私が何故小説を書くのか、その理由を書いた広瀬遥小説全体のまえがき。
自伝的でありながら一部フィクションのこのお話は私が小学3年生の頃に自由帳に書いたお話です。
冷たい空気が顔にあたる。冬の夜、日が変わってから何分か後、私は家の外に居た。何故そんな時間に外にいたのか、外で何をしていたか、憶えていない。が、一つ確かなのは、その後私は脳内にいくつもの世界を作るようになった。 私の脳内で構成されたいくつもの世界の住人達が幼い私を退屈から救ってくれた。 私の脳内の世界には何人もの人間が存在していた、「普通の学生」や「超能力者」「天才少年」「科学者」「総理大臣」「宇宙人」…それぞれ違う世界に存在し、それぞれにストーリーがあった。当然この中で起こる事は全て私が操作できる、事故だって事件だって起こせる。 現実の世界は退屈だった、毎日をなんとなく過ごしていた。でも、脳内では今日も色々な事が起こる。何も無い日なんて無い。「何も無い日なんて無い。」私の頭の中の誰かが言った一言が私の考えを変えました。(まだ10歳の子供が世界の何を知っているんだろう)そう思った。「世界は広い」と誰かが言っていた。(「世界」とは何を指す言葉なのか。個人個人の意識の事か、地球の事か、宇宙の事か、) 私は世界が知りたくなった、そしてその瞬間現実が少し面白いと感じました。
私の脳内の世界で最も私に近い人物が存在する、それは”普通の学生”と称した彼である。
彼は私よりもいくつか年上だったが、彼も未だ何も知らない、世界を知らない学生。 彼の名前は広瀬遥、小説を書くのが趣味である。 遥は私の世界に一番最初に現れた人物だった、私は遥の住む世界の物語を考え妄想に浸っていた。そして、気が付くと私の脳内に沢山の世界が出来上がっていました。 その世界では昼夜を逆転することだって可能だった、時間を止める事さえも。 現実の世界で桜が咲くころ遥が私に本をくれた。 手渡された本は真っ白な綺麗な本で、タイトルだけが赤く染まっていました。「まえがき…?」なんとなくページをめくってみると、全てのページが白紙でした。「白紙?」遥に問う。「そう。」「どういう意味?」「書いて。」「何を…」「話。」(こんな話は考えていない…)この日、脳内の世界ではじめて私の創作でない出来事が起こった。
遥から本をもらった日から幾日か経った、あれ以来遥には会っていない。違う、会おうとしても会えなかった。
しかし今日は違った、遥の世界に行く事が出来た。しかし、そこに前までの世界の姿は無く、ただ真っ白な空間が
広がっていた。 二人の人間がいた。(遥と、誰だ?) 勿論、私はこんな話を考えた覚えは無い、何が起きているのか全く理解できない。しばらくして、私は遥と一緒にいる人物が誰なのか確認することが出来た。花京院永久(かきょういんとわ)だった。 彼は脳内に存在する世界の内の1つにだけ存在する人物だった、この世界には存在しない、はず。彼は別世界の主人公、学生時代に事故で家族全員を亡くしてしまった。現在は28歳で作曲家である。彼は家族を殺すシナリオを作った私を嫌っていた。(永久が何か持っている?) 一瞬何かのシルエットが見えたが何かは認識できなかった。 遥が倒れた。 (何が起きた…?)状況が全く理解できない、世界が勝手に進んでいく、制御できない。(遥に何があった?)久し振りに瞳に映った白以外の色。世界の一部が赤くなった、遥から血液が流れてくる。遥の胸にはナイフ。真っ白のシャツが赤く染まる。 音も色も忘れていた空間は思い出したかのように徐々に赤く染まっていく、鼓膜が揺れる、叫び。 もう、遥も永久も居ない。時間が止まるのがわかった。真っ赤な空間は消えた。
遥の存在した世界は消えた、私の脳内で再構成する事も出来ない。自分で作り上げた世界と人物が自分の意志と関係なく消えてしまった。だが、記憶はある。脳内から消えたのに記憶は残っている。別の世界は何も変化は無い、だが操作が出来ない、時間が勝手に進み、脳内で人が勝手に行動する。永久は何処にも居なかった。(消えた…?)私の世界が私を受け入れてくれなくなった。
久しぶりに現実の世界を見た様な気がする、遠くで光が滲んで見えた。(泣いている…?) 冷たい空気が顔にあたった、冬の夜、腕時計を見る、もうすぐで日が変わる。 遥の世界が消えてどれくらい経ったかわからないが、そんなに長い時間は経っていないだろう。 家の前の公園で眠ったみたいだ。(風邪引くな…)そんな思考と同時に私はこんな思い付きをした。(遥の小説書こうか…)タイトルが決まっている為内容は限られると思ったが、書き易いと言えば書き易いタイトルだったので安心した。(”まえがき”ね…) 私は遥に変わって小説を書こうと思っていた。 こういうのはどうだろう、私が何故小説を書くのか、作品全体の”まえがき”として自伝的な小説として遥の小説を書いてみる事にする。では、私は広瀬遥を名乗り、小説を書くことにしよう、現実の世界で。
最後まで読んでいただき有り難うございました。このお話は最初にかいた通り私が小学3年生のときに自由帳に書いていたお話です。それを投稿用にちょっとだけ修正しました。まぁ内容は当時のままなので「ん?w」みたいな箇所もあるかと思いますが…楽しんでいただけたらとても嬉しいです。