心を失った少女も異世界から来るそうですよ?   作:ほら、死の花が咲いた

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第六話となります。

いつの間にかお気に入りが50件越えてました。ありがとうございます!
挿絵を描いたりしてるとやっぱ時間かかりますね·········。

しかも今回は申し訳ないことに観るの忘れてたアニメを一気にみてたんで余計に時間が掛かってしまいました。

ついでにいつの間にかクリスマス過ぎてましたね!存在を忘れてましたw
一応正月とかはオリジナル回をやりたいかな·····。

その前にペルセウス戦はおわらせたいかな~。

追記:誤字脱字修正&一部セリフや内容の微変更


第六話:変態出現なのですよ?

第6話

 

"フォレス・ガロ"との戦いが終わった夜。十六夜たちはようやく"ノーネーム"の本拠へと帰って来ていた。

既に子供たちは寝てしまっており、静かな本拠では疲れたメンバーがそれぞれくつろいでいた。

飛鳥、耀、雅の三人は早々にお風呂へと向かい、ジンは部屋へと向かった。そして十六夜と黒ウサギは居間で紅茶をすすっていた。

 

「それにしても・・・・・・・

雅の力は結構いろいろなことに応用できるんだな」

 

「そうですね。"操血"・・・・・ただ血を操っているだけなのに、彼女の不死性が加わるだけであそこまで強い力になるとは思いませんでした」

 

今のところ雅の力で出来ることは3つ。

 

一つ、血で武器を精製する。

二つ、血を相手に送り、その拒絶反応を利用して自由を奪う。

三つ、血で傷を塞いだり、血の性質を変化させ輸血と同じ・・・・・・・いや、早さで言えば点滴を必要としないぶん何倍も早く対象を助けることができる。

 

「武器に関しても形状はアイツの思うがまま、相手に合わせて有利に戦える。問題はアイツのセンス次第か?鎌はかなり上手く使えるようだが、剣や槍なんかは上手く使えるか分からねえしな」

 

「確かにそうですが・・・・・・・。彼女は400年も生きてきたわけですし、色々と使えるのではありませんか?」

 

「ま、そうかもしれねえな・・・・・。ところで黒ウサギ」

 

名前を呼ばれた黒ウサギは十六夜に向き直るが、その十六夜自身は黒ウサギではなく外に目を向けていた。なにかあるのかと黒ウサギも視線を外へと向けると、そこには美しいブロンドを靡かせた一人の少女が浮いていた。

 

「レティシア様!?」

 

「ん、知り合いか?」

 

「む、昔の仲間のお一人です。レティシア様・・・・・・・どうやってこちらに?」

 

「様はよしてくれ。私は他人に所有されている身だ」

 

レティシアと呼ばれた少女は、十六夜が開けた窓から入って来ると、優雅に椅子へと座った。

 

「それで?もしかして、ジンが言っていた今度開催されるはずだったゲームの商品の仲間ってアンタだったりするのか?」

 

「まあ・・・・・・・そうだな」

 

なるほどね・・・・・・・と、十六夜は肩を竦めると急にレティシアを睨み付けた。

 

「"フォレス・ガロ"・・・・・いや、ガルドに力を与えたのはお前か?」

 

十六夜の言葉に黒ウサギが驚きながらもやはり、と言った感じでレティシアを見ていた。

フォレス・ガロの敷地内が鬼化していたことは黒ウサギも気づいていたし、十六夜もジンから聞かされていた。

だからこそ、下手をしたら死人が出ていたかもしれないもとに十六夜は怒っていた。レティシアは顔を歪ませて俯き、震えた声で答えた。

 

「すま・・・・・ない。私は確かにガルドに鬼化のギフトを与えた。そのせいで茶髪の少女が死にかけたのは申し訳なく思っている・・・・・・・。だが、私も驚いているのだ。まさかアイツがあんな切り札を持っていたなんて・・・・・・・」

 

「それは・・・・・・・ガルドが、持っていた・・・・・瓶の、こと?」

 

え?・・・・・・・と、十六夜すらその声に驚いて振り向いた。・・・・・そこには、ネグリジェに身を包んだ雅が佇んでいた。

十六夜はいち早く驚きから立ち直ると聞き返した。

 

「瓶・・・・・・・ってのはなんのことだ?」

 

「・・・・・・・・・・・これ」

 

雅はおもむろに胸元へと手を突っ込むと、そこから回収していた瓶を取り出して十六夜へと手渡した。

十六夜はその瓶を色々な方向から眺めると、静かにテーブルへと置いた。

 

「ふむ・・・・・・・・・・瓶だけじゃ中身がなんだったのか流石にわかれねえか。こいつには何が入っていたんだ?」

 

「・・・・・アレは、ある人の霊力を・・・・・・・霊水として、凝縮・・・・・・したもの。ガルドは、それを・・・・・飲んだ」

 

「霊水?・・・・・・・それって聖なる力を宿すとかっていうあれか?」

 

十六夜は首を傾げながら疑問符を上げた。RPGとかで出てくるような名前だったが、流石に大量の知識を蓄えている十六夜でも霊水の知識まではなかったようだ。

雅はレティシアまで近づくと、ひょいっと持ち上げて椅子に座り自身の膝にレティシアを座らせて抱きしめた。

 

「これは・・・・・・・何故私は抱きしめられているんだ?」

 

「あ~・・・・・雅は小さくて抱き心地が良いものが好きみたいなんだ。白夜叉もされてたよ」

 

十六夜の説明にレティシアはなんとか抜け出そうと試みたが、見た目に似合わず梃子でも動きそうにない力に諦めて力を抜いた。

十六夜はやれやれと苦笑いすると、先程の質問の続きを促した。

 

「で?・・・・・・・レティシアが気持ちいいのは分かったから質問の答えを貰えないか?」

 

「あ・・・・・・・・・・・・。霊水は、本来は・・・・・・・邪な物を・・・・・封じる、力がある。・・・・・・・けど、それに入っていた・・・・・・霊水は、逆。それは・・・・・相手を、呪いに・・・・・・・かける。私達は・・・・・呪う、霊水だから・・・・・・・呪水・・・・・って、読んでた」

 

「呪い・・・・・・・ですか?」

 

「うん・・・・・・・。ガルドの場合は、それを・・・・・・・直接飲んだから・・・・・呪いによって、絶大な力を得た。ただ、ガルドは・・・・・・・喜んでいたけど・・・・・自身の器に見あわない力を手に入れた・・・・・・・あの男は、どのみち・・・・・・・滅ぶしか、なかった。それと・・・・・本拠?に、残ってた・・・・・呪水の入った・・・・・・・壺も、回収した」

 

長く説明したせいか、息を大きく吐くとクテっとレティシアに寄りかかりながらギフトカードにしまっていた壺を取り出した。

十六夜はそれを興味深そうに眺めると、手を伸ばそうとした。

 

「触らない方が・・・・・・・いい。今は・・・・・結界で封印、してるけど・・・・・もしも結界が・・・・・・・壊れたら、みんな・・・・・・・呪われて、死んじゃう・・・・・から」

 

慌てて手を引っ込める十六夜・・・・・。自分だけが呪われる分には構わない彼だったが、流石に子供達まで巻き添えにするのは気が引けたのである。十六夜はドカッと椅子に座りなおすと、深く息を吐き出した。

 

「ふぅ・・・・・・・。ま、ガルドは倒したんだしこれ以上は考えてもしかたねえか」

 

「それは・・・・・違う」

 

十六夜の言葉にハッキリと否定した雅。十六夜は訝しげに雅を眺めた。

 

「どういう事だ?」

 

「その瓶に・・・・・刻まれた、この家紋・・・・・・・これは、陸奥の・・・・・家紋、なの」

 

「「何(なんですって)!?」」

 

雅の発言は十六夜と黒ウサギを驚愕させるには十分な破壊力を持っていた。何故なら、雅の家系は完全に途絶えている筈なのである。それは雅本人から聞いた、雅のトラウマであり感情を失った原因。

だが・・・・・・・これが本当に陸奥の家紋だというのなら、その生き残りが存在したということであり、さらに言えば雅の感情を取り戻すためのキッカケになるかもしれない。

 

十六夜と黒ウサギは同じことを考えて雅を見たが、そこでもう一度驚くこととなった。

雅は抱きしめていたレティシアの髪に顔を埋めたまま苦々しそうに顔を歪めていたのである。

 

「雅?」

 

十六夜の声にハッとしたように顔を上げた雅。その仕草すら、彼女にとっては珍しいものであり、その表情からは確かに苛立たしさが見てとれた。

 

「雅・・・・・お前、怒ってるのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

雅は目を見開くと信じられないといった顔に変わった。

 

「お前は気づいていなかったかもしれないが、最初に会ったときに比べればだいぶ感情が出るようになってきてるぜ?」

 

「・・・・・・・そう・・・・・なの?」

 

頷く十六夜と黒ウサギ。そこでレティシアが口を挟んだ。

 

「この娘がなにやら事情があるらしいのは分かったが、今はその瓶を渡した相手の話をしていたのではなかったのか?」

 

あ・・・・・・・と、お互いに顔を見合わせた。

 

「そ、そうだったな。で・・・・・雅、この瓶を渡した相手に心当たりはねえのか?」

 

「ある・・・・・・・。ガルドが葉って言ってた・・・・・から、陸奥で・・・・・・・葉って名前が入るのは、陸奥葉冥(ようめい)。私の・・・・・・・・・・・・・・兄、だった人」

 

「兄・・・・・・・って言うわりには、先程は怖い顔をしていたようだが?」

 

「葉冥・・・・・・・は、私の中に・・・・・眠る、鬼を悪用しようと・・・・・した人。そのせいで・・・・・・・陸奥の地下へ封印、されたはず。でも·········多分、私が陸奥を滅ぼした・・・・・から、そのせいで・・・・・・・封印が溶けた・・・・・のかな」

 

十六夜も、黒ウサギも・・・・・・・レティシアすら口を閉ざした。つまり、その葉冥という男は雅の中に封印されている鬼を手に入れるために箱庭まで来たと言うのだろうか?

だとしたら、そいつはとんでもなく・・・・・・・・・・・。

 

十六夜は頭をガシガシと掻くと、立ち上がって雅の頭を撫で始めた。

突然頭を撫でられたことに驚いた雅は、上目使いで十六夜を見上げた。

 

「まあ、なんだ。今後もそいつがお前を狙ってくる可能性があるのはわかった。けど、お前が心配することはねえよ。俺が守ってやるからな」

 

優しく微笑んだ十六夜に、雅は少しだけ頰を赤く染めてーーー。

 

「・・・・・・・ありがとう、十六夜」

 

そう言って微笑んだ。

 

「ふむ・・・・・・・。二人はそういう関係だったのか?」

 

「いや、そういう訳じゃねえよ・・・・・・・っと、なんか外に集まって来てやがるな」

 

「え・・・・・・・?」

 

会話の流れを無視するように外を見た十六夜に、黒ウサギが疑問符を浮かべた。だが、それよりも早くレティシアが雅の拘束を解いて焦ったように立ち上がった。

 

「まずい・・・・・・・見つかった!?」

 

レティシアの叫びに、十六夜とレティシアは窓から外に飛び出すとすぐに臨戦態勢に入った。しかし、気配はすれど敵の姿は見当たらない。流石の十六夜でも見えない相手と戦うのは流石に骨が折れる・・・・・・・。

と、そんな事を考えていると突然空中から褐色の光が降り注いできた。

 

「ゴーゴンの威光だと!?」

 

またもレティシアが驚いたように叫んだが、そんなことはどうでもいい・・・・・。今はあの光をどうにかしなければならない。黒ウサギは全員の前に出ようとした・・・・・のだが、それよりも速く、雅が霊力による結界を張って全員を包み込んでいた。

そして、褐色の光が収まった頃、空中から男と思われる声が複数聞こえてくる。

 

「よし、これで吸血鬼は石になった筈だ。回収するぞ」

 

「抵抗してくる奴等はどうする?」

 

「なに、"ノーネーム"の連中が数人死んだところで誰も騒がないさ」

 

「了解・・・・・・・ん?」

 

姿の見えない男たちは、十六夜たちのすぐ側まで来たところで異変に気づく。砂煙の中、目を凝らすようにすると、そこには結界の中で誰一人石化していない"ノーネーム"とレティシアの姿があった。十六夜と黒ウサギは鬼のような形相で侵入者を睨み付けており、雅は俯いていて表情が窺えない。レティシアは、何がおきたのか理解できていないようで、驚いた表情で雅の背中を見つめていた。

 

「な・・・・・・・!?石化のギフトを無効化したのか!?」

 

「バカな!こんな底辺の、しかも"ノーネーム"だぞ!?」

 

侵入者たちは口々に罵詈雑言を並べ立てるが、黒ウサギはそれに対して段々と怒りを募らせていく。

 

「無断で我々の敷地へ侵入するだけでは飽きたらず、暴言の数々・・・・・・・」

 

「自身の旗も守れなかったような連中が何を吠えるか!そこの吸血鬼は我々の所有物だ、渡してもらおう!」

 

「この・・・・・・・!」

 

黒ウサギが髪を緋色へと染めてギフトカードを取り出したところで、十六夜がウサ耳を引っ張って止めた。

 

「ちょ、ちょっと十六夜さん!?なにをするんですか!」

 

「いいから、雅を止めるのを手伝えこの駄ウサギ!」

 

へ?・・・・・・・と、間抜けな声を出した黒ウサギだったが、そこでようやく気づいたのか、雅へと振り返った。そこには、ゆっくり・・・・・・・ゆっくりと侵入者達へと近づいていく雅の姿が。

普段から光のない瞳をしていた雅だったが、今の雅は更にその色が濃くなっているように見える。

だが、感情が映っていないのではない。その真っ黒な瞳には、うっすらとではあるが怒りが映っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ただただ無言で近づいてくる雅に、侵入者達も気圧されているようで、少しずつ後退していく。

だが、その場の誰もが気づいていなかった。既に、雅の攻撃は始まっていたということを・・・・・・・。

 

「な、なん・・・・・・・ガァ!?」

 

「何!?」

 

突然・・・・・・・。一人の侵入者の姿が見えるようになり、血を撒き散らしながら落下していった。

地面に激突した侵入者は、縦に切り裂かれて真っ二つになって息絶えている。それを見た残りの侵入者たちは恐怖に支配され、慌ただしく逃げようとしていた。

 

「・・・・・・・逃がさ、ない」

 

「待て、雅!殺すな!」

 

十六夜が叫んだが、聞こえていないのか雅は影を置き去りにしながら侵入者目掛けて跳躍した。

舌打ちしながら十六夜と黒ウサギが雅を止めようと同じく跳躍するが、

 

「グァ!?」

 

「グエ!?」

 

「ひ、ひぃぃぃ!ガファ!?」

 

「た、助け・・・・・・・ギャァァァァ!??」

 

次々と落下していく侵入者たち。一人目と同じように、全員が血を撒き散らしながら地面に激突していった。1人は肩から腕を切り落とされ、1人は片足が引きちぎられ・・・・・1人は両足が複雑に折れ曲り・・・1人は激しく脳を揺さぶられ目や耳から血を垂れ流しながら・・・・・・・。

十六夜は空中で雅を取り押さえると、キツく抱き締めて言い聞かせる。

 

「もういい!・・・・・もういいんだ。敵はもういない・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・十六夜、苦しいよ」

 

雅の顔を自分の胸に押し付けるように抱き締めていた十六夜だったが、意外にも冷静な声が返ってきたことに目を丸くしてそっと雅を離した。

 

「い、十六夜さん! 最初の一人以外は生きてます!」

 

「・・・・・・・は?」

 

間抜けな声を出しながら雅を見た十六夜。雅は少し恥ずかしそうにしながら答えた。

 

「十六夜が、殺すなって言ったから・・・・・・・腕を切り落としたりはしたけど、殺してない、よ」

 

雅の言葉にホッとする十六夜だったが、雅の声の質に違和感を覚えた。しかし、今はそれどころではないと頭を振って黒ウサギへと声をかける。

 

「黒ウサギ、お嬢様と春日部を呼んできてくれ。今から白夜叉のところへ行く」

 

十六夜の言葉に頷いた黒ウサギは本拠へと入っていき、その間に十六夜と雅とレティシアは侵入者たちの止血と捕縛を済ませた。

 

事情を聞いた飛鳥と耀は、直ぐに出てきたため、一同は"サウザンドアイズ"の支店へ出発するのだった。

 

白夜叉の部屋へ通された"ノーネーム"の一同は、事の顛末を白夜叉に話していた。

白夜叉は重苦しく頷くと、ともにいた"ペルセウス"のリーダー、ルイオスへと顔を向ける。

 

「こやつらはこう言っておるが、なにか言うことはあるかの?」

 

「ハァ・・・・・?そこの吸血鬼とかが暴れた証拠もないのになに言ってるのさ?」

 

ルイオスは説明をしていた黒ウサギたちに嫌らしい目を向けながら言った。明らかに彼の目は黒ウサギの胸や太股、雅の太股などへ向いている。

部屋に来てからずっと向けられている視線に女性陣は嫌悪感を丸出しにしていた。

 

「まあ、そうだなぁ・・・・・・・。一つ提案があるんだけどさ? そこの黒ウサギが僕のコミュニティに来てくれるなら、その吸血鬼は君たちに返してもいいよ?ついでに色々と金品も付けようじゃないか。どうだい?献身で有名な月のウサギさん?」

 

「な、なにを言ってるの!?」

 

ルイオスの提案に反発したのは飛鳥だった。飛鳥は黒ウサギの前へ出るとルイオスを睨み付ける。

 

「黒ウサギは私たちの物よ!貴方のようなゲスに渡したりはしないわ!」

 

「それを決めるのは君じゃないだろう?それで、どうなんだい?黒ウサギ」

 

「・・・・・・・・・・っ」

 

黒ウサギは言葉に詰まった。実際、彼女はレティシアを取り戻せるのなら、自分が犠牲になっても良いとさえ思っていた。

 

「三食首輪付きで毎晩可愛がってやるからさぁ・・・・・・・ウチにおいでよ、黒ウサギィ〜」

 

「・・・・・・・この、()()()()()()()()()()()()()!」

 

ルイオスの言動に我慢出来なくなった飛鳥は、ギフトを使ってルイオスを膝まずかせた・・・・・・・のだがーーー。

 

「この・・・・・・・!そんなものが通用、するのは・・・・・格下相手だけだ!!」

 

ルイオスは飛鳥の束縛から自力で抜け出すと、ギフトカードからハルパーを取り出して斬りかかる。しかしそれは、十六夜によって防がれた。

ルイオスは押し返されたことでたたらを踏むと、十六夜を睨み付けた。

 

「あ~クソ。ムカつく連中だなぁ・・・・・・・こうなったらそこの吸血鬼を犯して鬱憤を晴らしてやろうかぁ?。ロリは趣味じゃないけどいい声で泣いてくれそうだしなぁ?」

 

ルイオスは自分の方が上だという態度を崩さない。しかし、そこで今まで黙っていた雅が口を挟んだ。

 

「貴方は、私たちの本拠を襲った・・・・・人たちが、今どうなってるか知らない・・・・・・・の?」

 

「あん?知るかよそんなの。そもそも襲ったっていう証拠でも・・・・・・・」

 

ようやく気づいたのか、ルイオスの表情が歪んでいく。

 

「そう、今彼らは"ノーネーム"で預からせて・・・・・・・もらってるよ?・・・・・彼らを脅せば、色々と聞ける・・・・・かもね?」

 

「クソ!・・・・・使えない連中が!」

 

「本当なら・・・・・黒ウサギや、レティシアを弄ぶ・・・・・・・貴方を、今すぐにでも・・・・・殺して、しまいたい・・・・・・・けど、白夜叉に・・・・・迷惑がかかる、から・・・・・・・しない。・・・・・それで、提案なのだけど・・・・・・・」

 

そこで一度言葉を切ると、雅は自然と笑顔になって全員を見回した。その瞳には、若干光が灯っており・・・・・少なくともしっかりと感情が分かるようになっていた。

ここで十六夜も自分の感じた違和感が正しかったのだと確信した。

 

(雅のやつ・・・・・・・急速で感情を取り戻している?・・・・・ペルセウスへの怒りが切っ掛けになったのか?)

 

彼女の感情を取り戻すのは自分の役目だと決めていた十六夜にとっては、これは嬉しくも複雑な状況だったりするので素直に喜べずにいた。

飛鳥と耀もたった数時間程度で変化を遂げた雅に困惑している。

雅は全員を見回したあと、十六夜が良くする悪い笑みを意識して笑顔を作るとルイオスへと向き直った。

 

「私たちと・・・・・ゲームをしましょう。貴方が賭けるのは、コミュニティの旗印。・・・・・・・私たちが賭けるのは、黒ウサギと私の・・・・・・・貴方への絶対服従。どう?」

 

「ちょ、雅さん!?」

 

「ク、クク・・・・・・・クハハハハハ!身の程知らずが・・・・・いいだろう!後悔するなよ名無し風情が。徹底的に・・・・・・・徹底的潰してやるよ!!」

 

 

その後、白夜叉の計らいでゲームは三日後に決定し、その場は解散となった。

雅は大きく息を吐くと、レティシアを抱きしめてコテンっと倒れ混む。

 

「・・・・・・う~・・・・・・・疲れたぁ・・・・・・・・・・・変な・・・・・しゃべり方、したから・・・・・・・凄く、疲れたぁ・・・・・・・」

 

まるで別人だっただろう・・・・・と、雅以外の全員が思っていると、雅はレティシアを抱きながら左右にゴロンゴロンと転がり始めた。あの白夜叉すら目を点にして固まっている。

今は先ほど映っていた光が無くなってはいるが、それでも雰囲気・・・・・の様なものはルイオスと会う前と後では少しばかり違って見えた。

 

「お前・・・・・・・雅・・・・・なんだよな?」

 

そんな様子に、十六夜は意を決したように聞いた。寝返りを止めた雅は、正座に戻ると少し頬を膨らませる。

 

「むぅ・・・・・・・確かに今までの、私とは雰囲気が違うかも・・・・・しれないけど、雅・・・・・だよ。少しだけど、感情を取り戻せたみたい」

 

「なるほどね・・・・・・・。少しってことはまだ足りない感じなのか?」

 

雅は「ん~・・・・・・・」っと考えると、

 

「そうだね・・・・・。本当に・・・・・少しだけど、怒りの感情が・・・・・戻ったような気がする。けど、『喜』と『楽』は・・・・・・・まだわからない・・・・・かな」

 

「ま、いいんじゃねえか?感情を取り戻せるってことが証明されたわけだし。しゃべり方はまだ結構間が残るみたいだけどな」

 

「そう・・・・・・・だね。400年も、あのしゃべり方だった・・・・・から、少し慣れていかないと・・・・・・・普通に喋るのは難しいかも」

 

苦笑いでそう答えた雅だったが、その瞳にはやはち、少しだけ嬉しさが浮かんでいた。

十六夜たちはそんな雅を見て、このまま支えて行けば彼女の心を救える・・・・・・・そんな期待に自然と笑顔になるのだった・・・・・。




今回はここまでとなります。
なんか一気に雅の感情が出るようになって驚いている方も多いかもしれませんが、どうなるんでしょうね?

次回でペルセウス戦とともに一巻の内容が終了となる予定です。

その後は正月スペシャル的な話を書きたいな~と考えていますがもしかしたら少し遅れる可能性があります·····。

今回は挿絵が無くて申し訳ないですが、またお会いしましょう!
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