転生したら始祖で第一位とかどういうことですか 作:Cadenza
会社の研修会舐めてました。今日で終了したので今度こそ一週間以内に。
取り敢えず本編を優先したので精霊魔法については次回に持ち越します。
本当は今回で優とアークライトの第二戦まで行くつもりだったのですが。長くなりそうなので次回に。
ではどうぞ。
「くそっ!」
光の斬撃によって優達と離された。
グレンと相対するのは金色の吸血鬼。動作一つ一つが洗練されており、一切の隙もない。ドレス姿に刀と一見すれば相容れない要素でも、目の前の彼女になると見惚れてしまう程にマッチしている。
「存外にやりおるの」
そう言って微笑を浮かべるのは、隕石の如く空から降ってきて形勢を絶望的に悪化させた吸血鬼。
第二位始祖、キスショット=E・マクダウェル。
彼女と刀を一度交えただけでグレンは悟った。
(こいつ、滅茶苦茶強ぇ……!)
苦戦したクローリー・ユースフォードなどとは比べ物にならない。あらゆる意味で次元が違う。
揺さぶろうとしても心に小々波すらたたない。挑発しようとしても揺らがない。付け込もうとしても隙がない。
(一番相手にしたくないタイプだ……)
これまで戦ってきた吸血鬼は、等しく人間を見下しており、驕りと侮りの塊だった。人間如きに本気を出す事をプライドが許さず、結果的に過度の慢心に繋がる。
故に少し挑発してやれば簡単に激昂し、我を失って致命的な隙を晒す。後は仲間と連携して追い詰めれば時間の問題だ。
だが目の前の吸血鬼はどうだろう。
吸血鬼特有の人間に対する驕りや侮りは存在せず、グレン達を確固たる敵と認識している。更に圧倒的と言える実力を持ちながら、己の力を過信していない。
油断? 隙? ある訳がない。むしろあったら誘いか罠だと思うべき相手である。
「そら」
「ぐ……!」
キスショットが斬撃皇を水平に振るう。グレンは刀で受け止めはしたが、あまりの重さに身体全体が軋む。
片手で振るい、真昼ノ夜の能力で弱めても尋常じゃない威力だ。しかもこれで明らかに手加減しているのだから恐ろしい。
元より生物としての
たとえ黒鬼シリーズの鬼呪装備によって身体能力を上げているといってもグレンは所詮人間。
対するキスショットは最上位クラスの始祖。更に最強の吸血鬼の眷属。加えて1000年以上に及ぶ圧倒的な戦闘経験。
立っている領域が違うのだ。
「ふっ」
「ッ⁉︎」
キスショットが斬撃皇の刺突の構えをとった。殆ど直感でグレンは首を逸らす。背後で爆音が響く。
実際に見る事は叶わないが、どうやら地面が爆散したらしい。咄嗟に避けていなければ血の華が咲いていただろう。単純な唯の刺突で戦車砲を軽く凌駕する威力だ。
咄嗟の回避によって姿勢が崩れたグレンにキスショットが一歩踏み込む──ことはせず、地面を蹴って後退。直後、踏み込んでいたら居たであろう場所をグレンの背後から放たれた白虎丸の弾丸が抉った。
十メートル程の距離を後退したキスショット。そして後退したそこは、時雨が張った結界の中だった。
鬼呪を纏う無数の苦無同士を呪力の糸で繋ぎ、それによって魔法陣を描き、構成する包囲結界。
地面に突き刺さっていた苦無が一斉に抜け、時雨の操作で全方位からキスショットを襲う。
迎撃しようと斬撃皇を構えるが、突如視界を煙で遮られた。小百合の呪符による煙幕である。無論のこと唯の煙幕である筈がない。視界だけでなく嗅覚や聴覚まで阻害する代物だ。
成す術もなくキスショットは煙幕に包まれ、無数の苦無が貫いた。
「やったか?」
「ちょっとグレンそれフラグ!」
仕留めた筈の時雨が目を細める。手応えがない、と。
「なかなかよい連携じゃが、儂を嵌めるには足りんのお」
声はグレンと深夜の背後から聞こえた。二人が振り向けば、十メートル程離れた所に無傷で立つキスショットの姿が。
グレンが内心で舌打ちする。
(ちっ、やっぱこれくらいじゃ無理か)
ここまで差があるといっそ清々しい。
グレンチームが倒した第十九位始祖メル・ステファノなど比較対象にすらならない。
同じ始祖でこんなにも違うのか。そう思わずにはいられない。
その答えは、アークライトとキスショットが規格外なだけである。
「さて、やるかの」
キスショットが消える。悲鳴も上げられず、深夜がトラックに轢かれたかのように吹き飛んだ。
そこでグレンは、漸く自分の首筋に迫る凶刃に気づいた。
「……ッ⁉︎」
条件反射的に刀を割り込ませる。だが、強化された身体能力だけで受け止めるのは無理と無意識に判断し、鬼呪装備《真昼ノ夜》の能力を発動。
二段構えで斬撃を防いだ。
「ほう」
感嘆の声を漏らすキスショット。
半歩下がり、グレンの脇腹に蹴りを叩き込む。面白いように空中で回転しながら飛び、何度か地面にバウンドした後、瓦礫にぶつかって止まった。
「グレン様‼︎」
グレンの従者でもある時雨と小百合が悲鳴じみた声を上げ、主人を救わんと前に出てくる。険しい表情になった美十もだ。
そしてキスショットは違和感を感じていた。
グレンが他より手応えが薄かった。硬かった、と言うべきか。先に蹴り飛ばした深夜と段違いに。だが肉体的に硬いわけではない。
近いのはアークライトの魔法障壁だ。しかし、強度は比べくもない。魔力による防御壁と言ったところか。
アークライトのように緻密で強力な術式による魔法障壁ではなく、単純な魔力の壁。
察するに、グレンが持つあの赤い刀の能力だろう。なにやらあれからは妙な気配がする。
優の阿朱羅丸はアークライトに似たものだったが、これは何か決定的に違う。
(もしやこ奴が黒幕か?)
苦無と呪符を躱しながら考える。
アークライトとの視覚共有で見た限り、グレンは仲間を裏切るタイプとは思えない。
これでも十世紀以上を生きた吸血鬼。洞察力は確かだ。
(しかし、黒幕が敢えて最前線に出てくるかのぅ?)
どの戦争でもそうだが、死ぬ確率が高いのは最前線だ。
名古屋十大貴族への奇襲作戦。少数で十体もの貴族を殺そうなど自殺行為である。
結果的には七体の抹殺に成功しているものの、あくまで結果的にであり、被害や失敗した時のリスクなどをあまり考慮していない。
なら、本当の目的は別にあると疑うのが自然だ。
(こやつらは捨て駒、というわけか)
取り敢えず泳がせるのが良いか。しかしグレンが黒幕というのも拭いきれない。これは予感に近いものだ。今は可能性の一つとして隅に置いておくのがいいだろう。
丁度その時、グレンが立ち上がった。
「ぐう……! あー、くそ痛ぇ」
動けなくなる程ではないが、かなりのダメージを負った。
追撃はなかった。キスショットは悠々とこちらを見ている。時雨と小百合の攻撃を物ともしていない。視線すら向けずに躱している。
全く相手になっていない。真昼ノ夜の能力も全開で使用しているのに。
いや、グレンでなければ一瞬で終わっていた。
前にも言った通り、グレンとキスショットでは生物としての
なら何故、超不利とはいえ戦いが成立しているのか。
答えはグレンの鬼呪装備、《真昼ノ夜》の特殊能力にある。
黒鬼シリーズが一体《真昼ノ夜》の能力とは、エネルギーの吸収及び、吸収したエネルギーの利用。先の戦いでアークライトの白き雷を吸収したのがこれである。
つまり、エネルギー吸収によってキスショットの攻撃の威力を弱め、吸収したエネルギーを身体強化に回す。これによって何とか戦えているのだ。
(くそっ、そろそろ身体がヤベぇな……)
一見すれば相当に強力な能力だが、そんな能力には制限が付き物。真昼ノ夜も例に漏れない。
真昼ノ夜が耐えられる限りエネルギーは蓄積できるのだが、一度に吸収できるエネルギーと利用できるエネルギーには限りがある。
だから雷の暴風のような攻撃は吸収できない。
もし許容範囲を越えて使用すればグレン自身が耐えられず、身体組織が崩壊してしまうだろう。
そして今。
能力の連続使用で、その崩壊に着々と近づいていた。
(後先考えてる場合じゃねぇな)
幸いと言うべきか、手が尽きた訳ではない。
まだ最大攻撃が残っている。真昼ノ夜の能力で、最も強力なのが吸収したエネルギーの放出だ。
その威力は、並の吸血鬼なら塵も残さず消し飛ばし、貴族にすら有効打を与える。
ただし吸収したエネルギーを放出する訳で、必然的に敵の攻撃を何度も受けなければならない。切り札である為、なるべく多くエネルギーを蓄積し、放出の威力を上げておきたいからだ。更に身体に掛かる負担も大きく、下手をすれば使用後に行動不能になる可能性も。
だが、そんな悠長な事も言っていられないだろう。このままではいずれ全滅してしまう。鬼呪促進薬を二錠飲む手もあるが、効き目が出るのに時間が掛かる上に飲む暇などないだろう。
一か八かで起死回生を狙うしかない。
「おいお前ら‼︎」
グレンの声に皆が振り向く。それだけで長年チームを組んでいる深夜達は悟った。浮かべるその表情を見て。
染み付いた動きで陣形を立て直す。グレンよりもダメージが大きかった深夜も何とか立ち上がる。
何やら今までとは違う動きにキスショットは眉をひそめた。
「何をする気じゃ。死を覚悟する、と言うのはあまり勧めんがの」
「さてな。少なくともここで死ぬ気はねぇよ」
「……まぁよい。儂としてはどちらでもいいことじゃ」
どうでもよさげな表情になり、斬撃皇を持つ右手をだらりと下に向ける。
型も何もない格好だが、武を極めた者からは構えが消えるのだ。キスショットもそういった類だ。
「儂も少しばかり上げる。死んでくれるなよ?」
そう言うな否や、キスショットは歩き出す。これといった武術の歩法というわけでなく、ただゆっくりと。
一歩、二歩、三歩──四歩目で姿が消え。グレンの目の前に現れた。
「──ッ!」
考えてる暇はなかった。キスショットが斬撃皇の鋒をまっすぐ突き込んできた。しかも、単発ではない。一、二、三──四段突き。
ほぼ一瞬で四つの突きをグレンの右肩、右鎖骨、左鎖骨、左肩の横一直線に繰り出す神業。
グレンはこれを倒れ込む事でかろうじて回避した。そのままバク転の要領で後退する。
即座に姿勢を整えて反撃しようとするが、無理だった。敵は四段突きを回避された直後に再び構えのない構えを取り、迎撃態勢を整えていたからだ。
一つ一つの動作が完成されており、身体が一切ぶれない。
だからこそ、一瞬の間断もなく攻防を行える。すぐさま次の動作に移れる。
一箇の剣士として、キスショットは極致というべき領域にいるのだ。
(それだけじゃねぇ。あの刀が厄介だ)
キスショットが持つ刀。刀身は凡そ九十センチ。しかし、あの刀は最初、刀身がなかった。柄だけの状態から刀身が伸びたのだ。
何より取り出したカードが変化したのだから、絶対に普通の刀ではない。
予測するにあの刀は、刀身を自在に伸縮させられるのだろう。伸びる限界は分からないが、実に厄介な能力である。
実質的に間合いが存在しないのと同じだ。刀からいきなりナイフ程度の長さに変えられたら対処できない。
他にも光の斬撃を放ってきたりもした。あれはおそらく、吸血鬼が使う武装と似たようなものだろう。
グレンは斬撃皇の能力をそう予測した。実際は当たらずも遠からずだ。
アークライトとキスショットの契約によって出現したアーティファクト、『
その能力とは、魔力による刀身の形成と操作。つまり、使用者の思い通りに刀身を変化させ、それを操れるのだ。その形成速度や硬度は魔力次第。
応用性は多岐に渡る。都市一つを切り裂けるまでの刀身の伸長。鞭や蛇腹剣のように柔軟性を持たせる。やろうと思えば『リアル13kmや』なども可能だ。
更にその使用者がキスショットなのだから手に負えない。剣術の極致に至った者が使うのなら、これほど恐ろしい武器はないだろう。
「やはりうぬ、少しばかり違うようじゃの。本来なら避けられるものではないのじゃが」
「へっ、人間舐めんなってこった。侮ってると痛い目見るぜ」
「どの有様で減らず口を叩く。アークの魔法を受けておいて良く動けるの。この時代の人間にしてはタフじゃな」
魔法。その単語にグレンは目を細めた。
現代にもそういった類は残っている。鬼呪装備が配備されるまで主戦力だった呪符がそれだ。チームメンバーの小百合やグレンも時々使う。
あれが魔法。とてもではないが信じられない。何せ呪符であんな威力は出せないのだ。
そしてアークライトは、何故か分からないが明らかに手加減していた。使っていた魔法も本気という事はないだろう。
手加減してあの威力なら、本気はどれほどなのか。もう想像できる範疇を超えている。
「あれが魔法ってか。ふざけるのも大概にして欲しいな……」
「今は存在しない神代の魔法じゃ。現代のうぬらが信じられんのも無理はなかろう」
「……聞かなきゃよかったぜ」
戦闘中にも関わらず会話をするグレンとキスショット。話す暇があるのなら攻撃しろと言いたいところだが、グレン達からしてみれば無理な要求だ。
さっきから何度も攻撃しようとしている。しかし出来ない。キスショットに隙が無さ過ぎるのだ。後手に回るしかない。下手に仕掛ければ切り捨てられるだけだ。
少し上げると言っていたが、これで少しとは恐ろしい。正直勝てる気がしない。
「それで、あんたはあいつみたいに魔法は使わないのか?」
だからこうやって、キスショットと唯一まともに戦えるグレンが会話を続けさせる。
ただ黙っているよりは喋っていた方が時間を稼げるし、出方を探れる。
幸いなのか向こうも乗ってくれた。それは余裕からなのか、それとも何か狙いがあるのか。その辺も見極めながら慎重に進めるべきだろう。
まぁそんなグレンの警戒とは裏腹に、ただキスショットがお喋りなだけなのだが。
「生憎じゃが、儂にアークのような魔導の才は皆無での。魔力も放出でしか使えんのじゃ」
しかしだからと言って、この場を長引かせる気はない。
キスショットに魔法の適性がないのは事実だ。
以前に精霊魔法を教えたアークライトに習おうとした事があったのだが、結果は散々たるもの。
さすがに習えば誰でも使えると言われた精霊魔法なだけに、キスショットも全く使えない訳ではなかった。
ただし使えたのは初級の魔法の射手だけ。他は全滅。その魔法の射手も加減が利かない。詳しくは語らないが、ダイオラマ魔法球が一つ駄目になったとだけ言っておこう。
これでは戦いなどで活用できない。なのでキスショットはアークライトの前衛として剣士となった。
そんなキスショットだが、魔力の運用も応用が利かなかった。
本来なら身体の一部に纏わせて打撃の威力を高めたり、身体の防御力を上げたりなど、魔力にはかなりの応用性があるのだ。
それがキスショットには、魔力を外部への放出──所謂魔力砲撃としてしか運用できない。
元から大陸を砕ける身体能力に鬼呪すら無効化する不死力、飛び抜けた武の才能があるので問題はないのだが。
「じゃがの、使えるには使えるのじゃ。使わずにおるのも惜しい。何事も使いようじゃからの」
「……何を言ってやがる」
「なに、簡単なことじゃ。どのような些細なモノも、切磋すれば究極になりえる、ということじゃよ」
一見すればただの単純作業も、長く続ければより早く、より効率的になるように。
ただの日常の一幕も慣れによって一切の無駄なく行えるように。
たとえ単純でも、それは一つの完成系。他者が真似できない究極。
「儂がそれを証明しよう。この場の終わりを以っての」
光が辺りを照らした。
「なに……⁉︎」
光源はキスショットの手。より正確に言うのなら斬撃皇。
斬撃皇が溢れ出さんばかりの光を放ち、金色に輝いていた。まるでかの星の聖剣のように。
「小細工など無い唯の斬撃じゃ。威力は儂が保証しよう」
輝きは強さを増していく。光そのもので構成された様な輝きを放つ斬撃皇を腰だめに構えた。
「加減はする。死にはせん。じゃが全力で防ぐことじゃ」
「全員逃げ──ッ‼︎」
本気でマズいと感じ、グレンが叫ぼうとしたが時すでに遅し。
キスショットが斬撃皇を振り下ろし。
グレン達は、視界を覆う極光に呑み込まれた。
◇ ◇ ◇
「っ……ぐっ……」
「いったい……なにが……」
身体中が痛みに悲鳴を上げている。意識がはっきりせず、視界はぐらぐらと揺れている。聴覚も耳鳴りでまともに機能していない。
それでも、彼らは無事だった。
「無事か、みんな」
「ええ、なんとか。お前らはどうだ」
「生きてはいます」
初めに立ち上がったのは深夜。ふらふらと足元がおぼつかないまま、メンバーの生存を確認した。
五士はその問いに答え、女性陣を見る。小百合が代表して答えた。彼女も含めて時雨と美十もギリギリといった状態だ。
ただ、一人だけ返事がない。
「ッ‼︎ グレン様⁉︎」
小百合が悲鳴を上げる。それがグレンだけ返事をしない理由を物語っていた。
「……ぐッ……あッ……」
グレンだけは、意識を失わず、メンバーを庇うように仁王立ちしていた。
しかしその身体は見るからに満身創痍。いつ倒れこんでもおかしくない状態。
普通に考えて視界を覆い尽くす光の斬撃を受けて、この程度で済む筈がない。
なら何故無事なのか。
「ったく、キツいっつーの……」
グレンがその身を以って護った。それしかない。よく見ればグレンを起点に破壊痕が左右に分かれている。
起死回生の一撃の為に蓄積していた全エネルギーを使い、光の斬撃を逸らしたのだ。
だが、その代償は大きかった。
元から能力の連続使用で限界が近かったと言うのに、後先考えず全エネルギーを放出。もうグレンの身体は限界すら遥かに超えているだろう。
「見上げた奴じゃな。己が身を以って仲間を守るとはの」
そんなグレンに称賛の声が向けられた。キスショットだ。
カツカツとヒールを鳴らし、悪路にも関わらず悠然と歩いてくる。
「言ったろ、人間を舐めんなって。見たか吸血鬼」
「然り。人の身でここまで為したのは、うぬが初めてじゃ」
その言葉にグレンは笑みを浮かべる。
自分でも驚いた。吸血鬼相手にこんな感情を抱くとは。
だが彼女は他の吸血鬼と違う。おそらくあの第一位始祖も。優達から話を聞き、実際に対面してみて、何となくそう思った。
何せ彼女は、一度たりともグレン達を殺すような攻撃をしてこなかったのだから。
「そうかい。あんた強ぇな。もう戦いたくないわ」
視界がぐらりと傾く。深夜達の声が聞こえたが、何を言っているかは分からない。
どうやら限界らしい。少し……いや、かなり無理した。
自分はここまでのようだ。まぁ大丈夫だろう。優達が気掛かりだが、アークライトがキスショットの主人と言うならおそらく心配ない。
あいつらなら自力で乗り越えられる。昔のように泣虫なだけの餓鬼じゃない。今は仲間がいる。なら大丈夫だ。
そうしてグレンの意識は闇に沈み、地面に倒れこんでいった。
真昼ノ夜の能力はオリジナルです。原作見ててこんなのかなー、と想像しました。かなり強力ですが制限付き。しかし真昼憑依状態になると鬼に近付くので制限が緩和されます。
キスショットの剣術 : どっかの神殺しの剣の王とか、魔王殺しの最後の王とか、眼帯大総統とか、まとめて引っ括めた感じ。それか常時ナインライブズ、もしくは常時九頭龍閃。
ただの魔力放出で騎士王以上。ガチで撃てば対国レベル。まぁアークライトと同格だから仕方ないねー(棒