心を失った少女も異世界から来るそうですよ?   作:ほら、死の花が咲いた

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第一話になります。

キャラ紹介の挿絵見れてますかね?改めて見ると足短いかな?と思ったり・・・。
まあ、一時間くらいで描いたんでご勘弁を・・・。

追記:タイトルを「永遠となった巫女が異世界から来るそうですよ?(仮タイ」から「心を失った少女が異世界から来るそうですよ?」に変更しました。
それに伴い、1話から読み直し誤字脱字の修正、及びキングクリムゾン!!!していた一部の場所を書き加えました。

今後の予定としては、もう一つ執筆中のエリシスが主人公の作品もありますので数日で1話更新していく形になると思われます。(雅の絵も描きたいですし)

それと、予定ではペルセウスの所辺りから内容が変わっていくと思われます。


~新生ノーネーム編~
第一話:出会いだそうですよ?


第1話

 

雅は今、上空4000mの高さから落下していた。

周囲には、同じように呼び出されたのであろう少年少女が落下しているのが見える。

 

ボチャンーーーと、いくつかの膜のような物を隔てて湖へと着水した四人は、陸地へと上がるとそれぞれが罵詈雑言を吐き捨てていた。

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙げ句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「・・・・・いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう、身勝手ね」

 

二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。その後ろにいた三毛猫を抱えた少女も、服を絞りながら呟いた。

 

「ここ・・・・・どこだろう?」

 

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」

 

雅は三人のやり取りを聞きながら、服を絞っていたが巫女服は生地が厚めなこともありなかなか終わりそうになかった。もういいやと諦めかけた頃、金髪の少年が髪をかきあげながら聞いてきた。

 

「まず間違い無いだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前たちにも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方を訂正して。ーーー私は久遠飛鳥よ。以後は気おつけて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

 

「・・・・・春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。それで、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

飛鳥は十六夜から視線を外すと、雅に顔を向けた。

雅は虚ろな瞳でどこを見ているのかすら分からない。その瞳を少し怖いと感じる飛鳥だったが、声をかけた。

 

「それで・・・・・さっきから一言も喋らない貴女は?」

「・・・・・・・・・・陸奥・・・・・雅」

 

「陸奥さんね。よろしくね」

 

笑顔で言う飛鳥だったが、雅は虚ろな瞳のままで何を考えているのかすら読み取れなかった。

 

そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。

 

(うわぁ・・・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ・・・・・)

 

召喚しておいてアレだが・・・・・彼らが協力する姿は、客観的に想像出来そうにない。黒ウサギは陰鬱そうに重く溜め息を吐くのだった。

 

雅は早くこの世界を見て回りたいと思っていたが、自分を呼び出した人物には会った方が良いだろうと思い、一応その場を動かないでいた。

そうすると、十六夜が苛立たしげに声を上げる。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「・・・・・この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」

 

「・・・・・・・・私、散歩してきてもいい?」

 

雅の最後の言葉に、黒ウサギは思わずビクッとしてしまう。しかし飛鳥がなんとか言いくるめたようで、渋々といった感じで雅はその場に座り込んでいた。

その様子を見ていた十六夜は、一つ溜め息を吐くと呟いた。

 

「ーーー仕方ねえな。こうなったら、()()()()()()()()()()()()話を聞くか?」

 

少し安堵していた黒ウサギは、その言葉に跳び跳ねた。気づかれていたのかと思うよりも早く、四人の視線が黒ウサギに集まる。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちのお前らも気づいてたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

 

「・・・・・・・・鬼じゃ無かったから・・ほっといてただけ」

 

「・・・・・へえ? 面白いなお前ら」

 

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。雅以外の三人は理不尽な召集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。雅は感情のない虚ろな瞳で先程から黒ウサギがいる方を見続けていたため、実は一番怖かったりする。

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「・・・・・・・・・・(ジー)」

 

「えっと、そのように虚ろな瞳で見つめないでください!本当に怖いです!」

 

黒ウサギの言葉に、分かっていたとはいえ悲しくなってしまった雅は俯いてしまう。そんな彼女を見て十六夜たちはーーー。

 

「あーあ、泣かせた」

 

「酷いウサギもいたものね」

 

「雅・・・・・可哀想」

 

そう言いながら雅の頭を撫で始める三人に、黒ウサギはいたたまれない気持ちになってしまう。

雅は慰めて貰えるのが久しぶりだったせいか、思わず本当に泣き出してしまい余計に十六夜たちの言葉がキツくなっていく。流石にこれでは黒ウサギの方が可哀想だと思ったのか、雅は止まらない涙を拭いながら顔を上げた。

 

「だい、じょうぶだよ。・・・・・私の、目が、怖いのは・・・・・事実だから。気にしないで?」

 

そう言いながら、400年間忘れていた笑顔というものを必死に作ろうとする雅。しかし、上手く作ることができず余計に悲しくなってしまう。

何度か頑張ってみたものの、結局十六夜に「無理はしなくていい」と言われてしまい、その声が・・・・・・余りにも優しかったから・・・・・涙が溢れて止められなかった。

 

その後、どうにか泣き止んだ雅を交えつつ、黒ウサギの話が始まった。

 

黒ウサギは両手を広げてーーー。

 

「では皆さん。ようこそ、"箱庭の世界"へ!我々は皆様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその"恩恵"を用いて競い会う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

 

両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ。飛鳥は質問するために挙手した。

 

「まず初歩的な質問からしていい?貴女の言う"我々"とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある"コミュニティ"に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの"主催者"が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

「・・・・・主催者って誰?」

 

「様々ですね。暇をもて余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもあります。特徴として、前者は自由参加が多いですが"主催者"が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。"主催者"次第ですが、新たな"恩恵(ギフト)を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて"主催者"のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

「・・・・・修羅神仏の・・・世界でも、俗物的・・・なんだね。・・・チップ・・・・・は?」

 

「それも様々ですね。金品·土地·利権·名誉·人間・・・・・そしてギフトを賭けあうことも可能です。新たな恩恵を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然ーーーご自身の恩恵も失われるのであしからず」

 

黒ウサギは愛嬌たっぷりの笑顔に黒い影を見せる。

挑発ともとれるその笑顔に、同じく挑発的な声音で飛鳥が問う。

 

「そう。なら最後にもう一つだけ質問させてもらってもいいかしら?」

 

「どうぞどうぞ♪」

 

「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOKです!商店街が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」

 

恋華は黒ウサギの発言に目を鋭くする。

 

「へぇ・・・つまりは『ギフトゲーム』はこの世界の法そのもの・・・・いや、犯罪は禁止だがそれ以外はゲームで全てが解決するってことで良いのか?」

 

お?と驚く黒ウサギ。

 

「正解です。もちろん売買でのやりとりもありますが、ギフトゲームならそれをタダで手に入れることも可能となります」

 

「そう・・・中々野蛮ね」

 

「ごもっとも。しかし、"主催者"は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」

 

黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいです?」

 

「待て黒ウサギ。その前に一つだけ質問させろ」

 

十六夜の言葉に、全員の目が向いた。

 

「ど、どういったご質問でしょうか?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

「そんなものはどうでもいい。腹のそこからどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは・・・たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜は視線を黒ウサギから外し、他の面々を見回す。ソコには真剣なのにどこか楽しそうな顔をしている皆の顔があった。雅だけは表情から読み取る事は出来なかったが、それでも少しだけ気になる素ぶりは見せていた。

巨大な天幕によって覆われた都市に視線を移すと、彼は何もかもを見下すような視線で一言。

 

「この世界は・・・(·)(·)(·)(·)?」

 

「ーーーーーーー」

 

他のメンバーも無言で返事を待つ。

彼らを呼んだ手紙にはこう書かれていた。

 

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

 

それに見会うだけの催しがあるのかどうかこそ、4人にとって一番重要な事だった。

 

「ーーーYES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

黒ウサギの説明が終わった後・・・雅達は箱庭の天幕へ入るために、黒ウサギの先導の下街道を歩いていた。

 

その途中・・・十六夜が黒ウサギが自分に意識を向けていないのを何度か確認すると、声を潜めて話しかけてきた。

 

「ちょっと世界の果てを見に行って来るな!」

 

「そう、いってらっしゃい」

 

十六夜の突然の発言に、飛鳥が適当に答える。耀は黒ウサギを一度見るが、スキップをしながら歩いているのを見て言わなくてもいいかと考える。

駆け出そうとした十六夜だったが、ここで意外な人物に呼び止められた。

 

「十六夜・・・・・世界の果てって・・・・・・・・面白いの?」

 

「あ?・・・・・どうだろうな?俺は面白そうだから見に行くんだが」

 

「そう・・・・・。私も、付いていっても、いい?」

 

そう言った雅の瞳には、若干・・・・・ほんの僅かではあったが、期待という名の光が見えたように十六夜には感じられた。

 

十六夜はこの虚ろな瞳の少女に人間らしい感動を与えられるのではないかと考え、そこで自嘲したような笑みを浮かべる。

 

(・・・・・あの時のアイツも、こんな気分だったのかね・・・)

 

十六夜は今はもういない人の顔を思い浮かべ、今度は楽しそうな笑顔になるとーーー。

 

「いいぜ。ただ、俺についてこれるか?」

 

「その時は、置いていっていいよ」

 

「ハハ、そんときゃおぶってやるよ!」

 

そう言いながら駆け出していく十六夜を、雅は少し慌てた様子で追いかけるのだった。

残された飛鳥と耀は顔を見合わせると、

 

「雅さん・・・・・。どんな経験をすれば、あそこまで感情のない瞳になるのかしらね」

 

「・・・・・わからない。さっきは泣いていたから感情が全くないわけじゃないんだろうけど」

 

「そうね・・・・・。少しだけ、十六夜君に期待してみましょうか」

 

二人は無理に笑顔を作ろうとしていた雅を思いだし、十六夜がダメなら次は自分が彼女を笑顔に出来るよう頑張ってみようかなと考えるのだった。




今回はここまでとなります。

まだ始まったばかりなので雅のキャラを掴みにくいかとも思いますが、彼女は感情を欠落してしまっているので余計にそう感じるかとも思います。

しかし、喋らないわけではないので、少しずつでも彼女を知っていただければと思います。

では、今回はこの辺で!
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