心を失った少女も異世界から来るそうですよ? 作:ほら、死の花が咲いた
今回は挿絵がありますのでご覧いただければと思います。
今回、雅のギフトも明らかになります。
では、どうぞ!
追記:誤字脱字修正
第4話
「爆ぜろリアル、弾けろシナプス! パニッシュメント・ディス、ワーーーーールド!!」
ダークフレイム・マスターがおかしなポーズを取りながら叫んだ瞬間、十六夜たちの視界は二度目の変化を迎えた。そこは火山地帯と思われる場所で、周囲には灼熱の溶岩が流れ山からは火山灰が舞い上がっていた。
白夜叉の世界とは真逆とも言うべき世界に唖然としてしまう十六夜たち。特に黒ウサギの驚きは一番大きかった。
「そ、そんな・・・・・。人間がこれ程の世界を作り出せるなんて・・・・・・・・」
そんな黒ウサギの呟きに、白夜叉は頭を掻くと訂正した。
「一応言っておくが、この世界は私の見せた世界とは根本から違うぞ?・・・・・この世界はな、あやつの妄想が作り出した世界じゃ」
「妄想の・・・・・世界?」
「うむ。この世界では基本的になんでもあやつの思い道理になる。いや、ちと違うか?・・・・・・・あやつの妄想が現実となる、と言った方がよいかの」
その2つにどんな違いがあるのか分からないのか、十六夜たちは揃って首を傾げる。白夜叉自身もよく分かっていないのか、苦笑いを浮かべるだけだった。
白夜叉はカードを取り出すと、"契約書類"を出す。それをそれぞれに渡すと、確認した。
『ギフトゲーム名 巫女と暗黒炎の決闘
プレイヤー一覧 陸奥 雅
勝利条件 対戦相手を打倒または対戦相手が降参する。
敗北条件 プレイヤーが戦闘不能になるか降参する。
備考 相手の殺害は禁止とする。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します
"サウザンドアイズ"印』
「さっき始めと言ってしまったがもう一度仕切り直そうかの。・・・・・・・それでは、スタートじゃ!」
白夜叉の二度目の合図とともに、雅とダークフレイム・マスターは同時に地を蹴った。雅は霊力で身体能力を高めると、忍者のような走り方からダークフレイム・マスターへと突きや蹴りを流れるように繰り出して行く。恐らく自己流なのだろうが、纏っている巫女装束と合わさりまるで舞を舞っているかのような動きで、見るものを魅了するような優美さがあった。
それはダークフレイム・マスターも同じようで、時折目を奪われたような表情になりながらもしっかりと捌いていく。言葉にすると簡単なように聞こえるが、実際はかなりの速度で繰り出している攻撃なので飛鳥や耀では目で追うことすら出来なくなっている。
十六夜や黒ウサギはてっきり術みたいなものを使って戦うのだとばかり思っていたため、雅が格闘戦を仕掛けたことに一瞬驚いたがすぐに理由がわかった。
彼女は白雪との戦いで巫女装束をダメにしてしまっていたため、術を使うのに必要なお札が無いのだ。その事に気づくと流石の十六夜も顔に心配が浮かぶ。
それに気づいた白夜叉は十六夜たちに問いかけた。
「急に焦った顔になったがどうしたんじゃ?」
「あ・・・・・?いや、アイツは今札を一枚も持ってねえんだよ。あれじゃ術の類いは殆ど使えない。一応身体能力は強化出来てるみたいだが・・・」
「ふむ・・・・・。そういうことか。しかし、準備不足は言い訳にはならんからのぅ」
既に雅はこの決闘に了承しているのでお札がないからといって待ったはかけられない。さて、どうなることやらと視線を移した白夜叉は目を見開いた。
「・・・・・体術じゃ・・・倒せない、かな。・・・・・強い・・・ね」
「クハハハ!貴様もなかなかだぞ?だが、攻められるだけというのもアレだな・・・・・。一つ、私も力を見せるとしようか! いでよ、我が魔剣・ダーインスレイブ!」
毎度お馴染みおかしなポーズを取ったダークフレイム・マスターは右手を空へと向けると、そこに黒い渦が集まり始め徐々に形を形成していく。それはいかにも魔王っぽい相手が持っていそうな漆黒の刀身を持った両刃の剣で、パッと見は非常に強そうである。
十六夜は隣にいる白夜叉にアホな物を見るような目で視線を送るが、彼女の表情は意外にも険しかった。
「・・・・・あの剣ってマジで強いのか?」
「そうじゃな・・・・・。先程も言ったがこの世界はあやつの妄想が具現化する世界じゃ。つまり、あの剣は奴が妄想した通りの能力を発動できる」
その時、前方から爆音が響いた。慌てて視線を戻すと、そこには黒い剣閃をいくつも飛ばしまくっているダークフレイム・マスターと、それを躱し続ける雅の姿。
「フハハハハハ! どうしたどうした! 逃げ回るだけでは勝てないぞ!」
「・・・・・・・!・・・・・・・・・・・・っ!!」
明らかに押されている雅。その顔は焦りにが滲んで見えた。
雅は一度大きく飛び退くと、大きく息を吐く。・・・・・そして何を思ったのか突然、自身の掌に爪を立てて思いっきり引き裂いた。
「何!?」
これにはその場にいた全員が驚いた。態々自分から傷を作るなど何を考えているのだろうか・・・・・そう思った一同は次の瞬間驚愕する。
・・・・・掌から溢れた血は・・・・・・・重力に逆らって宙に浮いていたのである。それは意思を持つように形を変えていくと、雅の頭身よりも大きな鎌へと姿を変えた。見ると先ほど付けた傷は既に塞がっており、雅の顔色も特に変わりはない。
白夜叉は雅の不老不死の力だろうと思い至ったが、それでもこの回復力は驚異の一言だった。普通、不死でも傷を負うと治るのにはそれなりに時間がかかる。雅が付けた傷も通常なら数分はかかるものだったのだが、それが一瞬で治ってしまったところを見ると、彼女の不死性は上層クラスになるかもしれないと、白夜叉は思った。
雅は作り出した大鎌を構えると、先ほど以上の速度で地面を滑るように間合いを詰める。
ダークフレイム・マスターもただで近寄らせる筈もなく、黒い剣閃を再度放ちまくるが、雅はその悉くを大鎌で切り伏せていく。素手の時と同じように舞うような斬撃の数々だったが、その大鎌の異様さから今度は魂を刈り取る死神を連想させた。
とうとう大鎌の間合いまで近づいた雅は、舞による回転をそのままに斬りかかる。ダークフレイム・マスターもダーインスレイブで迎え撃つが、回転によって威力が底上げされた大鎌の一撃に耐えられず真っぷたつに叩きおられ、そのままダークフレイム・マスターを袈裟斬りに切り付けた。
激痛に顔を歪ませるダークフレイム・マスターだったが、すぐに立ち直ると距離を取ろうと足に力を込める。
ーーーしかし、なぜか力が入らず膝から崩れ落ちてしまうダークフレイム・マスター。視界もボヤけていき意識を保つのがやっとという状況に、雅を見上げながら問いかけた。
「い・・・いったい、なにをした?」
「・・・・・斬るのと同時に・・・鎌から私の血を、貴方の体内に・・・・・送り込んだ。その血は・・・時間が経つと、貴方の血と同化するから・・・死にはしない・・・・・けど、しばらくは・・・・・拒絶反応、で、まともに・・・動けない・・・よ」
「ハ、ハハハ・・・・・なるほど。参った! 降参だ!」
ダークフレイム・マスターはなんとか立ち上がると両手を上げて、ふらつきながらも降参を宣言した。それを聞いた白夜叉は「見事!」と言いながら扇子を開く。その瞬間。空想の世界は霧のように霧散していき、最初に入った白夜叉の私室へと戻っていた。
「いや~見事な戦いだったの。私も久々に血が疼いたわ!」
「いや、俺としては笑い事じゃないんだがな?今にも気絶しそうだよ」
もはや演技する気力もないのか比較的普通のしゃべり方になっているダークフレイム・マスター。十六夜たちはいい加減ダークフレイム・マスターと言うのも疲れて来たので彼の本名を聞いてみることにした。
「ところでよ。お前の本当の名前はなんて言うんだ?」
「あ~・・・・・まあ、お前らになら教えてもいいか。俺は富樫勇太だ」
そのあまりにも普通すぎる名前に逆に驚いた十六夜たち。勇太も微妙そうな表情なところを見ると気にしているのだろう。とりあえず十六夜たちも自己紹介をすると、黒ウサギが前に出た。
「白夜叉様・・・・・。今日は本来ギフト鑑定をしていただこうと思って来たのですが」
「なぬ!?・・・・・専門外もよいところではないか・・・・・・・・。あ、いや待てよ? ちと高価なものだが・・・まあよいじゃろ!復興の前祝いじゃ。受けとれい!」
白夜叉が柏手を打つと、十六夜たちそれぞれの前に一枚のカードが現れた。それを見た黒ウサギは大袈裟に驚いて叫ぶ。
「ギフトカード!?」
「なにそれお中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「・・・・・おふ、だ?」
「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息があっているんです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!」
へ~と言いながら自身のカードを見る四人。そこにはーーー。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム"
"■■■■"
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム
"威光"
"■■■■"
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム
"
"ノーフォーマー"
"■■■■"
ローズピンクのカードに陸奥雅・ギフトネーム
"操血"
"鬼殺し"
"不老不死"
"座"
"■■■■"
カードを見た瞬間、四人は微妙な表情になった。気になった白夜叉が覗きこんでみると、そこには正体不明やノイズの走ったギフトがあった。
「な・・・・・!ラ、ラプラスの紙片がエラーを起こしたじゃと!?」
全知の一端であるラプラスの紙片が正常に働かなかったことに驚愕する白夜叉。流石の十六夜たちも名前すらわからないのは気になるのか、どうにか取りだそうと試みるも全く反応がなかった。
唯一雅だけは落ち着いているように見えたが、彼女にも疑問に思うギフトがあったようで、白夜叉に問いかけた。
「白夜叉・・・・・。この、座・・・ってなに?」
「ぬ・・・?座・・・・・のう。座のつくギフトはそこそこ数があるのだが・・・座しか書かれておらんのか?」
「・・・・・うん」
「ふむ・・・・・。いや、まさか・・・の。雅よ。そのギフトについては私の方で調べてみるゆえ、結果が出るまでは使わぬようにしてくれんかの?」
「・・・・・・・・・わかっ・・・た」
結局・・・・・。そのあともノイズが走ったギフトがなんなのか分からないままその場は解散となり、白夜叉と勇太と別れた雅たちは、"ノーネーム"の本拠へ帰ったのだった。
本拠では、魔王の爪痕に驚いたり白雪の協力のお陰で復活した水路を使ってお風呂に入ったり、フォレス・ガロの刺客を捕まえて十六夜が作戦を立案したりなど、まあ、定番の内容が繰り広げられた。
女性陣は、お風呂から上がると黒ウサギの部屋へと集まって彼女が白夜叉からもらったという衣服を物色していた。
「飛鳥さんの好みはワンピースですか?ツーピースですか?」
「どちらかと言えばワンピースの方かしら」
「そうですよね~♪黒ウサギもワンピースの方が好きです。スカートはどうです?」
「特にこだわりはないけど・・・・・黒ウサギのスカートの丈は、少し恥ずかしいわ」
「うう、そうですよね。黒ウサギもロングスカートの方が好みでございます・・・・・」
なぜこんなことをやっているのかと言うと、飛鳥、耀、雅は手持ちの服が召喚された時の物しかなかったため、寝間着や普段着を欲しがったのだ。(雅は飛鳥に引っ張られて連れてこられただけだが)
しかし、"ノーネーム"の財政を考えると新しく買うのは躊躇われ、それならばと夕方に黒ウサギが言っていた衣服を分けてもらおうという話になったのである。
飛鳥は普段着用に深紅のドレススカートと寝間着を一着ずつ選ぶ。お分かりの通り胸の辺りが・・・・・ゲフンゲフン。
耀は普段着は今のままでいいと言ったのだが、飛鳥や黒ウサギに押しきられ、一応袖の短めなシャツとスカートにショートパンツを選んだ。ついでに寝間着も。
ここで問題となったのが雅だった。彼女は400年もの間、巫女装束で過ごしていたためどんな衣服が好みなのか全く分からなかったのである。本人はお札さえ作れれば巫女装束も新しくできるから要らないと言ったのだが、耀の時と同様に飛鳥が猛反対。「オシャレは女性のたしなみよ」と言いながらクローゼットを手当たり次第に物色していく。
ワンピースにツーピースにドレスにゴスロリ風にどこぞの民族衣装っぽいものからボーイッシュ系にスーツに学生服にその他コスプレにしか見えない衣装の数々を着せては、これも違うあれも違うなどと言って一向に決まる気配がなかった。
ーーー二時間後。
結局・・・・・。飛鳥が妥協したのはワンピースタイプの服だった。フリルがあしらわれた可愛くも清楚な感じの一着を持って、うんうんと頷いている飛鳥を苦笑いで見ている耀と黒ウサギ。流石に二時間も着せ替え人形にされたせいか、雅の顔には疲労の色が見えていた。
流石に見かねた黒ウサギが寝間着は自分が選ぶと言い出し、15分程でワンピースタイプのネグリジェを選ぶ。心なしか、雅の表情もホッとしたように見えたとか見えなかったとか・・・。。
こうして・・・・・第一回、雅のファッションショー?は、終わりを迎えるのであったーーー。
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余談・・・・・・・。
次の日の朝・・・・・。
"フォレス・ガロ"とのゲームの時間まで残り一時間となったのに起きてこない雅を十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギ、ジンの五人で起こしに行った。
ノックをしても反応がなかったため、十六夜が扉を蹴り壊して中に入ったのだったが、その破壊音で起きた雅のネグリジェ姿にーーー。
十六夜は「・・・・・ほぉ」
飛鳥は「・・・・・・・・・・バタンッ!」
耀は「・・・・・か、可愛い///」
黒ウサギは「・・・・・・・ハッ!?十六夜さん、ジン坊っちゃん!お二人は外に出てください!!」
ジンは「・・・・・・・ブハッ!///」
と、それぞれ異なる反応を見せたという。ジンはまだしも飛鳥が仰向けに倒れ頭を抱えながら床を転がっていいたのはなぜだろうか・・・・・・・。
雅はまだ寝たりないのか、目元に涙を浮かべながら目を擦る仕草をしていて、それを見た十六夜と耀まで鼻を押さえ始めたらしいーーー。