傲慢な堕天使も来るそうですよ?   作:問題児愛

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サブタイで耀の使用する天使がバレバレですね。

幼女十六夜VSロリコン魔神戦は決着です。


二十羽 魔女っ子生誕と灼熱VS暴食

 ―――一方、耀は幼女アルゴールとの戦いに苦戦を強いられていた。

 アルゴールは自分の身体の変化になれていないから動きこそは俊敏ではないものの、耀にとってはグリフォンのギフトで回避するのがやっとである。

 

「に、逃げないでちゃんと私と戦ってください!」

 

「そ、そんなこといわれても………貴女とまともにやりあったら一撃で戦闘不能になっちゃうよ―――ッ!」

 

 アルゴールの攻撃を避けながら叫ぶ耀。此処でルイオスが参戦してきたら本格的に彼女は詰むだろう。

 だがルイオスはアルゴールに幼女化した身体に慣れさせるために傍観に徹していた。

 ジンもまた、耀がピンチのこの状況に手も足も出せず悔しそうに唇を噛み締めて見ている事しかできずにいた。

 

「(まずい………本当にこれはまずいかも………!可愛い容姿だからって正直舐めてた―――ッ!)」

 

 そう。耀はアルゴールの愛らしい容貌に見惚れて、さらにはこの子になら勝てる、と慢心してしまっていたのだ。

 その結果がコレだ。アルゴールは黒い翼を広げて耀に急接近。耀は殴る蹴るなどのアルゴールの攻撃を紙一重でなんとか回避し続ける。

 アルゴールは星霊に覚醒したばかりの実力としては半星霊といったところだろう。

 だが耀にとっては掠り傷一つで致命傷になりかねない。現に拳圧が掠っただけで耀はよろめいてしまうほどなのだから。

 

「(本当にどうしよう………私のギフトじゃこの子にダメージを与えるのは無理そうだし―――)」

 

 

『―――なら、私が力を貸してあげるわよ?』

 

 

「(!?)」

 

 唐突に耀の脳内に謎の少女の声が語りかけてきた。

 耀は咄嗟に辺りを見回すが、アルゴールの声ではないのは確かなため、少女の声の主を見つけることは叶わなかった。

 

「………貴女は誰?」

 

『私は七罪。姿を探そうったって無駄だから。何せ私はあんたと同化しちゃってるわけだしね』

 

「(………同化?よくわからないけど、貴女が私に力を貸してくれるの?)」

 

『だからそう言ってんでしょうがぁぁぁ!二度も言わせんなッ!』

 

「(………何で逆ギレ?)」

 

『うっせぇ!それで、力が欲しいの?いらないの?どっちッ!!』

 

 耀の指摘を一蹴した七罪は再度問う。

 耀は強く頷いて答えた。

 

「(うん、欲しい。恥ずかしいけど今の私じゃどう足掻いてもあの子には勝てないから)」

 

『ふん!最初から素直にそう答えなさいよね、このちんちくりん!』

 

「(………今の発言は聞き捨てならない。誰がちんちくりんだって?)」

 

『あんた以外に誰がいんのよ。あー、あの子もちんちくりんか!』

 

「(……………そういう貴女はどうなの?もしかして、ちんちくりん?)」

 

『う、それは………』

 

 急に歯切れが悪くなる七罪。

 耀はニヤリと笑って頷いた。

 

「(そう。貴女もちんちくりんなんだ。だから私に体型の事で喧嘩売ってきたわけだね)」

 

『な、誰がちんちくりんよ!あんたほどちんちくりんじゃないわよ!―――ってしまった!?………耀、あんたよくも私をはめてくれたわね!?絶ぇぇぇ対に許さない!覚えとけよこんちくしょぉぉぉぉぉぉッ!!』

 

 耀の脳内で絶叫する七罪。

 耀は頭が痛そうに手で押さえて不機嫌そうな顔をする。

 だが、眼前に迫っていたアルゴールに気づいて耀は現実に引き戻される。

 

「わ、私と戦っているのに随分と余裕そうですね。舐めないでください!」

 

「―――――ッ!!!」

 

 耀は回避が間に合わないと悟って咄嗟に腕をクロスさせてアルゴールの殴打を受け止め―――きれずに吹き飛び、床に叩きつけられた。

 

「……………うっ!?」

 

『え?ちょっとあんた平気!?』

 

「………な、なんとか。でも凄く痛いかも………」

 

『全ッ然平気じゃないじゃない………ッ!あぁぁぁもぉぉぉ!こうなったらやるわよ!今から伝える言葉を叫びなさい!』

 

「わ、分かった」

 

 七罪の言葉に頷き、耀はそれを聞くと―――叫んだ。

 

 

「<神威霊装・七番(アドナイ・ツァバオト)>!」

 

 

 その刹那、耀の全身が光り輝き―――茶髪に緑が混ざり髪のボリュームが増した少女が現れた。

 

 鍔の広い、先端の折れた円錐。

 そう。それはまるで―――おとぎ話の中に出てくる『魔女』を思わせた帽子を被っていた。

 夕焼けのような橙色と、夜空のような黒で構成された霊装を纏った幼い少女が。

 これが霊装。精霊を守る絶対の城であり鎧。

 

 

「―――<贋造魔女(ハニエル)>」

 

 

 耀がそう言った瞬間、虚空から一本の箒のようなものが現れ、耀の右手に収まった。

 

 箒のような形状をしているものの、先端部が、金属か宝石でもちりばめられているかのように幻想的にキラキラと輝いている。

 これが天使。精霊が持つ絶対の武器であり『形を持った奇跡』。

 

 耀は瞳を瞬かせて驚いた。

 

「………これは?」

 

『それは私の天使、<贋造魔女(ハニエル)>。魔女みたいな格好が私の霊装よ。素敵じゃない?』

 

「うん。アニメとかで知ってる魔法少女みたいでいいかも」

 

『!!あんた嬉しいこと言ってくれんじゃない!気に入った―――』

 

「でも、容姿がちんちくりんなのは残念かな」

 

『前・言・撤・回!やっぱあんたなんか大嫌いだわこんちくしょぉぉぉぉぉぉッ!!!』

 

 再度七罪の大絶叫が耀の脳内に直接響き渡る。

 耀は顔を顰めて頭を痛そうに押さえた。

 だがそんな悠長なことはしていられない。なぜなら、

 

「余所見は厳禁ですよ………!」

 

「!?」

 

 黒い翼を羽ばたかせて急降下してきたアルゴールが視界に入ったからだ。

 七罪は咄嗟に耀に指示を出した。

 

『………ッ!早く<贋造魔女(ハニエル)>に跨がって!一旦退避するわよ!』

 

「………!うん。わかった!」

 

 七罪に言われた通りに<贋造魔女(ハニエル)>に跨がる耀。その瞬間、猛スピードで急上昇してアルゴールの攻撃を容易く回避した。

 だが安心しているのも束の間。アルゴールは幼女化した身体に慣れてきたのか、さらに加速して超高速で追いかけてきた。

 

『追ってきたわよ!もっと速度を上げて!』

 

「うん………!」

 

贋造魔女(ハニエル)>の飛翔速度をさらに上昇させてアルゴールを突き放そうとする耀。

 しかし流石は星霊というべきか、アルゴールはまだ加速するとあっという間に追いつかれてしまった。

 

『くっ………仕方がない!地上に降りて迎え撃つのよ!』

 

「………ッ」

 

 アルゴールの攻撃が来る前に今度は急降下させて地上に降りる耀。

 それに気づいたアルゴールは右手を掲げて褐色の光を発生させたかと思ったら、そこからは―――無数の害虫、蜘蛛や蠍、蛇などを召喚してそれらを耀に向けて放った。

 七罪はそれに対応すべく、耀に指示を出した。

 

『耀!<贋造魔女(ハニエル)>の柄を地面に突き立てて!』

 

「え?あ、うん」

 

 耀は言われた通りに<贋造魔女(ハニエル)>の柄尻を地面に突き立てる。すると箒の先端部がぶわっと展開し、目映い光を放った。

 次の瞬間―――

 ポンッ!というコミカルな音を立てて、耀の下に迫っていた害虫の全ては可愛らしいイヌやネコやウサギのぬいぐるみに変貌した。

 

「「「「―――………は!?」」」」

 

 この摩訶不思議な現象に、耀だけでなくこの場にいたジン、ルイオス、アルゴールまでもが素っ頓狂な声を上げた。

 

「な、一体何が起こって………!?」

 

「アルゴールの撒き散らした害虫がぬいぐるみに変わった………だと!?」

 

「こ、これは予想外です………!あの箒には気を払わないと!」

 

 アルゴールは警戒するように耀との距離を空けて様子を見る。

 

「す、凄い!まるで魔法少女が魔法をかけたかのような現象………!」

 

『ふふん、どーよ私の<贋造魔女(ハニエル)>は!さあ、私の天使の凄さが分かったんなら一気に畳み掛けるわよ!』

 

 七罪の言葉に頷いた耀は、<贋造魔女(ハニエル)>を構えてアルゴールに突っ込んでいくのだった。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「切り裂け―――<灼爛殲鬼(カマエル)>!」

 

「………ッ!!」

 

 十六夜が吼えると、<灼爛殲鬼(カマエル)>はその刃の体積を何倍にも膨れ上がらせ、さらに広範囲にその身を伸ばしていった。

 迫る焔の刃を間一髪で回避したベルゼブブは、右手に収束させた『風』を一気に解放する。

 だが『火』と『風』の相性は最悪だった。ベルゼブブの放った竜巻は十六夜に触れる前に焔に阻まれて燃え尽きた。

 ベルゼブブは黒い翼を広げた状態で十六夜を見下ろして楽しそうに笑う。

 

「クハハ!俺様好みのツインテール幼女になったかと思いきやこの破壊力!あァ嬉しいぜ小僧ォ!―――いや、小娘だったかァ!」

 

「そりゃどうも。オマエの属性が『風』で助かったぜ。お陰でコッチは有利に戦える!」

 

 十六夜は<灼爛殲鬼(カマエル)>を構えて飛翔すると、一気にベルゼブブとの間合いを詰める。

 ベルゼブブはニヒャと嗤い、右手を掲げて豪嵐を纏う。すると其処から現れたのは―――鋭い切っ先を持った一本の槍だった。

 

「そいつはどォかなァ?貫け―――〝暴虐豪嵐槍(グングニル)〟!」

 

 ベルゼブブが十六夜に向けた〝暴虐豪嵐槍(グングニル)〟は、凄まじい『風』を発生させて十六夜を呑み込む。

 

「ハッ、焼き尽くせ―――<灼爛殲鬼(カマエル)>!」

 

 ベルゼブブが放った〝風の槍〟と形容しがたいソレを、十六夜は<灼爛殲鬼(カマエル)>を振りかぶり真正面から切りつけた。

 

『ちょ、十六夜!?あなた馬鹿なの!?普通はあんなものに突っ込まないでしょ!?』

 

「ヤハハハ!俺に常識の二文字はねえ!オラァ!!」

 

 十六夜の<灼爛殲鬼(カマエル)>は、ベルゼブブの〝暴虐豪嵐槍(グングニル)〟を真っ二つに切り裂いて跡形もなく焼き尽くした。

 

『嘘!?』

 

「オイオイ、マジかよお前!」

 

 これには琴里だけでなくベルゼブブまで驚きの声を上げた。

 十六夜はベルゼブブと同じ高度まで上昇すると、<灼爛殲鬼(カマエル)>を構えて笑う。

 

「おい魔神様。まさかさっきのが全力とは言わねえよな?」

 

『え?』

 

「あァ、当たり前だ!俺様を本気にさせちまった事を―――後悔させてやるぜェ!!」

 

 声を上げたベルゼブブは、全身から『風』のオーラを発生させると、彼の姿は霞み―――ザシュッ!

 

「がっ………!?」

 

 精霊の力も得て規格外な動体視力を持った十六夜だったが、今の攻撃は見えなかった。

 切り裂かれた脇腹を押さえながら振り返ると、十六夜の目にはようやくベルゼブブの姿を捉えることが出来た。

 今度は槍ではなく、二本の長刀を手にしていた。

 

「どうした小娘ェ!煽っといてその程度かァ?」

 

「………ッ、野郎ッ!」

 

 十六夜は<灼爛殲鬼(カマエル)>を振るい、ベルゼブブを焔の刃で切り裂く。―――が、

 

「………ぐあっ!」

 

 ベルゼブブを切り裂いた感触はまるでなく、逆に十六夜の背中に深々と『X』の文字を刻む。

 ベルゼブブは刀についた血を舌で舐めとり嗤う。

 

「クッハッハ!どうしたどうしたァ!お前の力はそんなものかァ!?………あァ、幼女化した十六夜の血は中々美味だなァ!!」

 

『「………ッ、」』

 

 十六夜と琴里はゾクリと嫌な汗と悪寒が背筋に走った。

 この変態(ロリコン)は―――本物の変・態・だ!………と。

 十六夜は浅くはない三ヵ所の傷に苦悶の表情を見せるが、琴里が笑って言った。

 

『平気よ、十六夜。傷なら―――すぐに塞がるわ』

 

「………あん?ソイツはどういう―――」

 

 意味だ?と続ける前に、身体に異変を感じ取った。

 十六夜はすぐさま傷口を見ると―――そこから焔が噴き出し、傷口を舐めるように広がっていたのである。

 これには十六夜だけでなく、ベルゼブブも驚愕に瞳を見開いた。

 

「おいおい、傷口に焔が這って終いには完治しただと!?」

 

「あァ、厄介な力持ってんじゃねェか小娘ェ!」

 

 面倒臭そうに頭を掻き毟ったベルゼブブは、ふうと息を吐き真剣な顔で告げた。

 

「仕方ねェ………コイツで終わらせるかァ!」

 

 そう言ったベルゼブブは両手を広げた。次の瞬間、今までの『風』とは比にならない凄まじい暴力の渦が発生し、壁や床、柱などを喰らっていく。

 

「さあ、正真正銘の俺様の全力だ!受けてみろッ!!喰らい尽くせ―――〝暴食嵐帝(グラトニー・テンペスタ)〟ッ!!」

 

 あらゆるものを喰らいながら十六夜に迫る〝暴食嵐帝(グラトニー・テンペスタ)〟。

 琴里は意を決したように十六夜に告げた。

 

『………ッ、こうなったらやるわよ十六夜!』

 

「お?まだこの天使には隠された力があんのか?」

 

『ええ、あるわよ。そしてコレはとても強力なのだけど―――覚悟はいい?』

 

「―――ああ。いつでもいいぜ、琴里」

 

 ヤハハと笑って頷く十六夜。

 琴里はそれを聞くとニッと笑って告げた。

 

『アレを撃つわよ。準備はいいわね?』

 

「おう」

 

 十六夜は応えると、琴里の指示で<灼爛殲鬼(カマエル)>を天高く掲げてその手を離した。

 すると<灼爛殲鬼(カマエル)>の刃が空気に掻き消え、棍部分のみがその場に静止する。

 

「<灼爛殲鬼(カマエル)>―――【(メギド)】」

 

 十六夜の声に応えるように、刃を失い棍のみになった<灼爛殲鬼(カマエル)>が蠢動した。

 柄の部分が本体に収納され、十六夜が掲げた右手を包み込むように着装される。

 肘から先を長大な棍に覆われた十六夜は、その先端を迫り来る『風の渦』―――〝暴食嵐帝(グラトニー)〟に定めた。

 ―――その姿はまるで、戦艦に備えられた大砲を思わせた。

灼爛殲鬼(カマエル)>がその体表を展開させ、赤い光を放つ。

 そして十六夜の周囲に纏わり付いていた焔が、その先端に吸い込まれていった。

 

「―――灰燼と化せ、<灼爛殲鬼(カマエル)>」

 

 十六夜がそう口にした瞬間―――十六夜の構えた<灼爛殲鬼(カマエル)>から、凄まじい炎熱の奔流が放たれた。

 巨大な火山の噴火を数十センチの範囲に凝縮したかのような圧倒的な熱量が、ベルゼブブの〝暴食嵐帝(グラトニー・テンペスタ)〟に衝突した。

 

「「うおおおおおおおおおお!!!」」

 

 重なる怒号。十六夜の『火』とベルゼブブの『風』の全力が今ぶつかり合った。

 全てを燃やし尽くさんとする十六夜の<灼爛殲鬼(カマエル)>から放たれた灼熱(イフリート)

 全てを喰らい尽くさんとするベルゼブブの〝暴食嵐帝(グラトニー・テンペスタ)〟が荒れ狂う嵐風(テンペスタ)

 最初は互いに牽制し合い、鬩ぎ合っていたのだが、やはり属性の優劣は絶大だった。

 十六夜の<灼爛殲鬼(カマエル)>の放った灼熱が勝り、ベルゼブブの〝暴食嵐帝(グラトニー・テンペスタ)〟を貫き―――

 

「なっ………!?」

 

 一直線に向かった灼熱の砲撃は見事、風の魔神・ベルゼブブを撃ち抜いた。

 

「ぐうおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 全身を焼かれたベルゼブブは、断末魔のような大絶叫を上げながら雲海の彼方へと吹き飛んでいったのだった。




魔法幼女ヨウ☆の誕生です!わーパチパチ。天使一体でどうにかなる敵ではないのですよね………幼女アルゴール。

雲海の彼方へと吹き飛んでいったベルゼブブの生死は………内緒です。

次回はアイドル系残念ウサギVS癒し系幼女魔神
 天使系百合お嬢様VSツンデレお馬鹿系幼女魔神
の二本立ててお送りします!
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