転生したら始祖で第一位とかどういうことですか   作:Cadenza

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前回の終わりが中途半端だったので、5000字ほど加筆して再投稿します。
重要の事を後書きで書いていますので、どうか読んでください。


交錯するウンメイ

 優の阿朱羅丸にアークライトの”断罪の剣”が触れた瞬間、二人が弾かれたように吹き飛ばされた。

 飛んできた優を事の成り行きを見守っていたシノアと君月が受け止める。

 

「優さん‼︎」

 

 シノアが呼び掛けるが返事はない。しかし息はしている。気絶しているようだ。

 腕を見てみるが浮かんだ鬼呪は消えていた。いきなり自分に刀を刺した時は悲鳴を上げそうになったが、傷もないし呼吸も正常。

 見たところは大丈夫そうだ。

 

「おいシノア、いったい何があった?」

「分かりません。優さんと第一位始祖は戦っていたようですが、私の目では何が起きたのか……」

 

 君月にもシノアにも、何があったのかを捉える事は出来なかった。

 それも仕方ない。あの刹那の攻防は人を超えた領域だったのだ。

 おそらく傍観していたクローリーでさえ辛うじてといったところだろう。

 

「おい新入り共! 何やってる! こっちは全員起こしたぞ!」

 

 そう大声で言ってきたのは鳴海真琴。まず最初にシノア達が起こしたのが彼。後は手分けで隊員達を起こして回った訳だ。

 だが、優が時間を稼いだとは言え、この短時間で全員を起こせる筈がない。なら何故か。

 

「急げ。撤退する」

 

 柊深夜他、グレンチームのメンバー五人。彼らがいたからだ。

 満身創痍になりながらもシノア達に合流したのだ。

 

「柊少将、グレン中佐は……」

 

 撤退を命令する深夜にシノアは尋ねた。

 その問いに深夜は表情を歪め、血反吐を吐くような声で答える。

 

「グレンは……見捨てる」

 

 深夜だけではない。見ればグレンチーム全員が悲痛そうに表情を歪めていた。

 時雨と小百合は涙を流し、美十は気丈にも耐えている。

 

 深夜の命令に異を唱える者はいない。いる筈がない。

 確かに、ここにいる《月鬼ノ組》全員はグレンに着いて行くと決めた者達ばかりだ。それこそグレンの為なら命を投げ出すほどに。

 だからこそ、分かる。一番辛いのは深夜達なのだと言うことを。

 

 彼らはグレンと共に戦った。しかし負け、グレンは捕らえられた。辛くないはずがない。

 だが、グレンが捕らえられた今、指揮権を持つのは少将たる深夜だ。

 指揮官が己の感情で動けば、それは部隊の全滅を意味する。まだ任務は終わっていない。

 グレンはこの任務を命懸けで遂行しようとしていた。なら、それを継いだ自分は、最後まで成し遂げなければならない。

 

「行くぞ、撤退だ」

 

 深夜の命令に従い、撤退を始める《月鬼ノ組》。

 今はただ、あの第一位始祖と貴族が追ってこないのを願うだけだ。

 

 

 一方その頃、優と同じように弾き飛ばされたアークライトは、キスショットに受け止められていた。

 

「何があった? うぬらしくもない」

「少しばかり事態が変わった」

 

 表面上の会話とは別にアイコンタクトで意思疎通を図る二人。

 そこへ自由にしていいという事で傍観を決め込んでいたクローリーが従者二人を連れ、市役所の屋根から降りて、アークライトの元に来た。

 

「アークライト様。人間共が撤退して行きますが、いかが致しますか? 必要なら私の従者二人に追わせますが……」

「いや、必要ない。些か遊びが過ぎたようだ」

 

 そう断るアークライトに異常は見られない。

 

 あの人間の少年とアークライトとの戦いは、どう見てもアークライトが圧倒していた。

 確かに、本当に人間かと疑う程の動きを少年はしていたが、それでも足りない。あの程度で上位貴族すらも遥かに凌駕するアークライトを如何にかできる筈がない。

 

 だからこそ、疑問が残る。

 何故あそこでアークライトが弾き飛ばされたのか。アークライトを弾き飛ばすなど、唯一同格とされるキスショットくらいしか不可能だろう。

 

 油断していた?

 これはない。こうやって何かを予感し、わざわざ日本に直属の眷属まで連れて来た辺り、アークライトの察知能力は並外れている。

 

 あの少年が奥の手でも隠していた?

 可能性としては無くないが、それがアークライトに通じるだろうか。

 

(う〜ん、ちょっと想像できないね〜)

 

 なら何故?

 考えられるのは、ただ一つ。アークライト自身が何かしたか。ああすること自体が思惑の内なのか、だ。

 

 これはフェリドから聞いた話ではあるが、アークライトにとって人間も吸血鬼も差異ないらしい。肝心なのは己の民であるかどうか。

 つまり、アークライトにとっての守るべきモノとは《アヴァロン》と民、そして身内と判断した者。そうでないのなら人間だろうと吸血鬼だろうと関係ない。

 

 第一位始祖として吸血鬼全体の事は考えているだろうが、やはり優先するべきはそちらだと言う。

 そこから考えると、フェリドを通じて交流のある自分も身内として認識されているのだろうか。

 退屈は嫌いだが、さすがに勝ち目のない相手を敵に回すほど、クローリーは自殺志願者じゃない。

 と言うか、アークライトとは同じ陣営にいた方が退屈しない。敵に回しては、楽しみが減ってしまう。

 

 正直、アークライトが何を考えているかなんて、あのフェリド以上に分からない。

 人間達に撤退されても追い掛ける様子がないのを見るに、何かこの戦争とは関係ない、別の目的があるのか。もしくは捕らえたあの指揮官らしき俺様君で目的は達しているか。

 

 まぁ何を考えているにしろ、アークライトがいる限り最悪の事態にはならないだろう。

 

 ただ、

 

「この後は如何致しますか?」

「本隊との合流を急ぐ。そろそろ到着する頃だ。捕虜は任せる」

「承知しました」

 

 取り敢えず今わかるのは、これからもっと面白くなるという事だ。

 

(本当に、楽しみだねぇ〜)

 

 そう、これから起こる事に思いをはせていた。

 

 しかし、クローリーは気づかなかった。

 アークライトと話すクローリーの死角で、キスショットと幻術により姿を変えた人形が入れ替わっていたのを。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 目を開く。周りは何処までも続く白一色の空間だった。

 それを認識した優は、気怠げに身体を起こす。

 

「…………」

 

 意識がはっきりしない。記憶も曖昧だ。

 頭を抑えて一番新しい記憶を探ろうとする。

 

「やぁ優。なんとか精神は起きたね」

 

 しかし、背後から掛けられた声が遮った。

 視線を向けて見れば、そこには中性的な少年が一人。阿朱羅丸だった。

 

「けっこう無茶をしたから、目覚めないんじゃないかと少し冷や冷やしたよ」

「俺はいったい……。お前と話してるって事は、俺は気絶してるのか?」

 

 阿朱羅丸は頷く。

 

「まぁ当然だね。血を対価に身体能力を上げたとは言え、人間の身体で貴族の動きをしたんだ。しかも、アークライトの魔法から醒めたばっかりで精神を消耗しているのに、それを無理してアークライトと戦った。気絶くらいするさ。本当なら死んでもおかしくなかったけど、忌々しい天使の力が君を生かしてる」

「そうなのか……よくわかんねぇけど。……待て……じゃあグレンは⁉︎ グレンやシノア達はどうなった⁉︎」

 

 気絶しているという状態から繋がる状況に優はまさかと思い、阿朱羅丸に詰め寄る。

 そんな優に阿朱羅丸は笑みを浮かべた。

 

「本当に君は、愛と欲に対して素直だね。家族を守る為なら善悪がまるでない。優のそういうところが僕は好きだけど、やっぱり君は何処か壊れてるよ」

「そんな事はいい‼︎ みんなはどうなったんだ⁉︎」

 

 阿朱羅丸の言っている事はよく理解できない。今はどうでもいい。

 優の記憶は、アークライトの手刀を受け止めたところで終わっている。記憶が断絶しているのだ。

 阿朱羅丸の言う通りなら、そこで限界が訪れ優は意識を失ったのだろう。

 

 問題は自分が気絶した後、一体何があったかだ。

 

「シノア達なら生きてはいる。アークライトとの話はついたからね。彼に君らを殺す気はなかったみたいだけど。少なくともあの場から逃げる事は出来たと思う。ただし、逃げた後の事は分からない。君の目が見たものしか僕は見てないから」

「そんな……‼︎ ならグレンはあのまま……‼︎」

「彼に関しては僕は知らない。まぁ、捕まったグレンをアークライトから救出するのは、シノア達じゃ無理だろうね」

 

 確かに、無理だろう。ならおそらく撤退。グレンを見捨てて。

 それが正しいのは理解できる。だが、理解できても納得はできない。

 なら取るべき行動は一つだ。

 

「早く目を覚まさないと。目を覚まして仲間と合流する。そしてグレンを救う」

 

 そう声にして言う優に、嘲るような笑みを阿朱羅丸は向けた。

 

「あは、どうやって? どれだけ求めても君達人間は弱い。弱い奴らで群れてどうする? また力が足りなくなるよ。分かってるくせに」

「ああ、そうだな。吸血鬼と比べれば人間は弱い」

 

 阿朱羅丸の言葉に優は反発せず、ただ認めた。

 

 そう、人間が弱い事なんて分かってる。アークライトやキスショットという、生物として圧倒的な強者によって。嫌というほどに。

 あれは、人間がどうこうできる存在ではないだろう。

 

「だから、俺達は仲間を作るんだ」

 

 だが、それがどうした。

 確かに人一人の力なんてたかが知れている。一人では何も出来ない。人とはそういう生物だ。

 だからこそ人間は群れる。仲間を求める。協力し、団結する。

 

 人間は単独で何かを成し遂げる事は出来ない。しかし、逆に集団となれば驚異的な力を発揮する。

 そうやって圧倒的強者である筈の吸血鬼や、その貴族を実際に倒したのだ。

 

「俺は負けねぇぞ阿朱羅丸。俺には仲間がいる。力に溺れたりしない」

「へぇ。確かに、人間は単独でなく集団である方が厄介なのは認めてやる。だけど、人間は群れるからこそ愚行を犯す。それだって否定できないだろう。だから君も、いずれ間違いを犯す。諦めて鬼になれよ」

 

 優の言葉に、初めて阿朱羅丸は感心したようだった。しかし、群れる故の危うさを指摘する。

 

「そうかもな。だけどな阿朱羅丸、間違いを止めるのも仲間だ。もし俺が間違ったその時は、仲間が俺を止めてくれる。もし仲間が間違ったら俺が止める。そういうもんだろ、仲間ってのは」

「…………」

 

 とうとう黙ってしまった。面白くないと言いたげな表情をしている。

 かつての優なら力強く阿朱羅丸の言葉を否定し、反発するだけの筈だった。

 それが今はどうだ。柳の如く受け流し、認めた上で否定してくる。

 

 どうやらあの夢によって、精神的成長と余裕を優に促してしまったらしい。

 鬼に対する安定性と耐性が以前にも増して強くなっている。

 なるほど、アークライトが警戒するわけだ。

 

「だけど‼︎ 俺には力が足りない! だから、これからもお前の力を借りる! だが鬼にはならない! 分かったか!」

「…………」

 

 訂正。やっぱりなんにも変わってない。ただの馬鹿だ。

 

「……優、君かなり滅茶苦茶なこと言ってるからね。僕の目的は、君の身体を乗っ取ることだからね? つまり僕からすると、鬼になってもらわないと困る訳だ。いつ君を陥れようとするか分からない。それでも、これからも力を貸せなんて言えるのか?」

「ああ」

 

 一瞬の間も無く即答する。当たり前だと言わんばかりに、

 

「だって阿朱羅丸、お前も俺の仲間だからな」

 

 何の含みもなく笑顔でそう断言してきた。

 若干……優が気づかない程度であったが、阿朱羅丸は僅かに頬を赤く染めた。

 

「……はぁ」

 

 しかしすぐに元に戻り、溜息をついた。

 何というか、毒気が抜かれた。自分だけムキになっているように思えてきたのだ。

 

「分かった。今回はもういいよ。暫くは力を貸してやる。そろそろ起きろ」

「おっ、そうか。ありがとな!」

「まったく君は……。あぁ、そうだ。なぁ優」

「ん? なんだよ」

「君は家族が大切なんだろ?」

 

 唐突なその問いに、優は訝しげになりながらも「当たり前だ」と答える。

 

「そうか。なら、そんな君に朗報だ。──今日は君が探してた家族が来てるよ」

「……え?」

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 そこで優は目を覚ました。背中と後頭部に伝わる冷たい感触と肌寒い空気。目の先には所々が剥がれている天井。

 仰向けに寝ているらしい。身体を起こして、ボンヤリとする思考を働かせる。

 

「……ここは、どこだ? それにシノア達は……」

 

 辺りにある商品棚からして、どうやらここはスーパーのようだ。

 自分がここにいるならシノア達もいるはず。

 そう思って周りを見渡そうとした時、背後から荒い息遣いが聞こえてきた。

 肩越しに視線を移す。

 荒い息遣いの出処は、少し離れた商品棚の影からだった。

 

 そこには、血が滲む白いマントを着た人影が。荒い呼吸を繰り返しながら、床に座り込んで商品棚に寄りかかっている。

 服装からして吸血鬼。そう判断して阿朱羅丸に手を伸ばそうとしたが、見覚えのある金髪が目に入って動きを止めた。

 

 そして、その金髪と阿朱羅丸の言葉を思い出し、まさかと思って困惑気味にその名を口にする。

 

「ミカ?」

 

 吸血鬼の肩がピクリと跳ねる。

 

「お前ミカか⁉︎」

 

 吸血鬼が優を見る。振り向いた吸血鬼は、確かにミカエラだった。

 しかしミカエラの顔は傷や埃に汚れ、冷や汗を流し、瞳孔は限界まで開き切っていた。

 

「おいミカ⁉︎ お前いったい……‼︎」

「……血……人間……」

 

 優が更に声を掛けるが、ミカは譫言のように呟くのみ。凡そ理性というものを感じられない。

 さすがに様子がおかしいと気付く優だったが、何かする前に猛然とミカが飛びかかってきた。

 

「なっ、おい⁉︎」

「血だ‼︎ 血がいる‼︎ お前の血を飲ませろ‼︎」

 

 優の声にミカは反応しない。正気を失った様子で優に掴みかかる。

 

「おいミカ‼︎ 俺だ‼︎ 分かんねえのか⁉︎」

「抵抗するな人間‼︎」

 

 掴まれた腕を振り払おうとするも、鬼呪を発動していない今の優の力は人間相応。邪魔だとばかりに殴り飛ばされる。

 だが、ミカは動きを止め、苦しみに満ちた慟哭を上げた。

 

「がぁあああああ‼︎ 苦しい‼︎ 苦しいんだ‼︎ もう我慢できない‼︎ 血を飲ませろ‼︎」

「……そんな……‼︎」

 

 あまりの様子に優は悲痛な声を漏らす。家族が苦しむその姿を見て、

 

「お……お前、そんなに血が欲しいのか……?」

「あああああああああっ‼︎」

 

 両手で顔を覆い、叫ぶミカ。理性どころか、意識すら焼き切れてしまいそうだ。

 

「──飲めよ」

 

 叫びが、止まる。

 

「そんなに……お前が苦しいんなら……」

 

 ガッ、と優の肩を掴み、床に押し倒す。そのまま湧き上がる血への欲望に従い首筋に……

 

「……ごめんな、ミカ」

 

 今にも牙を立てようとしたところで、優の片腕が優しげにミカの首に回された。

 

「お前を一人で残して……」

「…………!」

 

 その一言で、ミカの目に正気の色が戻る。そして、自分が何をしようとしていたのか気付き、慌てて優から離れた。

 

「僕は……何を……」

「……血を飲まないと、そんなに苦しいのか?」

 

 優からの言葉。

 否定したかった。だが、今も尚、奥底から湧き上がる吸血衝動が己を苛む。

 否定できず、ミカは表情を悔しげに歪める。

 

 それが、限界を超えて無理をしているのだと優は捉えた。

 

「俺が……置いて行った所為で……」

「そ……それは違うと前に……!」

 

 言い切る前に、血を失い過ぎた事と血を飲んでいない所為で意識が朦朧とし、フラッと蹌踉めく。

 それを見て優が駆け寄ろうとしたが、他ならぬミカ自身が手で制した。

 

「離れて……優ちゃん……。君の血を……吸いたくないんだ……」

 

 かなりマズい。そろそろ本当に限界だ。

 

 優を人間から取り戻そうとした時に負った傷だが、あの人間達は撤退の途中だったようで、鬼気迫るといった様子で撤退していた。

 おかげで、一対三十強という数の差があったとは言え、鬼呪の刀で四回も刺され、ダメージを負った。

 特に最後に銀髪の奴から受けた、胸の傷が致命的だ。今でも傷自体は塞がっていない。

 

 あの場だって、優の仲間を名乗るあの四人が入って来なければ、おそらく死んでいただろう。

 このスーパーに来るにも、助けを借りて(・・・・・・)やっと辿り着いたのだから。

 

「でもお前……血がなきゃ苦しいんだろ……?」

 

 だから優の言葉も否定することはできない。

 

「…………。僕のことはいい……、それより優ちゃんに話したいことが……」

「話なんてどうでもいい‼︎」

 

 優が詰め寄り、ミカの肩を掴んできた。

 

「お前死にそうじゃねぇか‼︎ これどうしたらいい‼︎ どうやったらその傷治る⁉︎」

 

 ある意味、冷静を失っていた。やっとこうして会えた家族が、今にも死にそうなのだ。

 矢継ぎ早に優は続ける。

 

「血か⁉︎ 血を飲めば治んのか⁉︎ なら……血が足りないなら俺の血を飲めよ‼︎」

 

 バッ、と襟首を広げて首筋を晒す。

 

「ほら俺の血を‼︎」

 

 またしても正気を失いそうになった。そろそろ本当に末期らしい。

 

「や……やめてよ、優ちゃん……。我慢が……できなく……」

 

 堕ちそうな意識を意思で保ち、優にそう言うが、当の本人はその警告を聞いてくれない。

 

「頼むよミカ教えてくれ‼︎ どうやったらお前を救える⁉︎」

「優ちゃん‼︎」

「俺はどうしたらいい……? やっと会えたんだ。やっと……。なのに……またお前が死ぬのを見るなんて……俺は……」

 

 優の後悔に満ちたその姿に、ミカは何も言えなくなる。

 あの夢である程度は吹っ切れたと思っていた。

 だが、吸血鬼の都市で家族を失ったあの出来事は、優にとて一生残り続けるモノとして心に焼き付いている。それこそトラウマ、または存在意義と言っていい程に。

 

 簡単に吹っ切れるモノではなかったらしい。

 

「……優ちゃん。僕はまだ……人間の血を飲んだことがない……」

「……え」

 

 そして、優は瞠目した。

 

「一度でも飲んだらもう後戻りできないから……。永遠に成長のない……完全な吸血鬼になっちゃうから……」

 

 “優ちゃんが嫌う、醜いバケモノになっちゃうから”

 

「…………」

 

 優が真顔になる。しかし、ミカの言葉を聞いたからではないようだ。

 と言うか逆に、いいこと聞いちゃった、なんて思ってる顔だ。

 

「……待てよ。じゃあやっぱり俺の血を飲んだら、お前は死なないってことか?」

 

 擬音にすると、じーなんて風にミカを見つめる。ミカは昔よく感じた、嫌な予感がした。

 

「なあミカ、ちょっと俺のワガママ聞いてもらっていいか?」

「…………いやだ」

 

 取り敢えず拒否。

 でも嫌な予感は消えない。

 

「いーや絶対聞いてもらう‼︎」

「やだって言ってるだろう‼︎」

 

 そこからは歳相応、ある意味歳不相応な子供の喧嘩のようだった。

 

 ミカに生きる為に自分の血を吸えと言う優。優に会うまで我慢してきたのだからと断るミカ。

 いつも優は簡単に言ってくると吼えるミカ。ミカが吸血鬼になるのが嬉しいはずないと怒鳴る優。

 

 そして堂々と、ミカが死んだら「泣いちゃうんだぞ‼︎」なんて真面目に叫ぶ優。なんかすごいデジャヴってうんざりとするミカ。

 

 もう完全に二人だけで”喧嘩”をしていた。割と近くにいて、成り行きを見守る第三者の存在に気付かずに。

 

 結局、優が「俺を助けたいんなら血を吸って生きろ」という言葉でミカがハッとなった。

 

「お前が勝手に死ぬなんて、俺は絶対許さないぞ」

 

 腕を捲り上げ、手首に近い辺りをベルトに仕込まれたナイフで切り裂き、飲めとばかりに血を流した優が言う。

 

「……君はひどい奴だ」

 

 もう、それしか言えなかった。

 

「かもな。でもそのひどい奴を……お前が家族にしたんだ」

 

 かつて『僕たちは家族だ』と優に言った事を思い出した。あの時から、こんな滅茶苦茶な奴と家族になった時から、もう決まっていたのかもしれない。

 

「……最悪だ。君の所為で……僕はバケモノになる」

「はっ、バッカじゃねーの。ちょっと血を吸ったくらいでバケモノになんかなんねーよ」

 

 え? と優を見る。

 優はただ、迷いなどない真っ直ぐな瞳で、決して変わる訳のないことを言った。

 

「お前が何になっても、俺たちは家族だ」

 

 自然と、枯れたと思っていた涙が溢れ出してきた。

 

「……優ちゃん」

「うん?」

「すごく……苦しいんだ……。血が飲みたい……」

「いいよ。飲め」

 

 涙が止まらぬまま、ミカは優に抱き付いた。首筋に痛みが走る。

 優はただ、それを笑って受け入れ、ただ一言。ずっと言いたかった言葉を口にした。

 

「おかえり、ミカ」

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 それから色々、話をした。

 グレンのこと。生きる理由が復讐だけになっても生きろと言われたこと。そうしてミカと会えたこと。

 また昔に戻ったようだとミカは感じた。ただ、会話の中で優が持つ危うさも垣間見てしまったが。

 

「話は終わったかの?」

 

 そんな時、優の背後から声がした。ミカでも、もちろん優本人でもない、第三者の声が。

 

 今まで全く気づかなかった事実に一気に警戒を跳ね上げ、抜刀しながら立ち上がる。

 程なくして声の主を視界に収めた。見覚えのある姿だった。

 

「落ち着かぬか。儂にうぬらを害する気はありはせんぞ」

 

 黒と赤を基調とした荘厳なドレス姿の長身白皙。それそのものが光を発しているかと錯覚する程の艶やかで豊かな金髪に、鋭い眼光をした金色の双眸。

 

 やれやれと肩をすくめる彼女は、かつて戦い惨敗した吸血鬼。

 

「今時の若い者は、血の気が多いの。もう少し落ち着きを持たぬか」

 

 第一位始祖アークライト=カイン・マクダウェルが眷属、第二位始祖キスショット=E・マクダウェルだった。

 

「なッ⁉︎ いつからそこに……⁉︎」

 

 自分の背後にいる形となったミカを庇うように阿朱羅丸を構え、キスショットと対峙する。

 

 口振りからしてかなり前からいたらしい。全く気付かなかった。

 かなりマズい状況である。チーム全員でも惨敗したのだ。優一人では、とても戦えない。

 とれる選択肢は逃げの一択だろう。だが、これも難しい。

 

 キスショットがいるのは入口付近だ。一番近いであろう脱出路は押さえられている。ここがスーパーである以上、他にも出入口はあるだろうが、生憎優はどこにあるかなど知らない。

 こんな狭い所では回避も碌に出来ないし、何より敵は圧倒的強者。一瞬の躊躇いが死に繋がる。

 

 もういっそのこと壁ぶっ壊すか、などと考え始めた優を尻目に、両手をプラプラと広げて戦う気ないと示しながらキスショットは言う。

 

「じゃから、落ち着かぬか。儂に戦う気はない」

「さっきまで戦ってた奴が言っても、信用できるか」

 

 もっともな言い分である。敵だった者が敵意はありませんと言っても、はいそうですかと信じられる訳がない。

 

 優は構えを解かない。

 警戒心バリバリの優に、はて困ったと言いたげなキスショット。

 キスショットとしては、後の事を考えるとこの場で敵対するのは避けたいのだ。二人共々気絶させる、なんて手もあるにはあるが、昔ならいざ知らずアークライトからの影響で比較的丸くなった今では、そんな粗暴で雑な手段をとる気は起きない。

 

 まずは言葉で落ち着かせるかと、キスショットが口を開きかけた時、ミカが優の肩に手をかけた。

 

「優ちゃん、取り敢えず彼女は敵じゃないと思うよ」

「ミカ⁉︎」

「僕がここに来れたのも彼女が助けてくれたからだ。殺す気なら何時でも殺せたし、捕まえる気ならこうして呑気に話す訳ない」

 

 そう、このスーパーに身を隠せたのは彼女のおかげなのだ。

 

 想定以上の深手を負い、優を背負いながら雪の中を彷徨っていた時、彼女──キスショットが現れた。

 偶然な筈もなく、まさか追手かと警戒したミカだったが、なんでもキスショット曰くアークライトからの指示らしい。

 第一位始祖が何故? そう訝しむも実力的に勝ち目はなく、見たところ敵意がない上に日本の吸血鬼よりはまだ信用できると判断し、助けを借りた。

 恐ろしい程にすんなりと吸血鬼を信用できたのは、時前にクルルから第一位始祖と《アヴァロン》の事を聞いていたからだろう。正直、半信半疑だったが。

 

 そんな訳でこのスーパーに誘導されたのだ。

 実際のところ本当に助かった。想定以上の深手で血を失い過ぎ、あのまま彷徨っていれば、いずれ正気を失って優の血を飲んでいたかもしれない。

 更に魔力の流れを安定させる、と言ってミカにキスショットが何かしてきて、そうしたら苦しい程の吸血衝動が和らいだのだから驚きだ。それがなければ、優が目覚めるまで意識を保っていられた自信がない。

 

 などなどこれらが重なり、取り敢えず彼女は敵ではないと、ミカは判断したのだ。

 

「ほれ、そこの金髪の小僧もそう言っておるじゃろ。ひとまずは刀を下ろさぬか」

「…………」

「優ちゃん」

「……分かったよ。でも、俺は信用した訳じゃねぇからな。ミカに言われたからだ」

 

 キスショットに言われるも、優は中々に構えを解かない。睨みつけるようにキスショットを見るだけだ。実力差は理解しているだけに、とんでもない度胸である。

 それでも、ミカの視線を受けて、漸く刀を下ろした。かなりしぶしぶといった様子であるが。

 

「随分と業が深いようじゃの。ともかく、ようやく話せるわい」

 

 優とミカの本質を見抜いた上での言葉なのだが、優達に最初の方は聞こえなかったようだ。

 

「そっちの小僧とは一度会っておるが、改めて名乗ろう。我が主人アークライト=カイン・マクダウェルが眷属、キスショット=E・マクダウェル。第二位始祖の座に就いておる。よしなに頼む」

 

 いつぞやと同じよう優雅に一礼し、改めてキスショットは名乗った。見た目もその身に纏う高貴さも、本物の貴族を彷彿させる。

 アークライトの眷属なので、貴族どころか王族と言っていいかもしれないが。

 

「ってか、俺は小僧じゃねぇ。百夜優一郎って名前があんだよ。子供扱いするな」

「儂から見れば充分に小僧じゃよ。口は達者じゃの」

「んだと……⁉︎」

「はいはい落ち着いてね優ちゃん。百夜ミカエラ、サングィネム都市防衛隊、第三位始祖クルル・ツェペシから血を吸われて吸血鬼になった元人間だ」

 

 優とは違い、ちゃんとするミカ。それを聞いてキスショットが興味深そうな表情を見せた。

 

「ほう、あやつの眷属か。……ふむふむ、そういうことか」

 

 優とミカを交互に見たと思えば、何やら合点がいったとばかりに頷いていた。

 二人揃って首を傾げる。

 

「おい、いったいなんだよ?」

「些細なことじゃ、気にするでない。話の続きといこうかの」

 

 キスショットの話によるとこうだ。

 

 シノアの予想通り、アークライト率いる部隊は日本の吸血鬼とは完全に別系統で動いていた。

 その目的は《終わりのセラフ》の依代となる者の確保。クルルが率いる本隊の目的は日本帝鬼軍の抹殺だが、要請されない限り介入する気はないと言う。

 

 あくまで大切なのは仲間と家族であり、帝鬼軍に一切の忠誠心など持っていない優はよく分かっていない様子だったが、ミカは違った。特に”《終わりのセラフ》の依代となる者の確保”という部分で手負いである事が嘘のように反応し、剣を抜きかけた。

 確保と言っても、殺害など危害を加える気はないとキスショットに補足説明され、取り敢えずは収めたが。

 

 だが、納得した訳ではない。

 

「何故そんな事をする。確保なんて真似をしなくても……」

「方法は幾らでもある。しかし、アークは少しでも《アヴァロン》に危険が及ぶ可能性を排除したいのじゃよ。考えた末、殺さず手元に置いておくのが一番良いと判断したまでじゃ。しかし、何故うぬがそう過剰に反応する?」

 

 ミカの肩がビクリと跳ねる。生じた焦りによって背筋を嫌な汗が流れる。

 それを表情に出したつもりはなかったが、キスショットは見逃さなかった。

 

「……優ちゃんがその依代だと、貴女の言葉から判断したからだ」

 

 ミカを金色の双眸が射抜く。

 

「……ふむ、そうか」

 

 そういうことにしておこう、とミカから視線を外す。

 ミカは内心でほっ、と息をついた。キスショットの前では下手な反応をしない方がいいようだ。

 あの金色の瞳を向けられると、自分でも気付かない奥底を覗き込まれている気分になる。

 

 敵ではないだろうが、気は抜けない相手だ。

 

「あのさ、さっきから出てくる《終わりのセラフ》ってなんだよ? 俺にも説明してくれ」

 

 そこに優が入り込んできた。

 優には二人が何を話しているかさっぱりなのだ。自分達に関係している事くらいなら分かるのだが。

 

「うぬは何も知らんようじゃの。それも仕方なしか」

 

 《終わりのセラフ》とは八年前、世界に滅亡を齎した大魔術。より正確に言うならば、人間が《終わりのセラフ》を失敗させたことで世界は滅亡した。

 当時《終わりのセラフ》を行った組織は壊滅したらしい。しかし、実験を引き継いだ別の組織がいた。

 それが今の日本帝鬼軍。

 

 《終わりのセラフ》は吸血鬼にとって世界を滅ぼす忌むべき存在であり、決して触れてはいけない禁忌だと言う。

 その《終わりのセラフ》を日本帝鬼軍が再び行おうとしている。

 前回は失敗だった故に完全には滅びなかった。だが、もしまた発動してしまえば今度こそ世界は滅亡する。

 それを阻止する為にアークライト自らが日本に来た。

 

 キスショットの説明を要約するとこうだ。ところどころ質問しながら聞いていた優だが、説明が終わると腕を組んで考え込んでいた。

 珍しい優の様子にミカが声をかける。

 

「どうしたの優ちゃん?」

「ん? ああ、いやさ。これじゃ俺ら人間が悪い側だと思ってな」

「あながち間違いでもないの。八年前の件に儂ら吸血鬼は関与しておらん。今回は吸血鬼側に内通者がいると睨んでおるがの。……ふむ、もしや八年前にも内通者がいたかもしれんの」

「うーむ」

 

 これまでの価値観が砕け散ってしまいそうだ。勿論、キスショットの話を信じればなのだが。

 

「あの世界滅亡の日まで吸血鬼は一切、表に出てこなかったじゃろ。事実、八年前の一件が起きなければ吸血鬼は表の世界に関わる気はなかったのじゃよ。今の世で儂らの存在は異端、人間の社会と交わらぬ方がよい。じゃが、世界が滅びそうになってはさすがに黙っておられん」

 

 だから上位始祖会は決定を下した。表の世界への介入を。

 実際、大人の大半が破滅のウィルスによって死に絶えたあの日、もし吸血鬼が事態を収拾しなければ、本当に世界は滅んでいただろう。

 今の世界の状況は、人間の完全な自業自得なのだ。

 

「遥か昔からそうじゃ。人は身の程を超えて力を求め過ぎる。果てなき進化への欲望は長所かもしれんが、一歩間違えれば破滅へ繋がる。儂は元人間じゃが、人を外れた身として眺めると、度し難い程に愚かに思えてしまうの」

 

 吸血鬼が人間を見下すのも納得できてしまう。これまで、そしてこれからも悠久の時を生きる身だからこその考えだろう。

 

「ちょっと待て! お前もミカと同じように人間から吸血鬼になったのか⁉︎」

 

 キスショットが何気なく口にした言葉に優が反応し、思わず待ったをかけた。

 

 元人間の吸血鬼。ミカと同じではないか。

 

「そうじゃよ。と言うか、真の意味で純血種と言える吸血鬼は、今ではアークしかおらん。なんじゃ、知らんかったのか?」

 

 優とミカは愕然とした。

 

 キスショットの言う通り、生まれながらの吸血鬼は原初の六体と言われるアークライトを含めた最初の始祖しかいない。

 今いる吸血鬼は、その最初の始祖に血を与えられた吸血鬼の遠い末裔である。そして上位始祖と呼ばれる吸血鬼は、直接的に最初の始祖の血を継ぐ貴族達だ。何処かで血族が枝分かれした為に、同じ始祖の座に複数が就いているケースもある。

 

 ただし第一位だけは原初の六体で唯一生きるアークライトのみが就く。だから直接の眷属であるキスショットは第二位なのだ。

 吸血鬼にとって血統は最重要であり、多大なる影響を与える。主人となる吸血鬼の血統によって、眷属の吸血鬼の強さも大きく変動する。

 

 例えばミカは、主人が第三位始祖のクルルであるが故に、吸血鬼に成り立てなのにも関わらず、下位の貴族クラスの実力を持っている。

 キスショットに至っては、語るに及ばずだろう。

 

「なら……なら! お前がミカと同じ元人間だってなら、吸血鬼から人間に戻る方法を知ってるん……」

「待て待て。このまま話をしてもよいが、それどころではない筈じゃ。うぬは、仲間を助けに行くのではなかったのか?」

「ッ⁉︎ そうだった急がないとマズい! ああ〜くそ! 後でちゃんと話せよ!」

「全てが終われば、いくらでも話してやるわい」

「あんたはどうすんだよ?」

「アークと合流する。うぬを誘導するのがアークからの指示じゃったからの。名古屋空港に行くがいい。そこが此度の決着の地じゃ」

「そうか。ありがと」

 

 聞き終わるや否や、入口に向かって歩き出す優。

 疑うという事を知らないような様子に、さすがのキスショットも笑みを崩す。

 

「小僧、儂の言葉をそう簡単に信じてよいのか。うぬは吸血鬼に並々ならぬ憎悪を抱いておるようじゃが、儂はその吸血鬼じゃぞ?

 罠とまず疑うのが普通ではないか?」

 

 言っている事に嘘はない。念話でアークライトが伝えてきた確かな情報だ。

 だが、それを素直に信じる優が何かいただけない。あまりに考えなしではないか。

 

「確かに、あんたは吸血鬼だ」

 

 それに優は立ち止まり、真っ直ぐな表情で答える。

 

「だけど、あんたはミカを助けてくれた。そっちの考えなんて俺は分かんねぇけど、ミカを助けてくれた。信じる理由はそれで充分だ」

「…………うぬ、馬鹿と言われぬか」

「誰が馬鹿だゴラァ‼︎」

「冗談じゃ。そら、さっさと行くがよい」

 

 キスショットに促され、再び優は歩き出す。慌ててミカがその後を追うが、スーパーを出る前に振り向き、一礼をして出て行った。

 

 キスショットだけが残る。

 

(あの小僧、何処か危ういの)

 

 聖人と言えば聞こえはいいが、現代に聖人がいれば、それは何処か壊れている人種だろう。

 あれは放っておくのは危険な類だ。

 

「確保という手段は、やはり最善だったの」

 

 ポツリと呟いた。

 

 そしてキスショットも外に出る。優とミカの姿は既に消えていた。空港までの移動手段でも探しにいったのだろう。

 

「儂も行くか」

 

 アークライトは、《アヴァロン》部隊とクルル率いる本隊と共に移動中だ。

 こっそり戻るとしよう。縮地を使えば容易い事だ。

 

 そう決めると、その場からキスショットが消えていった。

 

 斯くして舞台は整った。これより最終幕の始まりである。

 




さて、重要な事ですが。
今話で原作10巻までの内容が殆ど終わりました。しかし、これ以降は11巻なので詳しく本編が書けません。なので、11巻発売の5月2日以降まで本編更新を停止します。アニメと漫画ではところどころ違いますし、今作は漫画を主体としていますので。
そこでアンケート。原作に追いついたの予定だった番外編を更新するか否か。匿名投稿を解除するので活動報告でお願いします。



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