深夜のアンティデュエルがあった数日後……現在、3クラス合同でのクロノス教諭の授業中だ…………
「それでーワ、シニョール天上院。カードの種類について説明出来ますーノ?」
名指しされた明日香はスッと椅子から立ち上がるとスラスラとクロノス教諭の問いに答え始めた。
「はい、まずデュエルモンスターズのカードはモンスターカード、魔法カード、罠カードがあります。そしてモンスターカードは通常モンスター、効果モンスター、儀式モンスター、融合モンスターの4種類に……魔法カードは通常魔法、速攻魔法、永続魔法、儀式魔法、装備魔法、フィールド魔法の6種類。罠カードは、通常罠、永続罠、カウンター罠の3種類にそれぞれ分類出来ます」
「スプレンティーッド!素晴らしいのーネ!さすがに貴女には易しすぎましたーネ……では、シニョール三林満!」
明日香が座るのを見届けたクロノス教諭が次に指名をしたのは……デッキ構築をノートに書いていた満だった。満は指名された事に気付くと立ち上がった
「ん……あぁ、はい」
「ちょっと難しい問題になるとは思いますーガ、この問いに答えてみてくださいーノ!」
プロジェクターにより、黒板に映し出された文章は以下の通りだ。
~
ポールポジションが発動されており、相手フィールド上に«デーモンの斧»を装備している«ネオバグ»が居るとき、自分が«メカ・ハンター»を召喚しようとしたらどうなる?
~
「えっと……まず、この場合だとポールポジションの効果により、攻撃力の一番高いネオバグに効果が及んで魔法効果を受け付けなるのでデーモンの斧の効果が無効化されます。しかし、この状態で召喚した場合、攻撃力はメカ・ハンターの攻撃力が1番高くなります。ここでポールポジションの効果がメカ・ハンターに移ります。すると、ネオバグに効果が及ばなくなるのでデーモンの斧に効果が適応されます。これで再び攻撃力の高いネオバグに効果が及びます。そして再び最初の説明に戻りループしてしまうため、ループを継続させる行為であるメカ・ハンターの召喚自体をすることは出来ません。ついでですが今回のポールポジションでの効果範囲はネオバグの元々の攻撃力値に1を足した数値からデーモンの斧適応時の攻撃力値……2800までが効果移動適応範囲内となるので……攻撃力1801以上2800未満が対象となりますので、その間の攻撃力を持つモンスターの召喚・特殊召喚は出来ないものと見て良いと思います。……ですが、ポールポジションはその特徴故に調整中の部分が未だ多くあるので注意が必要です。例えば……」
「も、もういいのーネ! …………ここまで見事に答えられるとは……思わなかったのーネ…………さて、それでーh【キーンコーンカーンコーン】……まだ途中ですーガ、本日はこれで終わりますのーネ!」
『ありがとうございました!』
満の予想外の知識量に困惑気味に区切らせたクロノス教諭だったが、少しブツブツ呟いていたかと思うとスグに元に戻って次の人を指名しようとしたら授業終了の鈴が鳴ったので少し教えたらないと言った様子ではあったが授業を終了させた。
そして、お昼時……イエロー寮の食堂では満と遊介が各々昼飯の乗ったトレイを席に持って行って仲良く談笑しながら食べていた……
「そういやさ、さっきの体育授業の終わりん時にさ……翔を見なかったか?」
「ん?いや、見てないが…………どうしてだ?」
「……とりあえず、今日の夜は俺の部屋来てくれるか?」
潜める感じの言い方に加えて満のこの言葉で遊介はある程度の把握をした。
「……ああ、大まか把握したぜ。そういやその時期か…………」
「あぁ。だからさ、今晩……良いか?」
「あぁ、俺もイベントは逃したくないしな……了解。」
と、遊介が頷くと、遊介のポケットのPDAが鳴った……
「……ん? 十代だ……どうした?」
どうやら相手は十代だったようで…………
『よぉ! あのさ、翔のやつ見なかったか?』
十代の質問にデジャヴかと思いながらも遊介は答える
「いや、見てないが……どうした?」
『実はさ、さっき……ニヤニヤしながらドローパン食ってたんだよ…………』
十代の答えに遊介はやっぱりと思いながら話を続けた……
「別に普通じゃないか? 好きな具が当たったとか黄金の卵パンが当たったとか……」
『いや、それはねぇ』
遊介の言葉に対して即答で否定をする十代……と、言うのも
『だってよ? 具なしパンだったんだぜ?しかもその中にあったカードもめぼしい奴は無かったらしいし……そもそも黄金の卵パンなら俺が引いたんだぜ!』
「……そーいや、これで初日からお前が引き当てる連続記録続いてるな。まぁ、気にせず…………とりあえずさ、今日はそおっとしてあげたら?理由はさ、明日にでも聞けば良いだろ?」
『うぅ~……分かった…………明日にでも聞いてみるぜ! じゃあな!』
ちょっと腑に落ちない感じではあったものの、最後は明るいいつもの十代に戻り通話は切れた……
「確定だな」
「だな……それじゃ、また後で!」
短い会話をしながら食べ終えた食器を返却し、次の授業が互いに違う科目を選択していたためにそれぞれ別の教室へと向かっていった…………
そして、その日の夜……
「よぉ、満~!」
「……お、遊介! ちゃんとデッキとディスクは持ってきてたんだな」
「当然!」
満の部屋に遊介がやって来た……当然のようにデッキとデュエルディスクを持って…………
「あ、折角だしさ……久々にあのデッキを使ってみようと思ってさ!」
「あのデッキか……全盛期の動き出来んのか?」
「おう! エクシーズは使わねーけどさ……『マジシャン』の二つ名を受けていたあの時と動きは変わらず出来ると思うぜ? 『瞬間勝負師』さん」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる遊介の口から出た『マジシャン』と『瞬間勝負師』……これらは満達4人に前の世界で付いた二つ名であり…………
遊介は『マジシャン』。これは儀式を多用する彼が全盛期の時の動き方がまさにマジシャンの様にあれよあれよとフィールド・手札のアドバンテージを取られてしまう様子から名付けられた。彼が全盛期の時は満や龍騎でさえも手も足も出なかったほどである……
そして、満の『瞬間勝負師』…………これは満の最も得意とする展開力であっという間にフィールドを我が物にする速さ、そしてその展開を最大限出来ると予想を付けるタイミングが素晴らしくマッチしていた様子から名付けられた。
龍騎と燐平にも二つ名はあるのだが、これが明かされるのは後程となるだろう…………(どちらかはおおよその検討を付けられるとは思うが……)
「おいおい……言ってくれるじゃねぇか…………これは益々先攻取らねぇと負けるかもな?」
その言葉を聞いた満は苦笑いをしながらも腰に掲げたデッキをデュエルディスクにセットした……
「ちょ、おま……そのデッキってもしかして…………」
顔をひきつらせてデッキを指差す遊介に満はニヤリとほくそ笑みながら答える
「あぁ。【六武衆】シンクロ・エクシーズ無しのこっち準拠さ。」
「それ門全積みだろ……鬼だな」
「まぁ、1体出すだけでサーチ出来るしな、強いよ」
「まさかとは思うけど……【六武衆霞城ver.】?」
「勿論だ。道場はデッキが膨らむから諦めたけどな」
「いや、それ入ると展開が楽になり過ぎるから正解だって……じゃなくて門全積みの時点でアウトだろ」
「真六武マジ万歳」
「これは先攻めっちゃ取られたくないわー」
と、互いのデッキを晒し笑いあったた時……遊介のPDAに連絡が…………相手は……
『遊介! 頼みがあるんだ!!』
「十代、今夜中だ。声のボリュームに注意しろ」
十代だ……その声色から少し慌てている様子が見てとれる。
『翔が誘拐されたんだよ!!』
「……マジか!」
『あぁ! それで女子寮に今から向かうんだけどさ……場所知らねぇから今から合流出来ねぇか!?』
「あ~……構わねぇぞ。誰か誘おうか?」
『そうしてくれると助かるぜ!』
その言葉で連絡が切れた……
「そういうわけで、着いてきてくれるか?」
「いいとも……ってか?」
そして満と遊介の二人はそのまま部屋を駆け出して行った…………
さて、何だかんだで女子寮付近の裏にある湖にてボートに乗って漕いでる俺、遊介だが……
「……んで、龍騎と燐平も助っ人で呼ばれたのか?」
「うん。まぁ、翔君は結構仲良いからね。折角だから……」
「俺もな。霧斗はもう寝てたから起こすのも悪いなと思ってさ……」
「そっか……」
結局、翔救出組は俺・満・龍騎・十代・燐平の5人みたいだな。原作だとその場に居たのは明日香と取り巻きの二人だけど……俺らと人数合わせるには5vs5だよな。後二人居るとしたら誰だろ…………愛花は居そうかな?でも他に居るっけ……?
「やっと来たのね…………!?」
「あら、この坊や達が貴女の気になってる殿方?」
うわぁお、まさかの藤原雪乃じゃん。生は当然ながら初見だけど…………存在感すげぇな……
「そ、そんなのじゃないわよ雪乃! ……どうして十代しか呼んでないのにこんなにも居るのかしら?」
『十代に誘われた。異論は認めない』
俺達の声が見事に揃った。十代は悪びれた様子もなく笑ってるし…………
「……まぁ、良いわ」
「……ところで、本題なんだけど…………どうして翔はぐるぐる巻きのイモムシ状態なの??」
…………あ、すっかり忘れてた……そういや、翔を救出するのが本来の目的じゃん。
「そ、それは話すと長くなるんすけど…………」
「この男が風呂場の覗きをしたのよっ!!」
『短いっ!?』
想定しててもやっぱ短い理由だな…………思わず叫んじゃったし。
「……で、結局こうして偽物であり他人宛のラブレターを信じて来たわけ?」
「うぅ…………面目ないっす……」
「んで、僕達……翔君救出組vs女子組によるデュエルを5回戦して3回勝った方が翔君をどうするか決めれると?」
「そういうことになるわね。坊や……であってるわよね? レッドの制服を着てるってことは」
「まぁ、問題は全くないよ。後、後者の質問に対してはもう慣れてるとしか言えないね……」
龍騎が確認したルールによると、俺達vs明日香達による5vs5の団体戦で、先鋒・次鋒・中堅・副将・大将でのタイマンで争う奴だな。
ちなみに俺らは十代→燐平→俺→龍騎→満の順だ。相手は……先鋒が明日香か…………大将戦かと思ったが、どうやら特にこれってのは決めてなくて、誰に誰をぶつけるかは直前で決めてる……っぽいね。
ちなみに、人数とかの関係上……陸でやるっぽいね。
「それじゃ、行くぞ! 明日香!!」
「えぇ……負けるわけにはいかないわよ?」
「「デュエル!!」」
「くらえ! “E・HEROサンダー・ジャイアント”でダイレクトアタック! 【ボルティク・サンダー】!!」
「きゃああああっ!!」
……うん、原作と寸分の狂いもないデュエル内容だったね。池のクロノス先生にもダイレクトアタック決まってたし。
「よっしゃ! まずは先制だ!」
「あんたね! 明日香様が手加減したのに気付いてないの!? ドロップアウトのオシリスレッドの癖に生意気なのよ!」
「ジュンコ!」
ここら辺もそんなに変わらない…………のか?
「……んで、次の俺の相手は?」
……おい、デュエル脳少しはあっちの方に興味を示せ。
「はーい! 私だよ!」
「お、愛花か……んじゃ…………やるか!」
次は愛花かぁ~……あのチートドローをどう利用していくか…………そこが鍵となりそうだよな。
…………俺もあっちのに興味を示せなかった。やっぱり、喧嘩よりも断然デュエルの方が好きだからだな。うん……
「「デュエル!!」」