最弱の最強能力者   作:白銀鋼

1 / 8
(注)
わからない単語が多々出てくると思いますが、それは後々説明します。
とりあえずそこは気にせずに読んでください。


プロローグ

時刻は深夜2時。その日は月が美しくも怪しく光っていた。

 

「はあ、はあ、はあ・・・」

 

その暗い道を走り続ける一つの影。

その影は時々後ろを振り返りつつも、驚くほどの速さで走っていた。

その人影はフードを深くまでかぶっていて男か女か定かではない。

唯一確認できるのは、その人影が『何か』を抱えて走っていることだけだった。

 

「いたぞ、あそこだ!絶対に逃がすな!」

 

走り続けていた人影の背後から、突如男たちの怒号が聞こえる。

そして直後、暗闇に包まれていた道に炎が現れた。

 

「くっ・・・」

 

その炎により発生した風で、人影のフードが外れた。

フードの下にいたのは、病的なまでに白い肌と闇よりも暗い髪を持った女だった。

その女は背後に現れた男たちを見て、

 

「・・・6人か。さすがに厳しいな・・・」

 

と見た目からはとても想像できないような凛々しい声で呟く。

 

ボウン!

また炎が上がる。女はその炎から、抱えていた『何か』をかばうように背を向けて逃げる。

 

「それでも、お前だけは絶対に渡さない・・・!」

 

炎によって照らされたそれは・・・まだ生まれて一ヶ月もしないであろう一人の赤子だった。

その赤子は炎が巻き起こるその空間にありながら、泣き声一つあげていなかった。

 

「しかし・・・街中で『火炎能力 (フレイムアビリティ)』とは相変わらず非常識だな。」

 

そう女が言う間にも各地で絶え間なく炎が上がっている。

しかし、炎に囲まれている女の顔に浮かんでいるのは焦りや恐怖ではなく、

どちらかというと呆れに近い表情だった。

 

「アビリティレベル3・・・バーニングか。それなりの腕はあるようだが・・・」

 

女は相手の力量を冷静に分析する。6人もの男に追われていながら、

その顔には呆れとともに余裕さえ浮かんでいる。

 

「だが、まだ青い。6人がかりでたった一人を仕留められないようでは

レベル5以上には勝てはしないだろうな。」

 

そう余裕の表情で呟く女だったが、ふとその表情が曇る。

 

「しかし、奴らに私の能力を知られるわけには行かない・・・

この子を無事に送り届けるまでは・・・」

 

ドカン!

と、女のすぐ横に炎が直激した。その炎は、コンクリート製の道路をいとも簡単に溶かした。

それを見た女の顔から初めて余裕が消える。

 

「くっ、贅沢は言っていられぬか!」

 

そういうと、女は近くにあった適当な路地へと入った。

それを見た男から勝利を確信した声が漏れる。

 

「馬鹿め、この地区の路地は全て行き止まりだ!大人しく投降しろ!」

 

男は炎を出す手を止め、路地裏に突入する。

その隙に他の男たちは念のために麻酔弾を用意する。

 

しかし、その路地にはだれもいなかった。

 

「なに!?では上か!?」

 

そう叫びながら周囲を見渡すも、もうそこに人がいた形跡はなかった。

 

「逃げられただと・・・。まさか奴は転移系の能力だったのか?」

 

そう呟く男の顔に悔しさは浮かんでいなかった。

浮かんでいたのは不可解なことでもあるような悩んだ顔だった。

 

「しかし、転移系の能力なら我々に追いつかれる前に逃げているはずだ。

それにこの地区は固定結界が張られている。転移など不可能なはずだが・・・」

 

と、そこに他の男がやってきた。

 

「麻酔弾、準備できました!・・・ってあれ?だれもいないですよ?」

 

そんな呟きになど耳を貸さず、男は考察を続ける。

 

「ならば迷彩系の能力か?いや、だったらそれこそ今まで使っていなかった意味がわからない。

いや・・・使えなかったのか?路地でないと使えない能力・・・そんなものがあるのか?」

「あの・・・」

「何だ!今考え事をしてるのが分からんのか!」

 

急に怒鳴られたが、男は慣れているのかあまり気にせず話を進める。

 

「連絡です。あの研究所の所長ですよ」

「・・・分かった、つなげろ。」

 

そう男が言った瞬間、目の前に画面が現れた。

その画面には白いひげを生やした老人が写っていた。

 

「どうされました、所長。この件は我々にお任せくださいとお伝えしたはずですが」

「ほっほっほ・・・そうカリカリするでない。実は研究所を襲った犯人が

分かったんじゃ。もっとも、確証はないがの。」

 

それを聞いた男の顔に驚きが浮かぶ。

 

「本当ですか!一体どこの誰が・・・」

「まあそう焦りなさるな。実は君たちが犯人を追っているところを

小型の飛行カメラで見ていたんじゃが・・・」

「所長、一応言っておきますが犯罪ですからね。」

「硬いこといいなさるな。で、その映像で犯人が消えたところを見たんじゃが、

そこである仮説が浮上してな。」

「もったいぶっていないで結論だけを言ってください」

 

男は少しいらいらしながら先を促す。

 

「全く、ここからが面白いのに・・・。まあ結論から言おう。

あの犯人の能力はおそらく『暗黒能力(ダークネスアビリティ)』それもレベル8以上。」

「なっ、レベル8!?そんなばかな・・・」

 

男は信じられないという顔で小さく叫ぶ。しかし無理もないだろう。

彼とて、とても努力してやっとレベル3なのだ。

 

「おそらく犯人が使ったのは『暗黒歩行(ダークネスウォーク)』。

歩行系の能力なら固定結界の影響を受けないからな。」

「・・・なるほど、ありえますね。」

 

そう相槌をうった直後、男は突然何かに気付いたように早口で問いかける。

 

「ってまさか・・・『あの家』の仕業だとでも言うのですか!?」

「ほっほっほ・・・相変わらず察しのいい。まああくまで仮説じゃからな。

具体的な家名は伏せておこう。さて、ワシは仕事に戻るよ。」

 

老人はそう愉快そうにわらうと、そのまま通信をきった。

 

「所長!まだ話は・・・チッ、あの老いぼれ本当に勝手だな。」

「あ、通信終わりましたか。ではどうします?このまま探しますか?それとも・・・」

 

その質問に男は少し考えたあと、悔しそうな顔をして答えた。

 

「いや、一度本部に戻るぞ。これは勝手に進めていいヤマじゃない。」

「分かりました。では破壊箇所の修繕はやっておきますので、お先に行っててください。」

「そうか、じゃあ頼んだぞ。」

 

そういって男は背を向ける。その背中にはある紋章が輝いていた。

歩兵と騎兵と大砲を模したエンブレム。それは三竦みを示す三つの力を表していた。

 

そのエンブレムが表すのは均衡、もしくは停滞。

 

それは警察の『能力治安維持課』のエンブレムだった。

彼は、人が能力を使って治安を乱すことがないよう、抑止力として作られた特殊部隊の長だった。

 

そう、彼はいわゆる『正義の味方』。それも所内で5本の指に入るエリートだ。

しかし、先ほどの女はそのエリートを含めた6人の追跡をいともたやすくあしらった。

そのうえ彼には信じられないことがもう一つあった。

 

(俺ですらレベル3なんだぞ・・・。レベル8だなんてありえない)

 

自分のおよそ3倍という耳を疑う数字。しかし先ほどの女の動きは、

その数字を信じさせるに値するものであった。

 

自信を打ち砕かれるようなことの数々。普通ならその顔に浮かぶのは苦い表情だろう。

しかし、彼の表情は悔しさとは程遠いうれしそうな顔だった。

 

(このヤマ・・・絶対に俺が解決してみせる。)

 

そう不敵に笑う男の上で、月が怪しく輝いていた。

 

 

 




ども、はじめまして。白銀鋼と申します。
名前についての突っ込みはナシでお願いします!

え~初投稿なので至らないことも多々あると思いますが、
がんばって書いていきたいと思っております。

前書きにも書きましたが、この話ではわからない単語が多くあると思いますが、
それは今後の話で説明させていただきますので。
あ、一応言っておきますが、別にこの警官が主人公ではありませんよ。

それでは、この話に少しでも興味を持ってくれる人がいたら幸いです!

それでは、読んでくださった方、ありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。