心を失った少女も異世界から来るそうですよ? 作:ほら、死の花が咲いた
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ではどうぞ!
誤字脱字修正及び、内容の大幅追加。
番外編2
雅の家出から数日後、雅とフラン、そして十六夜の三人は街へ買い物に出ていた。
朝、朝食を食べた後、ソーマが食材の補充をしなければいけないと話を切り出し、それならばと雅のためと、フランへの道案内なども含めてこのメンバーが買い出しに出ることになったのである。
本来なら耀が食べる量を考えるとこの人数では持ちきれないほどの量を買うことになるのだが、そこは箱庭の世界。ギフトカードなんていう便利なアイテムのお陰で問題なく買い物ができる。
買い物の途中、十六夜はここ数日疑問に思っていたことがあったのでいい機会だと思い、雅に聞いてみることにした。
「そう言えば、最近雅の口調が出会った頃に戻ってる気がするんだが、どうしてだ?多少とは言え、最近は声に感情がのってたように感じてたんだが・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・それは・・・・・・・えっと、多分なんだけど・・・・・狂気で暴走したときに・・・・・一度、私の感情が、奥に閉じ込められ、て・・・・・・・しまったの。私は・・・・・・・まだ、上手く感情を・・・・・表に出すことが、出来なかった・・・・・・・から、そのときの・・・ショック・・・・・・・なのかな。それと、フランに会う前に・・・・・自分で、蓋をしちゃったせい・・・・・・・もあって・・・・・・また、感情が出しづらく・・・・・なったみたい。それで・・・・・・・上手く、話せなく・・・なっちゃって」
どうやら、ペルセウスの連中と会うよりも前まで戻ってしまったらしい。多少は出せるぶん、出会った当初よりはマシなのだろうが、折角取り戻しかけていたというのに葉冥のせいで逆戻りになってしまったことに十六夜は怒りを覚えた。
「でも、完全に出せない訳じゃないんだよね?」
「うん・・・・・・・楽しいことは・・・楽しいって・・・・・思えるし、嬉しいとも・・・・・思える、から」
「なら、大丈夫だよ!フランもいっぱい雅を楽しませてあげるし♪」
満面の笑みで雅に抱きつくフランに、十六夜と雅は顔を見合わせると微笑んだ。たった数日でフランはコミュニティのムードメーカーになっている。彼女の屈託のない笑みは、暗い気持ちを払拭してくれる力があった。それと、十六夜たち問題児たちとも気が合い、一緒になって黒ウサギを困らせたりしている。
十六夜たちは、一通り買い物を済ませると六本傷の喫茶店で一休みすることにした。
「それにしても、箱庭に来てまだ一週間ちょいしか経ってないんだよな」
「十六夜たちは外から来たの?」
「うん・・・・・箱庭に来た・・・・・・・その日に、白夜叉にゲームを・・・挑んで・・・・・・・」
「次の日には"フォレス・ガロ"とのゲームだろ」
「その日の・・・・・夜に、レティシアと・・・会って」
「んで、ペルセウスと戦う前に白夜叉とのお遊びに付き合わされるは雅の兄貴が襲ってくるわ」
こうして考えてみるとかなり濃い一週間だったと言える。しかも、蛇神やらとも戦っているのだからなおさらだ。フランも目を見開いて驚いていた。
ちなみに・・・・・白雪はレティシアと同じくメイドとして働いているが・・・・・・・仕事の質はお世辞にも良いとは言えなかった。後から始めたレティシアにもすぐに追い抜かれてしまい、今では逆にレティシアに教えてもらっている状態である。
「凄いね~!あ、そう言えば北側で開催される火龍誕生祭には参加するのかな?」
「なんだそれ?」
「お姉様から連絡があったの。白夜叉から招待されたからいかないかって。"ノーネーム"にも招待状を送ったって言ってたけど・・・・・知らないの?」
十六夜と雅は顔を見合わせると、十六夜は不気味に、雅は感情乏しくも妖しく微笑んだ。
「これは、帰ったら黒ウサギを問い詰めなきゃなぁ・・・・・・・」
「黒、ウサギ・・・・・・・覚悟・・・してね・・・・・・・」
「あ、あはは・・・・・・・黒ウサギ、ファイト!」
ククク、フフフと笑いあう二人に、フランはそっと黒ウサギに手を合わせるのだった。
その頃本拠では。
「・・・・・・・クシュンッ!」
「黒ウサギ・・・・・風邪?」
「いえいえ・・・・・・・そういうわけではないのですよ。ただ何故か寒気がしまして・・・・・」
「無理は良くないぞ。少し休んだらどうだ?」
「だ、大丈夫なのですよ!さ、掃除の続きをしましょう♪」
何も知らない黒ウサギはルンルンと掃除へ戻って行くのだった。
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六本傷の喫茶店を出た三人は、続いて白夜叉を訪ねていた。一応、雅に施した封印を見てもらうためである。
「・・・・・・・ふむ、とりあえず封印に異常はなさそうじゃな。・・・・・ただ」
「ただ?」
「うむ、おんしが新たに得たギフトは、どうやら相当危険な代物だということが判明しての」
白夜叉の言葉に雅はビクッと体を震わせた。もしもフランですら止められないようなら・・・・・・・。
最悪の未来が雅の脳裏を過ぎる・・・・・・・。血塗れの自分と・・・・・手足が千切れ飛んで息絶えている"ノーネーム"の仲間達の姿・・・・・・・。その光景を見ながら狂ったように笑っている自分を想像してしまい、雅は恐怖で体に力が入らなくなり自分自身を抱きしめるようにしてガタガタと震えだした。
しかし、白夜叉はそんな雅の肩に両手を乗せると、安心させるように優しく微笑みながら話しだした。
「実はの、その力は常時おんし自身を蝕んでいるようなんじゃ」
「・・・・・・・どういう・・・・・・こと?」
白夜叉の言葉の意味がわからなかった・・・・・・・。けど・・・・・少なくとも自分が想像したような事にはならないのだろうと、白夜叉の表情から察した雅は少しずつ震えが止まっていくのを感じた。
白夜叉はそのまま雅の体を抱きしめると、頭を撫でながら続けた。
「たまにあるんじゃがの。ギフトの中には所有者に呪いをかけたりしてしまう物もあるんじゃ。おんしの力はの、常におんしの体を破壊している・・・・・。ゆっくり・・・・・ゆっくりと、細胞を壊し続けておる。もしもおんしが不死でなければ、一月もたたずに死んでいただろう」
「けど・・・・・・・痛みとかは・・・・・ない、よ?」
「む・・・・・・・そうなのか?」
白夜叉は雅が気づかないほどにゆっくりと壊しているのかと思ったが、細胞その物を破壊されていればそれなりの痛みがあると思い直し、もう一度詳しく雅の体を調べ始めた。
(やはり・・・・・・・体に異常は見当たらない?・・・・・ならば、一体なにが壊されて・・・・・・・)
体にはなんの異常もないことに悩み始める白夜叉だったが、雅の感情面に差し掛かった所で一気に血の気が引く思いがした。
「これは・・・・・・・不味いぞ!!」
いきなり大声を上げながら立ち上がった白夜叉に、三人は驚いた。
「お、おい白夜叉?」
「よいかおんしら・・・・・・・。雅の力が蝕んでいたのは体ではなかった。・・・・・・・・・・・蝕んでいたのは、心の方じゃ」
「・・・・・・・どういう事だ?」
「簡単に説明すると、雅の感情という存在を食べているのじゃ。そのせいで、雅の感情は徐々に小さくなり、最後には消えて無くなる。そうなれば、完全な灰人の出来上がりじゃ!しかし雅には狂気がある。他の感情を全て失った状態でこの狂気が暴走したら・・・・・・・」
そこまで言ったところで白夜叉は俯いた。十六夜たちも現状がかなり危険であることを悟り、どうすれば良いか考える。一番手っ取り早いのは雅がギフトを手放す事だ。しかし、魔王との戦いにおいて雅の力は切り札となる。そう簡単には手放せないと分かってはいるが・・・・・・・。
3人が黙り込んでしまったことで、また雅の体が震えだす・・・・・・・。話の内容はイマイチ理解できていなかったが、きっと・・・・・自分たちにとって良くない事なんだろうと本能的に察してしまったのである。
十六夜はそんな雅の様子に内心で舌打ちすると、自分自身を叱責しながら対応策を瞬時に考え出した。
「・・・・・・・仮に・・・・・感情に体積があると仮定して、食われた分を回復させることはできるのか?」
「そう・・・・・・・じゃな。実際に食われているのは心の方なのじゃが、心というのは喜怒哀楽を体験することによって少しずつ大きくなり成長するものなんじゃ。子供が色々な経験をして大人になっていくようにの」
「つまり、力が食うペースよりも多くの経験をして心を成長させていけばいいってことか?」
「そうなるの。ただ、ここで問題なのが雅があまり感情を表に出せないことにある。400年分の蓄積があるから、数年は持つじゃろうが、其を越えれば雅は破壊の魔王となって箱庭を壊しつくすじゃろう。今の雅の感受性では、相当多くの体験をしなければ食われるペースに追い付けないじゃろうな」
「感情が戻って来ればその心配もないんだよな?」
「まあ・・・・・・・喜怒哀楽全てを戻せばの」
十六夜とフランは少し考えると、雅に向き直った。正直・・・・・今言っていた事は応急処置程度の効果しか見込めない事は十六夜だけではなく、白夜叉も・・・・・フランでさえ分かりきっていた。それでも、この少女を守りたい・・・・・・・助けたいと思っている2人は、雅に声をかけた。
「いいか雅。お前は何も心配はしなくていい。俺やフランが必ずお前の感情を取り戻してやる」
「そうだよ!だから、絶対に助けてあげるからね!」
「お前は何も心配せず、ただ楽しんだり泣いたり、怒ったりすればいいんだ。それがお前の心を守る事にもなるし、きっと感情を出すための練習にもなるからな。俺たちも、出来る限りお前に面白可笑しい体験をさせてやる。だから、もう一人でいなくなったりはするなよ。約束できるか?」
十六夜とフランはとにかく真剣に言葉を重ねた。雅が一人で苦しまないように。笑顔でいられるように。
本当なら白夜叉にでも破壊のギフトを売ってしまった方が良いのだろうが、"打倒魔王"を掲げている以上、いつ不測の事態が起きるかわからない。雅の力はそんなときの切り札になるのだからそう簡単に手放す訳にはいかなかった。
雅もそれが分かっているから手放したいとは思っていなかった。それに、一度は離れようとした自分を泣きながら受け入れてくれた"ノーネーム"の仲間たちのためになるのなら、多少心が削られようと構わないとすら思えるくらいには、雅にとって"ノーネーム"は大事な居場所になっていたのである。
「一つ・・・・・・・助言というか、感情を引き出しやすい方法を教えておこう」
三人が見つめあっていた中、白夜叉がそんなことを言ってきた。少しでも助けになるならばと、十六夜たちも真剣に耳を傾ける。
「今の雅には難しいかもしれんが、恋愛をするのが一番感情を引き出すにはよい方法じゃ。もし、そんな相手が見つかった時には、積極的にアタックしてみてはどうかのう?」
恋愛・・・・・・・。雅にとって最も興味のないことだったことに十六夜と雅は額を押さえた。
以前に雅は恋愛には興味がないと言っていた。それは今も変わっていない。しかし、恋とはいつ始まるかもわからない不確かなものだ。もしかしたら雅にだって誰かを恋い焦がれる時が来るかもしれない。
十六夜はあまり可能性は無さそうだと思いながらも、将来雅が恋をするような男が現れるのを割りと本気で願った。
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白夜叉と別れた3人は、どうやって雅を楽しませようか考えながら本拠への帰り道を歩いていた。
食べ歩き、ウィンドウショッピング、ギフトゲーム、本拠の子供達と遊ぶ、トリトニスのような感動出来る場所への小旅行、幸平親子に料理を習う、"幻想郷"のコミュニティから小ちゃくて抱き心地が良さそうなメンバーを呼んでくる、弾幕のごっこ・・・・・・・etcetc・・・・・。
その中でも、雅が興味を持ったのは小旅行、料理、小ちゃくて抱き心地が良い子・・・・・そして弾幕ごっこの4つだった。
特に・・・・・弾幕ごっこにはかなり興味が出ていたようで、フランに色々と教えてもらっていた。
「じゃ・・・・・あ、私と戦った時のあれも・・・・・・・弾幕、だったの?」
「そうだよ〜。私達"幻想郷"のメンバーは、喧嘩とか何か方針を決める時には大抵この弾幕ごっこで勝負するの。雅と戦った時のあれは弾幕ごっこ用のやつじゃなくて、戦闘用のやつだったから当たれば体にダメージが行くけど、弾幕ごっこ用のやつはスペルカードっていうのに弾幕の力を最初に入れといて、勝負の時はそれを使うの。でね・・・・・スペルカードに入れた弾幕は、相手を傷つけなくて・・・・・・・えっと・・・・・・・・・・当たると、体力とか・・・・・精神力が減るって言えば良いのかな?そんな感じで、ルールにもよるけど3回当たったら負けとか・・・・・・・そんな感じかな?他にもグレイズとかボムとか細かいルールはあるんだけど・・・・・・・」
フランの説明に・・・・・雅はより興味をそそられたようで、興味津々なのが表情にもハッキリと見て取れた。それは十六夜も同じだったようで、雅の様子に安堵しながらも自分も弾幕が使えないか考えていた。
「その・・・・・スペルカード、は・・・・・・・どうやって・・・・・作る、の?」
「ん〜私は作れないんだけど、霊夢か紫に頼めばスペルカードの素・・・・・?になるカードを貰えると思うよ。後はそのカードにどんな弾幕にしたいかをイメージして霊力とか妖力とか・・・・・を込めれば、後は自動的にスペルカードになる感じだったかな?詳しい事は霊夢か紫に聞いて見ないとわからないけど・・・・・・・」
なるほど・・・・・・・と、納得する2人。その霊夢や紫という人物に会う事はできるかわからないが、恐らくレミリアに頼めば送ってもらう事は出来るだろうと思った。
話を聞いた限りでは、もしかしたら飛鳥や耀でもスペルカードを作れるかもしれない。そうなれば、威力は低めになるだろうが戦いの幅を広げる事が出来る・・・・・・・。現状、魔王とまともに戦えるのが十六夜、雅にフラン・・・・・後恐らく乙坂だけだと考えると、飛鳥と耀には少しでも強くなってもらわねばならない。
それを抜きにしても、メンバー全員がスペルカードを使えるようになれば皆んなで弾幕ごっこで遊ぶ事が出来る・・・・・・・。雅の事を思えば、それだけでも使えるようになる意味は十分にあると十六夜は考えていた。
(雅がこれだけ興味を持ってるんだ・・・・・・・多分、それだけフランとの勝負が面白かったんだろうな・・・・・なら、考える必要はないか」
十六夜はそう結論を出すと、細かいルールの説明をしていたフランに話しかけた。
「なぁフラン・・・・・。そのスペルカードってのはレミリアに言えば霊夢って奴から貰えたりしないのか?」
「え?・・・・・ん〜多分貰えると思う。ただ・・・・・結構作るのに苦労するらしいからお金がかかるよ?」
「マジか・・・・・・・一枚いくらくらいかわかるか?」
「えっと・・・・・・・ごめん、そこまではわからない・・・・・・・。私もお姉様が用意してくれたのを貰っただけだから」
「なら・・・・・・・悪いがレミリアに聞いてみてくれないか?メンバー全員が5枚程度は持てるようにしたい」
「わかった!私も"幻想郷"の人達以外と弾幕ごっこしてみたいしお姉様にお願いしてみるね♪」
フランは迷う事なく言い切ると、早速お姉様にお手紙書かなきゃ!と言いながらはしゃぎだした。
両手を広げて走り回るフランの姿に、雅も嬉しそうにフランの後を走って行く・・・・・・・。
(まだ会ってかそんなに日は経っていない筈なんだが・・・・・最近は表情に出てなくても雅がどう思ってるのか分かるようになってきたな・・・・・・・)
ふと・・・・・・・そんな事を思いながら、はしゃぎ回る2人の後をゆっくりと追いかけるのであった・・・・・・・・・・・。
はい、やっぱり短かったですね。
今回は雅が得た力の副作用的な話でした。
まだまだ雅の感情は完全には戻りません。一度多少なりとも戻ったのはルイオスがそれだけ雅の怒りを買ったからですし、今後もなかなか戻らないと思います。せっかく明るくなったのにと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、私は少し病んでる(病弱な)感じの女の子が好きですw
半分の月がのぼる空とか最高でしたね!
え?病んでるの意味が違う?
精神的に病んでる女の子も大好きですよ?スクールデイズの誠が滅多刺しにされるシーンとかもう最高でしたね!もう夜中だったのに拍手しまくって親に怒鳴られましたよw
とまあどうでもいい話はこれくらいにして、次回はいよいよ二巻の内容に入って行きます。
では、またお会いしましょう♪