リリなの短編倉庫集   作:オウガ・Ω

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新暦6?年



最初におぼえていたのは、誰かに抱かれている感覚とそして



ーソールティア・セガウルー


不思議な響きの言葉…ずっと頭に残った。コレがオレの名前だとわかるまで時間がかかった



………それから別な場所に連れられて来られた、毎日意味がわからない言葉を耳に流された。何度も何度も繰り返し入ってくる無機質な声


ー我等が闘うのは邪教に従う我等が神の叛徒なり、邪教に毒され穢れた彼らを討ち、天へ孵すコトは我等が神の戦士である証なり、我等に討たれたモノはようやく邪教に穢れた魂を救われる。コレは救いだー



一言一句正確に答え続けたオレは、別な部屋に行くとに樹脂で出来た玩具の銃みたいなモノを見せられた


ー認識番号S18566ー2…コレを…………し、あの的を撃てー



認識番号S18566ー2…いまのオレの名前らしい。指さされた先には大きな袋が二つがモゾモゾ動いてる……



目の前にある銃…解析、構造把握…同じモノをイメージ、銃を産み出し、晶星捉えセフティを外して撃つ…

でも袋にはあたらなくて、硬い床を撃ち抜いた瞬間。右頬に熱い痛み、身体が浮いて床に倒れた。殴られたんだとわかった


ー狙いを外すさず確実に当てろ!!でなければ死ぬぞ!!ー


ー……ー


…痛むほほを押さえるとまた拳が飛んでくる。ふらつきながら銃を構えた…照星にとらえた袋へ銃弾を二発ずつ叩きこんだ…びくりと大きく動いて跳ねまわる袋。赤くて鉄臭い匂いがする何かが流れて壁にぶつかりながら動きを止めた


ー認識番号S18566ー2。無事にIS《ーーーーーーー》発動確認…しかしまだ完全には作成出来てませんね…同志、やはり《ドクター》に再調整を依頼しては?ー



ーそうだな…認識番号S18566ー2、64時間ぶりにメシを食わせてやる。他の者も見習え!!ー


訓練の結果が良ければ食事にありつける…銀色の梱包材に包まれたパサパサした水気の無いステックバー、苦い味のする飲み物を咀嚼して飲み込んでいく


ーお、おぅええー


せっかくの《貴重なエネルギー源》を床に撒き散らし、えづいてる


…彼らは《兵士》、いや《ディエモンネカイザー》として失格だ。オレは動かなくなった『鉄臭い赤い水』が出る袋に座りながら感じた





Gottes Kriegerー初体験…ー

 

 

新暦79年 Stヒルデ魔法学院

 

 

「あの、セガールさん……なにしてるんですか?」

 

 

「食事だ」

 

 

「………し、食事……その赤いのは」

 

 

「ドライトマトだ、栄養価は高く優れた戦闘糧食の一つに数えられている……」

 

 

「じゃあ、それは?」

 

 

ある日のStヒルデ魔法学院中等部。アインハルトは何時ものようにヴィヴィオやリオ、ユミナ、コロナとともに昼食を取っていた

 

その近くには当然、《Stヒルデ魔法学院中等部の破壊魔》、《常在戦争ボケ》、《歩く火薬庫》の代名詞《ソウタ・セガール》が何時ものように銃?を構え、あたりを警戒し膝に置かれたナニカを口に運びながら、アインハルトに淡々と応えながら目を向けた

 

 

「コレか?………食べてみるか?」

 

 

差し出されたのは細長く乾燥した赤いナニカ……少し戸惑いながら口にし噛んだ。真っ先に感じたのは固いけど鉄臭い風味に思わず咳き込んだ

 

 

「どうしたストラトス?」

 

「セ、セガールさん…コレは?」

 

 

「干し肉だ。貴重なたんぱく質の塊で長持ちする…今、ストラトスが食べたのは《ベノスネーカ》だ、他にもキバッ…」

 

 

 

「な、なんてモノを食べさせるんですか!!」

 

 

 

スカートがふわりと浮かばせ、白のショーツ露わになる、周りの男子生徒達の記憶に焼き付けていることに目をくれず踏み込みと同時に体重をのせたハイキックがソウタの顔面を捉え、勢いよく地面へ頭をめり込んだ                        

 

 

Gottes Kriegerー初体験…ー

 

 

「ん、もう少し踏み込みが足りないな…なにを怒っているんだ?」

 

 

でも何事も無かったように身体を起こした…知り合って日の浅いヴィヴィオ達の「アインハルトさんの一撃を受けて平然としてる!?」の声を尻目にアインハルトはヒートアップしていく

 

 

「なんで怒ってるかですって?一滴の毒で街一つが滅んだ超特定危険種じゃないですか!!そんなのを私に食べさせるなんて…」

 

 

 

「大丈夫だ、しっかり毒抜きもしてある、逆にベノスネーカの毒は乾燥、熟成させると滋養強壮にもなるし薬として使えるらしい確か不夜城と呼ばれてるとドゥーエとティーダから聞いた」

 

 

「……はあ、そういう問題じゃないんです…それよりも、それだけで足りるんですか?おなかすかないんですか?」

 

 

「問題ない。栄養さえ取れれば量など関係ない、それ満腹になると突発的な戦闘への対応が遅れ、さらには満腹時にある化学兵器を受けると…」

 

 

「………」

 

 

 

長々と軍隊用語を交えながら話し出すのをみて、軽く額に手を添えながらため息がでます。まあ、ソウタさんの境遇、正確にいえば正体を知ってますけど…

 

…無人世界でのオフトレからの帰りに起きた事件で命がけで私たちを守り抜いた彼の力は間違いなく本物でした

 

 

ーストラトス、さがってろ……ー

 

ーえ、でも……あなたは戦いは…素人じゃー

 

 

ー…安心しろ、オレは素人じゃない、スペシャリスト《専門家》だ……ー

 

 

 

 

………血にまみれながら、コンバットナイフ、アサルトライフル、ハンドガン、対空ミサイルで正確に排除。管理局でも数年前に導入したばかりのAS(アニマル・アーム・スレイブ)《サベージ》(カエルをモチーフにした外観、対AMF処置がされた装着?いわゆる強化外骨格)を強奪して数的に不利な中で撃破していく姿を

 

 

ー敵戦力無力化を確認………ストラトス、出ていいぞー

 

 

………そんな彼を見て頼もしいと感じる一方、危うさも感じます。でも、いま優先することは一つあります

 

 

「あと、その化学兵器に対する対処法は…」

 

 

 

「ソウタさん」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「今日の放課後、時間はありますか?」

 

 

「肯定だ…」

 

 

「では、必要なモノを買いいくので少し付き合ってください」

 

 

「了解した!キミを守ることがオレの任務だ。例え狂信者、暴徒。誘拐犯は実力を持って排除、自白剤と拷問で背後組織も徹底的に洗い出ししかるべき報復を遂こ………」

 

 

「ソレはやめてください!」

 

あいかわらずの返答、コレもソウタさんのタメです。一般的常識を身につけるタメに……次の授業が始まる予鈴が響き、わたしはヴィヴィオさん達に今日の練習に参加できない旨を伝えてから教室へと歩き出しました

 

 

「ねえねえヴィヴィオ、アインハルトさん、セガールさんとお付き合いしてるんじゃない?」

 

 

「セガールさんって少し無愛想だけど先週。上級生に告白されたみたいだよ?」

 

 

「あ、ソレ知ってる…けど、セガールさん勘違いしてたみたいだし…でも、アインハルトさんも近くに居たからなんとかなったみたい。でも、付き合ってるふうには見えるよね」

 

 

 

……ヴィヴィオさん、リオさん、コロナさん…わ、わたしはソウタさんとお付き合いしてませんからね!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「…ストラトス…何を?」

 

 

「少しだけ待ってください」

 

 

「了解した」

 

 

ソ~タさんが何度目かになる質問してきます。いま彼はワタシの部屋にいながらも銃?を手にして警戒してます

。もう危険なんて無いのに…はあ~

 

ため息をつき人参、玉ねぎ、ジャガイモを切り終え、まずみじん切りにした玉ねぎを熱した鍋に入れて炒めていきます。

 

 

ここまでくるまでが大変でした…

 

 

ーお嬢さん、今日は鶏もも肉が安…ー

 

 

ー動くな!なんの目的で近づいたー

 

 

ーあらまあ~ストラトスちゃんじゃない。今日は彼氏と一緒かい、ならおまけに雪割人じー

 

 

チャッ…ボト

 

 

ー抵抗するな、目的と所属を吐けー

 

 

ーひ、ひいい!ー

 

羽交い締めにしたお店の人の眉間にグロックをおしつけたり、刃渡り30センチ以上のコンバットナイフで人参を切り落としたり、とかとか、ソウタさんが私がよく行く店の方を不審者と間違われて、何度も誤解を解いて謝罪を繰り返して、ようやく、ようやくここまで来ました

 

 

私がいま作っているのはユミナさんとミウラさんから教えてもらったクリームシチュー…味を調えコトコト煮込み味見する

 

うん、美味くできました。シチューをお皿によそいサラダを並べて、リビングで座っているソウタさんの前におきました

 

 

「……なんだコレは?」

 

 

「カルナージで私やヴィヴィオさん達を守ってくれたお礼です…さあ、冷めないウチに」

 

 

「…っ…オレはコレだけあれば…」

 

 

「いいから食べてください!」

 

 

「り、了解した………………ん、!!」

 

 

クリームシチューをスプーンに掬い口にしたソウタさんの目が見開かれ、何度も何度もシチューを口に運んでいってる。もちろんサラダも食べていって瞬く間に空になりました

 

「はあ、はあ………なんだコレは?」

 

 

「クリームシチューです…」

 

 

「クリーム…シチュー……」

 

 

スゴく驚いた顔…こんなソウタさんをみたのは初めてです…ソレから一緒に食事をしました。シチューを口にする度、少しだけですけど笑顔を浮かべているように見えたのは私だけでしょうか?

 

 

しばらくして、ソウタさんは定時報告がしないといけいといけないらしくて、見送るために玄関まで来ました

 

 

「…ストラトス。今日はコレで」

 

 

「はい、また………あ、あの」

 

 

そのまま帰ろうとするソウタさんの足が背を向けたまま止まる…コレだけは聞きたい

 

 

「なんだ?」

 

 

「……シチュー美味しかったですか?」

 

 

「肯定だ」

 

 

「そ、そうですか…じ、じゃあまた食べに来ますか?私の護衛もしやすくなりますから」

 

 

「了解した…キミのシチューは最高だ…」

 

 

しすかに扉が閉まり、家には私だけ残ります…でも帰り際にあれはずるいです!もう!!

 

 

 

ーーーーーーー

ーーー

 

 

 

「こちらウルズ6《ソウタ・セガール》、アインハルト・ストラトスの本日の護衛及び経過報告…特に異常なし」

 

 

 

ーホントになに無かったのー

 

 

「………いや……少しだけ」

 

 

ーやっぱりナニカあったんだ~さあ、ドゥーエお姉様に話してごらん♪さあ♪♪ー

 

 

「……ストラトスが作ったクリームシチューを食べた……不思議な味だった…」

 

 

ーえ、ホントなの…ー

 

 

何時ものようにストラトスの護衛経過を上官……ドゥーエへと報告したら、ナニカが落ちた音。ナニカ騒がしい声がする

 

 

ーホントか!レーションとベノスネーカーの干し肉しか食べないソウタが!ー

 

 

ーしかも女の子の手料理……このリア充め!ー

 

 

リア充?なんだソレは…ソレにオレは何時もレーションを食べてないんだが

 

 

ークリームシチュー…不味いわね…アリシアが知ったら……ー

 

 

 

なぜ、アリシア・テスタロッサ准将殿の名前がでるんだ?

 

 

 

クリームシチューは不味くないんだが……クリームシチューは初体験な味だ…ストラトスの手はオレ《人殺し》の手と違って色んなモノを生み出せる…

 

まだうるさいので、通信を閉じ本日の護衛にかんする詳細を圧縮したデータを送り、何時ものようにシャワーを浴び、睡眠を取る

 

 

なぜか解らないがクリームシチューを作るストラトスが夢に出てきた…

 

 

クリームシチュー…また食べたい

 

 

 


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