コードギアス 反逆のお家再興記   作:みなみZ

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6話

「アッシュフォード卿。よくぞいらしたな。

私がエリア11を束ねる総督のコーネリアだ」

 

「ナイトオブセブン。

アクア・アッシュフォードです。

只今を持ってして、コーネリア殿下の指揮下に入ります」

 

「うむ。

よろしく頼むぞ

アッシュフォード卿」

 

というわけで何だかんだで、やってきましたエリア11―――日本へ。

日本に到着した僕は、すぐさまお出迎えの案内に従い、エリア11の総統府を訪れたのだ。

総統室に入った僕を出迎えたのは四人の男女。

そして今僕の目の前には、エリア11総督にしてブリタニア帝国第二皇女。コーネリア・リ・ブリタニア皇女がいらっしゃいます。

 

コーネリア・リ・ブリタニア

皇女でありながら、常に最前線を駆け回り、その類稀なKMFの操縦センスと指揮能力で他国からはブリタニアの魔女と恐れられている傑女だ。

そしてブリタニア軍人としてそしてブリタニア人とて高い誇りとプライドを持っている女性だ。

ぶっちゃけ僕としてはあまりお近づかになりたくない人種の人だ…。

 

だが今の僕にはそんな事関係ない。

なぜならば、僕は今ある視覚情報を脳に刻み付ける事で必死だからだ。

 

その視覚情報とは…おっぱい!

なんと見事な…おっぱい!

 

大事なことなので二回言いました!

 

軍服の上からでもわかるなんとけしからんおっぱいじゃァ!

 

( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

 

僕の脳裏に何処からとも無く現れたおっぱい職人たちが降臨される。

彼らは一様に100万ドルを超えた笑顔を浮かべながら僕にサムズアップをしてくる。

そして彼らに同じくサムズアップを持って応える僕。

今世界はおっぱいで一色だ。

ビバおっぱい!

 

よっしゃァァ!皆神輿を掲げろォォ!

今夜はおっぱい祭りじゃァァ!

 

僕の宣言に脳内のおっぱい職人たちは、おっぱい神を称える神輿を「せーの…おっぱい!」という掛け声と共に、力を合わせて一斉に掲げる。

そして始まるおっぱい祭り。

もう祭りの序盤からフィナーレのようなテンションで皆が駆け回る。

 

( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!

 

今僕達はおっぱいで繋がっている。

 

嗚呼…僕は確信したよ。

人は分かり合える…。

僕たちは刻すらも越えられる…。

おっぱいは…世界を救う…。

ブラァ…君の言っていた事は間違ってなどいなかった…。

 

 

 

「アッシュフォード卿。

我が軍の直参達を紹介しよう。

この者が私の副官。

アンドレアス・ダールトン将軍だ」

 

脳内の刻の狭間の中おっぱい祭りを迎えていた僕を現実へと引き戻したのは、僕をおっぱい祭りへと誘ったコーネリア殿下の一言であった。

もう少しおっぱいの余韻に浸っていたかった。

コーネリア殿下の言葉に、後ろに控えていた一人の男が一歩前に出て言葉を発する。

 

「お初にお目にかかります。

コーネリア総督の副官。

アンドレアス・ダールトンと申します。

これから共によろしくお願いします」

 

「こちらこそ。

ダールトン卿」

 

うん。

ガチムチだ。

ニブニブ動画でパンツレスリングに出れそうな筋骨隆々の体に顔に走る一筋の傷。

いかにも軍人!といわんばかりの人物だ。

この人がガチホモで僕が狙われたら、生身での対処は難しいであろう。

この人と二人っきりで会わないように気をつけよう。

 

「そしてこの者が我が騎士。

ギルバード・G・P・ギルフォードだ」

 

「コーネリア総督の専属騎士ギルバード・G・P・ギルフォードです。

音に聞こえるブリタニアの三連星の中星と共に戦場を駆けるれるとは光栄です」

 

「自分はそのような大した者ではありませんが…。

ご期待に応えられるように頑張ります」

 

コーネリア殿下の背後に控えていたもう一人の男と挨拶を交わす。

 

眼鏡をかけ、長髪をオールバックにした男だ。

涼しげな目元が、見る者を魅了するかのようだ。

腐女子に大人気間違いなしだろう。

 

それにしても貴方が羨ましい。

ギルフォード卿。

 

騎士とはブリタニア軍におけるKMFのパイロットを指す。

僕も騎士の一人だ。

そして皇族は自らの専属の騎士を選ぶ権利を持っているのだ。

そして専属の騎士となったものは、その全てを自らの主へと捧げ、その生涯を主に尽くす。

 

ちなみに実力重視の騎士のはずなのに、皇族の選ぶ騎士は何故か知らんがイケメン揃いばかり。

何かの行事で皇族の騎士達が一同に集うと、ぶっちゃけホストクラブ状態だ。

ドンペリ入りましたー!なんて言っても可笑しくない雰囲気だよ。言ったらやばいけど。

皇族は騎士を顔で選んでいるのだろうか?

 

そして僕も皇族の騎士。

僕が忠誠を捧げ、生涯を尽くす相手は皇帝。

萌えの欠片も存在しない皇帝。

萌えが存在したらやばい皇帝。

…自殺したくなってきた。

 

その僕に対して、ギルフォード卿はコーネリア殿下の騎士。

おっぱい殿下の騎士。

萌えの騎士。

羨ましすぎる!

嫉妬が湧き出て止まらない!

マジで嫉妬が止まらねェェェェ!

 

「そしてこの者が、私の妹にしてエリア11の副総督であるユーフェミアだ」

 

「初めまして。

アッシュフォード卿。

ユーフェミア・リ・ブリタニアと申しますわ。

宜しくお願い致しますわね」

 

嫉妬で染まった僕の心が新たな癒しを見つける。

それは、副総督として紹介されたユーフェミア殿下だ!

おっぱいはコーネリア殿下には及ばないが、端整な顔立ちに、そのぽわんぽわんの空気!

こいつは特一級の萌えクラスだ!

アーニャタン並の萌えクラスだよ!

世界は広い!まさかこんな萌えっ子が居るとは!

皇族万歳!美形揃いの皇族万歳!

そして何で僕が仕える皇帝はああなんだよ!

皇帝畜生!とっても畜生!

 

「さて。

次は軍務での話だが。

アッシュフォード卿には近く行われる、テロ組織の壊滅作戦に参入してもらう」

 

カオスへと向っていた僕であったが、この言葉には流石に意識の気持ちを切り替える。

 

「テロリスト…敵の規模はどれ位でしょうか?」

 

「ナリタ連山という場所を拠点にしている、テロ組織であり。

日本解放戦線と呼ばれている組織です。

かつての日本の敗残兵によって構成されており、エリア11では最大勢力ですな」

 

僕の質問にガチムチのダールトン将軍が応えてくれた。

 

 

ほう。

日本で最大組織のテロリストっすか……ってちょっと待てェ!

 

ちょ!お前!

日本に来たばっかでいきなり、軍に対抗する最大組織との戦闘に参加しろってか!?

日本ではテロ活動が活発って聞いているのに、そんな日本での最大組織とかってドンだけ凄い組織なんだよ!?

 

もしかしてE.U.でドンパチしてた方がよかったんじゃないか!?僕!?

生きて帰れるのか!?僕!?

アーニャタンとごろにゃんできるのかぁ!?僕ゥ!

 

「まあ、エリア11最大といっても、我が軍と比べれば大した物ではありませんがな。

向うの主力のKMFはグラスゴーのコピーのような物ですし。

我らの力と、ブリタニアの三連星の中星の力さえあれば、余裕でしょう」

 

 

ナイスフォロー!ガチムチ将軍!

それを聞けてかなり気が楽になりましたよ!

でも僕の事は襲わないでね!

 

そんな感じで軍議を進めていった。

 

「ではとりあえずはこの様な感じでよいな。

詳しい話はまた後でするとしよう。

アッシュフォード卿。

貴官にはこちらから部屋を用意させた。

案内させよう」

 

「お心遣い感謝致します。

コーネリア総督」

 

そしてあらかた話が終わった時、コーネリア殿下の締めの言葉で簡単な軍議は終わりを告げた。

よし。

殿下が用意してくれた部屋に引きこもるとしよう。

そして久しぶりにニブニブ動画だ。

 

 

「アッシュフォード卿。お待ちください!

少しお聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」

 

総督室を退室しようとした僕を引き止めたのは、ぽわんぽわんのメルヘンチック少女。

ユーフェミア殿下であった。

 

 

はてな?なんざましょ??

 

 

「何でしょうか?

ユーフェミア殿下」

 

ユーフィア殿下の方を向き、彼女と顔を見合わせる。

 

うーむ…やっぱり特一級の萌えっぷりだ。

今思えば、何故皇帝はあんななのに、その子供達はあんなに美形揃いなのだろうか?

 

僕が知っている皇族、ルルーシュやナナリー兄妹。

麗しの顎を持つシュナイゼル殿下に、コーネリア殿下にユーフェミア殿下。

 

皆美形揃いだ。

母方の遺伝子を色濃く継いだのか?

つまりはそれだけあのブリタニアの種馬は美人な女性と子作りしたわけだ。

……皇帝を殺したい。

嫉妬で皇帝が殺せたら、世の中の全ての男性に嫉妬されている。と言っても過言ではない皇帝は当の昔に死んでいるだろう。

 

 

「アッシュフォード卿。

このエリア11にある学園。

アッシュフォード学園とは貴方の一族が作った学園と聞いておりますが、本当のことでしょうか?」

 

アッシュフォード学園。

 

その名のとおり、僕達アッシュフォードの一族が作った学園だ。

一族と言うよりは、僕を士官学校送りにしたクソったれな祖父。

ルーベンが作ったと言った方が正しいのだが。

 

しかしそれが何だと言うのだろうか?

 

「はい。

確かにアッシュフォード学園は私の祖父。

ルーベンが作り、理事をしておりますが…それが何か?」

 

「まあ、本当の事なのですね!

……アッシュフォード卿。

一つお願いがあるのですが」

 

「…何でしょうか?」

 

僕の返答を聞いたユーフェミア殿下は少し考え込んだようにしていたが、意を決してといった感じで僕を見つめてくる。

さすが特一級の萌えクラス。考え込んでいる姿も絵になる。

ちょっと萌えてしまいました。

 

「アッシュフォード卿。

貴方にアッシュフォード学園に転入してもらいたいのです!」

 

「は?」

 

「ユフィ!?」

 

「「ユーフィミア殿下!?」」

 

なんちゅー爆弾発言じゃ。

ユーフィミア殿下が放った言葉は総督室にいる全ての人を驚愕させる事を成功する。

ちなみに「は?」が僕で。

「ユフィ!?」がコーネリア殿下で。

「「ユーフィミア殿下!?」」がガチムチと婦女子向けの二人だ。

皆驚いてます。

 

え?というか何故に学園に転入?

 

「ユ、ユフィ…何を言っているんだ?」

 

「はい。お姉さま!

アッシュフォード卿は本来、学校に通っていなければいけない年齢です。

いかにナイトオブラウンズという身分を持ってしても、それは許されることではありません」

 

ユーフェミア殿下は、狼狽しながらも訪ねてきた自らの姉に毅然とした態度で告げる。

 

いや。

んな事いったら貴女こそ学校は?

僕と一歳違いなだけじゃん。

 

皇女姉妹達は当の本人たる僕の事をほったらかし状態である。

疎外感を感じる。

 

「ユフィ。

アッシュフォード卿は、枢木と違って、唯の兵士ではなく、父上直属の騎士。

ナイトオブラウンズなのだぞ?

…ま、まさかお前枢木の為に…」

 

何かの想像を思いついたのか、コーネリア殿下は顔をしかめながら、自らの妹に問いかける。

そんな姉にユーフェミア殿下は一つ大きく頷き、テラ笑顔で言葉を発してきた。

 

 

「はい!お姉さま!

スザクと歳も近く、アッシュフォード学園とも関係が深いアッシュフォード卿が、スザクの近くに居てくれれば、スザクも何かと助かると思うのです!

スザクはブリタニア人ではないので…何かと大変だと思うのです。

お願いします!お姉さま!アッシュフォード卿!」

 

ユーフェミア殿下の必死さが伝わる願いに、コーネリア殿下は怯んだように、言葉を発せないでいた。

 

そしてやはり置いてけぼりな僕。

 

クルルギ?スザク?

誰だそりゃ。

誰か僕の答えに応えてくれ。

 

そんな時、困ったような表情をした、ギルフォード卿と目が合った。

ちょうどいい。彼に聞くとしよう。

 

「ギルフォード卿…その、クルルギやスザクとは?」

 

「ああ…それは…その」

 

僕の質問にギルフォード卿は、困ったように視線を彷徨わせ、自らの主であるコーネリア殿下に視線を向けた。

その視線にコーネリア殿下は一度考え込むような表情をしてから、僕に視線を向けた。

 

「……アッシュフォード卿。

卿はランスロットというKMFを知っているか?」

 

「ええ。

世界で唯一存在する第七世代のKMFですよね。

それが何か?」

 

「ランスロットのパイロット…否、デヴァイサーがいる。

枢木スザク。イレブンのな」

 

コーネリア殿下の言葉に僕は驚愕の意を覚えた。

 

「ナンバーズがKMFのパイロットに!?

それもランスロットという最新機のパイロットを!?」

 

「…そうだ」

 

その言葉を信じられず、尋ねる僕に向って、コーネリア殿下は一つ頷き、肯定の言葉を紡いだ。

 

「ランスロットを作ったのは、シュナイゼル兄上の直轄の技術班だ。

故に、奴らはシュナイゼル兄上の部下となり、私の部下ではないのでな。

すまないが、アッシュフォード卿。

ナンバーズがランスロットのデヴァイサーを務めている事は公言しないでくれ」

 

ブリタニア軍では、ブリタニア人が多く占めている。

そんな中、数は少ないが軍の中には名誉ブリタニア人。

ナンバーズと呼ばれる人種が中にはいるのである。

ナンバーズはブリタニアが収めた国の人民の名称。

ブリタニア軍において、主力を務めるKMFのデヴァイサーは全てブリタニア人が勤めてきた。

ナンバーズが軍に入ったとしても、KMFのパイロットはおろか、銃火器すらも持たせて貰えない実情である。

そんな中において、ナンバーズがKMFのパイロットに、しかもランスロットという最新機を与えられたという事実は、僕を驚愕させるには十分の情報だった。

 

しかし流石はシュナイゼル殿下。

僕のナイトオブラウンズの件といい、やる事が一味違うぜ。

 

「どうだろう?アッシュフォード卿。

卿は皇帝からある程度の裁可を与えられていると聞く。

此処は、私の顔を免じて学園に入ってもらえないだろうか?」

 

結局自らの妹に押される形となったコーネリア殿下は、僕の顔をすまなそうな顔で見つめてきた頼んできた。

この時僕は何となく察してしまった。

コーネリア殿下はシスコンだと。

ルルーシュと云い皇族はシスコン率高いなぁ。

でもそんな姿に萌えました。

僕は節操無しだ。

 

しかし両殿下には申し訳ないが、僕は学校に入るつもりは無い。

ただでさえ、軍人という自分の時間をもろに拘束される職業なのだ。

そんな軍人生活をしながら、学校に通ったら更に僕の大切な時間が潰れてしまうではないか。

しかも僕は学校にはいい思いではまるで無い。

爺にむりやり士官学校に入学され、僕がどれだけ苦労したか。

あの貞操が掛かった学校生活など二度としたくない!

どうにか穏便に断ろう。

どうやって断ったらいいかなぁ。

 

「本当ならば私が入学するべきなのでしょうが…

流石にブリタニア皇族たる私が一般の学校へ入学するわけにはいかないですから…

どうかお願いします!アッシュフォード卿!」

 

僕の表情を見て、心情を察したであろうユーフェミア殿下は懇願するように僕に訴えかける。

そしてその訴えの中に僕は萌えと共に重大な方程式を見つけた。

 

 

 

 

僕が入学できる   +   ユーフェミア殿下が入学できる   =   男女共学!イヤッホゥゥゥゥ!

 

 

 

 

 

僕は今真理を見つけた!

何この黄金の方程式!?

あれっすよ!?男女男男男男女!FU!FU!女男女男女男女男女!FU!FU!

って感じだよ!?

男女共学!男女が半々!なんと素晴らしい響き!ついに僕にもラブコメのフラグキターー!

これはあれだ!僕の大切な十代の青春時代を、貞操の死守と戦場での命の奪い合いという悲しすぎる青春時代を送った、僕に対する神様からのご褒美だよ!

神様サプライズすぎる!サプライズ過ぎますぞぉ!

くぅー!神様!ありがとうございます!

これで彼女が居ない暦=自分の生まれた年月という悪しき繋がりを絶つ事ができそうです!ビバ!共学!ビバ!ブリタニア!

 

「わかりました。

このアクア・アッシュフォード。

アッシュフォード学園に転入させていただきます」

 

両殿下の顔を見つめながら宣言をする。

僕の言葉を聞いたユーフェミアは花が咲いたような満開の笑顔を見せてくれる。

コーネリア殿下も何処か安心したような表情を見せてくれた。

悔しいけど…萌えちゃう!

 

「ありがとうございます!

アッシュフォード卿!それではこちらから学園の方へ連絡しておきますので、今から学園のほうへ行ってください!」

 

 

 

え?展開早すぎね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、そんなこんなで僕は今アッシュフォード学園に居ます。

 

あれから車に押し込まれた僕は、僕の意思など問答無用で学園に一直線に送られることになった。

そして学園に到着するや、車を運転していた軍人に、話は通してあるから理事長室に向ってくれと、言われて僕を置き去りにして帰ってしまった。

 

何?この扱いは?

一応僕ナイトオブラウンズで軍の中では偉いんだよね?

 

暫し自分の存在について考え込んでいたら、気が付くと僕は学生の衆目監視に晒されていることに気が付いた。

僕の視界に入る全ての学生が僕の事を注目しているといっても過言ではない。

しかしそれも無理が無いだろう。

総督室から僕は一直線にこのアッシュフォード学園に連れて行かれたので、僕は軍服から着替える機会が無かったのだ。

そして今僕の姿はナイトオブラウンズの軍服。

しかもマントまで羽織っている有様だ。

 

こんな…こんなコスプレ野郎が自分の学園に突如現れたら注目するしかないだろ!

 

恥ず!僕マジで恥ず!

せめてマント位は外させて欲しかった!

こんなコスプレ全開の格好で、今後通うことになる学園に初めて訪れるなんて…。

これじゃ転入したらいじめられちゃうよ!?あだ名がマントマン!とかコスプレ男!なんてあだ名が付いちゃうよ!?

 

僕が嘆いている間にも学生たちの視線は僕に突き刺さっている。

むしろ数が増えている勢いだ。

 

 

もうこんな衆人プレイには耐え切れない!

さっさと理事長室に向おう!

そして爺に僕の熱い拳を食らわせて帰ろう!

待ってろよ!爺ィ!

 

僕は理事長室に向って歩き出した。

そして何故か知らないが一定の距離を保ちながら付いてくる学生達。

お願いだから付いてこないでェェ!真面目にアクア恥ずかしいィ!

 

しかし僕の心情を察してくれない好奇心の塊の学生達は僕の後をまるで金魚の糞…否、これは表現がまずいな。

親鳥の後を付いて来る雛のように付いてくるのだった!

 

 

 

 

そして迷子になっちゃいました。

 

気が付けば自分が何処居るのかが、さっぱりわからない。

考えてみれば、当たり前の話だ。

このアッシュフォード学園はかなりの大きさを誇る学園。

そんな学園を、初めて訪れた僕が案内も無しで闇雲に歩いて目的地に辿り着けるはずが無い。

そんな訳で、僕は今コンクリートという名のジャングルの中で遭難しちゃいました!

アクアピーンチ!

 

そして何故か知らないが、未だに僕の周囲には一定の距離を保ちながら生徒達が僕の事を囲んでいる。

もはや上野動物園のパンダ状態だ。

そんなにコスプレ野郎が珍しいのか!?珍しいのか!?

…珍しいんだろうなぁ。

畜生!学生達に道を聞けば問題は解消されるんだろうけど、僕が近づけば学生達が離れて、僕が離れれば学生達が近づくという訳のわからんエリアができてるよ!

これじゃ聞くに聞けないよ!

そんなにコスプレ野郎が見たいんだったら、ブミケに行って来い!

…ってもうブミケは無かったんだったぁ!ブリタニアが潰したんだったぁ!

アキバの事を思い出してしまったではないか!畜生!ブリタニアとっても畜生!

 

 

うえーん!何かもういろんな感情が混じってしまって、この歳で泣いてしまいそうだ!

マジ泣き五秒前!って感じだ!

泣いちゃう前に誰か僕を助けてくれェェい!

僕に飴玉をくれェェい!

マジ泣きダァ!マジ泣きしちゃうぞォ!

 

「アクア!」

 

マジ泣き三秒前の僕にその声は届いた。

 

声の方を振り向くと、僕を囲んでいた学生の輪から、抜けて其処に居たのは、金髪の少女であった。

金髪のセミロングに整った顔つき。そして僕と同じ青い瞳。今その僕と同じ瞳は涙ぐんでいる。

それは昔。僕がまだアッシュフォードの家に居た時毎日見ていた人。

 

 

「ミレイ…姉さん?」

 

 

「っく、アクア!」

 

僕の問いかけに少女―――ミレイ姉さんは大きく頷くと、僕へ向って一直線に走りこみ、僕を抱きしめてきた。

 

え!?えええええ!?

 

ね、姉さん!

僕達は姉弟なのですよ!?

こここ、こんなインモラルな事、神様が許してくれない…ああ!その育ったおっぱいが僕のナイチチにむにょんって!当たってるゥゥゥ!

クゥァァ!何かが覚醒してしまう!詳しく言うと僕の丹田の下辺りの、聞かん棒がフルチャージしてしまうゥゥゥ!現在充電率68パーセントを突破だァァ!

 

落ち着けェェ!落ち着くんだァァ!アクアァァァ!

こんな衆人環視の元で姉に反応してフル勃起させてしまったら色々と終わりだァァァ!僕の人生が終わりだァァァ!僕の世界が終わりだァァァァァ!

 

その僕の意思を知らず姉さんは唯、僕の名前を呼びながら、痛いほどに痛いほどに抱きしめてくる。

その力に呼応して、僕に押し付けられるおぱーい。

マジやばす。

 

素数だ!素数を考えるんだ!素数を考えて冷静になるんだ!

素数は割り切れない間抜けな数字!僕を冷静にさせてくれる!今こそブッチ神父の教えを実行するのだ!

 

よーし数えるぜ!

 

2!もにゅん。

 

さ、3!もにゅん。

 

ご…5ォ!もにゅん。

 

な…ナナ…。もにょにょん。

 

じゅ…じゅう…い…ち…。もにゅもにゅもにゅん。

 

 

無理だーー!冷静になれる訳が無ェェェェ!こんなおっぱいに歯向かえるかボケェェェ!

ヤベェェェ!充電率がどんどん高まっていく!もはや充電率93パー突破だァァ!

 

煩悩退散!煩悩退散!煩悩たいさーーーん!

 

「…アクア」

 

今まで僕の肩に顔を埋めていた顔を離し、姉さんは僕の顔を真正面に見つめる。

涙を流す綺麗な瞳。

も…萌えちゃ駄目だ…。

煩悩退散!お願いだから煩悩退散!今だけ煩悩退散してくれェい!お願いします!ゴッドォォ!

 

「お帰りなさい…アクア…会いたかったわ」

 

 

 

 

 

ゴールイン。

 

その言葉を聞いたと同時に、僕は姉と同じ瞳から涙が流れるのを感じた。

 

何故涙を流したのかは言いたくない。

 

お願いだから僕をそっとしていて欲しい…。

 

もうこうなったら思う存分姉の体を楽しんでやる!

そうさ僕は外道さ!外道どころか犬畜生にも劣る存在なんだよぉぉ。シクシク。

 

開き直った僕は、姉の華奢ながら出るところは出てる体を抱きしめ返しながら、唯涙を流し続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

■ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア■

 

 

 

 

 

「ルルーシュ!ナナリー!

アクアが…アクアが帰ってきたのよ!」

 

校内放送で、俺とナナリーを理事長室へと呼び寄せられ、理事長室へと入った俺達は、興奮したミレイから、この話を俺達に伝えてきた。

その話に俺達兄妹は驚愕の意を覚えた。

 

「まあ、本当ですか!?ミレイさん!」

 

「本当よ!ナナリー!

アクアが任務でこのエリア11に来ている間、アッシュフォード学園に通わせてくれって、軍からお爺様に連絡があったのよ!」

 

「アクアさんが学校に!

嬉しいですわね!お兄様!」

 

「ああ…そうだね。

ナナリー」

 

ナナリーはその答えに、一瞬車椅子から腰を浮かしかける程喜んでいる。

ナナリーの問いかけに応じながらも、俺の思考はアクアの事を考えていた。

 

 

 

アクア・アッシュフォード。

 

アッシュフォード家の嫡男であり、ナナリーの元婚約者。

そしてあの憎き皇帝直属の騎士団、ナイトオブセブン。

ブリタニアの三連星の中星という異名を持つ、最強の騎士の一人。

 

幼き日、まだ母が生きていた時、母が戯れにKMFのシュミレーターをしていたアクアの操縦技術を見て、天賦の才があると言っていた。

しかし、まさかナイトオブラウンズに入れるほどの才覚であったとは…。

 

アクアがこのアッシュフォード学院に転入するという事は、この日本へ来ているという事だ。

つまりは俺達黒の騎士団は白兜に続き、新たな強力なKMFの敵が出来たという事だ。

 

 

勿論、白兜のパイロットと違い、身元がわかっていて、しかもこの学園に通うというアクアにギアスをかけるのは簡単な事だ。

そして、ギアスで命じて自害させる。もしくは何かに利用するか、黒の騎士団の仲間にするのが最良の選択なのであろう。

 

しかし俺は自分がそれを出来そうに無い事を自覚していた。

 

アクアは俺とナナリーが大恩あるアッシュフォード家の者であり、俺の最も古い友人である。

幼かった、あの何もかもが幸せに包まれていたあの時。

確かにアクアは俺を包んでいた幸せの一つであった。

 

そしてナナリーの事もある。

アクアはナナリーの婚約者であった男だ。

ナナリーの皇位継承権が剥奪されて婚約は解消されたが、婚約していた事実は残っている。

 

あの頃はまだ俺もナナリーも幼かったから、気付きもしなかったが、ナナリーはアクアに恋慕の念を抱いているのかもしれない。

 

ナナリーの大切かもしれない人物を…俺はギアスで操る事はできないであろう。

それが甘さである事は自覚している。

しかし全ては…全てはナナリーの幸せのために。

 

俺はその為に生きているのだから。

 

 

 

 

 

 

「遅いわねぇ…総督府から直ぐに向うって行ってたから、もう来ていても、おかしくないんだけど…」

 

先ほどからミレイは、理事長室を所狭しと、歩き回っている。

その落ち着きの無さが、アクアをどれだけ思っているのかが伝わってくる。

しかし他人からしてみればかなりうざい。

 

「会長。

少しは落ち着いてくださいよ。

会長がウロウロしていたって、アクアは早くやってきませんよ」

 

「わかってるわよ。

ああ…でもあの子、昔っから何処か抜けている所があったから、迷子にでもなっているのかしら?

心配だわ…泣いていないかしら…」

 

「会長…アクアは子供じゃないんですよ?

ましてナイトオブラウンズの騎士が、迷子になって泣いてるなんて…」

 

呆れを含んだ俺の言葉に、ミレイは「わかってるわよ!」と返事をすると、また部屋の中をウロウロと歩き始めた。

 

「仕方ありませんよ…お兄様。

ミレイさんはアクアさんの事が心配で仕方が無いんですよ」

 

ナナリーの言葉に苦笑いで応えた時、廊下が騒々しい事に気付いた。

 

「何かしらね。

ちょっと見て来るわ」

 

ミレイは俺達の返事も聞かず理事長室から出て行く。ドアも開けっ放しで、とても良家の娘とは思えない態度だ。

 

「仕方が無いな。

ナナリー少し待っていてくれ。

俺も様子を見てくる」

 

「はい。

お兄様。いってらっしゃいませ」

 

ナナリーに断りを入れ、廊下に出た俺を待ち受けていたのは、生徒の厚い壁であった。

中心地が空白となっている模様なのだが、此処からでは生徒達の壁で伺う事ができない。

 

「な、何だこれは…?」

 

「あっ。

副会長!」

 

思わず呟いてしまった俺の呟きに、壁になっていた一人の男子生徒が反応して、こちらを向いてきた。

丁度いい。

彼にこの事態を聞くとしよう。

 

「何なんだ?この生徒の壁は?

中心部に何かあるのか?」

 

 

「はい!あのナイトオブラウンズが来ているんですよ!」

 

「ラウンズ!?

アクア・アッシュフォードか!?」

 

「はい!

あのブリタニアの三連星の中星ですよ!」

 

俺の言葉に、男子生徒は大きく頷きながら肯定の意を伝える。

アクアのラウンズとしての叙勲式は、三人の十代の少年少女がラウンズとなる為に、大々的に民衆に報じられた。

それ故に、軍と何の関係も無いアッシュフォード学園の生徒達がアクアに気付いたのであろう。

 

「しかしそれならば、何故アクア・アッシュフォードの傍に誰も近づかないんだ?」

 

「それが…その何とも無表情というか…。

アクア・アッシュフォードの傍に近づきがたい雰囲気があるのですよ

それで皆一定の距離を取って、見るしかないと言うか」

 

その言葉を聞いたとき、俺は自然と笑みを浮かべていた自分に気付いた。

 

…変わっていないな。

昔から奴はそうだった。

無表情で、何を考えているかはわからない様で、いつも自分の大切な人の事を考えていてくれた。

だからこそ、奴はナイトオブラウンズになり、自らの愛する家族の危機を救おうとしたのであろう。

 

「アクア!」

 

その声で俺は自分の思考を止める事になる。

 

その声は俺のよく知る人物であり、アクアの姉の声であった。

壁の中心地から聞こえてきた声に、俺は生徒の壁を掻き分けるように進む。

 

 

そして生徒の壁を掻き分け、中心地に辿り着いた俺が見たものは、涙を流しながらお互いを抱きしめあう二人の姉弟であった。

 

二人の姉弟の再会を祝福したものであった。

それはとても神聖なもの。

 

周囲の生徒たちに目を配ると、涙を流している皆一様にまぶしいものを見るような視線を二人に送っている。

中には涙を流している生徒までいる。

 

立ち去ろう。

アクアやミレイが俺に気付けば、二人は必ず俺に話しかけるであろう。

 

この二人の再会に水をさしてしまう。

それはどんな事に変えても許され無いことだ。

 

どうせ直ぐにアクアと会う事になる。

今は…心の中で二人だけの再会を祝福するだけにしておこう。

 

俺は人垣から抜け出し歩き出す。

 

俺の愛する人が待っている場所へと。


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