大量の原作ブレイク……許してください。
《万事屋side》
――――ザアァァ
銀「あ〜〜、嫌な雨だ。」
静かな万事屋で口を開いたのは、この家の主である坂田銀時。
外は激しく雨が降っており、万事屋内の静寂をさらに際立たせていた。
銀「何もこんな日に、そんな湿っぽい話し持ち込んでこなくてもいいじゃねーか…。」
総「そいつァ、すまねェ。一応知らせとかねーとと思いましてね。」
静寂の中、響く声でしゃべるのは、万事屋への依頼人、沖田総悟。
神「ゴメン、銀ちゃん。」
新「僕らが最後まで見届けていれば…。」
銀「オメーらのせいじゃねーよ。
野郎も人斬りだ、自分でもロクな死に方できねーのくらい、覚悟してたさ。」
知らせ、
沖「ガキどもは、ウチらの手で引き取り探しまさァ。情ねェ話ですが、俺たちにはそれぐらいしかできねーんでね。」
万事屋が探っていたターゲットの訃報だった。
沖「旦那ァ、妙なモンに巻き込んじまってすいませんでした。この話はこれっきりにしやしょーや、関わってもロクなことなさそーですし…。」
――――ガラッ
突然、万事屋の扉が開いた。
いつもは依頼人の来訪に飛びつく銀時も、扉の方に背を向けたまま動かなかった。
沖「テメーら!!ココには来るなって言ったろィ?」
沖田の言う“テメーら”。
亡くなった鬼道丸の寺に住んでいた、子供たちだった。
銀時は、いつも通りの死んだ魚のような目で、来訪者に目を向けた。
「……に、兄ちゃん。兄ちゃんに頼めば、何でもしてくれるんだよね?」
「何でもしてくれる万事屋なんだよね?」
言い終わるよりも早く、子供たちが泣き出した。
「「「「お願い!先生の敵、討ってよォ!!」」」」
自分たちの親代わりだった、大切な人を亡くした子供たちの悲しみに、神楽も新八も悲しい目をしていた。
――――スッ
銀「!」
「コレ……、僕の宝物なんだ。」
ここにいる子供たちの中で、最年少だと思われる少年が、銀時に『少年の宝物』を渡してきた。
「お金はないけど……、みんなの宝物をあげるから。」
「だから……お願い、兄ちゃん。」
親のいない沖田にもよくわかる、痛みだった。
だが、ここで自分が引いてしまっては、元も子もない。
沖「いい加減にしろ、お前ら。もう帰りな。」
「僕たち知ってるよ……。」
「先生……、僕たちの知らないところで、悪いことやってたんだろ?だから死んじゃったんだよね?」
子どもは敏感。自分の大切な人の異変になんて、すぐに気づく。
泣いていた子どもたちが、涙を我慢しながら言った。
「それでも……、僕たちにとっては大好きな父ちゃん…。立派な父ちゃんだったんだよ…」
訴えかける子どもたちの前で、
?「オイ、ガキ!」
「!」
?「コレ、今はやりのドッキリマンシールじゃねーか?」
「そうだよ、レアモノだよ。何で兄ちゃん知ってるの?」
?「何でって、オメー。俺も集めてんだ…ドッキリマンシール。」
一人の“侍”が動く
銀「コイツのためなら何でもやるぜ。後で返せっつってもおせーからな。」
「兄ちゃん!!」
銀時の言葉に、満面の笑みを浮かべる幼子とは真逆の顔を浮かべた、男が1人、
?「酔狂な野郎だとは思っていたが、ここまでくるとバカだな。」
真選組副長、土方十四郎。
銀「オイオイ、どいつもこいつも人ん家にズカズカ入りやがって。テメーらには迷惑かけねーよ、どけ。」
土「別にテメーが死のうが構わねーがな、今どき弔い合戦なんざ、流行りもしねーよ。しかも、人斬りなんざのために。得るもんなんざ、何もねェ、んなことぐらい、テメーでもわかってんだろ。」
再びおとずれた静寂の中で、
銀「……テメーに一つ、いいことを教えてやろーか。」
銀時は、余裕の笑みで土方を見て言った。
銀「……俺の…俺らの大事なかつての仲間だった奴の教えだ。」
いつもの死んだ魚のような目から、真っ直ぐ前を見据えた真剣な目になっていた。
銀「そいつはなァ……、俺らのこと裏切った奴を、その敵に利用されて死んでいった奴を、そいつは自分が死にそうになってまで、助けようとしやがるような奴だった。
なんでそんなことしやがるんだ、って聞いたら答えたんだよ。
ヘラヘラしながら、それでも真っ直ぐ前を見据えた目でな。」
?『銀時〜、私にはさ、、、心臓とか命とかよりも大事な器官があるんだ。』
銀『そいつァ見えねーが、確かにそいつのどタマから股間までまっすぐブチ抜いて存在する。』
?『それがあるから、私は真っ直ぐ立っていられる。フラフラしても、真っ直ぐ歩いていける。
あいつを見捨てたりしたら、それが折れちゃうんだ。』
銀「魂が、折れちまうんだとよ。」
銀時は、懐かしそうに言った。
攘夷戦争時代に、自分と共に戦った仲間が言っていた。
銀「心臓が止まるなんてことより、そいつにしたら、そっちの方が一大事らしい。」
土「……己の美学を守れるなら死ねるってか?……そいつは、馬鹿な奴だな。」
銀「俺も最初はそう思ったさ、なんて馬鹿な奴なんだろう、ってな。
でも、俺も馬鹿だったらしい……。
そいつのせいで、俺にも心臓よりも大事な器官ができちまった。こいつァ、老いぼれて腰が曲がっても真っ直ぐじゃなきゃいけねー。」
土「……とんだロマンティズムだな。」
――――ガチャガチャ
新「何言ってんですか。男はみんなロマンチストでしょ。」
神「いやいや、銀ちゃんの回想で出てきた通り、女だってそーヨ、新八。」
今まで黙っていた万事屋の二人が、子どもたちからの『お金』を持って、出て行った。
土「オイッ、テメーら……。」
――――ガチャガチャ
沖「全く、馬鹿な連中ですね。こんな物のために、命かけるなんて馬鹿そのものだ…。」
土「全くだ、俺には理解できねェ。……ん?」
そう言う土方の前を通り過ぎるのは、『お金』を持った沖田。
土「お前まで何してやがんだァ!?」
沖「すまんねェ、土方サン。
俺もまた、馬鹿なんでさァ。」――――ピシャ
扉が閉められた万事屋の中で、頭を抱える人物の元へ、客が一人。
銀「おいっ。」
土「……なんだ。」
銀「テメーは、何に縛られてんのか知らねーがな、二つほど付け加えて教えてやる。」
土「テメーに教えられることに、ロクなことはねーけどな。」
銀「ひとーつ、寺にいたガキの数は、ここに来たやつの倍いた。」
土「はぁ!?」
銀「ふたーつ、寺でガキどもに名刺を渡した時、テメーらの所の女も名刺を渡した。」
土「なっ……!?!?」
銀「さて、ここで、真選組一、頭のキレる多串くんに問題。残りのガキどもは一体、どこに行ったでしょうか?」――――ピシャ
――――prrrrrr、prrrrr
土「なんちゅータイミングだ。」――――ピッ
?「一緒に、来ますか?土方くん。」
その電話は、
天使の声か……悪魔の囁きか……