前作から続いていた連続投稿は、二週間で終わってしまいましたです(^^
ちょっとペースダウンかな?
それはそうとして今回のエピソードは……サブタイ通り、ようやくあの娘達が帰ってきますよ~♪
あれから約1年……果たして彼女達は成長してるのか?
後書き設定は、これまた「CODE1940」の主役メカの登場です。
「隊長……!」
数日後、みほが試製一式中戦車が鎮座するハンガーで、技師や技官と戦車技術論やイタリカ四方山話をネタに談笑してると、
「わわっ」
”ぎゅっ”
唐突に黒猫が胸に飛び込んできた。
「麻子”ちゃん”、どうしたの? 今日はやけに甘えん坊だね?」
よく見たら黒毛の仔猫ではなかった。それによく似た印象の小柄な少女、冷泉麻子だった。
”すりすり”
麻子は豊満とはいえないが、確実に自分よりは重装甲なみほの胸に頬ずりしながら、
「んー、隊長分の補給。半年会えなかったから隊長分が大幅に欠乏」
冷泉麻子
1940年3月31日付の遣イタリカ師団第6戦車中隊の解散後、同年4月1日より短期士官養成コースを履修。9月30日で半年の集中講座を修了し、同時に准尉の階級資格を得る。
これまでの実績、軍歴と現階級(曹長)を鑑み10月1日付で少尉に昇進していた。
「あーっ!? 冷泉殿! 西住隊長の独り占めはズルイでありますっ!!」
カーキ色の軍用背嚢を床に落とす音がハンガーに響く。
そのくせっ毛の少女は世界新でも出すような勢いでみほに駆け寄ると、
「西住隊長、お久しぶりです! 秋山”一等”軍曹、ただ今帰参致しました!」
”ビシッ!”と擬音が付きそうな敬礼を決める。
「お帰りなさい、優花里”ちゃん”。半年ぶりだね?」
すると優花里は半年会えなかったことも手伝って、涙ぐみながら感激に打ち震え……
「西住たいちょお……秋山軍曹、突貫しますっ!」
”ぎゅむ”
予想できた展開だろうが、優花里は麻子に負けじとみほ抱きついた。
「ととっ」
その突進に思わず倒れそうになるみほだが、なんとか耐えた。
秋山優花里
大日本帝国陸軍は、近年の世界情勢の緊張や欧州での戦乱を鑑み、大量動員に備え米陸軍を倣って下士官の階級細分化を決定、1940年4月1日より施行した。
優花里は軍歴の短さから原初の階級を三等軍曹とされ、「イタリカ防衛線」などの功績で一階級昇進し4月1日付で二等軍曹に昇進。
更に「大洗女子戦車学校」での待機任務中、様々な軍資格を取り昇進試験にも合格し10月1日付で一等軍曹となる。
「むっ……狭い」
「冷泉殿、もうちょっと詰めてくださいよ~」
「断る。半年分の隊長分を補給してるんだ」
「それは自分だって同じですって」
「先任に譲れ」
「相手が将軍だろうとこれだけは譲れません」
忠犬と仔猫の頭を撫でながら、「たはは」と困ったようにように笑うみほだった。
***
「おお~っ。みぽりんも相変わらずモッテモテだね~♪ 女の子にだけど」
「ええ。日常が戻ってきたようでホッとしますわ。クスクス、わたくしってばすっかり職業婦人であることが当たり前になってしまいましたわ♪」
偶然なのか示し合わせてなのかはわからないが、二人揃って仲良く入ってきたのは、人のことは言えない陽気な通信手の武部沙織に、少なくても大和撫子系(色々な意味で)天然砲手の五十鈴華だ。
武部沙織
日本への帰還を他の誰よりもイタリカの老若を問わない多くの
第6中隊解散後は陸軍通信学校に入学。更なるキャリアアップを目指しているらしい。
基本的にイタリカ防衛戦、特に敵司令部包囲殲滅戦の参加者の中で、下士官以下は全員4月1日付で無条件で一階級昇進することになったので、現在の階級は三等軍曹。
五十鈴華
第6中隊解散後、有給を消化するために一時的に実家に戻り、しばらくは生け花の師範代として腕をふるい静かなる日々を過ごしていたが……
「華道は情熱と爆発ですわー!」と謎の言葉を残し失踪……ではなく、かねてより誘われていた知波単女子戦車学校に戦車砲撃の特別講師として参加していた。
沙織と同じ理由で、春から一階級昇進して三等軍曹となっていた。
それと職業軍人も確かに職業婦人の一つではあるのだが……何か釈然としないのは何故だろう?
かつての
「全員、整列」
妙にフラットだがよく通る声で最先任の麻子が号令をかける。
そして麻子、優花里、沙織、華の順で並び……
「西住中尉に敬礼!」
その姿は、やはり彼女達も帝国軍人だと思わせる凛とした姿だった。
みほは彼女達に敬礼で応じ、
「”試製一式戦車”専任試験士官としてみんなの着任を歓迎します」
そしてニコッと彼女は微笑み、
「またみんなと一緒に仕事が出来て嬉しいよ♪ アンコウ01の復活だね?」
そして四人の少女達の歓声がハンガーに響いた。
そしてそれは、「イタリカ最良の戦車チーム」の一つが、再び結成されたことを意味していたのだった。
************************************
さて、再結成されたアンコウ01だが、翌日から早速活動を開始した。
「ほう……九八式に比べればひどく運転し易いな」
「麻子さん、どうかな?」
「意図はわかった」
「ん? どういうこと?」
「一式は、きっと自動車の運転に慣れた者をすぐに戦車操縦者に転向できるように考えられているということだ。ステアリングにクラッチ、ブレーキ、アクセル、ミッション……自動車の運転経験さえあれば慣れるのにそう時間はかかるまい。操縦系はそういう配置だし、例えばステアリングに油圧サーボのパワーアシストが入って操作入力が軽くなっていたり、シンクロメッシュ式のトランスミッションが採用されているのは、突き詰めてしまえばそういうことだと思う」
「あー、基本的に軍に入っちゃえば、16歳以上なら普通免許は強制的に取らされるもんね」
麻子は頷き、
「加えて陸軍なら陸上を走る大半の免許を取れる。必要なら飛行機免許もだ。一式の操縦系は増員に備えて戦車操縦者の確保を最大の目的として組まれたのかもしれない」
***
代表して麻子のテストランを抜粋してみたが、まずアンコウ・チーム
だが、相手はあのアンコウ01に乗っていた少女達だ。
当然、ただ褒めちぎるわけもなく……
「動かし易いがミッションの切れが甘い。シンクロメッシュ構造の投入は英断だと思うがスリーブの磨耗が少々早くて、特にゴー&ストップの戦闘機動を繰り返すと性能劣化が激しい。素材をもう少し吟味したほうがいいんじゃないか? 同じことは操向装置にも言えるが……
「装填手としてはそうですね……弾薬庫の配置がちょっと効率的ではないと思います。特に即応弾をしまいこんでる砲弾ラックは場所はいいですが造りがちょっと華奢で、被弾の衝撃で落ちてきそうな気がします。あと、弾薬庫自体を防爆仕様にすることはできませんかね? 付け加えるならあと今以上の大型砲を搭載するなら、装填補助装置がいるかもしれませんよ?」
「砲手としては、砲だけでなく照準機にもジャイロ式安定装置を組み込んだのはいいと思うのですけど、エンジンの震動が大きすぎて宝の持ち腐れのよう気がします。それに照準機の安定化は1軸でなく2軸にした方が効率的なような?……主砲同軸の武2式機関銃をスポッティング・ライフルと兼用するのや
「通信手としては、そうだなぁ……そもそも無線機が性能不足の信頼性かな? というか従来型の車載用作るくらいなら、新規で防振/防塵構造を使ったメタル管やミニチュア管使用の小型高性能の無線機を作ったほうがいいと思うよ? 無線学校の友達に聞いたら部品自体はもう日本企業が作り始めてるみたいだし、秋葉原にも出回ってるみたいだよ?」
と盛大に駄目出しを始めた。
ちなみにこれは一部である。
流石は若くても戦場を経験し、さらに今も自分の得意分野を磨いてる専門家である。
これでも彼女達は丁寧に言っていた。
端的に纏めると、
麻子「造りが甘い。素材選別からやり直せ」
優花里「人間工学や安全工学ってのがわかってませんね~。これだから実戦の使い勝手がわかってない人は……」
華「やりたいことはわかりますが震動で台無しです。あと色々効率が悪いですね? 宝の持ち腐れにしたいなら止めませんが」
沙織「いや、古いタイプの無線機ってあんま使えないから。いっそ新しく作ったほうが早いじゃん?」
である。まさに技術者涙目の滅多切りであった。
そして、みほはこう纏める。
「麻子さんの件は早急に改善要請出すよ。今、ニッケル合金系やモリブデン合金系の研究をやってるチームにも回すから」
「わかった」
「弾薬庫や砲弾ラックのレイアウトや造りに関しては優花里さんが陣頭指揮を。責任者はわたしの名義でいいから。防爆構造の弾薬庫と装填補助装置に関してはすぐには無理だけど、アイデアはあるから後でまとめておくよ」
「了解です! 全身全霊でアドバイスさせていただきます!」
「華さんの件はむしろディーゼルの搭載方法自体から改善したほうが早いかも。例えば、車体に搭載する接合部にラバーバッファーかましたりサブフレームを挟むことである程度は対処できると思う。2軸安定化の件は照準機開発グループ話を詰めて比較してみよう」
「心得ましたわ♪」
「沙織さん、最新の小型真空管を用いた軍用無線機の設計できそうな人に心当たりある? あるなら連絡とって欲しいんだけど……」
「心当たりならあるよー。すぐに声をかけてみるね?」
まるで立て板に水のようにスラスラと問題提起に対する対応策を考え出すみほ……
やっぱりこの娘は何かが違う。
というか、将来の日本戦車の命運に関わるようなことが何気に出てきたような気がするが……?
***
しかし、そんなみほの姿を娘の活躍を見る父親のような顔で細見は見ていた。
(流石はみほ君が肝いりで連れてきた娘達だ。目の付け所や鋭さが半端ではないな……それに何より『実戦で何が必要か?』を頭でわかってるだけではなく、言うなれば肌で感じてるのも心強い)
「若いとは良いものだな。カビの生えた既存技術や古臭い慣例にとらわれず、失敗を恐れず新しい技術に手を伸ばし、それを躊躇いなく使う勇気がある」
みほ達を見ていると、自分ですらもまた既成概念にとらわれていたと思い知らされる。
しかし、一教育者……いや、一工学博士としてはこういうのも悪くないと思う。
こういうことを繰り返しながら、人の技術は発展してきたのだから。
「何を老け込んだようなことを言ってるんです? 閣下」
そう苦笑したのは、いつの間にか傍に来ていて敬礼するみほだった。
「なに。率直な感想というものだよ」
「”温故知新”という言葉もありますから。古きを知らなければ何が新しいかわかりません。英国人に言わせれば『真なる革新は、伝統の中からしか生まれない』そうですよ?」
「それは古き伝統を再検証し、否定するところから新しい何かが始まることでもあるだろう?」
細見の切りかえしにみほは爽やかに微笑むと、
「そうであっても全否定はしませんよ? 創生や創造より改善や改良の方が大抵は簡単に話が進みますから」
彼女の思いのほか”保守的な”台詞回しに、細見は楽しそうな笑い声をあげた。
「しかし、よろしいのですか?」
「何がだい?」
みほは神妙な顔をすると、
「わたしが先ほど行った行動は、一介のテスターとしては明らかな越権行為にあたると思いますが?」
確かにうるさ型の上司なら、みほの行動に眉を顰めるどころか大声で怒鳴りつけて叱責するかもしれない。
だが、細見はどこにでもいるそんなタイプの人間ではなかった。
細見はみほの頭を撫でながら、
「私はみほ君の、いやみほ君と君の信じる仲間達のポテンシャルを引き出し、この一式にフィードバックさせたいと願って君達を呼び寄せたのだ。一日でも……いや一秒でも早く【試製一式中戦車】から試製の二文字を外し、戦場で走らせるという悲願を達成させるためにね」
その姿はまるで本当の
「みほ君たちがその力を一式に全力で注ぐというなら、私に止める謂れはないさ。越権行為? 結構じゃないか。どんどん遠慮なくやりなさい」
みほは細見に釣られたように微笑んで、
「なら、せっかくなのでおねだりしてみようかと」
「言ってみたまえ」
「複数の発煙弾を同時発射できる専用の
「他には?」
続きを促す細見に、
「一式って英国戦車にならって車長用に”
「ああ」
「あれにちょっとした改良を……」
「後でまとめて稟議書にして提出したまえ」
「はい♪」
***
後年発見された故細見中将(退役時の階級)の手記には、こんな一文がある。
『もう軍人としてのピークを過ぎ、技官としても円熟期が終わろうとしていた時に西住みほ中尉(当時)と出会えたのは、まさに天の配剤といえるだろう。もし、彼女がこの計画に加わらなければ、私と既存概念が抜け切らぬスタッフだけで仕上げた一式は、もとまってはいるが平凡な戦車として戦車史の片隅に残ったに違いない。そしてそれはおそらく、後に続く三式重戦車以降の車両もそうだった筈だ。そう、戦後の子供向けの戦車本に「一式戦車はT-34のライバル!」と書かれる未来はなかったのかもしれない』
皆様、ご愛読ありがとうございました。
時系列的には久しぶり(笑)のあんこうガールズはいかがだったでしょうか?
なんか色々斜め上っぽい成長したような気もしますが……
そして今回は、一同による容赦ない駄目出しの嵐。
とあるご感想にも書かれてましたが、開発スタッフ涙目ですな(^^
そして次回は少しずつ戦の空気が……
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
***
設定資料
試製一式中戦車
主砲:一〇〇式長七十五粍戦車砲(口径75mm、45口径長。九四式七十五粍戦車砲を再設計)
機銃:武2式重機関銃(12.7mm)×1(主砲同軸)
武1919式車載機関銃(7.62mm)×2(砲塔上面、車体前面)
近接防御火器:九六式車載擲弾筒(砲塔上面。八九式重擲弾筒を車載用に改造した物)
エンジン:統制型九〇式発動機AL型(空冷V型12気筒ディーゼル、412馬力、排気量37.7L)
車体重量:32.5t
装甲厚:砲塔前面85mm(鋳造/避弾経始重視半球形状)、車体前面70mm(溶接/傾斜装甲)
砲塔駆動方式:油圧式
サスペンション:独立懸架装置+シーソー型連動懸架装置
変速機:前進4段/後進1段(コンスタントロード型シンクロメッシュ機構タイプ)
操向装置:油圧サーボ付二重差動式
履帯幅:500mm
特殊装備:1軸式|砲安定装置(ガンスタビライザー)、1軸
試験搭載:60mm三連装
最高速:45km/h
乗員:定員5名(車長が通信手を兼ねる4名運用も可能)
乗員用搭載自衛火器:ベ28式短機関銃
備考
前作の主役戦車である九八式重戦車と九七式中戦車を統合する「新世代の中戦車」……つまり後の”主力戦車”の概念に繋がる設計思想の元に作られた、「CODE1940」の主役戦車。
目標は「九八式以上の火力と防御力、九七式以上の機動力」であり、それを実現してるあたりが日本だけに限った話ではないが、ここ数年での戦車関連の技術向上を現している。
基本的にはソミュアS35戦車などの影響を受けたと思われる避弾経始を重視した半球形状の生産性に優れた鋳造工法で作られた砲塔と、表面を
この砲塔に搭載されるのは”一〇〇式長七十五粍戦車砲”で、基本的には九八式重戦車等の九四式七十五粍戦車砲を長砲身化し、薬室や尾栓を構造強化し、内部にクロームメッキ処理をしたもの。
冶金技術の向上と合金配合の見直しにより軽量化に成功しており、原型の九四式と比べても大きな重量増はなく、基本的に九四式搭載の戦車には無改造で搭載できるといわれている。
そもそもこの砲が開発されたのは、AP-HVあるいはAPCRと呼ばれる現在開発中の”高速徹甲弾”に対応するものであるようだ。
また九八式重戦車から技術的/構造的熟成が進んだ1軸式の
照準機は従来のドイツ式シュトリヒ・ゲージ型の発展型だが、搭載マウントに工夫がされており、上下方向のジャイロ
砲安定装置と安定化照準機という二つのデバイスは、日本がいかに命中精度にこだわってるかを示すものであり、以後も特に照準機は気を使われ設計されるようだ。
また九七式中戦車同様に武2式重機関銃を同軸に装備し、照準補助用のスポッティングライフルとして使用できるよう設定された。
作中の五十鈴華の言葉もあったが、照準機は今後二軸安定化が検討されるかもしれない。砲塔駆動は旋回速度の向上を目指して九八式の電気モーター式から油圧式に改められている。他に故障に備え手動旋回用の回転ハンドルも搭載されている。
パワートレインは、本来は九八式重戦車から搭載される予定だったが製造の遅れから間に合わなかった大排気量/高出力のAL型の九〇式統制型発動機で、発生した412馬力を伝達するトランスミッションは、日本戦車初のシンクロメッシュ機構を取り入れた物だ。
シンクロメッシュ自体がまだ新しい技術で、これから発展していくだろうが……麻子に言わせると、初乗車の時点では部品強度が足りてないらしい。
ただ、安心材料なのはこの時代の日本戦車は向上分業による大規模生産と整備製の向上のために今で言うユニット構造の概念が取り入れられ、特に「エンジンやトランスミッションは壊れ易い物」と認識されており、簡単に交換できるようになっている。
例えばエンジンは車体後部のエンジンパネル(車で言えばボンネットにあたる)は大きく開き、その開口部からエンジンを丸ごと取り出せるようになっている。また展開したパネルはそのまま整備台にもなる仕組みだ。
それだけではない。
エンジンとトランスミッションの結合は簡単に外せるようになっていて、またミッション自体がカセット式ユニットになっており、エンジンを下ろさずともミッションだけを車体底部に設けられた整備用パネルから抜き出せる構造だ。
そのような構造だった為に、エンジンマウントに防振用のラバーブッシュを追加する改造が簡単にでき、懸念だった大排気量化による震動はかなり軽減された模様。
操向装置は従来から使われてきた
操縦系全般に言えることだが、ハンドルやレバー、ペダルなどの操縦用インターフェースは可能な限り自動車に近い配置/操作感を得られるように配慮されている。
これはモータリゼーション以降日本人の免許保有率が上がると同時に日本における軍人は基本的に自動車免許の習得が強制されるため、有事の際に戦車操縦者を簡便に確保するための配慮だと思われる。
もっともこれは一式に限らず40年代開発の日本の戦闘車両全般に同じような配慮が為されており、後に車両転換の訓練日数を大幅に減少させる副次効果を生んだ。
サスペンションは、機械的熟成の進んだ九七式中戦車の強化発展型だが構造や素材を一部見直しし、自重40tまでの増加なら耐えられるキャパシティーがあるとされている。
また大型転輪と500mmの幅広履帯は九八式からの継承で、既にバトル・プルーフで信頼性実証されたものだ。
戦車用回転全周鏡《パノラマミック・ペリスコープ》は、簡単に言えば潜水艦に搭載される
日本のオリジナルではなく英国ヴィッカース社の”タンク・ペリスコープMk.IV”のライセンス生産品で、オリジナルは様々な英国戦車に既に採用されている。
ただ、このペリスコープに面積が取られてしまったために砲塔上に50口径機関銃が搭載できずに30口径の武1919式にダウンサイジングされてしまっている。
また、量産型では時間的制約から取り入れられなかった改善点や改良点は、後年のモデルに受け継がれることになるかもしtれない。
このようなスペックを実現したために一式は試製型ですら九八式重戦車の重量を越えてしまったが、陸軍の区分基準が1941年4月1日以降、「車両重量40t以上を重戦車とすること」と決まっているので、制式化が41年度予定の一式は中戦車という区分で生産されることが決定している。
総じて言えるのは、一式戦車は史実と異なり英米との関係良好化により早期の国家や重工業の近代化とモータリゼーションによる産業構造の変化による恩恵を最大限に受けたがゆえに完成した戦車と言えるだろう。
史実の戦車と比較して全体の印象&楽屋オチ
全体的なイメージとしてはM4A2に近く、パワートレインや操向装置は史実の四式中戦車を参照。パノラマミック・ペリスコープは第二次世界大戦中からの英国系戦車の特徴で、照準機はドイツの流れをくみ、最新技術の塊と思いきや実は既存技術の延長線上にあるコンポーネントが多いというごった煮です(^^
同格の戦車としては、75mm砲搭載型のシャーマンやT-34/76、長砲身型のⅣ号戦車、おまけにイタリアのP40戦車など。