私は真選組統括最高責任者であり…、   作:ゆう☆彡

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法律は破るためにそこにあるわけじゃないから。

 

 

近「トシ、龍菜殿と伊藤先生から聞いたぞ。災難だったな、身体の方は大丈夫か?」

土「…………。」

 

真選組屯所、局長室。

土方が路上で襲われ、救われた後。土方は近藤に呼ばれた。

部屋には2人。

 

近「……トシ、俺達が今、武士よりも武士らしく己を奮い立たせられるのは、お前が生みだした厳しい掟『局中法度』の存在のおかげに他ならん。

 

一つでも犯せば即切腹。作ったおまえの理想とする侍像がそこにつまっているんだろう。

そして、俺達はそれに賛同した。……お前は隊士(やつら)にとって、理想の武士のうつし身だ。皆がお前を手本として見る。

 

俺が言えた義理じゃねーが、士道に背くような真似はしてくれるなよ。」

 

思い出されるのは、土方が攘夷浪士に対して土下座をした姿。

報告を受けた近藤が驚いたのだから、その現場を見ていた龍菜の衝撃は、凄かっただろう。

 

土「…………大した野郎だ。」

近「?」

土「あっという間に広まっちまったよ、俺の醜態。まァ、伊藤(野郎)にとっては俺を蹴落としてのし上がる、絶好の好機だろうからな。」

近「トシ、伊藤先生は隊内の士気を思って……「先生と呼ぶのは止めろ。」……。」

 

土方が近藤の言葉を遮る。

 

土「近藤サン、アンタ局長の座を奴に譲るか、二人で真選組の頭やるってハラなのか?

 

いいか、アンタが奴を立てれば立てる程、隊士達も自然と奴を立てざるをえなくなる。隊士(やつら)が伊藤の扱いに戸惑ってるのを知らないわけじゃねーだろ。」

近「……伊藤先生が真選組を乗っ取るつもりだとでも?」

土「さぁな。だが、奴があんたから重宝され、新参者としては異例の出世を遂げる以前から、アンタと対等以上の振る舞いをしてるのは、確かだよ。」

近「……。」

 

土方は咥えていたタバコを消し、改めて向き合う。

 

土「近藤サン、頭が二つある蛇は、一方の頭が腐って落ちるか、反目して真っ二つに身体を引き裂いちまうかどちらかだよ。」

 

土方は一息付き、警告した後とは思えぬ口調で再び口を開く。

 

土「……今、真選組に龍菜がいる中、実質頭が二つある中、最悪な状況にならずに保ってんのは、龍菜(あっち)が距離のとり方をわかってるからだ。」

 

近藤は龍菜の名前が出て、少し反応する。

 

土「……アンタが龍菜をどんなに大事にしても、隊士たちがあいつをわざわざ立てようとしないのは、あいつが隊士達との距離感を理解して振舞っているからだ。」

近「……、、、。」

 

 

――――つまり、あいつもきっと……

 

 

 

 

 

近「……トシ、俺はかねてより真選組に不在だった政治顧問に、先生は必要だと思っている。龍菜殿が政治方面に関しての知識が確かなのもわかるが、あの人にも幕府の方での地位がある、ずっと俺達に付いていてもらうわけにはいかない。」

土「……っっ!」

近「教えを請うた者を敬うのは当然だ。それを家来のように扱えというなら、俺は断る。

 

俺は一度としてお前達を家来だと思ったことはねェ。士道の名の下、俺達ゃ五分の同士(なかま)だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土「そうか。」

 

しばらくの沈黙のあと、土方が静かに立ち上がる。

 

土「近藤サン、キレイ事だけじゃ組織は動かねェ。アンタの優しさは、最大の長所で、最大の短所にもなる。」

近「おいっ、トシっっ!!」

 

そう言って、土方は局長室を後にし、麩を閉める。

 

 

 

 

土「……いつから耳たててたァ?」

龍「近藤さんの身体は大丈夫か?という所からですね。」

土「最初からじゃねーか……。」

 

局長室の壁によりかかるように外にいたのは、実質いる二つの頭の一方。

 

龍菜は、書物を読みながら再び去ろうとする。

 

土「お前も感じてるんじゃないのか?」

龍「何をでしょうか?」

 

全く振り向こうとしない龍菜の背中に、話しかける。

 

土「耳たててたなら、わかんだろ。同じもう一方の頭だとしても、お前と伊藤じゃ違う。お前は、隊士と近藤さんと自分の距離を理解して接している。だから問題は起きねぇし、文句もねェ。だが、このままじゃ……「同じですよ。」……。」

龍「土方くんと考えること、思うことは同じです、八割型ですけど。」

 

龍菜が土方の方に目を向ける。

 

龍「しかしその八割の事は、私が解決できることじゃありません。私がお手伝いできるのは、せいぜい残りの二割と後片付けぐらいです。」

土「……。」

龍「所詮は女禁制の真選組で出来ることなんて、私には限られてるんです。なので、後のことは考えずにやってください。出来ることなら、何でもやりますから。」

 

そう言うと、土方は恥を偲んで言った、

 

土「じゃあ、、、近藤サンのこと。」

龍「……?」

土「近藤サンを頼む。」

 

龍菜なら、その恥を理解してくれるだろうと信じたうえでの頼みだった。

 

龍「…………わかりました。でも、覚えておいてください。」

土「?」

龍「近藤さんは土方くんがいないと、何もできませんよ。」

 

そう笑って、龍菜は去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。伊藤が帰ってきたことで始まった、『帰陣祝い』兼龍菜の『歓迎パーティー』。

 

近「かんぱーい!!」

 

一つの部屋にたくさんの隊士達。局長の近藤、副長の土方、主役の伊藤と龍菜、総悟を含めた各隊の隊長。全員で飲み交わしていた。

 

伊藤の姿は隊士服、ではなく総悟達と同じ隊長服だった。

 

龍「……。」

 

龍菜はいつも通りの着流し姿に、開いた窓から差し込む月光に反射した長い髪が、隊士達の目を引いていた。

 

 

近藤は伊藤と話し、土方はというと、山崎と話している。

 

伊「地上を這いつくばって生きる我々の苦しみなど、意にも介さぬ頑冥な連中だ。」

龍「(私は、その連中の一人なんですけどね…。)」

 

苦笑しながらそんなツッコミを入れてた龍菜に、

 

沖「龍姉、龍姉。頑冥って何ですか?」

龍「ん?総悟??あれ?近藤さんに聞いてなかった?」

沖「子どもは黙ってろって言われやした。」

龍「あはは……、、、。」

 

――――わからなかったんだな……。

 

龍菜の裾を引っ張り、少し頬を赤くした総悟に教えた。

 

龍「頑冥っていうのは、まっ簡単に言えば『考え方に柔軟性がないこと』かな?」

沖「なるほど……。」

龍「まぁ、今の幕府と、それから伊藤くんにもよく使える言葉だね。」

沖「??」

 

その時の龍菜の言葉を、沖田は理解出来なかった。

 

伊「僕らはもっと上を目指して邁進しなければならない!!」

龍「!?」

 

突然の大きな声。龍菜が驚いて見ると、伊藤が高らかに語っていた。

 

龍「……、総悟、あれは何?」

沖「ん?あー、あれですかィ。あの人は酒入ると毎回やってまさァ。近藤サンもノリノリなんで、誰にも止められないんでィ。」

龍「へー、、、。」

 

龍菜は見つけた。近藤の肩に手を置き、立ち上がって話している伊藤の横で、明らかに不機嫌な人を一人。

 

沖「土方サンは頭がキレるのでも、戦術家の方でさァ。政治方面は……、、、龍姉がやればいいんでィ。」

龍「総悟……?」

 

突然重くなった総悟の身体。見ると……

 

沖「……スー……スー……。」

龍「寝てるんですかね??」

山「沖田隊長!?また、お酒のんだんですかぁ!?」

龍「えっ……、、、総悟って今、、、」

山「18です。」

龍「総悟~~!?」

沖「ん~~~~~~、掟は破るためにあるんでさァ……。」

龍「いやいや!!それだけは、破っちゃダメだよっっ!!」

 

 

そんなこんなで、バタバタしだす龍菜の周り。

そんなうるさい中でも、総悟は気持ちよさそうに龍菜の膝の上で寝ていた。

そんな総悟を優しくなでる龍菜の姿に、隊士達が再び目が奪われたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして出会う、二人の片割れ。




次回、龍菜と伊藤が話します。
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