Fate/kaleid shiro   作:さつまいも男爵

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 まずは前書きだけでもご閲覧いただき、ありがとうございます。
 さっそく言い訳をば。初めての投稿であるため、勝手がよくわかっていません。そのため、ご不便をおかけすることが多々あるかと思います。どころか、自身にとっては初ssなので、勝手ながら前置きなく、試行錯誤のために色々(話の大筋以外)と手直しを加えていくつもりです。
 ご感想や批評、評価は勿論、誤字、誤用の報告、小説に関係のあるご質問も等しく歓迎いたします。
 


第1章 始まり
1話 未知


「ん、なんだこれ」

 

 彼の名前は衛宮士郎。少々複雑な家族構成ではあるものの、至って普通の男子高校生だ。

 なぜか今朝は、やけに早くに目が覚めた。時計の短針は5を指しており、それはつまり、いつもより2時間近くも早い起床ということになる。せっかく朝早くに、スッキリと起きられたのだから、よし、今日は久々に走りこむかなと勇み、家族を起こさぬように静かに家を出た。

 現在は、山の麓におり、道中なにやら不思議なカードが落ちているのを発見したところだ。

 

「これってカード……か?」

 

 拾って確かめる。まるで占いに使うタロットカードのようで、弓を持ち、矢を番えて構えた人物が描かれている。近くでじっくりと見て、こうして直に触ってみても、材質がなんなのかまるでわからない。

 

「むっ、なんだか高そうなカードだ。落とした人が困っているかもしれないし、後で交番に届けるか」

 

 そう言っては、ジャージのズボンに付いているポケットにしまっておく。そろそろ帰らないと登校に間に合わなくなるかもしれない。そう考えては、来た道を引き返すために踵を返した瞬間―

 

「ガッっァアアアああああああ!!!」

 

 衝撃が全身を襲った。

 

 思考がうまく働かない。身体がバラバラになりそうだ。耐え難い激痛のなか、誰かの声が微かに頭に響く。意識がプツンと途切れる直前、それは確かに聞こえた。

 

「――は●●――」

  

 

 

 その朝、彼の絶叫を聞きつけた近隣の住民が救急車を呼び、そのまま病院へと運び込まれた。

 

 

 

 

 

 「クッ……アァ―」

 

 夢を見ている。真っ赤に染まる視界の中、苦しみながらも、あてどもなく、必死に歩きさまよう夢を。

 

 

「……ちゃ……お……」

 

 

 まるで苦しみの終わりがないような。そんな悪夢が、何がきっかけか、突然かき消える。夢から覚めたとき特有の、ぼんやりとした思考の中で、遠くから誰かの声が聞こえてくる。

 

 

「て……お……ちゃ……」

 

 

 この声は……

 起きないとだめだ。

 

 なぜかそんな感情が沸いてくる。

 徐々に覚醒してくる意識の中で、うっすらと目を開き、やがて震える小さい影を見とめ、今度ははっきりと、その影の声が耳へと届いた。

 

「おきてよ……おにいちゃん……」

 

 

 

「泣かないでくれ……イリヤ」

 

 声の主は、妹のイリヤだった。

 

「あッ……お兄ちゃんッ!!!」

 

 自分が横たわっているベッドに腰掛け、顔を伏せながら大粒の涙を流していたイリヤの目がこちらを見た。

 

「お兄ちゃん……よかった……」

 

 ――俺は妹の目からこぼれ落ちる涙を拭うため、腕を持ち上げようと、軽く身体を動かそうとするが、ピクリとも動かない。依然として全身が痛むが、耐えられないほどではない。今度はしっかりと力を入れてみた。指先が微かに動き、やがて腕全体へと伝わり、持ち上がった。そのまま頭を軽く触り、そのまま撫でた。

 

「お兄ちゃん……」

 

 目をつむり、撫でられるままになっている。顔に泣いた跡はあるものの、どうやら涙はとまったようだ。その事実にホッと安心した。

 そうしてようやく、こうなった原因である、自身に起きた出来事を省みる余裕が生まれたようだ。

 

「あの時は確か……」

 

 そう呟き、空いた片手で、ポケットに入れたはずのカードにズボンの上から触れる。

 あった。あの時の激痛は普通ではなかった。医学に明るいわけではないが、急に全身隈なく痛みが走るなど、尋常な出来事ではない。なにより、あの時は気づかなかったが、いま触れているカードが、布ごしにも関わらず、奇妙な感覚を確かに自身の手へと伝えてくる。そう、まるで手に吸い付くような、そんな感覚。

 

 もしかしたらこれは危険なものなのかもしれない。ならばイリヤの前では取り出せないだろう。しかし、早いこと調べなければ、危険が増す可能性もある。幸いここは個室だ。今はポケットにしまっておいて、誰もいない時に調べよう。そう決意し――

 

「俺はもう大丈夫だ。悪いけれどイリヤ、医者の先生を呼んできてくれないか?」

 

 撫でていた手を止め、イリヤにそう告げた。ナースコールを押されたら目的は達せないため、彼女にそう頼んだ。どちらにせよ、いつかは呼ばなければならないし、騙したような罪悪感はあるものの、仕方がないと割り切ろう。

 

「わかった……お兄ちゃん、ちゃんと安静にしてないとダメだからねッ!!」

閉じていた目をあけたイリヤは、撫でた手を掴み、こちらに顔を近づけからそう言い放ち、イリヤは病室から出ていった。

 

 これで準備はできた。イリヤが医者を連れてくる前に、速やかにカードを調べねばならない。ならばと、未だにポケットの中で存在感を放っているカードを取り出そうと、緊張しているのか汗ばんだ手をポケットに差し込み、そのまま慎重にそれを掴み取った――

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