コードギアス 反逆のお家再興記   作:みなみZ

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10話

■コーネリア・リ・ブリタニア■

 

 

「ギルフォード!後ろは任せるぞ!」

 

「心得ております!姫様!」

 

後ろを任せるギルフォードに一声掛けてから、私の操るグロースターは戦場を駆ける。

 

戦場を駆ける間、前を見つめる私の視界の先に、無頼とか言う、グラスコーのコピーである敵のKMFが三体見えてきた。

新たな獲物だ。

 

グロースターのランドスピナーが激しく回り、グロースターに更なる加速が加わる。

 

向うが私の存在に気付き、慌てて此方にアサルトライフルを身構えるが、その行動は既に遅い。

 

「遅いわ!」

 

そしてその隙を見逃すほど、このコーネリアは甘くは無い!

慌てているために、碌に狙いを付けていない弾丸を避けながら、一気に敵に近づき、三機まとめて、ランスで薙ぎ払う。

二機が吹き飛び、一機がコクピットブロックに直撃し、爆散する。

 

「脆弱者が!」

 

吹き飛び、尻餅を付いている、無様なナイトメアを串刺しにして、二機目を仕留める。

 

三機目が私の後方で、起き上がって体勢を取ろうとしているが、遅い。

後ろに振り向きざまにランスを投擲する。

投擲したランスはナイトメアに直撃し、コクピットブロックを貫いている。

直後、ナイトメアは爆散するのであった。

 

「お見事です、殿下」

 

「いらん世辞を言うな。

ギルフォード」

 

投擲したランスを回収していると、ギルフォードが近づいてきていた。

世辞を言うギルフォードを笑いながら諌め、辺りを見渡す。

周囲は我が軍が山を囲むように包囲し、進軍を進めている。

 

ナリタ連山。

 

エリア11最大の反政府組織―――日本解放戦線の本拠地が置かれている場所である。

山一つを天然の要塞とし、山の要所にナイトメアの格納庫や、砲弾塔を建てている、堅牢な要塞。

 

しかしエリア11最大とは言っても、所詮は唯のテロ組織か。

ナイトメアも無頼とか言う、グラスコーのコピーの物しか無い上に、兵の質も低い。

確実に潰す為に、大兵力を持ってきたが、此処までの兵力は必要なかったかもな。

 

「G-1ベース。

こちらコーネリアだ。

全体の戦況はどうなっている?」

 

「はっ!コーネリア殿下!

現在我が軍は、ナリタ連山を囲むようにして、順調に侵攻中であります!

あと少しすれば、日本解放戦線の本拠地の入り口も見つかるでしょう」

 

全体の戦況を知るために、G-1ベースに通信を入れると、参謀長がモニターに表れて、こちらに敬礼をしながら報告をしてくる。

 

「我が軍の被害は?」

 

「現在の所、正面勢力のアレックス将軍の部隊のKMFが三機中破。

同じく正面勢力のダールトン将軍の部隊が一機中破です。

四人とも脱出が確認されており、戦死者はおりません」

 

「ふむ、順調と言う事だな。

…アッシュフォード卿が率いている部隊はどうだ?」

 

「…アッシュフォード卿の部隊は、破竹の勢いと言わんばかりに、戦果を上げております。

我が軍で小部隊としての戦果を見ると、現在の所アッシュフォード卿の部隊が、一番戦果を上げております」

 

「何!?」

 

参謀長の言葉には、不覚にも驚愕を覚えた。

 

「アッシュフォード卿が率いている部隊は、あの純血派なのであろう?」

 

「はい。

あの純血派です」

 

「それなのに、それほどの戦果を上げているのか?

…信じられん」

 

今回、ナイトオブランズである、アッシュフォード卿にはKMFのパイロットとしてだけではなく、指揮官としての役割も頼んである。

アッシュフォード卿は今までの戦場で、一度も指揮官をした事が無いと聞いていたので、初めての指揮でどの程度指揮が出来るのか、確かめて見たくなったのだ。

しかしアッシュフォード卿が選んだ部隊は、寄りにもよって純血派などといった、我が軍の中で一番と言っていいほど、部隊として士気も結束も低い部隊を選んだのだ。

これでは今回の戦は、アッシュフォード卿にとって、散々な物になるなと思っていたのだが…。

 

「どう思う?

ギルフォード」

 

「はっ!

正直、驚きであります。

まさか、あの純血派を率いて、そこまでの戦果を得られるとは…」

 

通信を聞いていた、ギルフォードに話しを振ると、やはり驚きの念を返してきた。

 

「お前もそう思うか。

アッシュフォード卿が、純血派を率いると決まったのは、戦の始まる直ぐ前だ。

その短い間で、純血派の士気を高め、支持を得たということか…。

しかし初めての指揮で此処までの結果が出せると言うのか…?」

 

其処まで考えて、ある一つの考えが浮かんだ。

 

アッシュフォード卿は、元々ナイトオブラウンズとして名を馳せる前から、ヴァインベルグ卿やアールストレイム卿の三人とトリオを組み、戦場を駆け抜けてきた。

彼ら三人による高速機動の襲撃は、ブリタニア帝国の中でも随一の破壊力を持ち、彼らは常に一番手として敵陣へ切り込んで居たと言う。

 

そしてアッシュフォード卿は彼ら三連の中で、常に中核を担っていた存在。

二人の間に挟まり、戦闘をこなすには、常に戦況を把握し、把握した情報に対する行動に即対応できる、対応能力が無くてはいけない。

そしてそれは指揮官にとってもそうだ。

 

指揮官として常に戦況を把握し、把握した情報を元に、即指揮下の部下に対する指示を出す。

アッシュフォード卿が体験した戦場の経験は、指揮官とも繋がる物があるのだ。

 

そしてアッシュフォード卿は常に、一番手として敵陣へと切り込んでいるのだ。

こういった、敵陣を切り裂く作戦を最も得意としているのであろう。

だから、このような戦果を上げる事が出来ているのだ。

 

しかし、如何に自分が得意としている戦場であろうと、純血派という最も扱いにくい部隊を率いて、戦果を上げている事実は、アッシュフォード卿の非凡な指揮能力を表している。

 

純血派は元々我が軍に置いては、鼻摘み物の様な存在だ。

この機会に今後は、純血派をアッシュフォード卿の部隊に回してもいいかもしれないな。

 

「…確か、このエリア11には将軍と騎士の器を持つ、と呼ばれた者が居たはずだな」

 

「は?

ええ、藤堂という者がその様に呼ばれておりますが」

 

ギルフォードが突然の私の言葉に、少し面食らいながらも答えて来る。

その言葉に私は笑いながら言葉を紡いだ。

 

「どうやら、我が軍にも将軍と騎士の器を持つ者がいるようだ。

それも騎士としての器は桁違いな器をもったな」

 

自分が笑みを浮かべているのが解る。

だがその笑みはよく女子供が浮かべる笑みではない。

不敵な笑み。

やはりこのコーネリアと戦場を駆ける者は、武人であるに限る。

そしてアッシュフォード卿は間違いなく武人だ。

 

 

「だが客将である、アッシュフォード卿にばかり言い顔をさせては、我がコーネリア軍の名が廃ると言うものだ。

皆の者!アッシュフォード卿に負けるではないぞ!

我らコーネリア軍の勇猛さと、恐ろしさを日本解放戦線の輩に存分に見せつけてやれ!」

 

 

「「「イエス・ユア・ハイネス!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

■ジェレミア・ゴッドバルト■

 

 

 

「キューエル!お前は交戦中のアラン達の元へ向え!

ヴィレッタ!私は今からメリス達と共に、敵の後方部隊に向って奇襲を仕掛ける!

此処の指揮は任せるぞ!」

 

 

「「イエス・マイ・ロード!!」」

 

 

私の命令に、ヴィレッタとキューエルは即座に了承し、行動に移る。

二人の言葉は覇気に満ち溢れた声であった。

この場の指揮をヴィレッタに任せた私は、相対している敵の後方部隊に奇襲を食らわす為に、敵味方が入り混じる戦場を、駆け巡る。

敵の後方部隊を目指し、駆ける私を邪魔するかのように、敵のナイトメアが二機現れ、私の進路上に立ちふさがる。

だがこの程度の敵、今の私には路上の石でしか無い!

否!それ以下だ!

 

「邪魔だァ!イレブン!」

 

敵のアサルトライフルから放たれる弾丸を避けながら、此方もアサルトライフルの弾をお見舞いし、一機を行動不能にする。

残ったニ機目にはスラッシュハーケンを放ち、直撃させる。

スラッシュハーケンの直撃をくらい、バランスが崩れた所を狙い、再びアサルトライフルが火を放つ。

火力の弱いアサルトライフルでは爆散とは行かないが、グラスコーのコピー如きならば、行動不能に陥れるのは容易い。

 

「今のこの私を!

このジェレミア・ゴッドバルトを止められる者は何人たりともいない!」

 

自らのサザーランドのコクピットの中で吼える。

自分でも気分が高揚して居るのがわかる。

だがそれは悪い高揚ではない。

むしろこの高揚が、このジェレミア・ゴッドバルトの体を駆け巡り、全身に覇気を張り巡らせているのかのようだ!

 

「メリス!バーダ!

遅れるなよ!

この戦場で遅れを取る者は、末代まで語り継がれる恥となると思え!」

 

「「イエス・マイ・ロード!」」

 

私の後ろを付いてきている、二人の部下に檄を飛ばす。

そして返ってくる声もやはり、覇気に満ちた声。

今この純血派は、かつて無いほどに士気が高まり、覇気に満ち溢れている。

 

 

このナリタ連山侵攻が始まる前に、アッシュフォード卿は、我ら純血派の隊員の前で一つの話しをされた。

 

『私はこの戦いでは何もしない。

私のような、新参者がいきなり指揮をとっても現場は混乱するであろう。

指揮は今まで通りのままに、好きに動くといい。

君たちの力が十二分に発揮されれば、このようなテロ組織に負ける要素が見当たらないのだ。

君達ならば、私は安心して戦場を任せられる。

私は君達の後方で、待機していよう』

 

この言葉だけ聞けば、この言葉を言った者は、自らだけ安全な所に居ようとする、保身主義者の戯言のように聞こえるだろう。

 

だがそれは在りえない。

 

何故ならば、この言葉を言われたのは、巨大なブリタニア帝国の中で、軍人としての頂点の一角に立つ男!

齢16歳にして皇帝直属の部隊に入り、数々の華やか過ぎる戦果を上げ続けてきた男!

至高の十二席の第七席を委ねられている男!

帝国最強の座、ナイトオブワンすらも狙える男!

栄光あるナイトオブセブンであるアクア・アッシュフォード卿なのだから!

 

そのアッシュフォード卿が我らの実力をお認めになったのだ!

そして我らに信頼を持って、この戦場を任せると言っておられるのだ!

この事実に血が滾らずにいられるだろうか!?

否!このジェレミア・ゴットバルト!煮え滾る血を抑える事など不可能であった!

 

そしてそれは私だけではなく、純血派全ての人間に起こっていた現象であった。

 

皆、心から湧き上がる何かを止めることができずに居る。

それをアッシュフォード卿に悟られぬようにと自制し、皆必死になって耐えている。

 

だがアッシュフォード卿には我らの心情などお見通しのようだ。

 

卿は一つ頷くと、言葉を紡いできた。

我らの体を駆け巡っていた何かを、爆発させる言葉を。

 

『卿等こそはブリタニア帝国の忠義の剣にして愛国の盾!

卿等の、ブリタニア帝国の愛国心!

皇族に対する忠義の強さをこの戦場で示すのだ!

オール・ハイル・ブリタァァニアァァ!』

 

その言葉を聞いた瞬間、我らの体を駆け巡っていた、何かは爆発し、体の外に熱狂として現れる。

 

一瞬の静寂の後、気が付くと皆がブリタニアを称える言葉を熱唱している。

 

忌わしきあの事件以来、バラバラであった我ら純血派は、一人の男によって再び結束を見せる事ができた。

 

そして戦場に出ると、アッシュフォード卿は、隊の後方で我らを見守ってくださっている。

 

ただ隊の後方に居る。

それだけで何と言う心強さ!

まるで万の援軍を得たような心強さを感じる。

ナイトオブランズとは、唯其処に居るだけで、戦場を支配するのか。

 

私の目覚めべき場所は、ナイトオブワン。

至高の席の頂点。

その為には、まず至高の席を目指す。

そして…アッシュフォード卿。

あの方と共に戦場を駆けて見せる!

 

「ジェレミア!

此方の掃討は終わったぞ!

アラン達と共に、そちらに合流する!」

 

「不要だ!

キューエル!お前はそのままヴィレッタと合流し、正面から突入しろ!」

 

敵を掃討したキューエルがこちら合流するという報告を、切って捨てる。

 

「しかし!たった三機で奇襲は危険だ!」

 

「今のこの私を!

否、私達を止める者はいない!

そら、キューエル!さっさとヴィレッタと合流して早く来ないと、私達が敵を食い尽くしてしまうぞ!?」

 

モニター越しのキューエルに、不敵な笑みを浮かべながら吼える。

その笑みを見て、キューエルも不敵な笑みを返してきた。

 

「…ふっ。

ちゃんと私の獲物は残して置けよ!」

 

「お前が遅れなければ、ありつけるかもしれんな」

 

キューエルと会話をしている間に、私の視界の先には、敵の後方部隊が見えてきた。

 

蹂躙する!

 

「さあ、行くぞ!

我らは忠義の剣にして、愛国の盾!

この戦はアッシュフォード卿が見ておられる!アッシュフォード卿に恥を掛けぬ戦いをするぞ!」

 

 

「「イエス・マイ・ロード!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■アクア・アッシュフォード■

 

 

 

僕は今、純血派の部隊の後方で、愛機のグロースターのコクピットの中で、純血派の戦闘を眺めている。

 

いやーすげえっす。

何がって純血派が。

 

もう、特攻部隊もびっくりの物凄い勢いで、敵陣を切り開いているよ。

いくら日本解放戦線が、コーネリア軍の急襲に浮き足立っているとはいっても、この突進力は物凄いものだ。

いったい、この純血派に何があったのだろうか?

 

僕は出撃前の純血派の部隊を思い浮かべる。

 

出撃前の純血派に僕は一つの話をした。

 

ぶっちゃけ、僕指揮できないから、今まで通りに好きにやっちゃっていいよ。

僕後ろで引っ込んでるから。

 

このまま言うと、あまりにも本音出しすぎで、恥ずかしいからカッコよさげな感じなニュアンスに変えて言って見たんだよ。

 

そしたら何か妙に感動したって感じで僕の事を見つめるから、止せばいいのに調子の乗って、ブリタニア皇帝の演説を真似た言葉が出てしまった。

その時は場の勢いに任せて、ホイホイと言っちゃったんだけど、冷静に考えると、なんて恥ずかしい言葉のオンパレードを口走ったんだ!僕は!

何が忠義の剣に愛国の盾だ!何がオール・ハイル・ブリタニアだ!

改めて考えて見ても、恥ずかしすぎる!前々から思ってたんだがちょっとは自重してくれよ!僕の口!

 

叫んでいる時はハイって奴になっていて、ノリノリで演説かましてたんだけど、オール・ハイル・ブリタニア!と叫んだ途端に、僕のテンションは素面に戻ってしまった。

考えて欲しい。

いきなり目の前で一人の人間が、オール・ハイル・ブリタニア!なんて大声で喚き始めたら、それを見ていた人間はどのように思うだろうか?

少なくとも僕なら、関わりたくない。

僕なら全力で逃げるね。

もう、カーブ・ルイス並の足の速さを見せ付けて。

 

でも今回、その痛い発言をしちゃったのは、何を隠そうこの僕だ。

逃げられる筈が無い。

いや、逃げたほうがいいのか?

この凍った空気の発生源となった僕が、真っ先に逃げてもいいものであろうか?

……悩む。

あまりの外しっぷりに隊の皆が静まり返っている。

静寂が痛い。

痛すぎる。

やっぱり逃げてもいいかな?僕。

つーか逃げよう。

うん、逃げるの決定。

 

真面目に敵前逃亡を考えていた僕を救ってくれたのは、純血派の皆さんであった。

ジェレミア君がオール・ハイル・ブリタニア!と叫んでくれると、皆が同じくオール・ハイル・ブリタニア!と叫んでくれたのだ。

そして始まる大合唱。

もう辺りには、オール・ハイル・ブリタニアしか聞こえてこない程、物凄い音量で皆さん叫んでいる。

 

僕はその大合唱を聞きながら感動していた。

何て…何て優しい部隊なんだ!この純血派は!

勢いで口走った言葉に、自爆して困っている僕を助けるために、ノリを合わせてくれるなんて!

ありがとう!皆本当にありがとう!

君達のおかげで、人生の汚点を増やさずに済んだよ!

 

応援するよ!僕は君たちを応援するよ!

僕は君達の後方な安全な所で、応援しているから頑張ってね!

 

 

 

なんて事があったんだけど、いざ戦闘が始まると、皆物凄い勢いで敵陣に突っ込んでいって、物凄い勢いで敵を撃破しているんだよ。

僕吃驚したよ。

純血派って凄いんだね。

 

 

特にジェレミア卿が凄い。

 

もう、我こそは三国一の兵である!と言わんばかりの勢いだ。

幾ら敵が、グラスコーのコピーのKMFで、軍の襲撃で浮き足立っているとは言っても、この動きは大したものだ。

もしかしたら、ナイトオブラウンズにも成れるんじゃないかな?

 

……て、はぁ!?

今僕は凄い事を思いついた!

 

ちょっとやそっとの事では悲しい事実だが、僕はナイトオブラウンズは辞められない。

だが、僕の後釜を用意すればどうだ?

 

『自分を超える、器を持つ者が現れました。

彼こそはナイトオブラウンズとして相応しい人材です!

そう、このジェレミア・ゴッドバルトこそがナイトオブセブンとして相応しい!

彼ならば僕は安心して、自分の座を授ける事が出来るでしょう。

後は、全て任せたよ!ジェレミア卿!』

 

こんな感じで辞めれるかもしれない!

上手くいけば僕はラウンズを辞めれて、祝!ニートな生活に戻れるかもしれないぞ!

キターーーーー!

ラウンズ辞めるフラグキタコレーーーーー!

 

その為には、ジェレミア卿にはドンドンと功績を取って貰わねば!

よーし!僕ドンドンサポートしちゃうぞぉ!

 

なんか久しぶりに戦場に出る目標が出来たよ!

 

「アッシュフォード卿。

ここら一帯の敵を掃討しました。

先に進もうと思うのですが、いかが致しましょうか?」

 

 

お!

噂をすれば何とやらだ!

未来のナイトオブセブン様が通信を寄越してきたよ!

 

「ご苦労、ジェレミア卿。

君の思うがままに、動くといい。

僕も君の行動をサポートさせてもらうよ」

 

そして君は功績ガッポガッポで行っちゃってください。

僕の薔薇色の未来の為に。

 

「イエス・マイ・ロード!」

 

 

その時、空に信号弾が放たれた。

 

あれは…本拠地が見つかった?

 

「あれは…ダールトン将軍ですね。

向うの方に、敵の本拠地の入り口がありましたか…。

此処からは離れておりますが…いかが致しますか?

アッシュフォード卿」

 

エキゾチック萌えな、ヴィレッタさんが僕に問いかける。

その問いに対する答えは一つしかない。

僕はモニターに映ったヴィレッタさんに萌えつつ命令を下す。

 

「卿らの指揮権は全てこの、アクア・アッシュフォードに委ねられている。

故に命じる!今から解放戦線の本拠地の入り口の制圧作業に移行する!

各自、健闘を祈る!

ジェレミア卿!任せたぞ!思うが侭に、暴れてくるといい!」

 

「「「イエス!マイ・ロード!」」」

 

 

純血派の皆さんに命令を下し、僕達はダールトン将軍の下へと急ぐのであった。

 

 

そして目的地までもう少しと行った所で、其れは来た。

 

 

ん?何か揺れてる様な…って地震だ!

最初は微々たる振動だったので、戦場になっている為に、揺れているのかとも思ったが、間違いない!

次第に激しくなって行く振動に、ナイトメアを直立に立たせる事すら難しくなってきた!

純血派の皆も驚愕の言葉を口々に出しながら、バランスを取ろうとしている。

 

「皆!体勢を上手く取るんだ!

揺れで、山から落ちるなよ!

スラッシュハーケンを上手く使い、機体を固定するんだ!」

 

指示を出しながらも、僕もスラッシュハーケンを足元の大地に打ち込み、山から落ちないように、機体を固定する。

その間も絶えず、振動は続いている。

流石は地震国家日本だ!

でも、こんな時くらいは、地震も自重して欲しいよ!

あ、ちょっと今僕上手い事言ったかも!

 

頭の中で下らない事を考えながら、ふと山の上の方を見てみると…。

 

ものすっごい勢いで、土砂崩れが辺りを飲み込みながら、こちらに向って一直線に来ていた。

もうズゴゴゴゴゴ!って感じで津波のようだ。

うーん。あれに飲まれたら死んじゃうなぁ。

 

 

 

…………って!?

ええ゛!?!?

 

 

そして、驚愕する間もなく、飲み込まれてしまった。

自然の驚異をリアルに体験中だ。

体験したら死にそうだけど。

つーか死ぬ。

 

 

 

ギャーーーーー!!!

デスペラーーーーードォォォォ!!??

 

 

 

「アッシュフォード卿ォォォォォォ!?」

 

 

 

ジェレミア卿が僕の名前を叫ぶのが耳に入る中、僕は意識を失っていった。

 

 

 

あれ?

もしかして、これって死亡イベント?


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