深夜アップはいつも頭が痺れる気がする作者です(えっ?
今回のエピソードは……サブタイ通りにカチューシャ&ノンナによる待ち伏せ+奇襲の大攻勢です。
果たして、アリサは生き残れるのか……?
「今よっ!
カチューシャの号令一下、合計6門のソ連製76.2mm戦車砲が同時に火を噴いた!
***
「へっ?」
その時、「はっきりと硬直した」とアリサは後に語る。
唐突に雪を被った残骸が煌き、次に来たのは……
”ズズゥン!”
腹の底から響くような二つ重なった炸裂音……自分の周囲にいたM3中戦車が後ろから砲弾で貫かれ、一両はエンジンから出火し、漏れ出し気化した
「オールドボール軍曹!?」
もう一つは37mm砲を仕込んだ砲塔に炸裂徹甲弾が命中し、砲弾に仕込まれた炸薬と自らの砲弾誘爆の相乗効果で「キューポラから上半身を出してた車長ごと」吹き飛んだ音だった。
「ひっ!?」
その時、アリサは見てしまったのだ。
かつてオールドボールの身体の一部だった物……右腕が血を撒き散らしながら飛んできて、
”ばんっ! べっちょ……”
M4の砲塔に当たり、鉄錆臭いレッドペイントを残した瞬間を。
”じょろろろろ”
アリサが盛大に失禁してしまったとしても誰も責められないだろう。
いや、むしろショックで失神しなかっただけでも誉めてもいいかもしれない。
そして、叩き込まれた訓練の成果だろうか?
半ば空白化した意識でありながら、キューポラから乗り出していた上半身を車内に滑り込ませ、
「司令部に緊急通信。内容は『
妙に抑揚の無い声で告げた。
初の実戦で、しかも奇襲を受けて反射的にここまでできれば大したものだろう。
アリサは、きっといい装甲将校になれるだろう。
ただ、この場を生き延びられればだが……
***
しかし、実は今の一斉射撃はカチューシャの計画とはちょっと違っていた。
「
『あははっ♪
無線機越しのカチューシャの笑い声。
やはり我が主はいつでもどこでも愛らしいと思いながらも、普段は声にも表情にも出さないのが彼女なりのメイドの嗜み。
愛らしさを堪能するなら主の就寝後、その日の仕事を終えて一人きりのときにすればいい。
幸い
声が漏れて主の眠りを妨げないように、自分の口に主が幼少期に愛用していたパンツをねじ込み、体臭のたっぷり染み込んだ洗濯前の主の服の臭いを嗅ぎながら自慰にふける快楽は、中々他には得がたいものだ。
カチューシャはその生い立ちゆえか、ノンナ的には国宝指定したい……いや、むしろ人類の財産として永久保存したいと思ってる”完全なる幼児体系”からか、羞恥心が低い。
自室どころか執務室で平然と着替えるし、自分の前なら平気で全裸になる。
いや、もしかしたら女同士であるからゆえかもしれないが、ノンナにはそれはどうでもよい。
重要なのは命じられる前に着替えを手伝い、その最中に至近距離から主の体臭を堪能し、視姦することが重要なのだ。
脳内を駆け巡る官能が、表情や声に出ないように続けた訓練の成果が問われる瞬間でもある。
更に洗濯せずに捨てるように命じられた脱いだばかりの主の下着を放り投げられたときは、自室に持ち帰ると鍵をかけ、先ず嗅ぎ、味わい、最後に履いて自慰にふける。
その瞬間の絶頂は、この世のものとは思えないほどだ。
そういう時には素直に反応する自分の肢体をノンナは気に入っていた。
だから主より全幅の信頼を得る、完璧なメイドの皮を被り続けるノンナは代わりにこう答える。
「
最初の予定ではノンナがアリサの乗る
『うふふ。でも、お陰でM3は2両潰せたわ。残りの2両はカチューシャが潰すから、ノンナはM4の無力化を継続して。”念入りに優しく”ね?』
「
ならば、今は主の命令を忠実に果たそう。
そう決めたノンナはキューポラから上半身を出し、あまりに長いために車内に持ち込めずに砲塔の後ろにマウントした”ある銃”に手を伸ばした。
まだその試作段階であるその銃は、その長さから”
使用弾はソ連が対装甲用に開発したタングステンカーバイド製の
後に【シモノフPTRS1941】と制式名称が与えられることになる対戦車ライフルだった。
ルパン三世の劇場版『カリオストロの城』のラストバトルで、次元大介が振り回していたで馬鹿でかい銃と言えばイメージし易いだろうか?
ノンナはそれを綺麗なフォームで構え、彼女に言わせれば緩慢な動きをするM4の履帯に銃口を向け、
「
”DAM!”
***
「うふふっ♪ その動きじゃカチューシャは捉えられないわよ!」
M4の無力化はノンナに任せ、二回目のノンナを除く一斉射で更に一両のM3をしとめたカチューシャは、
「全速前進! M3の主砲は旋回できない! 回りこんで一気に仕留めるわっ!!」
「「「
カチューシャの操るT-34bisの乗員全てが雄たけびを上げ、心を一つにする。
その結果として生み出された動きは、鋼鉄の塊というよりむしろ有機的な何かを感じさせるものだった。
この時代の米国戦車は実はそれほど運動性は高くなく、例えば緩旋回や信地旋回などはできない。
それが改良され、米国戦車が一気に超信地旋回まで出来るようになるのはクロス・ミッション採用以降の話で、まだまだ遠い未来の話だ。
なので、直線は速いが変速機や操向装置に問題があり小回りの利かないbisを含む現行型のT-34でも、容易に回り込むことが出来るのだった。
「あははっ! 遅い! 遅いわっ! まるでアメリカンスキーの言う”
カチューシャは最後のM3をしとめるのは都合の悪い(射界を得られない)遮蔽物……数日前に鶴姫により撃破されたBT-7Mの残骸から飛び出し、鋭いゴー&ストップで
更に言えばカチューシャ車の
無論、下手なタイミングで行えばM2集団から集中砲火を浴びるリスクはあるが、それと戦果を天秤にかけて最善の判断ができるだけの経験と技術蓄積をこのドライバーは持っていた。
いや、それはドライバーだけでなく
彼女達は皆、カチューシャが華々しく初陣を飾り、「女が戦場で戦えるか?」という嘲笑めいた疑問を圧倒的な戦果で回答とした”スペイン内乱”の頃からの、カチューシャがまだBT-5快速戦車を愛車としていた時代からの最古参の部下達だ。
この程度のことができなくては、とても”機甲戦の魔女”と敵に恐れられたカチューシャのクルーなどやってはいられない!
「
戦車の挙動と姿勢が安定すれば、即座に発令される射撃命令!
それに即応できるからこその『
後ろに回りこまれ焦って旋回するM3に斜め後方から突き刺さった76.2mmのソ連製徹甲弾は、直角に切り立った側面装甲を易々と貫通しM3の砲弾を盛大に誘爆させる!
内部から爆散したM3は、誰の目から見てももはや戦車とは呼べない姿を晒していた。
「さて……少しは新人達の手伝いでもしてあげようかしら?」
カチューシャがそう微笑む頃には既に砲塔が旋回を始めていて、砲口が既に隊の体裁を為さず個で逃げ惑う1両のM2へと向けられていた。
***
『念入りに優しく』とM4中戦車の料理方法をカチューシャより賜ったノンナは、14.5mmx114徹甲弾で先ずはM4の右の履帯を破壊する。
”DAM!”
その次は念入りに転輪を。
20kgもある対戦車ライフルを軽々と振り回すノンナも大したものだが、世の中には誘拐された主人を助けるため20kgどころでない武器を満載して駆けつける歩く武器庫みたいな猟犬メイドや、あまつさえ時間を操作する瀟洒メイドがいるらしいのでそれほど驚くにはあたらないかもしれないが。
”DAM! DAM!”
その次はエンジンに2発。
500mで垂直に立った32mm厚の均質圧延装甲を貫通できる性能ゆえに、鋼製のエンジンカバーなどボール紙も同じだ。
そしてM4にはある欠点があった。
M4の砲塔旋回の駆動は油圧と電動があり、アリサが乗っていたのは油圧駆動モデルだった。
M4に限らずこの世代の油圧駆動の戦車砲塔全般に言える構造なのだが、その駆動油に圧力を加えるポンプはエンジンから動力を引っ張っており、例えばアイドリング時では旋回速度がかなり落ちるのだ。
では、エンジン自体を破壊されれば?
結果は当然、砲塔が動かなくなる。無論、万が一のときに備えて手回しハンドル式の手動旋回装置を備えた戦車も多いが、中戦車級となれば数tには達する砲塔を腕力で動かすのは容易ではなく、その旋回速度は著しく劣化する。
”DAM!”
そして、緩慢に砲塔が動き出す前にノンナは更に1発放つ。
その徹甲弾は37.5口径長の75mm砲身に当たり、圧し折りはしなかったが砲弾が発射できないほど変形させた。
何故かその様子は、服を一枚一枚剥ぎ取るように見えなくも無かった。
”DAM!”
これで事実上、M4の機動力も攻撃力の大半も奪ったことになる。
それを確認したノンナは徐にマガジンを交換し、戦車砲と一緒に銃口を再び敵戦車に向けると流暢な英語で告げる。
「
*************************************
『みほちゃん、アリサちゃんからエマージェンシー・コールが入った』
米軍の軍用周波数や日米共用の周波数ではなく、日本軍独自の周波数で通信を入れてくる亜美。
『コリンズ大佐からは、調査任務から【ホイットニー臨時装甲偵察中隊】の救出任務に
「了解。これより”
『無線発信源の座標や判ってる限りの情報を口頭で伝えるわ』
「お願いします」
亜美との通信が終わった後、みほは近距離通信を繋げ、
「ケイ、聞こえてたと思うけどアリサちゃんがピンチだよ」
面倒この上ない話だが、独立部隊の権限で出撃できるのはテストを絡めた「通信途絶した分隊の調査」までだろう。
それが味方部隊の救出作戦となれば情況が変わってくる。
今回の【ホイットニー臨時装甲偵察中隊】は、コリンズ大佐直轄の人員はアリサとM4の乗員だけで、他はハイラル・ベースからの借り物だ。
そして、その編成である以上は偵察中隊の命令権はコリンズで無く西方軍団司令部、最終的にはスティルウェルにある。
では、偵察中隊が危機に陥った場合はどうするか?
当然ながら救出隊の編成から出撃まで行うのは、軍団司令部だろう。
だが、そんなのを待っていれば手遅れになるのは明白だった。
実際、エマージェンシー・コールは基地の通信隊も拾っただろうが、おそらく今頃は救出隊の編成決めで忙しいだろう。
下手をすれば救出隊を出す出さないでもめてるかもしれない。
ならば、この万が一に起こりうる事態を想定し、張れるだけの予防線を張っていたコリンズ指揮下の部隊が動ける情況、「たまたま野戦テストをしていた部隊がエマージェンシーを受信し、たまたま救援に迎える位置にいた部隊を救援に向かわせる」という状況的免罪符が使える。
そして、これならば「緊急時における事後承諾」の大義名分が立つのだ。
すべからく軍とは公的組織であり、同時に官僚的組織でもある。
そうであるならば、常に急場に対応できない”組織の硬直化”は宿命といえた。
それを是正する手段は色々とあるが……困ったことに、組織が大きければ大きいほど官僚化の弊害は大きく出やすい。
しかも今回は急激に組織が膨らみすぎて、硬直化どころか情報学的な神経網が末端まで行き届けてないことも事態を深刻にしていた。
逆に言えば、コリンズがここまで露骨に無茶をやるのも、西方軍団の組織的欠点を見抜いていたからだと言えよう。
スティルウェルは多少頭は硬く神経質なところもあるが、優秀な軍人であり将軍としての器量もある。
だが、それでも力及ばないことは多々あるのだった。
『ええ、わかってる。急ぐわよ!』
「うん!
(間に合えばいいけど……)
全ては時間との勝負……みほはそっと唇をかんだ。
皆様、御愛読ありがとうございました。
ノリノリのカチューシャ&ノンナのバトルは如何だったでしょうか?
それにしても……ノンナ、君もかい!?(笑)
多分、世界が違えばみほ、あるいはそのペットと百合談義で盛り上がれたことでしょう。
ちなみにノンナ+対戦車ライフルはいつか書いてみたかったシーンの一つで、元ネタは”黒い珊瑚礁”のロベルタとか、まあ色々(^^
美人+デカイ銃は浪漫の一つだなっと♪
そしてアリサはお漏らししながらも頑張ってます。
ただ、相手が強すぎるのが難点ですが(えっ?
果たしてみほとケイは、アリサが”壊されて”しまう前に辿り着けるのか?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
***
設定資料
シモノフPTRS1941
全長:2140mm
重量:20800g
使用弾薬:14.5mmx114弾
装弾数:5連発箱型弾倉
発射方式:セミオートマチック
デグチャレフPTRD1941
全長:2020mm
重量:15750g
使用弾薬:14.5mmx114弾
装弾数:単発
発射方式:ボルトアクション手動式(ただし排莢のみは自動)
備考
ソ連が開発した対戦車ライフル。
使用弾である14.5mmx114弾は垂直の均質圧延装甲相手ならば、500mで32mm厚の物まで貫通可能である。
実際、史実では100mからIII号戦車やIV号戦車の側面装甲(垂直/30mm厚保)や後面を撃ち抜いている。
史実においてはバルバロッサ作戦前後に配備されたが、”この世界”においては満州コモンウェルス/モンゴルでの緊張の高まりからテストモデルが急遽生産され、制式採用前の先行量産品という形で実戦テストを兼ねて配備されたようだ。
もっとも、セミオートで製造コストが高く手間のかかるシモノフPTRSは作中でノンナが使用したものも含めてごく少数で、大半は単純な構造のデグチャレフPTRDのようだ。
威力的には既に日米戦車なら例え軽戦車が相手でも正面装甲狙いは厳しいが、逆に言えば軽装甲車両には恐ろしい相手であり、また史実同様に中戦車以上であっても正面装甲以外では貫通もしくは破壊される箇所はあり、ウィークポイントを狙われたら非常に厄介な相手でもある。
また史実の独ソ戦では防弾ガラスのはめ込まれた外部視察用の覗き窓を撃ち抜かれ、ドイツ戦車の乗員が死傷したケースも多発し、ドイツがアニマル・シリーズのような重装甲車両を投入した後もペリスコープ・砲身・起動輪・ハッチの基部や隙間・キャタピラといった部位を狙い、破壊は無理でも戦闘力や機動力を減じる用途に使われた。
”この世界”においても同様に用いられ、以後の日米戦車開発に大きく影響を与えた銃器であろう。
また日本でも