私は真選組統括最高責任者であり…、   作:ゆう☆彡

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“垢”の御旗に輝く“金”は、一筋の光となりうる。

近「いやぁ、久し振りだな、武州(ぶしゅう)に帰るのは。」

 

行き先は武州という名の地獄。

そこは既に、敵の手中である電車の中だった。

 

 

近「どいつもこいつも、喧嘩ばかりしてる荒れた所だったが…、考えてみると、やってる事は今と変わらんのかもな。

 

だからかは、わからんがたまに不安になる。俺ァ、あの頃からちったァマシな奴になれたのか……ってな。」

 

黙って聞くのは、この遠征の目的の首謀者、伊東だった。

 

伊「君は立派な侍だ。

 

僕は君程、清廉…いや、無垢な人物に会ったことがない。

君は白い布のようなもの、何ものも受け入れ、何色にも染まる。

真選組とは、皆がその白にそれぞれの思いを描いた御旗なのだろう。」

近「…………。」

 

伊「…僕の色は黒だ。何ものにも染まらず、黒く塗りつぶす。私の通った後は、全て私の色になる。」

 

―――ザッ!!

 

伊東がそう言うと、周りにいた隊士たちは刀を抜き、近藤に向けた。

 

伊「すまないね、近藤さん。君たちの御旗は既に、真っ黒に染まってしまったんだ。」

 

 

そんな中、豪快に笑い出す近藤。

 

近「ワハハハハハ、さすが先生だ、面白いことを言うな。

……が、少し違うな。」

伊「……?」

近「俺達が真っ黒に染まる?

そりゃあ、俺が白い布だとするならばたしかにそうかもしれんが、俺ァ、そんな大層なもんじゃないんでな。

 

いいとこ、ちぢれ毛だらけのふんどしってトコかな。

それに、『皆がその白にそれぞれの思いを描いた御旗』?そんな甘っちょろいもんじゃないさ。

 

奴等は色じゃねェ。“垢”だよ、“垢”。洗っても、取れることのねェ汚れだ。

 

洗っても取れねェから、愛着わいてきて…。汚れも寄せ集まって年季が入りや、見れるようになってな。

いつの間にやら、立派な御旗の完成だ。

 

何を考えてんのかわからん、得体の知れねェ連中だ。あんたの手にゃ負えんよ。」

 

近藤の乗る車両に乗り込む者が一人。

長年、一緒にいる者同士。もはや、気配だけでわかる。

 

近「……伊東先生、奴等も同じだ。何ものにも染まらんよ。」

 

そこに立っていたのは、伊東派に乗り換えたと思われていた、沖田総悟の姿だった。

 

伊「沖田くん。見張りのはずの君が、ここで何をやっている?」

総「そりゃあ、こっちのセリフだ。」

伊「!」

 

顔をあげた総悟の顔は、殺気が溢れていた。

 

総「てめーが何やってんだ、クソヤロー。

その汚ェ手、離せ。」

伊「……。」

 

―――ゴォシャァァ!!!!

 

その場から一歩も動かず、近くにいた隊士を斬った。

 

総「その人から、手を離せって言ってんだ!」

 

 

 

―――コツコツコツコツ

 

静まる車内で、総悟の足音だけが響く。

 

伊「やはり君は、土方派……。僕をあざむくための芝居か…。」

総「はぁ?ちげーよ。

俺の眼中にあるのは、副長の座だけだ。土方が消えた次は、

 

テメーの番だよ、伊東先生。」

 

そう言って、切っ先を伊東に向ける総悟。

 

総「俺の大将はただ一人…、そこをどけ。近藤(そこ)の隣は副長(オレ)の席だァ。」

近「総悟……。」

 

そう言うと途端に、総悟は笑い出した……いや、ニヤリとした。

 

伊「残念だが、それは無理だな。君の隣には、もう時期誰もいなくなる。

この戦場にいるのは、俺達だけでは「そりゃあ、俺たちもでィ。」!?」

総「俺ァ、優しいから、一つ忠告しに来てやったんでさァ。

 

実はこの列車の後ろに、こんなもんがあったんでィ……百個ほどな。」

 

総悟の手に握られていたのは、爆弾だった。

 

自分の仕掛けを、わざわざいう必要は無い。

伊東派ではない奴の中で、こんなことが出来るのは一人しかいなかった。

 

伊「なっ!?」

近「フハハハ!伊東先生、さっきの話少しだけ訂正しよう。」

伊「!?」

近「一人だけいるよ、垢じゃなく綺麗な色が。

俺らみたいな垢の集まりのために戦ってくれる…、何ものにも染まらん俺らに、自ら染まろうとしてくれる奴がな…。

 

伊東先生、知ってるか?

真っ黒に塗りつぶされた御旗にも、染まれる色がある…、そりゃあ、“金”だ。」

伊「……っ!まさかっ!?」

近「どんなに汚ェ色でも、ものでも、その輝きだけは消えないだろ?」

 

伊東が思い浮かべるのは、真選組で常に輝きを放っていた一人の存在。

目立つものではないが、確実にその中にあった、それ。

 

 

伊「くっ……!!」

 

―――ザッ!!!

 

総悟の後ろから飛び出す、二人の隊士。

 

 

―――ピッ……ドォォォン!!!!

 

それを見計らったように響く、爆音。

 

「「「「「「「うわァァァァ!!!」」」」」」」

伊「ちっ、爆弾を……」

龍「よそ見してて、いいんですか?

後ろ……気をつけた方がいいですよ。もう遅いですけど。」

伊「!!」

 

伊東の背後には、刀を振り上げる総悟の姿。

前には、いつの間にか乗り移っていた、長い髪をなびかせる龍菜の姿があった。

 

 

 

伊「貴様ァァ…。」

龍「こんにちは、伊東先生。」

 

龍菜は、総悟の剣をかわした伊東に笑ってそう言うと、総悟の方へ向き直った。

 

龍「総悟、近藤さんをお願い。」

総「わかりやした。」

 

 

 

龍「近藤さん……、、、お願いします。」

 

龍菜は、近藤にだけ聞こえるように、なるべく小さな声で言った。

 

近「……。」

 

 

 

 

 

近藤と総悟が出ていった後、龍菜は伊東たちの方を向いた。

 

龍「さてと…、伊東先生。私の言ったこと、覚えてますよね?」

 

それまで纏っていた、暖かいオーラが一気に冷えた。

 

龍「私は、攘夷浪士と…鬼兵隊と手を組んだ君の味方ではありませんよ。」

伊「……!?」

 

 

 

龍「見誤ってしまったんですね、本当に求めていたものを…。」

 

龍菜は少し残念そうに言った。




相変わらず、龍菜さんはかっこいいなぁ。
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