1日遅れてしまいました。
本当にすみません。
それでは第九夜お楽しみ下さいませ。
今日は二月十四日、
最近では幻想郷でも「バレンタインデー」と言われてお祭り騒ぎである。まぁ、大半はイベント事に乗って宴会を開いているのが定例だろう。ウチの店はだからと言ってなにも無い。いや、なくはないのか。一応チョコは配っているし。それでも仕込みの為に普段起きる時間よりも早く目が覚めてしまった。まだ日も出ていないのである。二度寝するのも時間が勿体なく思えたので今日は早目に店の支度を始める事にする。チョコを作るのに時間もかかるし、ちょうどいいだろう。
身支度を済ませ、厨房に入ると同時にある人物の姿が見えた。この時間に来るなんて何か嫌な予感はするが相手をしない理由にはならない。まぁ、ドアを開けず入って来れる奴なんて一人しかいないしな……。相手が分かるだけマシだろう。
「おはよう、紫。不法侵入なら吹き飛ばすぞ?」
「あら、随分な挨拶ね。まぁ、いいわ。泊、あなた多少ならお菓子作れたわよね。」
「多少ならな。あ、手のかかる物は流石に無理だぞ。俺は菓子職人じゃない。しかも、今からだと材料間に合わないし。設備も足りない。」
「材料と設備の事なら任せなさい。置いていくから。今晩に間に合わせてね。十人ぐらいなら何とかなるでしょう。私は人集めてくるから。じゃあ夜に会いましょう。」
「あ〜はいはい、やらせて頂きますよ。」
憎たらしく適当に返事をしておく。こういう無茶振りはここのところ無かったから新鮮である。しかも今回は宴会ではなくスイーツパーティと言った所だろう。一応なりとも受けたからには全力を尽くす。やれるだけのことはやってみるとしよう。誰が来てもいいように色んな物を作ってみるか。
さて、紫は今日誰を連れてくるのだろうか……
**********
「はぁ…こんなもんだろう………。」
カウンターの上だけでは足りず、普段なぜか使われないテーブルにも置いてやっと置ける程のお菓子が出来た。我ながら、朝から作り続けてよく集中力が持ったものだと思う。作ったお菓子、一応チョコ菓子が多いが一部みたらし団子など明らかに種類を増やすために作った物もある。ただ、俺としては一番見て欲しいのはカウンターの中心にそびえ立つ「チョコレートファウンテン」である。名前は合ってるかは知らない。俺は多少ならお菓子は作るが、よく作って大福ぐらいなものである。これを見れば、守矢の三人などは懐かしそうに見そうなものだ。恐らく呼んでいるだろうし、使い方は彼女達に聞くとしよう。紫の置いていった材料の中に面白い物があったのでそれも今回利用させてもらった。ここまで準備してしまえば、後は楽しむだけである。俺もなんだかんだでこういった事が好きなのだ。
カウンターの内側に戻って予備のグラスを磨いていると、ドアの開く音がした。時刻は18時。始めるには良い時間に来たものだ。
「待たせたわね、少し遅かったかしら。」
「いや、いいぐらいだ。それで今日は何人だ?」
「えーっと……。面倒臭いから数えてちょうだい。藍、皆を案内して。」
「分かりました。」
「藍お前ってほんっとに神出鬼没だなおい。」
藍はそうだな、と言いつつドアを開けに行った。自覚しているならやめて欲しいものである。というか紫の奴お客を外で待たせたのかよ。
藍が押さえているドアを通りながら、初めに入って来たのはやはり守矢の三人だった。
「いらっしゃい。仲良し三人さん」
「やあ、マスター久し振り。この前も二人に置いて行かれて来れなかったんだ。今日は楽しませて貰うわ。」
「ん?あの時は神奈子自分で付いて来なかったじゃないか。」
「お二人共、後ろがつかえますよ。早く行ってください。」
「おいおい、保護者が子供に怒られるってどういう事だよ……。」
三人の後に入って来たのは二人の天狗である。ちなみに、さっきの三人はまだギャーギャー言ってるが気にしない。
「こんばんは、マスターさん。この前は新聞をお届け出来ず申し訳ございません!」
「あぁ、椛から聞いたよ。よく生きてたな文」
「本当ですよ。あの時私がいなかったら文様手遅れになってましたよ。」
「それでも私は諦めません。あんないいネタ、逃すわけにはいきませんから!」
「ハイハイ、頑張れ。」
文を適当にあしらい、椛に連れて行って貰う。こうでもしないと玄関がつかえて仕方ない。藍もそろそろ疲れてきているだろうしな。次に入って来たのは珍しい人物だった。本当に珍しい。
「お久しぶり、マスター。貴方がウチに来た時以来あって無いような気がするわ。」
「そうですね。パチュリー様はあまり外に出られませんから。」
「そうだな、こあとはよく会うのに何でかパチュリーとは会わないんだよな。まぁ、ちょくちょく来てくれると嬉しいんだが。」
「考えておくわ、出来れば美鈴とは違う日にするしね。」
パチュリーとこあが入ってきて藍がドアを閉めた。これで全員だろう。紫の方に視線を向けると、これで全員らしい。えっと、早苗、諏訪子、神奈子、こあ、パチュリー、文、椛、藍、それに紫。俺を含めると丁度十人だ。この人数ぐらいがウチの店の限界だろう。店の大きさ的問題で。
厨房からグラスを出し、紫の持って来ていた材料の山の中から見つけて冷やしておいたあるものを出す。紫の奴割と良い奴買ってきやがったな。これだけいいシャンパンはいい値段するだろうに。冬眠明けに遊びたかったのだろうか。まぁ、気にせずいくとしよう。
「さて、始めようか。紫乾杯の音頭を」
「えーあなたがしなさいよ。早く早く」
「……ならさせてもらうか。みんな、グラス持ってくれ。」
みんながグラスを手に持った事を確認してから咳払いを軽くして、みんなの注目をあつめる。あぁ、緊張するな。
「…今日はみんな集まってくれてありがとう。まぁ、本当の企画者は紫だから文句は適当に言っといてやってくれ。硬いことは抜きだ。楽しもう。
それじゃ……乾杯!」
「「「「乾杯っ!」」」」
**********
「美味しいわね、下手すれば咲夜のよりも美味しいかも。」
「そうか?大したものじゃ無いし、咲夜の方が美味いと思うがな。」
「マスターさん、人里のお団子屋さんのより美味しいですよ。今度からここの団子にしましょうか。うちのお茶請け。そうしません?諏訪子様。」
「そうだねぇ。でも私はこっちのチョコフォンデュの方が好きかな。アンタ、意外とお菓子も作れるんだね。ちゃんとチョコも綺麗に混ぜてあるし、パンなんかは少しだけ焼いて形が崩れにくくしてある。呑み屋なんか畳んで人里で甘味屋でもやりなよ。」
「やだよ、流石に成功するとは思えないしな。全部自己流だし。」
あれだけ作っておいた菓子類はまだ始まって三十分もしていないのに、もう半分程度しか残っていない。まぁ、割とチョコフォンデュが残ってるから何とかなるか。やはり、女子はお菓子が好きなようだ。 一部を除いてだが。
さてと、少し早いがアレでも出そう。紫はもう伝えてあるしな。今度は紫にさせよう。俺乾杯したしな。
「紫、始めようぜ。」
「ん?あぁ、早目に終わらせておきましょうか。あれは面白い事になるわよ。藍、あの支度して。」
「分かりました。もう始めるんですね。」
さてと、どうなる事やら。面白い事になるのは目に見えているが、誰が当たるのか楽しみである。
「みんな〜、少し面白い事しましょう。集まってくれる?」
「これって……ウイスキーボンボンですか?」
「お、流石早苗。分かってるな。ただ、これは普通のやつじゃない。ロシアンルーレットになってるんだ。」
「中身には何が入っているんですか?少し危なげな雰囲気がしますが……」
「甘いわよ、これはそれだけじゃない。今から言う事をよく聞いて理解して頂戴。この10個の中にはまず、ハズレが二つ入っているわ。一つはとんでもなく強い酒が入っている物。もう一つは…………」
「勿体ぶるな。何入れたんだよ紫。」
「ちょっと薬を入れたわ。大丈夫。前の事件のようになるものじゃないから。」
「で、他は?」
「もう一つだけ、当たりが入っているわ。当たりを引いた人の言う事を一つ聞くってどう?ちなみに当たりはわかりやすいようにビー玉を入れてあるわ。間違っても飲み込まないようにね。」
賛同の声を聞くまでも無く、全員が頷いていた。面白くなってきた。作った本人である俺でもどれがどれか覚えていない。なら、無難に当たり障りのない物を引くしかない。
「さてと、みんな早い者勝ちでいいわね。よーい…………ドン!」
全員がかなりのスピードで取りに行き、俺はかなり出遅れてしまった。結局俺は最後に残った一つである。くそっ、ついてない。
「全員持ったわね。ならせーのでいきましょう。せーの。」
紫の合図で口に放り込む。チョコを食べると、ウイスキーのいい味がしてきた。どうやら何もないようだ。さて、みんなの反応はどうだろうか……。
「外れたわ。藍は?」
「私も特に変わりはない普通のものでした。」
「う…ん?これは……いった…………い…」
「神奈子様!?どうしたんですか?」
「あら、睡眠薬に当たったみたいね。流石永遠亭印、よく効くわ。」
神すら一瞬で潰す睡眠薬ってどれだけきついんだよ。紫の奴かなりヤバイ奴を準備してやがったな。
「泊に当たれば……して…………しようとしてたのに…。」
「紫様、本当にされるつもりだったのですね。」
「……?こあ、顔が物凄く赤いけどどうしたの?」
「あ、もう一つのハズレだな。それ本当にキツイぞ。こあ、大丈夫かー。」
「だいしょうぶれす。なんともないてすよ〜パチュリーさぁまぁ〜。」
目を回していながらも何とか意識を保ち、主を心配させまいとしているこあを他所に、文が手に何かを持ちながら話し始めた。
「あ、これってもしかして当たりですかね?何でも一ついうこと聞かせていいいんでしたよね。」
「文か。どんなのにするんだよ。」
「いいなぁ…文様。私だったら泊さんに言ってお酒分けて貰うけど……。」
それくらいなら普通に言ってくれればしてやるのに。どうやら、椛の独り言が聞こえたのは俺だけだったようで、文はみんなを一通り見ると、黒く悪い笑みを浮かべながら、口を開いた。
「マスターさぁん。小悪魔ちゃんあんまりお菓子食べてないんですよ今日、だから〝アーンして〟あげてくださいよ。」
「ちょ、お前おい」
「泊ぃ、逃げたりしたらアンタのはずかしい話広めるよ?」
「そうね、新聞で大々的に広めましょう。藍手配してくれる?」
「御意。」
「待て待て待て。すればいいんだろ?すれば。」
カウンターにあったチョコを摘み、こあの前に行くとこあは目を閉じて待っていた。顔が紅潮しているのはきっとあのチョコを食べたからだろう。きっと。
「っ……こあ、い、いいか」
「…………」
こくり、と首を縦にふる。横にふってくれれば良かったのだが、こあは準備万端とでもいうふうに待っている。ならば、答えなきゃ悪いよな。男が逃げるのは。
「ぁ、ぁ―」
「声が小さい!」
「ひゅうぃ!?…………ぁ、あーん……」
パクッ、という音が似合うようにこあはチョコを食べてくれた。勢いよく食べた事で、指が口に当たる程に。
恐らく、いや、絶対に俺の顔は今真っ赤になっているだろう。俺は最後の精神力を使って目を開けると、こあが元から赤かった顔をもっと赤くさせていた。そんな俺達を見て周りは楽しそうに飲んでいる。こいつらめ…………、
「楽しそうだな……お前らぁぁあ!」
「そんなに顔赤くして、迫力無いですよ泊さん。」
「そうね、そんな顔……プッ、あ〜面白い。」
「もぉいいっ!てめぇら、帰れると思うなよ!」
その後の記憶は俺はあまり覚えていないが、一つ覚えている事がある。こあがずぅーっと赤い顔をしていた事だ。多分、俺も一緒だと思うが。
飲んで、食べて、遊んで、
「和んで」行ってくれればいい。
呑み屋「和み」今日も明日も営業中……
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追記
朝方、全員が倒れたり寝たりしている中で一人俺だけ目覚めたのを覚えている。その時、横にこあと紫が居たが、どっちも寝てしまっていた。その他のみんなも各自、様々な所で寝ていた。その後に記憶が戻りはじめて、椛やパチュリー、それに早苗までもに飲ませていたのを思い出してとにかく反省した。それに、こあが起きてから二人して思い出してしまい、また顔を赤くしたのは記憶に新しい。
なお、この後みんなを送って行く事になったのは言うまでもない。
うーん……やっぱりかき分けが曖昧なような気がします……。
もっと上手く表現出来るようにして行きたいと思います。
それでは次回お会い出来ると幸いです。