「ところで龍菜殿、手当てでお疲れのところ申し訳ないのですが…… 」
「……?なんでしょうか??」
「改めて、隊士たちにあなたのことを紹介してもよろしいですか?」
最初に自己紹介した時にはいなかった隊士もいた。それに、改めて“上司”と認めたうえで、名乗るのではわけが違う。
「龍菜殿が休まれたら、始めようと思うのですが…」
「私なら大丈夫です、すぐに始めましょうか?」
「そうですか、それでは行きましょうか。」
長い廊下を近藤と龍菜は歩いた。
龍菜は正直に言うと怖かった。
土方や近藤が大丈夫だ、と言ったとはいえ全員の隊士が納得してるとは限らない。ましてや……
『総悟くんは…納得するでしょうか……。』
自分が上司になるという事に、最も反発していた。
『まぁ、悩んでいても仕方ありませんね、受け入れられなければ、それまでということでしょう。』
ふっ切れて、隊士たちが待つ部屋へとむかった。
「龍菜殿、ここで着替えてください。これを着た方が、素敵に見えますから。
ザキー!」
「はい!」
名前を呼ばれたザキこと
「あっ、これ……」
「龍菜殿が戦っておられた時に脱いだ羽織りです。ちょうど俺の前に落ちてきたので、拾っておきました。」
龍菜が真選組統括最高責任者であることを示す純白の羽織りだった。
「ありがとうございます、山崎さん。」
「いえ……。」
じゃあ、俺はこれで、と言って山崎は部屋をあとにした。
「隊士たちは隣の部屋で待っています。既に、改めて龍菜殿の紹介を行うことは伝えてあります。」
龍菜は少し間をあけて、言った。
「近藤さん、」
突然呼ばれた近藤は少し驚いて、何でしょうか、と答えた。
「あなたは素晴らしい上司だと思います。仲間を大切に思い、真選組をいつでも引っ張っていく、本当に上司の模範のような方です。
私がもし受け入れられなかった場合、新しい真選組統括最高責任者を任命しなくてはなりません。その時には、あなたを任命しようと思います。」
「えっ!?」
「私は真選組のみなさんにバレないところで、あなたの部下として働きますから。」
うーん……近藤は少し考えてから、言った。
「………、……………………。……………………。」
「そうですか。」
――――――――――――――――――サー
襖が開いた。隊士たちが全員、隣の部屋から出てきた人物を見ていた。
その人、“真選組統括最高責任者”は畳に座り、話し始めた。
「まず始めに、今回私の不祥事のせいで真選組のみなさんを巻き込んでしまってすみませんでした。」
頭を下げた。
部屋がざわついている。
一応とはいえ、上司が部下である自分たちに土下座しているのだから、驚くのも無理はない。
「それは、もういいって言ってんだろ。」
それを黙らせるように口を開いたのは、
真選組副長、土方十四郎だった。
「ここにいるやつは、あんたのした過去のことについて理解したし、さっきも闘った。同じ剣を握るものとして、その行動を疑うやつなんていねぇよ。」
「そうですよ、副長と共に真選組を護ってくれたじゃないですか。」
土方に続き、山崎も言った。
「副長と背中合わせて戦ってましたし!」
「そーそー!副長も幸せそうでしたよ〜。」
「あぁ!?今言ったヤツ、名乗り出やがれ!!!!」
あちこちでギャーギャー騒ぎだした。
近藤さんが、静かにしろって!、と注意しているが静まる気配はない。
近藤さん、オツカレ……。
「ハァ……すみません、龍菜殿。あいつら……」
静かにならないと、諦めたのであろう近藤が話しかけてきた。
「いえ、お気になさらないでください。
そうですよね…、きっとこれが、この光景が……」
龍菜が、騒いでいる隊士たちを微笑みなが眺めていた。
「真選組。近藤さん、あなたが作ってきた組織の姿なんでしょうね。」
近藤は、いやいやお恥ずかしい……と言った。
『いいですよ、きっと
龍菜が部屋に行く前に近藤が言った言葉だ。
「フフッ、(まさか、その通りになるとは……)」
「どうかしました??」
「いえ…………、あなたはやはり、素晴らしい人です、近藤さん。」
「いやいや、素晴らしいのはあいつらですよ。」
近藤は今も騒がしい隊士たちを指さした。
「あいつらが支えてくれているから、俺がここに立っていられるんです。きっとあなたが立っても、あいつらは、あなたを支えてくれると思います。」
「そうですか……、あなたを含め素晴らしい
龍菜が真選組を護っていくと決めた瞬間だった。
「はい、静かにーーー」
覇気のない言葉だが、全員に聞こえた。
隊士たちをとらえるその瞳は、迷いのふっきれた曇りのない綺麗な赤色をしていた。
「今日から君たちの上司になります、“真選組統括最高責任者”坂本龍菜です。よろしくお願いしますね。」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ………………
惜しみない拍手が送られた。真選組に新しい仲間が増えた。
「それじゃあ、龍菜殿、部屋にご案内します。」
「部屋……ですか??」
「はい、幕府の方におられることが多いでしょうが、こっちにも用意しておきます。いつでも使ってください。」
「………………います。」
「「「「「「「「えっ??」」」」」」」」
「なるべく
そんな事を言ってもらえるとは、誰も思ってなく、龍菜と一緒にただただ感動していた……笑
それから、隊士たちは龍菜の部屋にゾロゾロとついて行き、部屋に残ったのは
「土方サン、あんたは行かないんですかィ?」
「あぁ?オメーも行かねーのか、総悟?」
土方と総悟のみだった。
「俺が行くとお思いですかィ、行きたくもねぇでさァ。
それより土方サン。
「……手合わせぐれぇして貰えりゃいいだろ。」
「そうですかィ、
それで間違って殺しちまっても、許してくだせェよ?」
「なっ!?総悟……テメェ…………。」
「なんでさァ、俺に負けるような上司、いらないとは思いませんかィ?」
「……だからってな…真選組のトップと「いいぞ、総悟。俺が許可してやる。」!?」
「マジですかィ、近藤さん?」
「あぁ、殺しちまった時も俺が責任とってやるよ。思う存分殺れ。」
「そりゃあ、どうもでさァ。」
……………………………………
総悟が出て行き、
「いいのか、近藤サン。いくら龍菜が強いからとはいえ、相手はあの総悟だぞ?万が一……、」
「なぁ、トシ。
あいつは……総悟は自分なりに認めようとしてるんだと思うんだ、龍菜殿のことを。
認めなきゃならない相手、でも認めたくない相手。
総悟の最も信じる剣で、認めようとしてんだろう……。」
「近藤サン……、」
「うっうっウッウッ…………」
「近藤サン!?なんで泣いてやがる!?」
「総悟も大人になったんだなぁ、、、俺は…俺は嬉しいぞ、総悟ォォォォ!!」
「………………。(空いた口が塞がらないってのは、こういう事か……。)
近藤サン、感動するのはわかったから、泣くの止めろ。
(あの時……龍菜が自己紹介した時にでも総悟には反対し抜刀するチャンスはあったはず。それでも、
近藤サンの言う理由も一つあるかもしれねぇ。けどな……俺ァ、それだけじゃねぇ気がすんだ。もう一つ、総悟の中で整理しようとしてるんじゃねぇか、と思ってな。」
「…………総悟の姉上のことか…」
「…………………………、
まっ、俺の思い込みならそれでいいことだ。それに……
後は俺たちがどうにか出来ることじゃねぇだろ。」
「そうだな……、後は、
龍菜殿しだいだ。」
月明かりのさす部屋で、
新たな戦いが始まる音がした。
こんにちは!!優菜です!
“真選組最強の剣士”VS“真選組最高責任者”
どっちが強いのでしょうかねぇ……(笑)
今回は近藤さんがかっこよかったですね!(笑)←だから??
UA数2500!ありがとうございます!!