飛んでます。耀ちゃんがキメラさんの背に跨って楽しそうに空を駆けまわっております。
正直ドン引きです。分かっていたことですがあの子もオレみたいな一般人とは違うらしいです。
十六夜君によると今の耀ちゃんの置かれている状況はとんでもない圧力と寒気で普通の人間ならとっくに気を失って振り落とされてるそうだ。
まあ俺ならあの程度……フッ、と口にする十六夜君。、やべぇよ、また厨二発言ですかい。
事の発端は白夜叉ことヤーさんに規格外問題児の三人が喧嘩をふっかけたのが最初のことである。
もの凄く和む和室でお茶とお菓子を食べて帰るつもりがこんなことになるなんてね、ホントどんまいだよ黒ウサギさん。
皆彼女に負担かけすぎ、もっと労ってあげて! ウサ耳に人権をーっ!
あ、そうそう、それとすんごいことが判明しました。ヤーさんは元魔王らしいです。
「私は "白き夜の魔王" ――――太陽と白夜の精霊・白夜叉」
とか言い出してね。
正直これには頭が痛くなったよ、最早厨二とかそんなレベルじゃないって。
どこまでちゃんと構成練られた夢だっての、起きたら忘れちゃうんだぞオレ。
改めて妄想廚二力の恐ろしさを垣間見たぜ。ていうか、これ全部オレ妄想なんだよね、恥ずかしすぎるだろおい。
それと真面目な話、ヤーさんの「おんしらが望むのは、試練への "挑戦" か? それとも対等な "決闘" か?」という発言にはマジでちびりそうになった。
霊力的な何かがぶわって一気に広がり出してオレたちのことを包みこんだんだ。本能が負けを認める、とはあのことだろう、今も思い出すだけで脇汗が止まりません。
伊達に元魔王じゃないのを痛感させられた瞬間だね、夢だけど。
これには流石の十六夜君もビビったらしく、キャラに合わない三下台詞を吐いて引き下がったんだ。負けを認めることも強者には必要なだもんね。
ちなみにヤーさんはゲーム盤として何個も独立した世界を持っているそうだ。冗談とかじゃなくてマジで。
力のある魔王同士が本気でぶつかり合うと世界の一つや二つ壊れるのは当たり前で、場所を移さないと大変なことになるらしい。チート対チートということですね。
あ、忘れてた、現在進行形で耀ちゃんが行っているギフトゲームの名は "鷲獅子の手綱" というらしい。
勝利条件はキメラ(本名グリフォン)さんに "力" "知恵" "勇気" の何れかで認められること。
その方法は彼の背に乗って遠くの方に見えるお山を一周してくる。振り落とされれば失格だ。
ヤ―さんに力の差を思い知らされた三人が代わりに受けさせてもらったのがこのゲームである。
勝てばもれなくみんなのギフトを鑑定してもらえるそうなのでどさくさに紛れてオレも見てもらおう。
ゲームを受ける際、自分がやると名乗り出た耀ちゃんは驚くべきことに「負けたら晩ご飯になります」と宣言した。
やはり彼女も紛れもない問題児だ。やると決めたら譲らない性格らしくオレたちの言葉を無視して勝手にゲームを始めてしまったのだ。
でも今の感じだと全然余裕そうだし、心配して損したかな。
あ、帰ってきた。
「おかえり耀ちゃん。キメラさんとのお散歩楽しかった?」
「うん。なんだかいつもより凄かった」
「凄い?」
「うん。説明できないけど、とにかく凄かった」
「そっか。それは良かったね」
瞳を爛々と輝かせ年相応の少女らしい笑みで語る耀ちゃん。思わずこちらの頬も緩む。
無表情からの天真爛漫スマイルなんて反則だよ、お持ち帰りしたい。
などとオレがいらんことを考えている間にも話はどんどんと進み、耀ちゃんのギフトは首からぶら下げてる木彫りのペンダントだとか、お友達になったからキメラさんの能力使えちゃうとか、ヤ―さんがペンダントくれくれやかましいやら色々あったみたいだ。
「まだ何かありそうだな」
「ん? どうかした?」
オレの隣で耀ちゃんを見つめながら十六夜君が呟いた。
疑問を感じ問いかけるも「気にするな、独り言だ」と返されいつものようにヤハハ、と彼は笑う。
そしてまた耀ちゃんを見つめる、と。
え? 何これ? もしかしてそういう感じ? 人は見かけよらないってヤツ?
なんだよ、それならそうとお兄さんに言ってくれればいいのに。案外可愛いところがあるじゃないか、オレに任せろ十六夜きゅん!
「焦りは禁物だよ。まだ出会って間もないんだ、ここはじわじわ攻める作戦でいこう」
「…………」
「まずはさり気なく名前を呼んでみようじゃいか。そこを後に回すと意外と苦労するらしいよ」
「…………」
「今とか超チャンスだよ。何気ない感じで "意外とやるじゃねぇか、これからもオレを楽しませてみろ、耀" なんてどうだろう――いけるぜ相棒、オレの作戦は完璧だ!」
……え? 何そのあほの子を見るような目? もしかして間違ってた!? 嘘!? オレの早とちり?
恥ずかしい。何これ拷問? 目覚めろ! 現実世界のオレ起きるんだ! 無理か。
「フッ、やっぱりお前面白いな」
「そりゃどうも」
こっちを見ないでくれ十六夜君、心が折れそうだ。
orz の形で項垂れるオレと不敵に笑う十六夜君に黒ウサギさんの声が飛ぶ。
「そこで油を売っているお二方~、白夜叉様からプレゼントがあるそうですよ~」
◆ ◇ ◆ ◇
「では質問を変えるとしよう。おんしの知り合いに修羅神仏、精霊の類はいたか?」
「ん~……あ、そういえばあの人」
「いたのか? そやつは何者だ!」
「何者って " " ですよ。……あれ?」
「何をふざけている! 出し惜しみするな!」
「いやそういうわけじゃ……」
怖っ、何ですかその目つきは!? お前ええ加減にせんといてもうたるぞ的なのやめて!
現在、見た目美少女のヤ―さんに物凄い勢いで胸倉を掴まれています。顔が近い。どういう状況これ?
何故オレがこのような目に遭っているのかといえば、先程ヤ―さんにもらったギフトカードという代物のせいだ
なんでも正式名称 "ラプラスの紙片" というこのギフトは、「全知の一端故に分からぬ事などない」とヤ―さんに言わしめるほどの激レアアイテムなんだとか。
にも関わらず何故か十六夜君のギフト名が "
ちなみに飛鳥ちゃんと耀ちゃんも貰ってます。
まあ元々耀ちゃんがキメラさんの試練をクリアしたからもらえたんだけどね、オレと十六夜君、飛鳥ちゃんの三人はおまけみたいなもんかな。
一応二人のギフトを名紹介しときますか。
飛鳥ちゃん "威光"
耀ちゃん "
飛鳥ちゃんはイメージ通りだね、流石女王様って感じのギフト。
哀れな虎ちゃんを思い出すよ、ピチピチ。
耀ちゃんはおかしくね? 何一人で二つ持ちとかしてるの、ずるくね?
宜しければお一つ分けて頂けませんか? この哀れな庶民兼一般人にお一つ。
まあそれは置いといて、飛鳥ちゃんと耀ちゃんのはギフトは確認することが出来ました。でも十六夜君のは分かりません。
では柊葵くんのはどうなっているのでしょうか? 当然の疑問ですな。
そして悲劇は起こった。
「黒ウサギさん、へいかもん!」
「ん、なんですか葵さん?」
"
「誰にも言わないでくださいね。オレのだけ不良品みたいです」
「不良品? そんなはずはありませんよ。ラプラスの紙片というのは」
「あ、そういうのいいですから、とりあえずこれを見てください」
長ったらしいうんちくを披露しようとする黒ウサギさんを無理やり黙らせ、握っていた黄色いカードを彼女の方に向ける。
すると何故か彼女が固まってしまった。一体どうしたというのだろうか。
「これは……」
「ね、おかしいですよね。オレのだけ何にも書かれてないんです。こいつは不良品に違いない。十六夜君のだって "
「いや、そういうことではなくてですね、なんと言いますか、あはは……」
何故そこで黙るんだい黒ウサギさん。オレから目を逸らさないでくれよ。
ちょ、ちょっと! 逃げようとするんじゃありません! ウサ耳ひっこ抜くぞ!
なに? 私にはまったく見当もつきませんごめんなさい許してください離してくだひゃいだって?
ごめんよ、そんな泣かなくても。
黒ウサギさんの肩を掴み揺らしまくるオレのもとに飛鳥ちゃんと耀ちゃんがやってくる。
「あら葵君、あなたはギフトを所持していないのね?」
「ホントだ。葵は」
「わああああッ!! お二人ともそんな本当のことを言っては葵さんがかわいそうですよ!」
「え……?」
あ、なるほど、そういえばオレってただの庶民兼一般人だった。
確かに最初から存在しないものを表示させるなんていくら全知でも無理だよね、納得納得。
うん、納得した、納得したよオレは。
カードが貰えたからってその気になってた愚か者が悪いんだ。だから誰かを責めようなんて思ってないよ。それなのにどうしてキミたちはそんな顔をするんだ、なんだか申し訳ないよ。
「あ、葵さん、べ、別に気にする必要はありませんよ、ギフトがなくたって葵さんは "ノーネーム" に必要な方ですから」
「そ、そうね。たかがギフトだもの、そんなものなくても葵君は……うぅ」
「(飛鳥さん、そこで詰まっちゃまずいですよ。早く何か言わないと)」
「(そんなこと言われても私葵君のことなんてほとんど知らないし)」
「(もぉ~葵さんがすっごいこっち見てるじゃないですか! 早くしないと泣きだしちゃいますよ)」
何これ? なんでこんなに気を遣われてるの? やめてよ二人とも。今のオレって凄く惨めじゃね? 誰か助けてください。
ダークサイドに堕ちる、そう思われた瞬間彼女がオレに手を差し伸べてくれた。
「友達」
「え? 耀ちゃん?」
「葵は私の大切な友達、だから関係ない。ギフトがなくたってずっと友達だよ」
動悸が治まらない。心臓が爆発しそうな勢いで胸を打ちつける。
背中に触れる暖かな感触が彼女の存在をオレに知らしめる。
叫ばずにはいられない。
く、黒ウサギさあああああんッ!! ラブコメ的展開来ましたよ! マジもんですよ! 耀ちゃんが背中側から抱きついてきましたよおおおおッ!!
こ、ここはカッコいいセリフで返すのがイケてるメンズ――イケメンの「にゃー」
「のわああああああ、目、目があああああッ!!」
流石は三毛猫さん、すかさずダブル眼球猫パンチ決めてきやがった。
別にオレだって本気でラブコメできるなんて思ってなかったのにこの仕打ちは酷過ぎる。オレを猫嫌いにさせたいのかい、大阪のおっさん!
「大丈夫?」
「うん。問題ないよ、心配してくれてありがとう。それとそこの二人」
「「はい!」」
「そんなに気を遣わなくていいから。普段通りで、ね」
深刻そうな顔をする黒ウサギさんと飛鳥ちゃんに声をかけると二人は安堵したように大きな溜息を吐いた。一瞬前まで緊張でガチガチだったウサ耳は今はだらしなく垂れている。
オレのせいで二人には悪い事をしたかもな、もともとは彼女たちのせいなんだけど。
「これおんしら、何をやっている?」
「白夜叉様! 実は葵さん、ギフトをお持ちではなくてそれで」
「はい、これお返しします。高価な物なんですよね? オレみたいな一般人には必要ない代物でした」
「葵さん……」
苦笑しながら手に持つ黄色いそれをヤ―さんに手渡す。オレの情けない姿に黒ウサギさんは悲しそうにウサ耳を萎れさせる。
同情するならギフトをくれ、なんてね。
多分この夢がオレに伝えたかったのは "世の中自分の都合のいい方に進むことなんて滅多にない。だから努力して就職先をもぎ取ってこい" ってことかな。
この偉大なる教えを胸に柊葵のリクルートファイターとしての戦いは続くのだった。
……あり? おかしいな、そろそろ本格的にヤバくないか。どうして目を覚まさないんだろう? タイミング的に今のような気がするんだけど、もしかしてこれって全部夢じゃない、わけないか。魔王とか半獣人がこの世にいるはずないし、ハハハハ。
「まさか!? いやしかしそんなことが……」
自分の置かれている状況に疑問符を浮かべているとヤ―さんが神妙な面持ちでオレの渡したカードを見つめ、何かに驚嘆している。
と、次の瞬間、異物でも見るような瞳でオレのこと睨んだ。
一体オレが何をしたってんだい白夜叉様? この庶民兼一般人に何が出来るとおっしゃるのか。
新たなに生まれ落ちた疑問符の答えを彼女はその口から具現化させる。
「おんし、私に隠し事をするとはいい度胸だな?」
「はい? ヤ―さん何言ってるんですか? オレはただの庶民兼一般人ですよ」
「ほう。では本当に何も知らない、と」
「そうです。オレにはあなたが何を言ってるのかすら分かりません。そんな目でオレを見ないでください、泣きますよ? いいんですか?」
「あくまで道化を演じ、白を切るか
一拍置いて彼女の全身から再び霊力の様なものが溢れ出した。
オレたちはただ全身を鎖で繋がれたかのように動けなくなる。
「力づくで吐かせるまでだ」
う、うそ~ん、ヤ―さんが白き夜の魔王様にレベルアップしおった!?
なんで? なんでまたあの怖い人になってるの? さっきまでの可愛らしい和装ロリちゃんどこ行った? 目の前の方雰囲気別人じゃん! 殺されちゃうじゃん!
一歩、また一歩とオレの方へと歩み寄る彼女の姿はまさに夜叉、小さいはずの体が巨人のように思えるほどの錯覚に震えが止まらない。
「し、白夜叉様落ち着いてください! 何かの間違いです。葵さんは何のギフトも持っていないただの庶民兼一般人です! お阿呆様なんですぅーッ!」
黒ウサギさんひでぇなオイ、本当のことにプラスして阿呆呼ばわりとかオレのこと嫌いだろ絶対。庇ってもらってるのになんだろこのやりきれない感は、無性にあのウサ耳を引っ張りたくなる。
「おんしは黙っていろ黒ウサギ、私はそこの童に用があるんだ」
「出来ません! 彼は私たちのコミュニティの一員です。例え白夜叉様といえど、仲間を差し出すようなことはもう二度としたくありませんッ!!」
「安心しろ、なにも取って食おうという訳ではない。ただ少し聞かねばならぬ事ができた、それだけだ」
ごめんよ黒ウサギさん、先程の発言は全て訂正させて頂きます。
オレのことを仲間だと思ってくれてたんですね。素直に嬉しいです。何度も逃げ出そうとしてすみませんでした。あとはオレに任せてくれ。
こういう険悪な雰囲気の時はなるべく軽いノリの方がいいことをオレはよく知っている。だからこそ、適当な笑みを張り付けヤ―さんのもとへと歩み寄る。大丈夫、どうせ夢だ。なんくるないさ。
「まあまあお二人とも喧嘩しないでくださいよ。とりあえずヤ―さんが魔王にレベルアップした理由からお聞かせください。はい、耀ちゃんも落ち着いてね」
うわっ、無言の抵抗っていうかオレの相棒が皺くちゃにされていくんですけど。
やめなさい耀ちゃん、あんなリアル化け物オーラ全開の見た目美少女に勝てるわけないでしょ。
なに? 私の友達を傷つける人は八つ裂きにしてやる? ……え?
あ、違う? 私の友達を傷つける人は許さない、か。
ちょっとビビらせないでよ。耀ちゃんってそういう危ない一面を持ってるのかと本気で疑ったよ。
大丈夫、オレは死なないよ。これが俗に言う死亡フラグね。
ん~それを言っちゃうとかなり高い確率で本当に死んじゃう恐ろしい呪文みたいなものかな。
だ~か~ら~、ヤ―さん相手に喧嘩売ろうとしないの、殺されちゃうかもしれないよ。キレたロリはなにするか分かったもんじゃないからね。
こら十六夜君! なにを便乗しようとしてるんだねキミは! 馬鹿なの!?
阿呆のお前が言うなって?
あれ、誰でしたっけ、ビビって三下臭いセリフ吐いてた臆病者は。
オレの記憶が確かならさかまっきーさんでしたよね? ハハ。
嘘じゃん、今の軽い冗談だって、オレって庶民兼阿呆の一般人だから十六夜様の偉大さに照らされて緊張しちゃってるだよ。
だからさ、とりあえずその握られし幻の右を解こうか。
こら耀ちゃん! キミは油断も隙もありませんな。
あんな化け物倒せるはずないって何回――飛鳥ちゃんへるぷみ~。
「な、何をやっているんだおんしらは。葵、このギフトカード "ラプラスの紙片" は全知であることは理解しているな?」
「はい。でもギフトを所持していないオレには」
「まだ言うかおんしは、そこまで頑固者だったとはな」
あ、戻った。びしょーじょ和装ロリちゃんのヤ―さんにレベルダウンした。
おぅおぅ黒ウサギさんお疲れさんです。もう大丈夫だよ、ウサ耳を萎れさせてへにゃっててね。
そういや飛鳥ちゃんはどこ行っ――あ、キメラさんと会話しようと努力してたのね。
なんていうかキミにはキミの良さがあると思うから無理しないで。というかキメラさんを開放してあげて、ものすご~く迷惑そうな顔してるからそのキメラさん。
行け耀ちゃんミッションだ。飛鳥ちゃんの捕獲よろしく、グッ。
あ~十六夜君はややこしいから黒ウサギさんにセクハラでもしてて、オレはヤ―さんと話しつけてくるから。
え、なに? 私を餌にしないでください by黒ウサギだって?
いいじゃんどうせ今日のメインディッシュなんだから、味見させてあげてよ。
十六夜君。オレの分は取っとかなくていいから。
いいねぇ~その犯罪者染みた笑顔、流石粗野で凶悪な快楽主義者。
十六夜君、ここはキミに任せた。
「で、どういうことなんですか?」
「まったく、おんしの切り替えの速さは尊敬に値するな」
「いやいや、それほどでも」
呆れたように溜息を吐くヤ―さん。
今の返答の何が悪かったというのだろうか。
彼女はオレとの距離をより密着させ、優しく語りかけるように言葉を紡ぎ始めた。
「ギフトを所持していない、それは嘘。なぜならおんしは意図的にカードに細工をし、他者に己のギフトを知られないようにした、違うか?」
「違いますね」
「……ギフトを所持していない、それは嘘。なぜならおんしは意図的に」
「違います!」
「……ギフトをしょ」
「だからッ!!」
何この人? 馬鹿なの? ゴリ押しする気しかないでしょ?
どれだけオレを過大評価すれば気が済むんだよ。
え? 違うの? みたいな顔しないでください。最初っからそう言ってると思うんですけど?
本気で悔しそうな顔とかやめて、あなた一応元魔王様でしょ。
はい? 黒ウサギさんにカッコイイところ見せたいからそういうことにしといてくれないかって? 報酬はちょっと凄いギフトくあげるから、ですか?
あいあいさー! どこまでもお伴しますぜ魔王様。
パンッパンッ、と唸る必殺のハリセン裁き。
いや~速攻でバレましたね。
あ、そうなんですか。あのウサ耳って所謂地獄耳だったんですね、あれだけの距離があってもフライングハリセンをかましてくる跳躍力といい貴族は怖いですね~。
えぇ!? あのハレンチな服ってヤ―さん使用だったんですか? いい趣味してますな~。今度はもっと際どいやつを
パンッパンッ、と紡がれる戦慄。
痛ッ、手加減なしとか凶暴ウサギめ。
あ~この痛みが快感に変わってきたらオレも "サウザンドアイズ" に入れ……ない。そりゃそうですよね。
そろそろ真面目な話します? しましょうか、黒ウサギさんに打たれる前に終わらせましょう。
「では質問を変えるとしよう。おんしの知り合いに修羅神仏、精霊の類はいたか?」
ということで、胸倉を掴まれる状態までいったわけなのだ。
まあ結局のところオレはギフトを所持しているらしいけど、何者か(恐らく女神さま)によって他者からは確認できない呪い? をかけられてるってことになっているそうだ。
もちろんオレにも分からない状態だから謎の人物(明らかに女神さま)しかギフトのことは分からないということかな?
その辺はいつか彼女に会えたら聞くとしよう。
……あれ? そういえばオレっていつになったら目覚めるんですか?