装甲少女隊、北へ CODE1940   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ~。
ここ数日、風邪をこじらせて寝込んでいた作者です(^^
いや~、酷い目にあった。皆様も気をつけてくださいね?
今年の風邪は凶悪です(汗

さてさて、お待たせしました今回のエピソードは……いよいよ作戦開始です♪
序盤は静かに幕開けるかと思いきや、我らが西住少佐はノリノリのようですよ?




第33話 ”作戦発動です!”

 

 

 

 

 

「これより【オペレーション・バルジ・ブレイク(張り出し破砕作戦)】を発動する」

 

それが在満米軍西部方面軍団司令官、ジェファーソン・ウォレス・スティルウェル中将(臨時)がその日に皆の前で最初に発した言葉だったと記録されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************************

 

 

 

 

 

1940年12月1日、その日のハルハ河東岸(イーストバンク)の目覚めは、柔らかな冬のモンゴル平原の朝日でも鶏の鳴き声でもなく……

 

”BWwooooooooooooooom !!”

 

空から響く航空機の爆音と、

 

”ZuBoooooooM !!”

 

”ZuBoooooooM !!”

 

”ZuBoooooooM !!”

 

投下された航空爆弾の炸裂音から始まった。

 

「な、何が起きたっ!?」

 

現在のハルハ河東岸は、互いの部隊が接敵して大きくても中隊レベルの小規模な戦闘になることはあるが、基本的にはロシア人の実効支配地域だった。

 

そもそも祭礼場(オボー)というのは内モンゴルと外モンゴルの境界線であるため、オボーより西側、具体的にはハルハ河東方約20キロの低い稜線上の線を国境とした場所は我らの土地と『モンゴル人民共和国』は主張していた。

 

無論、この場合のモンゴルはソ連赤軍を招き入れて自国民を大量粛清した独裁者、”ホルロギン・チョンバルサン”の個人崇拝じみた政治体制の国家であり、実質的にはソ連の傀儡である。

そもそも、米国は「ソ蒙相互援助議定書」などというふざけた代物に署名し、在蒙ソ連軍に自国民を虐殺させる指導者がいる国など、まともな国家とみなしていない。

 

しかし、モンゴルとソ連はアイグン条約・北京条約を盾に取り、そこを国境と主張していた。

しかし米国は、『ハルハ河からモンゴル・ソ連側主張の国境線までは、草原と砂漠である。土地利用は遊牧のみであり、国境管理はほぼ不可能と考えられる』と主張し、ハルハ河を国境線とすることこそ合理的と主張していた。

 

 

 

さて、ここ1週間ほど……正確には「米軍は戦車は最新でも砲弾は中古」という結論が出てから、在蒙赤軍とモンゴル軍は”ノモンハン・ブルド・オボー”に代表されるハルハ河東岸に配備する兵力を一気に増やしていた。

 

現状、在満米軍西部方面軍団に積極的攻勢に出る力はなく、大規模な兵力を展開しても問題ないと判断されたのだ。

むしろこれみよがしに大規模な部隊展開を行うことで、金に汚く欲深い資本主義者達の領土的野心を抑制できると踏んでいた。

 

その効果は確かにあり、米軍は時折偵察機を飛ばしたり歩兵の偵察隊を潜り込ませたりしてくるくらいで、装甲偵察隊の投入は自粛していた。

これをソ連は、

 

『エカテリーナ大尉の部隊に粉砕され、砲弾の不備をこちらに気付かれた米国は装甲隊を積極的に投入することができなくなった』

 

と判断していた。

唯一気になるのは、高高度を信じられないような高速で飛ぶ日本人が持ち込んだらしい双発偵察機だが……

これもこちらが高射砲を撃ったり、迎撃機を上げればすぐに逃げ出してしまうのだから特に問題ないとされた。

確かに領空侵犯した上に一方的に上から見られるのは癪だが、こちらの巨大な兵力を見せ付けることによってむしろ抑止力になると上は判断していた。

だが……

 

 

 

「指揮官殿! 米軍の空襲ですっ! ぎゃぁぁぁーーーーっ!!」

 

報告してきた兵は地上掃射に放たれた50口径機銃弾により細切れにされた。

案ずることはない。

指揮官も射線上にいたためほぼタイムラグ無く兵の後を追ったのだから。

 

 

 

***

 

 

 

延べ200機の航空機が投入された第一次攻撃(1stストライク)は、ハルハ河東岸に設営された野戦飛行場や機甲兵力集積地、それに砲兵陣地や隣接する燃料/弾薬庫などが集中的に狙われた。

 

この時期、ソ連軍は臨時に完全充足の米国1個師団相当(2万5千人以上)の戦力をハルハ河東岸に展開していたと言われているが、この最初の攻撃で3千人以上が戦死したと言われている。

繰り返すが、何もしないうちに全体戦力の1割強が失われたのだ。

しかも航空機はほぼ使い物にならず、

 

 

だが、所詮それは殺戮劇の始まりに過ぎない。

 

”ZvooooM !”

 

「ぐひゃあっ!?」

 

”ZvooooM !”

 

「ひげえっ!」

 

”ZvooooM !”

”ZvooooM !”

”ZvooooM !”

”ZvooooM !”

”ZvooooM !”

”ZvooooM !”

 

次に飛んできたのは大口径の榴弾。

アメリカ陸軍自慢の野戦砲隊の釣瓶撃ちだった!

 

彼らが狙ったのは、判明してる限りの野砲隠蔽点や永久陣地、前線集結地だった。

航空偵察を地道に続ける日本空軍の”一〇〇式司令部偵察機”がソ連は酷く気になったようだが、それをあえて”見せ札”にし、従来どおりの歩兵を使った偵察や原住民を使った諜報活動、近距離偵察機などを併用し、米軍はかなり正確にハルハ河東岸の敵戦力分布を把握してるようだ。

 

ヒューマン・リソースを使った諜報戦ではソ連の後塵を浴び続けてる米国だが、ことハードウェア的な偵察能力とソフトウェア的な情報分析は一級品だ。

 

物量と火力に物を言わせた攻撃に関しては特に米国は強い。

空爆と砲撃がお家芸になるのも頷ける次第だ。

 

何もかも吹き飛ばすような戦争屋というより土建屋の発破仕事を思わせる(それにしては規模が大きすぎるが……)間隔の短い、どれほどの砲が投入されているのか予想もつかないような砲撃の後……

 

 

 

「おい……嘘だろ……」

 

「戦車だぁぁぁーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

 

 

 

 

「蹴散らせっ!」

 

キューポラから身を乗り出し、みほから賜った同田貫を指揮棒代わりに振るい、百足衆全員に突撃指示を出すのは鶴姫しずか少尉だった。

 

彼女の率いる10両の”九八式巡航軽戦車”からなる「百足装甲偵察中隊」の役割は、本来の装甲偵察中隊ならありえないこと……装甲隊の先陣を切り空爆と砲撃で混乱した敵の防衛線に持ち前の高い機動力を生かして切り込み寸断。

敵の組織的な反撃を阻害し、戦線を立て直す時間を与えないことだった。

 

無論、この”防衛線切断作業”を行っているのは鶴姫達だけでなく、M2軽戦車やぎりぎりで納品が間に合った最新のM3軽戦車で構成される多くの米軍装甲偵察隊も参加している。

 

 

 

無論、軽戦車のこんな使い方を考案したのはみほだ。

当初、防御力の低い軽戦車を偵察でなく先陣として使うことには反対していた。

砲撃支援と航空支援が受けられるとしてもだ。

だが、

 

『装甲偵察隊は、馬を軽戦車に代えた現代の軽騎兵ではなかったのですか?』

 

『それはそうだが……』

 

『なるほど。南北戦争において騎兵は突撃し、敵の隊列を崩し、回り込み、敵を混乱折るつぼに叩き込み、敵の防衛線をパワーとスピードで突破し蹂躙するものと弁えていましたが……騎兵精神が、もう北米大陸から失われたのなら仕方ないですね? その先陣を切る役目と名誉、名門騎馬軍団の血を引く極東の小娘に全て任せますが、よろしいですよね?』

 

この時、装甲偵察隊の統括を任された将校がなんと答えたのかは残っていない。

ただ、米軍の騎兵隊(軽戦車隊)がこの第一陣に参加してるのは確かだ。

 

そしてそのやり取りをスティルウェルとコリンズは、

 

((この娘はひょっとして、こと戦争に関する限り知らないことはないんじゃないか?))

 

と錯覚に満ちた感想を抱きながら、そのやり取り興味深げに見ていた。

 

 

 

***

 

 

 

「ふははっ! さすがは”軍神”と噂高い西住少佐殿! 我らに一番槍、朱槍の名誉を下さるとは実に愉快っ!!」

 

戦場に呵呵大笑する鶴姫。

その間にも行進間射撃による砲撃で、こちらを狙おうとしていた旋回中の野砲にキャニスター弾を叩き込み、砲兵を挽肉に変えると同時に野砲をスクラップに変えていた。

 

「それにしても……」

 

鶴姫は艶かしい表情をすると、

 

「西住少佐殿の演説……濡れたな」

 

「ぶるるっ!」

 

足下から響く嘶き……「走行中の震動で舌を噛まないように」という名目で轡をはめてる少女に、

 

「妬くな妬くな。松風とて漏らしていたでおろう?」

 

「ひひん……」

 

「恥じることも謝ることもないぞ? 馬が所かまわずいばる(放尿する)のは当然ぞ。犬猫ではあるまいし、愛馬のお前にいちいち厠の躾などしたりせん」

 

「ひひん♪」

 

「ふむ。我も愛しておるぞ?」

 

そして鶴姫は松風(馬娘)の首筋を足で撫でる。

 

『なあ、姫……』

 

「なんだ遠藤?」

 

『毎度思うが、よくそれで会話が成立できるな?』

 

「松風は我が愛馬ぞ? 嘶き一つで心根を理解できんようでは、主は務まらん」

 

「ぶるぅ♪」

 

『へいへい。お熱いこって』

 

 

 

***

 

 

 

『アリサ、小隊1個率いて左の野砲陣地、潰してきてくれる?』

 

「Yes, Mam !」

 

アリサは武者震いというより歓喜に打ち震えた。

今やすっかり虜になったみほ直々の指名だ。

これに応えられなければ女が廃る!

 

「サンダース中隊第3小隊! 全車、榴弾装填! 我に続け!」

 

命令一下、アリサ車含め5両が向かい、

 

「FIRE !」

 

間髪いれずに日本製の75mm榴弾を叩き込む!

誤解のないように言っておくが、アリサだけでなくサンダース中隊の技量は、他の米国戦車部隊に比べて元々技量は劣っていない。というよりむしろ平均と比べて勝ってるくらいだ。

それは戦車の座乗時間の長さであり、軍広報部隊として潤沢な予算が与えられた彼女達は、望めば望むだけ戦車に乗ることができた。

陸軍兵という意味での経験の浅さを戦車を動かした時間で埋めようとしてるのが彼女達であり、なによりも彼女達には既に目標とすべき存在がいたのが大きかった。

かつての「大洗女子戦車学校」、その中でも規格外の実力を持つ”アンコウ01”という目標を、だ。

 

「全車、もう一射後に蹂躙戦用意!」

 

「ア、アリサ、何もそこまで……」

 

”ガッ”

 

アリサは、操縦手の肩を強めに踏みつける。

 

「痛っ!?」

 

「何、甘いこと言ってるのよ?」

 

「えっ?」

 

その瞳は彼女が知る”前のアリサ”とは明らかに違っていた。

端的な言い方をすれば”座った目”で、

 

「ミホ隊長が”潰せ”とおっしゃったのよ? なら徹底的に()るに決まってるじゃない」

 

みほの影響でまた一人”戦鬼”が生まれたようだ。

後に言う「サンダース三巨頭」、”タクティカル・ケイ(戦術家ケイ)”に”ロングバレル・ナオミ(長距離砲戦のナオミ)”に続く三人目、そしてある意味三人の中でもっとも恐れられる”ノーマーシィー・アリサ(無慈悲なアリサ)”の開眼の瞬間でもあった。

 

「All Guns, FIRE !!」

 

 

 

***

 

 

 

さて、ここで少し編成のおさらいをしておこう。

 

みほが率いる装甲大隊の中核となるのは、試製一式中戦車16両とM4中戦車16両の2個中隊で、百足衆装甲中隊10両の九八式巡航軽戦車と赤星小梅率いる8両の試製一式突撃砲車からなる”黒森峰隊”の合計50両だ。

 

同じ中隊編成16両と言っても今回は日米で少し編成に差があり……

 

試製一式中戦車試験中隊(プロトワン・テストトルーパーズ)

大隊指揮小隊:アンコウ(みほ車)、アリクイ(猫田車)、カモ(そど子車)、レオポン(ナカジマ車)

カバ小隊:カバ01(カエサル/モルトケ車)、02、03、04

アヒル小隊:アヒル01(磯部車)、02、03、04

ウサギ小隊:ウサギ01(澤/阪口/宇津木車)、ウサギ02(山郷/丸山/大野車)、03、04

 

基本4両編成小隊×4の編成の日本式で、サンダース戦車中隊(サンダース・タンクトルーパーズ)は中隊指揮小隊であるケイ直轄の第1小隊が6両で、ナオミとアリサが率いる第2/第3小隊がそれぞれ5両ずつの米国式準拠となっている。

 

 

 

『西住隊長、どうやらようやく敵さん戦車で迎撃することに気が付いたみたいですよ?』

そう通信を繋いできたのはナカジマで、みほも双眼鏡で確認。

ざっと見たところ、

 

(ソ連式1個旅団ってとこか……)

 

KV-1重戦車10両にT-34(ピロシキ)中戦車16両、T-26軽戦車20両。

史実の1941年編成と言ったところだ。”この世界”ではもう少し旅団規模が大きくなってる筈なので、空爆や砲撃で少しばかり数を減らしたのだろう。

数的には釣り合いが取れるが……

 

「こちらでも確認したよ。ケイ、サンダース2個小隊率いて右から回りこんで追い込める? アリサは合流を優先!」

 

『まかせといてよっ!』

 

『了解ですっ!』

 

ついで僅かに後方を走る小梅たちに

 

「黒森峰隊は左へ展開。敵の逃げ道に控えて! 百足衆は追撃準備をしつつ私の中隊後方に待機!」

 

『承知!』

 

「試験中隊は全車停止! 弾種、APCBC-T/HE! 優先撃破目標、KV-1! 狙いは車体! 中隊統制射撃用意! 足を止めて殴りあうよ!」

 

 

 

***

 

 

 

『旅団長! 敵戦車隊主力、足を止めました! 分派隊は左へ回り込みます!』

 

車高が低い上に光学的な意味でも戦場雑音の多いこの環境、黒森峰はどうやら見落とされてしまったようだ。

 

「面白い! 中古砲弾で我らと殺り合おうというのか? 軽戦車隊を左へ! 足止めに専念させよ! 正面の敵を蹴散らした後に蹂躙してくれる!」

 

彼我の距離は約800m、

 

「KV-1を前面に! 各車500で発砲開始! 敵の主砲ならまず零距離でも貫通はせん! 足を止めての殴り合いが望みなら受けて立ってやる!」

 

その赤色旅団長の自信はもっともではあった。

KV-1の正面装甲は車体前面でさえ75mm、砲塔前面に至っては90mmもあるのだ。

日米戦車の中古砲弾などに貫かれるわけはなかった。

そして距離550mとなった時……

 

「敵戦車、発砲!」

 

「馬鹿が、あせりおって。そのような距離で発砲したところでこちらにダメージが……」

 

それが旅団長の最後の言葉だった……

 

 

 

「ファイヤ!」

 

みほの言葉によって16両の一式中戦車が一斉に火を噴く!

 

この赤色師団長にとっての不幸はいくつかあった。

まず、このとき使われたタングステン弾芯仮帽/被帽付炸裂徹甲弾(APCBC-T/HE)が、現在開発中のHVAP-Tの開発過程で出来上がった強装薬薬莢と最新砲弾を組み合わせたハイパワーカートリッジだったこと、また一式中戦車の主砲がAPCBC-T/HEやHVAP-Tなどのハイパワーカートリッジの性能を生かすべく長砲身化したモデルで、結果として砲口初速がM4のそれと比べて1割以上高速であり運動エネルギー換算で2割ほど上回っていたこと。

 

また旅団長の乗るKV-1がbisでなく初期モデルであり、表記的には同じ90mm厚装甲でも、その傾斜角度が浅く、また車体にはほぼ垂直面もあったことなど……

 

そして結果は無残なまでに一方的だった。

 

『旅団長車、擱坐!!』

 

『指揮は大隊長のどちらかが……』

 

『敵、第2射! ぎゃあぁぁぁぁっ!?』

 

阿鼻叫喚とはまさにこのこと言うのであろう。

旅団長戦死で一時的に浮き足立ったところで間髪いれずに再び統制射撃、それに加えて……

 

Go A Head(全車、突撃)!」

 

タイミングを見計らうようにケイ達が横合いから殴りかかったのだ。

いくら倍の数があると言っても、最大速度30km/hで最も厚い部分でも25mmの装甲では、まともな中戦車相手には分が悪すぎる。

しかも……

 

「鶴姫さん、外から回りこんで半包囲! 敵の逃げ道を一本に絞って!」

 

敵の統制が乱れたことにより敵将の戦死を勘付いたみほが機甲予備の鶴姫を投入!

KV-1を殲滅した後に合流したアリサ小隊と共にT-34の掃討戦に移行する!

 

敵は体制を建て直しながら撤退しようとするが、

 

「全車追撃戦、用意! 戦車隊、前進っ(パンツァー・フォー)!!」

 

容赦のない追撃が襲い掛かった!

 

 

そして、とどめは……

 

「みほお嬢様の命により、お命頂戴します! 全車、砲撃開始!」

 

逃げ出すT-34の横合いから殴りかかる一式突撃砲車の群れ……ここに哀れな赤軍旅団の命運は決まった。

 

 

 

***

 

 

 

これはこの日に起きた戦いのほんの一幕に過ぎない。

しかし、ここまで一方的でないにせよ戦いの勝敗という意味においては、ハルハ河東岸で起きた戦いの縮図と言っていい。

 

航空機の大半を野戦飛行場ごと潰され、統制の取れた組織だった反撃が最後まで取れなかった赤軍は、日米両軍の総攻撃により総展開兵力の半数以上の死者を出し、ハルハ川西岸まで撤退することになる。

 

一部決死隊による夕闇にまぎれた暫定的な反撃も試みられたようだが、結果としてそれも徒労に終わる。

 

かくてハルハ河東岸はこの日を境に支配権が在蒙赤軍より在満米軍の手に移った。

もっともこれが恒久的支配権と成るかは、まだまだ予断を許さないところではあるが……

 

「第一段階、終了……かな?」

 

残敵掃討を行う最中、みほは夕暮れに染まるモンゴル平原を見ながらそう呟いた。

うっすらと微笑む彼女の視線の先には、血の海を思わせる鮮烈な紅い風景が広がっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、御愛読ありがとうございました。
久しぶりの血と硝煙の香り漂う戦場はいかがだったでしょうか?

みほと鶴姫は平常運転(笑)ですが、アリサの変貌っぷりガガガ……

次回は益々激しくなる戦場、戦闘は陸上だけではすまなくなりそうです。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!



***



設定資料



一〇〇式司令部偵察機

製造元:三菱重工
エンジン:金星51型(1速2段軸駆動式過給器(スーパーチャージャー)付き空冷複列星型14気筒OHV、1300馬力)+推力式単排気管
最高速:615km/h(高度6000m)
航続距離:4000km(落下式増槽装着時、最大)
上昇限度:10700m
上昇力:8000mまで11分59秒
プロペラ:定速式3翅(米ハミルトン社製の正規ライセンス生産品)
特殊装備:自動防漏(セルフシーリング)構造防火タンク(13mm厚積層ゴム。50口径級機銃弾対応)、防弾板(50口径級機銃弾対応)、防振処理空中無線機(近~中距離、遠距離用二系統)、各種航空写真機、航空機用ムービーカメラ、高精度航法装置(慣性航法装置、電波高度計)、無線誘導装置
オプション:三軍共用落下式増槽

備考
日本空軍の誇る”一〇〇式トリオ”の一つであり、傑作そろいと評判のトリオの中で最も成功作とする者も多い長距離偵察機。別名”新司偵”。
スペック的にはⅡ型とⅢ型のちょうど中間に当たる機体で、ややⅢ型よりと言ったところだろうか?
とにかく司令部に必要な情報をいち早く探るために「速く遠く正確に飛ぶ」ことを絶対のコンセプトとして作られた機体である。
その為、エンジンや機体よりもとにかく撮影機材と航法装置関連が原型に比べて著しくバージョンアップされており、日本だけでなく英米の最新機材がこれでもかとかき集められた風情がある。
その見返りと言ってはなんだが、その機材提供の代わりに高性能に目を付けた両国から供出を求められた機体であり、かなりの数が英米の識別マークをつけた第二次大戦に参戦してる。
東京五輪の空で華々しいデビューを飾っただけではなく、日英米の三軍で使われたせいもありその生産数のわりにはメジャーになりすぎてしまったせいか”第二次世界大戦で登場した最も美しい機体の一つ”という評価はまだしも、”空の百合”や”地獄の天使”などに代表されるように様々なニックネームが付いた。

元々、戦略偵察機の先駆けともなった先進的なコンセプトと優れた空力設計に加え、将来的にどのような機材が搭載されるのかわからないので発展的余裕のある機体拡張性も考慮され設計されたためにアップデートがしやすく、例えば日本では最終的に電探を搭載した排気タービン付星型18気筒エンジン版が製造されたり、英国では爆撃隊の先導をするパスフィンダー・モデルも製造されたようである。








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