時系列が大幅に飛んでしまいました。次回からは本当に気を付けます。
あと、今回ちょっとグダグダです。
暖かい目で見ていただければ幸いです。
午前9時前
年末の身を凍らせるような風が吹き付ける朝でも、店を開ける日はこの時間には俺は掃除を始めるようにしている。これより遅くなると買い出しに行けないからだ。
“店をしている者として店の備品に不備があってはならないから。”
という考えがある訳ではなく、単に遅い時間に掃除をしていると、早めに来る客を逃してしまう事になる。せっかく酒を楽しむために、楽しもうとしてウチの店を選んでくれる客を逃してしまう事になる。そんな事があってはならないから俺はこの時間に掃除をする。買い出しなんてその後で十分だ。さて、大晦日の今日、誰か来るだろうか……
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ウチの店は前々から言ってるように客の数は驚く程少ない訳で、紫の来る日のように開店最初から客が居ることはまず無い。そんな日…と言うよりそれこそ普段なのだが、客のいない間、俺は半ば強引に契約させられた幻想郷の新聞『文々。新聞』を読みつつ、人里で買った割といい値段する茶葉でいれた緑茶を楽しんでいる。
余りパッとしない紙面を見ながら茶を啜る。この時間は出来れば無くなって欲しいんだが、そうもいかないのが現実。時計を見ると二つの針は20時を差していた。年末……それも大晦日にこんな店に来る客は居ないだろう。
大きく出る溜息を押さえる事もせずに厨房にある蕎麦を見る。年越しと言えば……言わずとも分かるだろう。
諦め気味にカウンターの内側にある自分の休憩用の椅子から立ち上がり、蕎麦を作り始めた時だった。期待していた扉の開く音がしたのは。
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「こんばんわー、マスターさん。まだやってますか?」
「いらっしゃい、美鈴。年末なのにいいのか?」
「大丈夫ですよ、きっちりシフトはこなしてきましたから。」
「ならいいさ。咲夜のナイフさえ飛んでこなかったらいいからな。」
紅魔の門番である華人小娘紅美鈴こと美鈴はウチの店の常連だったりする。指定席は左から三番目の席、本人は余り気にしてはいないが美鈴は実はこの席しか座っていない。何故だろう。ウチにはそんな客が多いような気がする。
「何にする?美鈴、今日は年越し蕎麦作れるけど」
「本当ですか?それじゃ蕎麦お願いします。あと熱燗一つお願いします。寒くって寒くって。」
「あいよー、ちょっと待ってろよ。」
今日仕入れた蕎麦が無駄にならずに済んだ事に安堵しつつ、蕎麦の茹で上がりを待ちながら天ぷら鍋に火を付ける。少しだけの贅沢だが、俺はそんな幸福感が好きだったりする。揚げる天ぷらは海老、幻想郷で手に入る物で出来るだけ良いものを仕入れておいた。年の瀬ぐらい少し贅沢しても罰は当たらないだろう。余ってしまったら自分で食べる予定だったが、客に出すつもりだったの物を食べるのは少し忍びない。そうならずに済んだ事に感謝しつつ蕎麦を作る。年の瀬に誰も来ない、なんて事になる所だったがそうならなくて良かった。出来上がった蕎麦と熱燗を美鈴の待つ席に運んだ時だ。今日二回目の扉の開く音がしたのは。
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「邪魔するよ、マスター」
「いらっしゃい、小町。仕事あがりかい?」
「まぁ、そんな所さ。あ、美鈴じゃないかい。あんたもここで年越しかい?」
「分かっちゃいます?そのつもりですよ。」
「まぁ、立ち話も何だし座れよ。蕎麦食うか?」
「お、いいねぇ。一杯頼むよ、あと熱燗も貰えるかい?体が冷えちまってねぇ」
「あいよ。あと美鈴、冷めない内に食べなよ。」
「あ、はい。頂きます!」
三途の水先案内人、江戸ッ子気質な死神小野塚小町。サボることにかけては右に出る者は居ないだろう。そんな彼女が入って少し賑やかな大晦日になって来た。本当に店やってて良かったと思う時は常連達がゆっくり話をしているのを厨房で聞きながら仕事している時だ。こうしている時が一番楽しい。最も、そんな事を悟られる訳にはいかないから、のんびりしている風に仕事をしている。まぁ勘のいい紫とかにはバレてはいるが気にすることじゃないだろう。
小町の蕎麦を用意して、しっかり自分の分の蕎麦を作っておく。もちろん海老天も忘れない。熱燗の温度はぬる燗よりも少しだけ上にして飲みやすく、暖まる温度。小町の前に蕎麦と熱燗を出し、もう一度厨房に戻り、自分の分の蕎麦と緑茶を持ってきて椅子に腰掛ける。カウンターの向こうを見るとちょうど小町と美鈴の間だった。
「あれ、マスターは飲まないのかい?」
「ん?あぁ俺か、お前達ここで年越すんだろ?」
「そのつもりだよ。去年もそうだったからね。」
「え?去年も小町さんは来てたんですか?」
「小町でいいよ。去年は四季様と一緒に来たんだ。あの人、今年は仕事詰めらしいから。」
「まさか小町、お前サボって来たんじゃないだろうな」
「本当に勤務明けだよ。ちょっとは信用しとくれよ。」
「だとよ、美鈴。」
「えぇっ!?私に振らないでくださいよ。」
「ちょっと、それは酷くないかい?」
二人の顔を見ると少しだが赤みを帯びていた。やっぱり酒が入るとこの二人はよく話すようになる。お互いに頭の上がらない人さえ居なければ、というのを今は言わないでおこう。
「マスター、ボトルって言い方も変だけどさ、ボトルで頂戴。なんか飲みたくなって来た。」
「マスターさん、ワインあります?私も飲みたくなって来ました。」
「はいはい。ほんとにいつも通りだな二人は……」
「「それほどでもないよ(ないですよ)」」
「褒めた覚えは無いからな。」
この二人は来る日がよくかぶる。本当に計算してるみたいに同じ日に来る。だいたい美鈴が先に来て始めてて、その後に小町が来る。それで、二人共飯を食べてからいきなりスイッチが入るタイプでさっきみたいに二人揃って注文入れてそこからは朝方までエンドレスに飲んで潰れてるのがいつもの定番だ。正直な話、後始末(送迎)が大変だから止めて欲しいんだがな……。二人に酒を出してからも一人緑茶を啜りながら考えを深めて行く。
いや酒飲むのはいいんだ、本当に、ただ送迎がしんどいからそこだけなんだ。紅魔館に送ってはメイド長に「ご迷惑をおかけして……」と謝られ、彼岸に行くと閻魔少女に何故か小一時間程説教を喰らう。飲んで潰れるのは個人の勝手だし、送って行くのもいい。ただ、それを〝伝えて〟から来てないからこんな事になると気づいて欲しいんだが当人達は素知らぬ顔である。自分で自分の事は出来る様にして欲しいもんだ。
「ますたぁーさん、のみましょうよ〜。」
「本当だよ、マスターも付き合いなよ。」
そう言われて、二人を見ると美鈴は目が座り始めていて、一方の小町は目こそ座っていないが、十分に酔っ払った状態だった。本当に今回は不味いかも知れない。
さっき言ったようにこの二人は潰れるのだ。しかも送って行かなければ行けない位に、だから酒を飲むのは控えていたんだ。けど、本当にダメかも知れない。この二人は俺と飲むと、徹底的に俺を潰そうとしてくるのだ。上手く切り抜けないと後始末が本当に大変な事になる。
「いやいや、客飲ませる店で自分が飲んでどうすんだよ。」
「客のじゃ無ければ飲んでもいいんですよね?」
「え?」
「マスター、これでいいかい?」
小町が高々と掲げた右手にはウチの店の暖簾があった。暖簾を下げたという事は〝店は〟終わったという事。ここからは友人との飲み会でしかない。つまりは……
「あー……。負けたよ。その代わりお前ら覚悟しろよ。」
「上等じゃないかい。死神を舐めるんじゃないよ。潰してやろうじゃないかい。」
「紅魔の門番を舐めないで下さいね。覚悟決める時は決めるんです。」
「上等だぁ!かかって来い!」
この年、三人は初日の出を拝めなかったという。
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追記
この後、フラフラになりながら二人共を送り届けると時刻は11時を差していた。この状態でも店は開けなければいけない。重い体を引きずりながら店の支度を始めるのだった。
グダグダですみません。本当に
次回に活かして行きたいです