艦これ戦記 ~明日を開く少女たち~   作:戦艦

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#2~太平洋諸島作戦1~

 ハワイ諸島事件以来、人類は深海棲艦に対してなす術がなく、連敗に次ぐ連敗を重ねていた。しかし3月6日に起きた伊豆諸島沖海戦において、深海棲艦に対抗出来る存在である艦娘に初めて出会い、以降世界各地で多数の集団が保護されるようになる。

 艦娘とは、人類に酷似した姿を持つ謎の存在である。人類は保護した彼女達に対して聴取と医学的な検査を行ない、その結果艦娘は生物学的には人類に限りなく近い存在であるが、同じと言うにはあり得ない不可解な特徴の多い、人類はおろか生物であるのかどうかも不明な存在であると判断された。

 彼女達の不可解な点として、その名に"艦"とあるように必ず過去の、とりわけ第二次大戦期におけるなにかしらの軍艦の艦歴を"記憶"として持っており、さらにはその個体が持つ"記憶"に則った軍艦に関連する能力を持つ艤装を持っている。なおこの艤装がどこで作られたかについては一切不明であり、聴取においても彼女達は口を揃えてわからないと言った。

 そしてこの艤装という装備は見た目相応に重量があり、普通の人間ではとても一人で持ち上げられるような代物ではないのだが、艦娘はこれを軽々と装備してしまう。艦娘は身体構造、体組織の両面において人類と全く同じであり、特別に筋力が発達しているというわけではないのだが、艤装は何故か重量を無視して装備出来てしまうというのである。単純に力比べをすれば、人間にさえ負けかねない程度の力しか持たないにもかかわらずだ。

 それだけでも十分不可解だが、この上彼女達は艤装を装備すると肉体的変化も無いまま身体能力が飛躍的に向上するという特徴がある。その理屈は一切不明であり、あえて説明してもそうなるのだからそうなるという非科学的説明しかしようがなかった。

 不可解な点はそれだけではない。彼女達の出生が揃って明らかでないことも、その一つである。これについて、皆一様に女性の形態をとっているために繁殖が不可能であるという点から、当初は人間が後天的に突然変異した亜種だとする仮説もあったが、全世界合わせて千人規模での突然変異などあり得ない上に、必ず海上で発見されているなどのことから人間の亜種と考えるには無理があると結論づけられた。

 結局これに関しては結論を見出だすことが出来ず、その答えは艦娘に求められたが、彼女達自身もそれは覚えていなかった。

 「ふと気付いたら海の上にいた」

 「それ以前のことは何もわからない」

 と口を揃えて言うのだ。

 そんな謎だらけの彼女達に、猜疑の目を向ける者達もいた。あれが人類の亜種でもないならば、むしろ深海棲艦の眷属なのではないのかと言ってのけた者までいたほどである。だがその真偽はともかくとして、人類が深海棲艦に対抗しなければならない以上、その存在が希望であるということに変わりは無かった。

 人類は彼女らに対深海棲艦作戦への協力を要請すると、艦娘達は補給の維持を条件にそれを快諾する。あまりにあっさりと引き受けたので面食らった人々に対し、彼女達は、

 「人を守るのは当たり前のことですから」

と言ったのだった。

 

 

 

 艦娘という新たな戦力を手にした国連海軍極東管区統合作戦本部は、逼迫する資源事情を考慮してシーレーンの奪回を目的とした、シーレーン解放作戦を企図していた。これは深海棲艦による制海権確保によって遮断された中東から東アジアまでの制海権を奪還することによる、海上輸送路の復活と、恒常的な資源供給体制の確保による深海棲艦迎撃体制の確立を目的とした作戦である。

 しかしその途上にある台湾フィリピン間のバシー海峡とインドシナ半島南岸、マラッカ海峡はこれまでに膨大な数の船舶が犠牲となってきたホットスポットであり、深海棲艦の全体総数を把握出来ていない人類にとって、事前情報も無しにそのような場所へと攻め込むのは、不毛な消耗戦を強いられる可能性を秘めた危険な行為であった。

 そこで統合作戦本部は、シーレーン解放作戦に連動する作戦として、太平洋諸島作戦を計画する。その概要は、深海棲艦が専ら太平洋の中央一帯からのみやってくるという性質を考慮して、小笠原諸島硫黄島、マリアナ諸島サイパン、チューク諸島ウェノの各島に哨戒、監視のための拠点を構築するというものであり、東方から来る深海棲艦の分布状況把握と動向監視を行って、シーレーン解放作戦を情報面から支援することを狙った作戦であった。

 

【挿絵表示】

 

 これに伴い、統合作戦本部は太平洋諸島作戦とシーレーン解放作戦を遂行するため、艦娘を主戦力とする艦隊を新たに編成したのであった。

 その内容は以下の通りである。

 

第一艦隊

├第一主力部隊

│├第一戦隊

││├大和

││├武蔵

││├長門

││└陸奥

│├第二戦隊

││├伊勢

││├日向

││├扶桑

││└山城

│└第一護衛総隊

│ ├第九戦隊

│ │├阿賀野

│ │├能代

│ │├矢矧

│ │└酒匂

│ ├第一護衛隊

│ │├夕雲

│ │├巻雲

│ │├風雲

│ │└長波

│ └第二護衛隊

│  ├巻波

│  ├高波

│  ├大波

│  └清波

├第二主力部隊

│├第三戦隊

││├金剛

││├比叡

││├榛名

││└霧島

│├第四戦隊

││├高雄

││├愛宕

││├摩耶

││└鳥海

│└第二護衛総隊

│ ├第十戦隊

│ │├大淀

│ │├川内

│ │├神通

│ │└那珂

│ ├第三護衛隊

│ │├玉波

│ │├涼波

│ │├藤波

│ │└早波

│ └第四護衛隊

│  ├浜波

│  ├沖波

│  ├岸波

│  └朝霜

├第三機動部隊

│├第一機動戦隊

││├赤城

││├加賀

││├蒼龍

││└飛龍

│├第二機動戦隊

││├翔鶴

││├瑞鶴

││├大鳳

││└信濃

│└第三護衛総隊

│ ├第六護衛隊

│ │├秋月

│ │├照月

│ │├涼月

│ │└初月

│ └第七護衛隊

│  ├新月

│  ├若月

│  ├霜月

│  └冬月

├第四補給部隊

│└第四護衛総隊

│ ├第二〇護衛隊

│ │├吹雪

│ │├白雪

│ │├初雪

│ │└深雪

│ └第二一護衛隊

│  ├叢雲

│  ├東雲

│  ├薄雲

│  └白雲

└第五補給部隊

 └第五護衛総隊

  ├第二二護衛隊

  │├磯波

  │├浦波

  │├綾波

  │└敷波

  └第二三護衛隊

   ├朝霧

   ├夕霧

   ├天霧

   └狭霧

 

第二艦隊

├第六主力部隊

│├第六戦隊

││├古鷹

││├加古

││├青葉

││└衣笠

│├第七戦隊

││├最上

││├三熊

││├鈴谷

││└熊野

│└第六護衛総隊

│ ├第十一戦隊

│ │├長良

│ │├五十鈴

│ │└名取

│ ├第十四護衛隊

│ │├朝潮

│ │├大潮

│ │├満潮

│ │└荒潮

│ └第十五護衛隊

│  ├朝雲

│  ├山雲

│  ├夏雲

│  └峯雲

└第七機動部隊

 ├第四機動戦隊

 │├飛鷹

 │├隼鷹

 │└龍驤

 ├第五機動戦隊

 │├鳳翔

 │├祥鳳

 │└瑞鳳

 └第七護衛総隊

  ├第十六護衛隊

  │├白露

  │├時雨

  │├村雨

  │└夕立

  └第十七護衛隊

   ├春雨

   ├五月雨

   ├海風

   └山風

 

第三艦隊

├第八支援部隊

│├第一哨戒戦隊

││├日進

││└瑞穂

│├第二哨戒戦隊

││├千歳

││└千代田

│└第八護衛総隊

│ ├第二四護衛隊

│ │├朧

│ │├曙

│ │├漣

│ │└潮

│ └第二五護衛隊

│  ├暁

│  ├響

│  ├雷

│  └電

├第九輸送部隊

│└第九護衛総隊

│ ├第一九護衛隊

│ │├初春

│ │├子日

│ │├若葉

│ │└初霜

│ └第二六護衛隊

│  ├睦月

│  ├如月

│  ├弥生

│  └卯月

└第十輸送部隊

 └十護衛総隊

  ├第二七護衛隊

  │├皐月

  │├水無月

  │├文月

  │└長月

  └第二八護衛隊

   ├菊月

   ├三日月

   ├望月

   └夕月

 

 これらの艦隊のうち、太平洋諸島作戦に投入されるのは第二艦隊と第三艦隊であった。

 第二艦隊と第三艦隊の任務は、各島へ人員、物資の輸送と、新設する基地が哨戒能力を得るまで間の哨戒支援である。両艦隊は、より困難なシーレーン解放作戦に挑む第一艦隊に有力な戦力を回すため、重巡洋艦娘や軽空母艦娘、水上機母艦娘といった二線級の艦娘により構成されることとなっていた。

 そして4月16日、海上自衛隊横須賀基地に集結していた第二艦隊は、補助部隊である第三艦隊に先んじて同基地を出港する。それはこれまで一方的に苦杯を飲まされてきた人類の、深海棲艦に対する始めての反撃が始まった瞬間であった。

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