本当にバカな奴らだ。
よりにもよってこの僕が、真っ向な良い子ちゃんなわけないじゃないか。全く、変な奴らだ。
幼い頃、僕は今の家の戸口に捨てられていたらしい。今の親は、親と言って良いのかは定かではないが、まぁ一応養ってもらってるし? ある程度礼を言っても良いかもしれない。
つり上がった緑色の瞳、丁寧に扱われたブランド物の丸いメガネ、あらゆる方向に伸びる漆黒の髪、稲妻型の傷跡、そして整えられた僕の容姿は、あらゆる人間を魅了してきた。
僕には数名の奴隷がいる。一人はダドリー・ダーズリー。僕の今の家の息子だ。つまり、僕の兄というわけだが、そんな事どうでも良い。ブヒブヒ言っている豚みたいなダドリーを躾けるのは中々楽しい。その他は、ダドリーのかつての手下たちだ。あいつは元はいじめっ子だったけど…僕の奴隷になっちゃったからね。
今日も僕は、家で新聞を読んでいた。この家は、前にも説明した通り、僕の捨てられた場所だった。ダーズリー家は大きな会社を運営しているらしく、相当な金持ちだった。
ダーズリー家は、すっかり僕の言いなりだった。コーヒーを持ってこいと言ったら、家主であるバーノン・ダーズリーは、よろこんで豆から擦るし、トーストが食べたいと言ったら、その妻であるペチュニア・ダーズリーは笑顔でバターを塗るのだ。
これは全て、かつての僕の策略による。僕は何度か、バーノン・ダーズリーの運営する会社を倒産ギリギリまで陥れた事があるのだ。それを機に、こいつらは僕に甘くなった。人を操るのなんて簡単な事だ。元々、ペチュニアの方は僕にメロメロだったしね。
そして、僕にはある秘密があった。それは、特殊な能力があるという事だった。変な風に髪を切られた時は翌朝すぐに生えてきたし、教師たちに追いかけられた時は、気がつけば学校の屋上にいたり、先生のカツラを吹っ飛ばしたりした事もあったな。あれは傑作だったよ。
さて、この日、僕の人生は大きく揺らいだ。一通の手紙によって、だ。ダドリーの持って来た羊皮紙の分厚い封筒。赤いロウで封がされた禍々しい手紙だった。中を開け読んでみると、何とそれはホグワーツという「魔法学校」への通知案内だったのだ。
*
学校へ入るのを、ダーズリー家は笑顔で了承した。少し経ってから、手紙に記述された魔法界への入り口に行ってみる事になった。そしてその日、「ハグリット」と名乗るホグワーツの番人がやってきて、僕を丁重に案内した。
魔法界は摩訶不思議で、訳のわからない事ばかりだった。しかし、その中で一人、何だか息の合いそうな男の子と出会ったのは良い収穫だった。それと、そのハグリットとやらに僕は蛇を買わせた。緑色のヌメヌメとした肌を持った、美しい形態の蛇だった。
ハグリットは僕と別れると分かると、そそくさと立ち去っていた。
学校は9/1から始まるらしい。僕はそれまでに教科書を全て暗記し、魔法だってマスターした。あの買い物した日、一つ気がかりだった事をあげるとすれば、魔法界の住人は、皆僕の事を知っているようだという事だった。しかしそれは、ハグリットが訳を教えてくれた。何だか、ヴォルデモートとかいう悪の帝王みたいな奴が、昔魔法界を支配して、僕がそいつを撃退した跡が、この稲妻型の傷跡だそうだ。僕を知らない人間は、魔法界に存在しないという。
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そして、ホグワーツへ行く日がやってきた。あの手紙には「9と4分の3番線」と書かれたキングス・クロスの切符が入っていた。ロンドンの駅までやってきて、僕のカートには大きなトランクが一つ乗っていた。あのペットの蛇はオスだったので、「キール」と名付けた。
途中、駅への行き方が分からなかったが、赤毛の大家族が「マグル」やら「魔法」やら言っていたのが突如として耳に入ったので、ついていったのだ。
「あら、貴方もホグワーツなのね」
赤毛の太ったおばさんが言った。僕は笑顔で答える。
「えぇ。一年生です」
「へぇ、じゃあ僕と一緒の寮になれるかもね」
このそばかすだらけの赤毛の少年も僕と同じく、一年生のようだった。あぁそうだ。僕はもう既に、魔法界やホグワーツの基本的な知識は頭に叩き込んである。だから、何を言われても大丈夫だ。
どうやら「9と4分の3番線」は、4番線と5番線の間の柵に向かって走るらしい。特に戸惑う事なく突撃していった僕の目の中には、紅の汽車があった。
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僕は汽車に乗ったは良いが、残念ながらコンパーメントが空いていなかった。仕方なく、近くにあったコンパーメントの戸を叩く。中には、白髪の少年と何だかがっちりとした体型の男子二人がいた。その白髪の少年は、僕が買い物に行った時に出会った奴だった。
「あぁ、空いてなかったのか。まぁ入れ」
命令口調は気に食わなかったが、僕は仕方なく中に入る。途端に、袖の中に隠れていたキールがコンパーメントのソファでスルスルと塒を巻いた。白髪少年は小さく息を飲んだが、聞かなかったふりをして僕は言う。
「ありがとう」
「別に。…僕は、ドラコ・マルフォイ。由緒正しい家系の純血さ」
「へぇ…僕はハリー・ポッターさ」
僕が自己紹介した途端、ドラコの口は拳が三つほど入るのではないかと思うほど、ぱっくりと開いた。この対応はもう慣れているので、特に気にならなかった。それよりも、ドラコのいう「由緒正しい家系の純血」というのは、魔法族の家系の事だろうな。どうやら魔法界には、マグル出身は抹殺して魔法族のみ魔法を学ぶべきだと考える者も大勢いるそうだ。ヴォルデモートがその筆頭だったとか。
「そ、そうか。君がハリー・ポッターだったのか。こいつらは、クラッブとゴイル」
のろのろと横の少年たちが頷く。
「ハリー・ポッター。君と是非友達になりたいと思っていたんだ。これから7年間、よろしく」
「こちらこそ」
*
その後ハリーは蛇寮へ入り、ドラコと仲良くなり、スリザリンの牛耳り、闇へ堕ちていくのはまた別の話。
ただ私の妄想が具現化しただけですよ(^_^)
でも、もしハリーが闇落ちしたらってお話も面白そうなので、今度書こうと思います。まぁどっちみち、ヴォルちゃんに狙われるのは見え透いていますが