ロキファミリアの囮役   作:杉山杉崎杉田

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壊れた

 

 

気が付けば、59階層は焼け野原だった。隕石の奥からブラムの気配は欠片もない。というか、あれ生きてんの?あれでも生き返れんの?って感じだった。

それだけではない、倒れたリヴェリアとガレス。モンスターからの攻撃は止んでいるものの、女体型は周りのモンスターから魔力を吸って、また魔法を放つ準備をしていた。

アイズもレフィーヤもティオナもティオネもベートも、他のサポーター達は絶望的な表情を浮かべていた。

その中で、フィンは。

自分の顔を右手で拭き払い、立ち上がった。そして、先頭に出て地面に刺さっている槍を抜いた。

 

「あのモンスターを、討つ」

 

息を呑むティオナ達。

 

「君達に『勇気』を問おう。その目には、何が見えている?恐怖か、絶望か、破滅か?僕の目には倒すべき敵、そして勝機しか見えていない」

 

全員の肩がぴくっ、と震えた。

 

「女神の名に誓って、君達に勝利を約束しよう……それとも、」

 

そこで言葉を切って、後ろの仲間達を見て微笑んだ。

 

「ベル・クラネルの真似事は、君達には荷が重いか?」

 

直後、全員の瞳に闘志が宿った。

そして、立ち上がった。

 

「雑魚に負けてられっか‼︎」

 

「……上等じゃない」

 

「あたし達も『冒険』しなきゃね」

 

ベート、ティオネ、ティオナと吐き捨てて立ち上がった。その様子を見て、フィンは全員に指示を飛ばした。

 

「ラウル達は後方に残って支援しろ‼︎僕とアイズ達で女体型に突撃する!レフィーヤ、君も来るんだ‼︎」

 

「はい!」

 

全員突撃し、フィンは一番最後からついて行って、倒れてるガレスとリヴェリアに言った。

 

「リヴェリア、ガレス、ここで終わりか?ならそこで寝ていろ。僕は先へ行く」

 

そう言い残し、モンスターの方へ走った。その直後、ガレスは身体を起こした。

 

「あのっ、クソ生意気なパルゥムめッ……!おい、いけ好かないエルフ‼︎そこで寝とる場合かぁ⁉︎」

 

「……黙れ、野蛮なドワーフッ」

 

血を垂らしながら二人は起き上がった。

 

「斧を寄越せえぇ‼︎」

 

「お前たち、私を守れ‼︎」

 

その行動を見て、椿は右目を細めた。

 

「いいものを見た。手前も一助となろう」

 

そう呟くと、椿も参加しようと太刀を構えた。

女体型を倒すため、全員が再び戦闘を開始した。

 

「アイズ、力を溜めろ‼︎全力の一撃で君が決めるんだ‼︎他の者はアイズを守れ!」

 

フィンの命令に従い、アイズは魔法を纏い、ティオナ達は他のモンスターや触手と戦闘を開始した。

 

「レフィーヤ、『並行詠唱』を始めろ!魔法の選択は君に任せる!」

 

「はい!」

 

そして、フィンも自身に魔法をかけようとした。その直後、ガララッと音がした。

場所は女体型の真後ろの隕石群の跡、そこから復活したブラムが姿を現した。

 

「ブラム、君はなるべく多くのモンスターを引きつけるんだ!僕達がもう死なせない‼︎」

 

「了解」

 

随分とあっさりした返事が返って来たが、了解してくれたなら良いと思い、フィンは指揮を捨てた。

 

「【魔槍よ、血を捧げし我が額を穿て】」

 

直後、フィンの碧眼が紅色に染まった。

 

「【ヘル・フィネガス】」

 

戦意高揚の魔法、但し代償としてまともな判断力を失うことになる。

 

「うぉおおおおおおおおおおッッ‼︎」

 

雄叫びと共に、ブラムを追い掛けるモンスターの群れに突っ込んだ。二振りの長槍を持ち、迫り来るモンスターを片っ端から粉砕し続けた。

 

「団長のあれ、久しぶりに見た……」

 

ポツリとティオネがつぶやいた。仲間である自分達すらも畏怖させる暴れっぷりだった。

追いかけられてるブラムは、いつもとは真逆で無表情に敵の攻撃を避けていた。表情一つ変えずに、攻撃を避けまくる。

そのあとに続くモンスターを、フィンを中心に全員が狩りまくった。

 

「ナイス、ブラム!」

 

「…………」

 

「あ、あれ?」

 

ティオナが言ったが返事がない。

 

ただ淡々と敵からの攻撃を避けていた。

すると、モンスターが何体かアイズの方へ向かった。

 

「!」

 

「ヤベェ……‼︎」

 

ベートが声を漏らした直後、ブラムは敵の攻撃をワザと受けた。片腕が吹き飛び、宙を舞った。その腕を掴んで、アイズの方に向かったモンスターに投げた。

モンスター達はブラムの腕の【攻撃目標】に反応し、そっちに方向転換する。

 

「⁉︎ ブラム⁉︎」

 

ティオナが心配そうに声をかけたが、反応はなかった。

そのままモンスターに殺され、死んだところを復活し、機械的に囮役を再開した。

 

「ちょっと、どうしたのよティオナ⁉︎」

 

「なんかブラムが変!」

 

「はぁ?」

 

次々にモンスターの攻撃を躱し続けるブラムは、壊れていた。今までは死ななくなったという事もあり、自分から死にに行っていたりもしたが、当然痛みもある。

自分の仕事と割り切っていたし、死なないなら痛みなんて一瞬だと自分で思い込んでいたが、死ぬほどのダメージを何度もくらい続け、知らず知らずのうちに精神の別の場所が壊れ始めていた。その限界が、メテオスウォームによって来たのだった。

 

「と、いうことかもしれんのう」

 

ガレスが戦闘しながら言った。

 

「どうするのこれ⁉︎」

 

「とにかく、今は囮役を続けてもらうしかないのう。じゃないと、儂等が危ない。じゃが、これ以上、ブラムを殺させるわけにもいかんかもしれん」

 

「………分かったよ、ブラムに囮をしてもらう。代わりに、私がブラムを護る」

 

ティオナはそう言うと、ブラムのあとを追った。

 

 




なんか深夜テンションです。やり直すかも、
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