
「何となくよ」
「別に...」
「ふーん」
そういって紫さんは
それに気づいた紫さんは煙管の火を消す。
「あらごめんなさい、だばこは嫌いだったわね」
「どうも」
その時目の前の山で鳥たちが騒がしく飛び回り出した。
「あっちの山なんか変だな」
「そう?いつもと変わらない気がするけど」
「...」
俺は山の方をじっと見つめる。
「大丈夫よ」
...少し心配だが俺は紫さんの言葉を信じて宴会場に戻った、宴会場に戻ると酔いつぶれていたはずの阿求が俺に倒れこんできた。
「くりゃま~あんたものみなひゃいよ~」
「俺はもう飲めないよ」
「なによ~あたひのしゃけをのめないっていうの~!?」
「あーもー!わかったから離れろ!」
俺は阿求の肩を掴み体から離そうとした、しかし阿求は俺にべったりくっついて離れてくれない。
「あのー阿求さん?」
「...」
阿求に問いかけたが反応してくれない。
「阿求さん?」
「ねぇ」
阿求が色っぽい雰囲気で話しかけてくる。
「私の事、どう思ってる?」
「ど、どうって?」
「好き?」
「あ、ああ!勿論!」
「どのくらい好き?」
「ど、どのくらいって言われても...」
阿求はじりじりと近寄ってきて顔が目の前まで来た。
そのまま流されそうになったとき阿求の頭上に鉄パイプが出現して阿求に直撃した。
阿求はそのまま気を失った。
「だ、大丈夫か阿求!?」
「そういうのは家でやってくれない?」
霊夢さんが呆れた口調で言う。
「これ、霊夢さんが?」
俺は鉄パイプを持って見せる。
「それはあいつ」
霊夢さんが指を刺した方には紫さんが居た。
「そ、そうですか」
「これからどうすんの?なんならここに止めてあげてもいいわよ?」
「いいんですか?」
「まーね」
霊夢さんは少し笑いながら言う。
何か企んでないよね?
「じゃあお言葉に甘えて」
俺は霊夢さんに連れられ阿求を担いで寝室で寝かせてもらうことにした。
少しして目が覚める、あたりはまだ暗いが嫌な胸騒ぎがする。
俺は外の空気が吸いたくなって外に出た、外に出るとやけに静かな空気で違和感を抱く。
いつもなら夜の鳥や獣の鳴き声、山彦や妖怪たちの声も聞こえてくるものだが今日に限って静かすぎる。
「気になる?」
少し驚いて振り向くと霊夢さんが戦闘スタイルで隣に立っていた。
「えぇ少し」
「そう...」
霊夢さんはそういうと前に歩きだして陰陽玉をサイドに出す。
「どこか行かれるんですか?」
「さっきから紫と連絡が取れないのよ、紫の式にも連絡できないし...何かあったんじゃないかと思って少し心配になってね」
「そんですか、俺も一緒に行きましょうか?」
「大丈夫よこれくらい」
「わかりました」
俺がそういうと霊夢さんは空を飛びそのまま飛んで行ってしまった。
「そういえば霊夢さんは紫さんの家を知っているのだろうか?聞いたことはないんだが...」
紫さんこと『
この幻想郷を取り囲んでる博麗大結界の管理などを行っているらしい、それほどの妖怪が『何か』あったとは考えにくい。
この違和感は気のせいなのかもしれない、俺は神社に戻り朝まで眠ることにした。
・
・
・
朝だ、鳥の鳴き声がかすかに聞こえる...
「いい加減に...」
阿求の声が聞こえる。
「起きなさい!」
阿求はそういうと俺の腹を思いっきり蹴とばした。
「ぐはっ!」
俺は痛さのあまり腹を抱えて蹲る。
「いつまで寝てんのよあんた」
「い、いつまでって...」
「ほら!さっさと起きて!今日寺子屋行く約束でしょ?」
阿求は少し機嫌が悪いようだ。
「どうしたんだ?機嫌悪そうだけど...」
「朝からものすごく頭が痛いのよ、お酒だけじゃこんなにならいはずなんだけど...」
俺はその原因を知っている、「あっ」と口を開け教えようと思ったがすぐ口を閉じて教えるのをやめた。
どうせ言っても俺にとばっちりが来る気がしたから。
「そ、そうか。それは災難だな」
「まったくよもう、昨日のお酒そんなに強いお酒だったかしら?」
「ま、まーそんなことより今日寺子屋行くんだろ?」
「そうよ」
「んじゃまー行きますか」
俺は立ち上がり阿求と居間に行く、そこには昨日の宴会で飲みつぶれた人たちが転がっていた。
「あれ?霊夢さんは?」
「それが朝からどこを探してもいないのよ、泊めてもらったお礼を言いたかったんだけど...」
居ない?と、言うことは昨日飛んで行ってから帰ってないってことか?何か嫌な予感がする...
「ま、どうせどっかに散歩にでも行ってるんでしょ」
本当にそうだろうか?
「お礼は今度来た時に何か渡しときましょ?」
うーん、気になる...
「ちょっと?聞いてる?」
阿求が俺の顔を覗く。
「あ、あぁ」
「なに?まだ寝ぼけてんの?」
「いや、大丈夫だよ」
「そう、ならほら!寺子屋行くわよ!その前に家にも寄らないと!」
「わ、わかった」
俺は嫌な予感が的中しないことを願い阿求と共に寺子屋に向かった。
寺子屋に着く、戸をたたくと中から使用人らしき人が出てきた。
「おおこれは阿求様、よく御出でになられました」
「ええ、今日は慧音さん用があってきたの」
「かしこまりました、してそちらのお方は?」
「こいつは私の連れよ」
「左様でございましたか申し訳ありません、どうぞお上がり下さい」
俺たちは使用人に連れられ寺子屋の職員室のようなところに着いた、襖を開けるとそこにはこの寺子屋の教師である『
「おお阿求さん!それに...九羅魔さんじゃないですか!お久しぶりです!」
「慧音さんお久しぶりです」
俺と阿求の言葉は同時に出た。
「慧音さんこれ」
阿求は俺に指で支持されたので手に持っていた大量の資料の入った風呂敷を渡した。
「毎回ありがとうございます!」
「いえいえ」
「九羅魔さんと一緒に来られるのは珍しいですね?」
「今日はこいつの外の世界の話を寺子屋の子供たちに聞かせてあげようかと思って連れてきたんですよ」
「そうですか!きっと子供たちも喜びます!」
「え、えぇ俺も話を聞いてもらって喜んでもらえるなら嬉しいです」
俺は少し笑いながら言う。
「それではお部屋の方に案内しますね」
「わかりました」
俺と阿求は慧音さんに連れられ子供たちが勉強する部屋へと案内される、部屋の前に着きそのまま慧音さんがみんなに指示するとみんな元気よく挨拶してくれた。
今日は特別授業ということで俺が帰ってくる前から慧音と阿求で計画してたらしい。
まったく、俺の意見も無しに勝手に決めちゃって...
しかし俺は文句を言う勇気もなく流されるままに子供たちに外の世界の事をおとぎ話を聞かせるかのように語った。
幻想郷は昔、多くの妖怪が暮らしていた土地に、それを退治する事を家業としていた人間がやって来て住んでいた辺鄙な土地だったらしい。
しかし、500年以上前、人間の文明の発達と人口の増加により妖怪の勢力が人間に押され気味だったため、境界を操る程度の能力を持つ妖怪、八雲紫が「妖怪拡張計画」を立案・実行して「幻と実体の境界」という結界を張った。
これにより単なる山奥であった幻想郷は、結界の作用により「幻となったものを自動的に呼び寄せる土地」へと変化し、外国を含む外の世界で勢力の弱まった妖怪が幻想郷へ来ることになった。
そして明治時代頃(おそらく明治17年か18年)に人間の科学文明の発達により妖怪等が迷信と認識され、外の人間により否定されたことで妖怪は弱まり滅亡の瀕し、幻想郷も崩壊寸前だった。
そこで幻想郷の妖怪の賢者が取った策が、幻想郷と外の世界の境界に「非常識」と「常識」を分ける論理的な結界を張り、幻想郷を「非常識の内側」の世界とすることで、外の世界の幻想を否定する力を逆に利用して幻想郷を保つというものだった。
この「常識の結界」である『博麗大結界』が張られたことで、幻想郷は外部から隔離された閉鎖空間となり、今日にまで結界は保たれている。
しかし問題が何一つ無かったわけではなく、結界が張られた後は幻想郷を維持するために、人間と妖怪の間に数や勢力のバランスが必要になった。
そのため人間はこれ以上妖怪が減っても増えても困るため妖怪を完全に退治しなくなったし、妖怪もこれ以上幻想郷の人間が減っても増えても困るため幻想郷の人間を襲うことはほとんどなくなった。
しかしその代償として幻想郷の妖怪たちは存在意義を失ったことで次第に気力も衰え弱体化してしまった。
そしてある時、幻と実体の境界の結界の力で流れ込んできた外の世界の吸血鬼が幻想郷を支配しようと暴れまわり、力を失っていた幻想郷の妖怪たちの多くが吸血鬼の傘下に入ってしまった。
騒動自体は幻想郷で最も力のあった妖怪により力技で吸血鬼が叩きのめされ、契約を結び和解することで決着したが、これはマズイと考えた妖怪たちが大結界を管理する博麗の巫女に相談し、妖怪が力を失うことの無いように決闘が行える、妖怪が人間を襲い易く、人間が妖怪を退治し易く、同時に人間の数も妖怪の数も減らさずに済む平和的な決闘のルールが考案され(スペルカードルール)、人間も妖怪も気軽に戦えるようになったらしい。
よってこの世界は外の世界と呼ばれるいわいる現代社会とは違う独自の文明の進化を遂げている。
なので外の世界に自由に行ける俺のような色々な外の情報を持っている人は珍しいらしい。
俺やアドバンスのようにこの結界の干渉を受けない者も稀にいる、まーこれはまた別の話。
詳しくは君たちで調べてくれたまえ、そこのこの小説を読んでる君だよ。
俺が語る話はここの子供達からしたら本当におとぎ話のようなものなのだ。
今の現代の装置や文明、方針、法律、etc...などなど。
河童は現代の科学を理解しているがそれは彼らの独自の進化なのではないだろうか?
まー俺がここで考察してもあまり意味はないな。
俺は子供達に話すうちに自分も楽しくなってきて結局昼過ぎまでずっと話していたのだった。
古時計の低い音が聞こえる、寺子屋のチャイムだろう。
ちょうど俺の話も終わり子供達は元気よく家に帰って行った。
「随分と懐かれたわね」
阿求が嬉しそうに言う。
「まーな」
「あんたの話、聞いてるこっちも楽しかったわよ」
「そりゃどーも」
「お疲れ様です九羅魔さん」
俺と阿求が話していると慧音さんが後ろから話しかけてきた。
「いえいえ何のこれしき」
「最初いやそうにしてたのに途中からあんた自身も楽しくなって話してたんわね」
阿求が笑いながら言う。
「まー俺の旅の話を聞かせるのも悪くわないな」
「九羅魔さん阿求さん、今日は本当にありがとうございました!」
「また何かあったらいつでも相談してください」
「そうそう、こいつは『何でも屋』だからどんどんこき使ってもらって構いませんよ」
阿求が自分の事を語るかのように得意げに語る。
「ふふっ、わかりました」
慧音さんは口に手を当てクスクスと笑いながら言う。
「勝手に話し進めないでほしいなぁ...」
俺は疲れたように言うと、阿求と慧音さんは俺を見ながら笑った。
「では、私たちはこれで」
「ええ、またいつでも来てくださいね」
「はーい、行くわよ九羅魔」
「へーい」
俺は阿求と共に寺子屋を後にしたのだった。
帰る途中、遠くの方からこちらに走ってくる人影が見えた。
「ん?あれは...」
「どうしたの?」
「いや、あれ」
俺が人影を差す、人影は真っ直ぐこちらに向かってくる。
「おーい」
人影は手を振り話しかけてくる人影の影がなくなり姿があらわになった、どうやら魔理沙さんのようだ。
魔理沙さんとは『霧雨魔法店』に住んでいる少女で名前は『
本人曰く種族人間の職業魔法使いらしい。
「なんだ、魔理沙さんか」
「なんだよ、その言い方」
「いや、妖怪かと思った」
「地味に失礼なこと言うなお前」
魔理沙さんが少し不貞腐れたように言う。
「ごめんなさい」
「まーいいや、ちょいと二人に聞きたいことがあってな」
「?」
俺と阿求は二人で首をかしげる。
「お前たち霊夢を見てないか?朝からずっと探してるんだがどこにも居ないんだよ」
まじかよ、こんなに時間たってるのにまだ神社に帰ってないのか?
「本当ですか?それは心配ですね、実は昨日神社に泊めてもらってそのお礼を言いたくて神社内を探したんですが居なくててっきりどこかに散歩に行っているものかと...」
「そ、そうか...霊夢の事だからあんまり心配いらないと思うがなぁ....」
「俺も少し心配だ、探すのを手伝おう」
「おう、助かるぜ」
「阿求は先に帰っててくれ」
「わ、わかったわ」
「んじゃ行くか」
「おう」
俺は阿求と別れ魔理沙さんと一緒に霊夢さんを探した。
しばらく幻想郷内を探したがどこにも見当たらない。
「はぁ...どこいったんだ霊夢のやつ」
「うーん、幻想郷ってまだ探してないとこありましたっけ?」
「いや、ほとんど探したと思うけどなぁ...後探してないとこと言ったら建物内とかだぞ?」
「そうですか...心当たりは?」
「んや、朝のうちに紅魔館やその他のとこはある程度探した」
「ふむ...」
俺と魔理沙さんが頭を抱えて考えていると空から天狗が落ちてきた。
「あややー!お二人さん」
「お、文じゃん!」
「こんにちは文さん」
彼女は『
『文文。新聞』にはこの幻想郷内で起きている様々な異変や出来事をスクープしている、最近は俺の外の世界の情報を聞きそれらもスクープにしているらしい。
「お二人でいるのは珍しいですね?デートですか?」
「なぜそうなるんですか」
「私たちは霊夢を探してるだけだぜ」
「あやや?霊夢さんをですか?」
「そう」
俺と魔理沙さんは声をそろえて言う。
「霊夢さんなら無縁塚で見ましたよ」
「え!?」
「何やら誰かと話してるようでよ」
「あれ?無縁塚探してなかったけ?」
俺は魔理沙さんの顔を見る。
「いやいや探したぜ!?」
俺と魔理沙さんは急いで無縁塚に向かう。
「あややー?なんだかおもしろいことが起きそうな予感です!」
・
・
・
無縁塚に着く、しかし人っ子一人見当たらない。
「誰も...居ないよな?」
「そうですね...」
辺りは不気味な霧に包まれ墓地である無縁塚の雰囲気をより一層醸す出す。
「文は無縁塚で見たって言ってたけど妖怪すら見当たらないぜ?」
「そうですね...」
俺が返答した次の瞬間空から大量の血の矢が飛んできた。
「うわ!?」
「おう!?」
俺と魔理沙さんは辛うじてかわしたが矢や俺たちめがけて止むことのない雨のように降り続ける。
「んにゃろ!」
「この!」
俺と魔理沙さんは同時にスペルカードを唱える。
【
【
二つの大きなレーザー砲が降り注ぐ雨に向かって放たれる、そして雨を降らす犯人に当たった手ごたえがあった。
「やったか!?」
魔理沙さんが言う。
「いや...」
手ごたえはあったが倒せた感じのやつではない、すると空から人が落ちてきた。
「!?」
俺はそれを反射的に受け止める、落ちてきたのはひどく傷ついた霊夢さんだった。
「霊夢さん!?」
「霊夢!?」
直後また新たに人が落ちてきた、落ちてきたというよりは降りてきた感じだ。
「そいつをよこせ」
その人影は降りると同時に何か話しかけてきた、よこせ?何を言っているんだいったい...
「お前が霊夢さんを?」
問いかけてが返答はなし、十中八九こいつの仕業だろう。
こいつから伝わってくる殺気や妖気...この辺の者たちとは明らかにレベルが違う。
「き、気を付けて」
霊夢さんがしゃべりだした。
「霊夢!大丈夫なにか!?」
「霊夢さん、気を付けてっていったい?」
「そ、そいつはこの幻想郷の『常識』が通用しない...恐らくあんたやアドバンスと同じ外の外の住人よ....!」
「何!?」
外の外だと?異次元時空の住人がなんで幻想郷なんかにいんだよ。
まー俺は生まれは幻想郷なんだけどな、ってそんなことより『常識』が通用しないって事は『スペルカードルール』も通用しないってことだよな?
となるとガチの殺し合いか。
「さーどうするか...」
だが一つ疑問なのはいくらルール無用の戦いだって言ってもあの博麗の巫女が簡単にやられるだろうか?
それともこいつは本当にそれほどの敵?だとすると...
「魔理沙さん、貴女は下がっててくれ」
「で、でもよ...」
「貴女達の力ではおそらくこいつは倒せない」
「...」
「だから霊夢さんを連れてどこか安全なところに...」
「嫌だぜ」
魔理沙さんが強く反論してきた。
「親友がこんなにされたのに黙って逃げるなんて嫌だぜ!」
「でも...」
「こいつの顔に一発お見舞いしないと気が済まないぜ!」
「...分かりました、でも無理はしないで下さいよ?」
「わかったぜ」
霊夢さんを近くの大きな岩の横に座らせ、俺と魔理沙さんはそいつの方を向いて構える。
そいつはよく見ると見た目はまだ10歳くらいの少女だ。
しかし容姿は黒いマントに服とズボンはドス黒く、自分の身長と同じぐらいの剣を持っていてそれらに生き物の血が滲みついている。
俺たちは構えているが少女は構える様子はない。
「魔理沙さん援護頼みます」
「任せろ!」
そういってお互い別々の方向に散る。
俺は懐から刀を取り出し真っ直ぐ突っ込み切りかかった、それを持っている剣で防ぐ。
明らかに重そうな剣をその小さな体で軽々と操る、俺はそのまま刀を色々な振り方をしながら攻撃する。
両手で横から切りかかったり刀を持っている手を不規則に変えながら様々な持ち方をして攻撃したが、全く通用しない。
しかも少女も受けるだけではなく合間合間に攻撃を混ぜてくる、俺が右から降るとそれを防ぎ、がら空きの左側に攻撃してきたりしてくる。
受けと攻撃のお互いにお互いの独自の剣技を使うが一発も当たることなく激しい攻防が続く。
「ちっ」
俺は刀での攻撃を中断し距離を取る、と、同時に魔理沙さんが敵の後ろに付く。
そして俺はスペルカード唱える。
【
突如大きな火の玉が周りに複数出現しレーザーのように飛んでいく、少女はそれを空中に逃げかわす。
「後ろががら空きだぜ!」
【
&
【
「お前が強いことはわかってんだ!最初から全力で行くぜ!」
大量の低速で空中に漂う弾幕と掌から星形の弾幕を飛ばす、不可能弾幕と呼ばれる戦闘方法だ。
しかし少女はそれらを素手で弾幕をすべて叩き落した。
「まじか」
魔理沙さんは苦笑いをする。
少女は叩き落し終わった後、魔理沙さんの方を向いて突っ込む。
「やべ...!」
魔理沙さんは防御の構えを取る、しかしそれでは間に合わない。
「くそ!」
俺は先ほど飛ばした炎のレーザーを遠隔操作し、少女に向かって飛ばす。
それを顔色一つ変えず持っている剣で真っ二つにしていく。
切り刻んでる間に俺が魔理沙さんのとこまで高速で飛んで行って抱え上げその場から離脱する、しかし俺たちが逃げ切る前に全てのレーザーを叩き落し終わりこちらの方を向き掌をこちらに向ける。
【
突如少女の後ろに血まみれの女性が出現する、その女性は俺たちの方を見ると無数の黒い光の玉に変わり飛んできた。
丁度地面に降りることができたが無数の黒い球がもうすぐそこまで来ていた、スペルカードを唱えようにももう間に合わないので俺は一つ一つ刀で弾く。
「く...っ!」
数が数だけに全てを弾くのは容易ではないがやるしかない、後ろには魔理沙さんも居るからここで逃げるわけにもいかない。
「九羅魔!」
「魔理沙さん早く逃げて!」
魔理沙さんが後ろから居なくなってくれればすべて弾かずともこの場から逃げられる。
「わかった!」
魔理沙さんが箒にまたがり空の方に飛ぶ、瞬間少女が魔理沙さんの目の前に現れる。
「い!?」
魔理沙さんは咄嗟に箒を停止させ別方向に逃げようとしたが間に合わず腹に重い一撃をもらいそのまま近くの山の方に吹っ飛ぶ、俺は飛んでくる無数の玉のせいで身動きが出来ず救うことができなかった。
「魔理沙さん!!」
「どこを見ている」
「!!!」
俺の足元に腰を低くして剣を構える少女が視認したが彼女の攻撃に体が反応しなかった、反応しなかったと言うより反応はできたが0.1秒遅かった、俺はそのまま剣で下から上に切りつけられ後ろ足で蹴られ宙に飛ばされる。
宙に飛ばされ身動きができない状況の中少女は再び俺に向かってスペルカードを唱える。
【
今度は少女の足元に赤黒い陣が表れその中から巨大な大砲が彼女を持ち上げながら出てきた、それは俺の方に標準を合わせると空気中の大量の魔の微粒子を吸収しながらエネルギーを充填する。
「やばい...!」
俺は空中でスペルカードを唱えた。
【
羽を召喚し空中でなんとか止まることに成功する、俺は続けてスペルカードを唱える。
【
「
【
『ファイタースピリットの世界への接続を承諾、属性発動』
「はああ!!!」
【ファイタースピリット】『火属性』
俺の足元に炎の属性陣が表れ両手に赤い陣が表れる、その陣は大砲に向かって両手を合わせると一つの大きな陣に変わる。
「死ね」
少女は小さく呟く、と同時に大砲から圧縮された巨大なエネルギーレーザー砲が飛んでくる。
「こんなとこで死ねるか!!」
俺は前の陣から大量の炎で作られた札を出しそれを盾のように並べレーザー砲を受け止める、同時に足元の陣の力で炎による推進力を生みだし俺が押し負けないようにする。
激しいエネルギーとエネルギーの衝突は周りに突風や重力反転などの異常環境を生み出し、その風で木々が倒れ重力反転により石や岩が宙に浮く。
「う...!!」
少女の力は俺の想像の遥か上をいく、さっきから見ているとこの子は異常なほどのスピードとパワー、そして魔力、妖力の貯蔵量がある。
こんな小さな女の子にこれほどのエネルギーを生み出す魔力妖力貯蔵量があるとは思えないが...実際生み出しているところを見ると恐らくそれがこの子の『能力』なのだろう、なら早く何とかしないと俺が妖力切れになってしまう。
「スペル...!」
【
俺の後ろ側に陣を生成しそこから大量の弾幕を出しそれを少女めがけて飛ばす。
少女はまるで俺がそうしてくるのだと分かっていたかのように大砲の上から瞬時に消え俺の後ろに回り重い蹴りを入れる。
「!!!!」
声にならない痛みが全身に走りそのまま俺の体は地面に叩き付けられる、大きなクレーターが出来るとともに骨を何本かやられ内臓もいくつか破裂し機能を停止した、口から夥しい量の血を吐く。
少女は俺の体の近くにゆっくりと降りてくる、なんとか立ち上がろうとしたが全く体が動かない。
「死んだか?」
少女が質問してくる。
「くっ...はっ!こんなとこで死ねるかよ...!」
俺は吐血しながらも反抗的に言う。
「死ね」
少女は呟くと剣を大きく振り上げる。
「っち!」
ここまでなのか?いや...まだだ、まだ『あの人』に貰った力の方が残ってる。
「スペル!」
少女が振り下ろす瞬間スペルカードを唱えた。
【
『神の世界への接続を確認、接続は承諾されません』
『我、汝に問う、人とは何か?夢とは何か?探求とは何か?』
「我の結論は意識体である」
『...神々の世界への接続を承諾、アトランテ神話の門を開きます』
俺の周りに突如凄まじいエネルギーが現れ少女が振り下ろそうとしていた剣を弾け飛ばした、少女は瞬時に後ろ側へ後退する。
体が瞬時に癒され痛みを全く感じなくなった、その場に立ち上がり
「ふう、何とか死なずに済んだな」
俺は服に着いた土を掃いながら言う、少女は俺が喋っているのにもかかわらず横の方に回り攻撃を仕掛けてきた。
「幻想郷では力が制限されて本気出せなかったけどな、『門』を開いた今の俺にはお前じゃ勝てねーよ」
俺はその少女の攻撃を素手で止める。
「!」
少女は驚いた表情を見せる。
「なんだ?自分の攻撃を防がれたことがないって顔だな」
「...」
少女は続けて攻撃をするがすべて止める、すると少女は少し距離を置きスペルカードを唱えた。
【
瞬間少女は目では追えないほどのスピードで俺の周りを回りまくる、その間もどんどん加速しているようだ。
しかし俺には止まって見える、俺はゆっくり前に歩き何もないとこで素振りをする、すると後ろの方で少女が腕に傷を抱えながら現れ自分の溜めた遠心力で思いっきり地面に叩き付けられた。
「ふっ、勝負あったな」
俺は少女の方へ歩く、少女はボロボロの体で立ち上がる。
「もうやめとけ、お前じゃ勝てねーよ」
「...ふざけるな」
「?」
「私は!こんなとこで終われない!!」
少女は感情むき出しで言う。
「終われないだ?人を殺すことをか?」
「そうだ!」
「人になんか恨みでもあんのかよ?」
「それは...」
少女は言葉を詰まらせ黙る。
「なんだよ、意味もなく殺してんじゃないってんなら理由言ってみろよ、まーどんな理由であれ殺人は許せねーがな。ましてや全く関係のない人間が死ぬのは胸糞悪い」
「復讐だ」
「何に対して?」
「世界!」
そうゆうと少女は体を支えている剣から両手を放しその手を自分の腹に突き刺す。
「!」
俺は警戒し構える。
『我は妖王シャドーメル・スカーレット!!我の呼びかけに答えよ、この世界から追放された妖怪たちよ!我の呼びかけは即ち神の呼びかけである!!こい!負の妖怪たちよ!!!』
少女が叫ぶと周りが急に紫色の霧に包まれ真っ黒い雲が空を覆う。
「なんだ?てか今あいつシャドーメル・スカーレットって言ったか?」
シャドー...スカーレット...?たしかこの世界と妖怪の世界を支配していたと言われる伝説の妖怪だったような、だが『この世界』のシャドーはすでに死んでいて居ないはず。
「じゃああいつは?」
「...!!!」
少女は黒い竜巻に覆われ何かを喋っているようだが全く聞こえない。
「っち、風が邪魔だな。あとこの霧もただの霧じゃなさそうだ」
霧が出てきてからやけに体が重い、恐らく毒とかの類だろう。
竜巻の方に行こうとした瞬間竜巻がはじけ飛び少女が視認できるようになった、しかしそこに居たのはさっきとはまるで別人のように姿を変えた少女の姿があった。
髪の色は赤黒い色から真っ黒に変わり目の色も紫から赤色に変わっている、しかもさっきまで10歳くらいの体型だったのに髪の長い20代くらいの女性に変わっていた。
「んだそれ」
「私の本気」
「そうですか」
俺は刀を構える、少女も剣を構えた。
お互い同時に前の方に飛ぶ、お互いの剣がぶつかるとそこから再び剣術の戦いが始まる。
しかしさっきとは違いお互いに剣技を防ぐことはできずかわすこともできず切って切られての攻防は永遠と続くかの如くお互いが退こうとはしない、一瞬崩れそこに蹴りやパンチを食らいふっ飛ばされながらもまた戻ってきて剣技を続ける。
少女はスペルカードを唱える。
【
少女の周りに黒い雷が現れその雷を纏いながら突っ込んでくる、さっきよりも格段にスピードが上がっている。
俺も対抗しスペルカードを唱えた。
【
眼の色が青色に変わり力とスピードが倍になる。
「はああ!!!!」
「やああ!!!!」
凄まじい力と力のぶつかり合いは幻想郷を巻き込む巨大な爆発とともに幕を下ろした。
to be continued
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