呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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見滝原と同時に事態が進んでいる”アスナロ市”

かずみ☆マギカのキャラ達が割と出てきていますが、この人を書くことになるとは思いもよりませんでした。






呀 暗黒騎士異聞 アスナロ市編 参

アスナロ市 御崎 海香の書斎

 

 

プレイアデス聖団所属の魔法少女 御崎 海香は、浅海 サキ、若葉 みらいより齎された情報に対し、若干ながら溜息を付いていた。

 

言うまでもなくその内容が、どうも信憑性に欠けるのだ。

 

内容は、真須美 巴が自分たちの封印を破ったこととミチル?を仲間の魔法少女に奪われたという内容だったからだ。

 

「あの真須美 巴の言葉は信用してはいけないわ。あの女に仲間なんてあり得ない」

 

海香は、真須美 巴がどういう存在なのか大まかな所理解していた。あの女は言うまでもなく”奪う”為ならどんな手段でも使う人物であり、仲間も結局は自身の快楽や欲望を満たす為の道具としか見ていない。

 

仮に脅されて無理やり協力させられていたとしても、真須美 巴本人が危機に陥った場合も助けるどころか、これ幸いと逃げ出すだろう。

 

現れた”魔法少女”も気になるが、問題は”ミチル?”を連れ出したことだ。

 

これだけは、何としてでも連れ戻すか処分しなければならない。

 

再び彼女達に希望を齎してくれた”和沙 ミチル”を取り戻すために・・・・・・

 

 

 

 

 

 

その頃、牧カオルはアスナロ市の解放されたグランドに来ていた。

 

ここはアスナロ市のアスリート達が集う場所であり、様々なスポーツが楽しめる施設であり、牧カオルが来ているグランドもである・・・

 

彼女はグランドを走っていた。仲間である”プレイアデス”からのテレパシーにも耳を傾けていたが、これと言って意見を挟むことはなかった。

 

彼女の中にあるのは、ミチル?を救い出した”魔法少女”のことだった。

 

(私たちを傍から見たら、どんな魔法少女か・・・多分、ミチルが生き返っても、同じようには過ごせない)

 

あのミチル?の表情は、自分達の行いを糾弾しているかのように険しかった。

 

”希望”を見せてくれた”少女”をむしろ弄び、絶望に陥れているのはある意味自分達ではないかと・・・・・・

 

ミチル?は危険な存在であるが、彼女にも”命”は存在し、彼女の意思もまた・・・・・・

 

不謹慎であるが、自分達から彼女を助けてくれた”魔法少女”に心の内で感謝していたのだ。

 

自分たちのやっていることは、おおよそ魔法少女がやることではなく、むしろ一般人が想像する”魔女”の所業そのものではないかと・・・故に感情の整理をつける為、何も考えないようひたすら身体を動かしていた。

 

魔法少女であるが、やはりある程度運動すると当然のことながら疲労する。

 

少し休憩を挟む為、牧カオルは近くの休憩所に立ち寄ることにした。

 

「もしも見かけたら・・・お願いします」

 

休憩所の所には二人組の外国人がチラシを配っていた。

 

牧カオルは、何気なく二人よりそのチラシを手に取った・・・・・・

 

 

 

 

 

     探し人 暁美ほむら

      

連絡先

 

ジン シンロン

 

メイ リオン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナロ市 ホテル

 

「あの・・・これは?」

 

「見ての通り食事よ。見たところ、2、3日は何も食べていないみたいね」

 

目の前に用意されたサンドイッチに対して、ミチル?は信じられないようなモノを見るかのようだ。

 

ほむらは、ミチル?があの二人の魔法少女からどういう扱いを感じたが、あまり良い扱いを受けてはいないんだろう思うのだった。

 

「食べなさい。少しは落ち着くと思うわ・・・」

 

さっそくサンドイッチに手を出し、頬張るミチル?。食べた瞬間に瞳から涙が零れる。

 

今までこのような扱いを彼女は受けたことがなかった。あの少女たちが自身を勝手に生み出し、そして拒絶した。

 

最初の内は慕ってくれていたが、自分ではなく自分ではない誰かを彼女たちは見ていた・・・・・・

 

その後は、自身を閉じ込めようと何処に連れ出そうとした瞬間の隙をついて逃げ出した。

 

「・・・・・・落ち着きなさい。私に柄でもないことをさせないで」

 

こう言う役目は、”まどか”、”巴さん”の二人だろうと内心思いつつほむらは自身がそういう柄ではないことを口にした。

 

「いえ、あなたはとても親切な方です・・・・・・」

 

自身が生み出されてから数日も経たないが、彼女から見ればほむらは十分、親切な存在であったのだ。

 

「それはあなたの勝手な解釈よ。いずれ、私がそういう存在ではないことが分かるから・・・・・・」

 

背を向けてこの場を後にするほむらに

 

「あ、あの・・・どちらへ・・・・・・」

 

寂しそうに声を開けるミチル?に

 

「ちょっと紅茶を淹れてくるだけよ」

 

一応、飲み物はあるのだが、温かい紅茶の方が安心するだろうと思いほむらはそのまま部屋を出ていくのだった。

 

その背中をミチル?はずっと見つめていた。

 

部屋を出たほむらは、自分よりも少しだけ年上と思われる少女がかなり精神的に幼い事に改めて気が付いたのだった。

 

「・・・・・・ほんとに柄でもないことをしているわね・・・私は・・・・・・」

 

本来ならば、”まどかを救う”という目的があるのに、見滝原から離れた”アスナロ市”でこのようなことをしている暇などないのに、何故かそれを受け入れている自分にほむらは、内心呆れていた。

 

幸いなことにエルダはこのことには、何も言ってこなかった。普段ならば、なにかと”甘い”と自分を駄目だししてくる彼女なのだが、このことについてはただ遠巻きに見ているだけだったのだ。

 

「紅茶よりもココアの方が良いかしらね・・・あの娘には・・・・・・」

 

紅茶も良いのだが、あのミチル?にはココアの方が喜ばれるかもしれないと思い、久々にココアを作ることにほむらは少しだけ”兄ともいえる男性 ジン”を思い出していた。

 

この時間軸に居るであろう”兄”は血こそは繋がらないが、自分を”姉”アスカ共々大切にしてくれた。

 

兄の甘さが今更ながら自分に出てきたことに自嘲し、ほむらはキッチンへと足を向けるのだった。

 

その頃、エルダはほむらが用意したサンドイッチに一口だけ手を付けていた。

 

彼女の視線は、ほむらが拾ってきた”少女”に対し厳しい視線を向けていた。

 

「・・・・・・希望を齎す魔法とはよく言ったものだ・・・・・・」

 

エルダには、見えていたのだ。このアスナロ市を拠点とするプレイアデス聖団の所業が・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呀 暗黒騎士異聞 アスナロ市編 参

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナロ市 警察署 証拠・遺留品保管庫

 

「え~と刑事さん。いつも通り引き取りに来ました」

 

「いつもごめんなさいね。こういう”モノ”はあまり置いておきたくないから、引き取ってくれるだけでありがたいわ」

 

アスナロ市の女刑事 である石島 美佐子は訪れた青年 京極カラスキに事件場所から発見された曰く付きの”モノ”をいくつか渡していた。

 

「あぁ~~、良いんですよ。こういうモノは、こんな所に置いておくと碌なことにならないんで・・・しかし、まぁ、今回のはとびっきり嫌なモノが来ましたね」

 

カラスキは、その中でも異彩を放つ奇妙なまでに輝く”緑色”の蛇の目に似た宝石を注意深く手に取り、そのまま御札が張られた木箱に映した。

 

「それは・・・なんなの?」

 

「あぁ~、これね。多分、何処かの馬鹿が外国の神様のご神体を盗んできて、売った奴ですよ・・・しかも、こいつは人を魅了して生気を吸いやがる奴だ。今回の仏さん、衰弱死していなかったかい?」

 

石島美佐子は、カラスキの言葉に冷や汗を垂らした。この遺品の経緯や発見場所については何も言っていないのだ。ましてや、死亡した人の状況なども・・・・・・それも見てきたかのように語るカラスキはハッキリって、気味が悪い以外の何物でもなかった。警察署の人間もカラスキには、お祓いの為会うのだが、この青年の”常人には計り知れない何かを見る”姿勢を肯定的に捉えるものはほとんどいなかった。

 

「あぁ~~、良いですよ。そういう風にみられるのはいつものことですし、おいらは、そろそろ退散させてもらいますが、他にもちょっとヤバいものがありますね」

 

犬が匂いで何かを見つけるように、”曰く付き”のモノを察するカラスキに石島美佐子は顔を引きつらせた。

 

「な、なにかしら?他のは・・・・・・」

 

「いんゃあ・・・・・・そこにあるよ。そこに・・・・・・」

 

カラスキは証拠物を保管する一つの棚に手を出し、そのまま引き出し掴みだした。

 

「そ、それはっ!?!」

 

「あぁ、危ない危ない。こいつは、正直危なかったね。どこで紛れたかは知らないけど、あの小動物。仕事をさぼっていたみたいだね」

 

カラスキが取り出したのは、魔女の卵である”グリーフ・シード”であった。

 

「あの・・・カラスキ君。魔法少女って知ってる?」

 

「あぁ・・・・・・あの女の子が変身する奴かい・・・そういえば、最近になってメディアでやっと市民権を獲得してたね。数年前は、あの”ニルヴァーナ事件”でそういう奴は、魔女狩りになってたっけ」

 

カラスキは思い出すように、ここ数年のことを思い返していた。とは言っても小学校高学年の頃の記憶でしかなかったが・・・・・

 

「それで違いないわね。ここ最近の少女失踪事件は、常識では計り知れない事実が存在するわ。それこそ、”奇跡”や”魔法”でなければ説明がつかないほどの・・・」

 

ぼかしたように話すカラスキに石島美佐子は、カラスキが”魔法少女”について何か知っているのではないかと察するが、

 

「あぁ~~そういうのは、現実逃れって奴でしょ。石島さん・・・非常識ってのは常識の延長にあるっていうし」

 

「待って!!私の友人がかつてそうだったわ!!!今も行方が分からない!!!その真実が知りたいの!!!」

 

突然、声を張り上げる石島美佐子にカラスキも”わぁお”と思わず、驚きの声を上げてしまった。

 

しらばっくれるカラスキに対し・・・・・・

 

「誰も事実を伝えても信じなかったわ。私は、友人が何処へ行ったのか知りたいの」

 

自身が刑事になったのも魔法少女であった友人「椎名 レミ」を見つける為であった。その過程でレミの妹が姉が魔法少女であったことを証言し、常識では計り知れない現象や遺留品という立派な証拠があるのだが、それは上司や同僚に一笑されてしまい、調べられず、未だに成果が上げられない状態なのだ・・・・・・

 

彼女自身も分からなかったが、遺留品保管庫にまさか証言に遭った”グリーフシード”が存在していたことに驚いた。これこそ、立派な証拠ではないか・・・・・・

 

「人が何処に行くかなんて・・・当人の自由意志だから後を追っかけるのは正直、良い趣味じゃないと思うよ。おいらは・・・・・・」

 

カラスキは石島美佐子と話をする気がないのか、そのまま背を向けて出ていこうとした。まだ話すことがあることと”グリーフシード”を調べさせてほしいと彼に詰め寄るが・・・・・・

 

「あぁ~~~。石島さん。真実を知りたいのは結構・・・・・・目に見えない”隣の世界”には、あまり関わりすぎると最悪、命がなくなるよ・・・それは友人もそういうことは望んでないと思う」

 

カラスキは、何かを含むように笑った。ようするにこれ以上関わるなと言うのだ・・・・・・

 

危険な”グリーフシード”は後で適当なところに放置しておけば”回収”しにくる存在が居る為、そっちに任せておけばいいだろう。

 

去っていくカラスキを背に石島美佐子は必ず、”真実”を突き止めると改めて誓うのだった・・・・・・

 

その為には、どんな手だって使ってやると・・・・・・

 

遺留品の中にある”組の構成員”から摘発した”爆発物”が覗いていた・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!やっべぇ・・・ジンに頼まれてたこいつをお願いするのをすっかり忘れてた・・・・・・」

 

カラスキは腐れ縁であるジンの妹分 ほむらの捜索とそのチラシを警察に見せるのをすっかり忘れていたのだった。

 

内心、申し訳ないことをしたと思いつつも今は仕事中なのでこれを切り上げた後にしようと考える。

 

「とりあえず、こいつらだけでも・・・・・・処分しとくか・・・・・・」

 

今は手元にある”曰く付き”を何とかしなければならなかった。これを万が一、落としたり、無くしたりしたら大変な事になるのだから・・・・・・

 

「そういえば・・・以前、神社から”祟り神のご神体”を持ち出した馬鹿が居たな・・・確か・・・明良 樹 (アキラ イツキ)だっけ・・・見滝原で自業自得な最期だったかな」

 

数年前に亡くなった 明良 樹 (アキラ イツキ)。当時、様々な学校で問題を起こしたというよりも学校での目を覆いたくなるようないじめを行い、彼の死後にそれが明らかになり、隠蔽した学校関係者共々地に落ちていった。自業自得ではあるが、カラスキ自身は当人の明良 樹に会ってはいないが、”曰く付きのモノ”を感じることができる感性故に気味悪がられたことはあったが、そんな彼を唯一友人として迎え入れてくれたのが、ジンとアスカ、その妹分である ほむらだった。

 

そのほむらが行方不明になっていることを心配しながら、アスナロ市のモノレールに乗りこむのだった・・・

 

行先は 京極神社である・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真須美 巴はある人物とオープンカフェでティータイムを楽しんでいた。

 

「へぇ~。巴ちゃんは、思いっきり”仲間”って叫んだんだ。で、その娘を”仲間”と勘違いしているわけなんだね。

プレイアデス聖団の娘たちは・・・・・・」

 

「そうなのよ♪私の事を知ってたら、”仲間”なんてそんなのを必要としないのは分かり切っているのにねぇ~~」

 

”キャハハハハ”と笑う、真須美 巴の笑顔は非常に魅力的なのだが、彼女の本性を知るものからすれば非常に薄ら寒い感情を抱くだろう。

 

「君の場合は、利用価値があるか、ないかだよね・・・僕もある程度は利用価値があるのかな?」

 

真須美 巴の前に座る青年は、苦笑しながら答えた。

 

「そうね・・・・・・でも、貴方は死んだお兄さんのように派手に動かないのよね~~~」

 

遊びに誘おうかのように微笑む真須美 巴に対し、青年 明良 二樹 (アキラ フタツキ)は、

 

「良してくれよ。僕は兄さんのように何でもかんでも欲張ったりはしないんだよ。本当においしいところはほんの僅かな所なんだ・・・」

 

そう言いながら、彼は目の前にあるショートケーキの中心に乗っている苺をスプーンで掬う。

 

「貴方って・・・随分変わっているのね・・・善人でもないし、かといって悪人でもないし・・・というよりも何処のカテゴリーにも属さないってやつかしら?」

 

「ハハハハハ。正しいとか正しくないとかは誰が決めたんだろうね・・・大多数が受け入れることが正しいことで、大多数が受け入れられないことが正しくないってことだと思うよ・・・僕としては、世の中が変われば、価値観が逆転することになれば・・・それこそ正しい事って分からなくなるよ」

 

上機嫌にイチゴを食し、満足そうに微笑む。

 

「巴ちゃんの”奪う側で居る”っということは、ある意味では正しいよ。世の中は奪うか、奪われるかで成り立ってるしね・・・・・・」

 

そう言いつつ彼は、スマートフォンが呼び出しになっているのを横目で見た。

 

「ちょっとごめんよ。巴ちゃん・・・・・・」

 

さっそく電話に出てみると・・・・・・

 

『ちょっと!!!アンタ、アタシ達になんてところを紹介したのよ!!!今、大変な目に遭ってんのよッ!!!』

 

電話口から聞こえてくる怒声に明良 二樹は、

 

「なにって・・・・・・色々大変だから、助けてくれそうなところを紹介しただけだよ」

 

気軽に返す明良 二樹の表情は非常に晴れやかであった。

 

『だからって、個人金融を紹介するってどういうことよ!!!おかげでアタシはっ!!!!』

 

「ハハハハハ。だって、君、色々やらかしていて、正直、実家も誰も助けてくれなくて僕に相談したんじゃなかったの?残念だけど、僕自身も君を助けられるほど、大した男じゃないんだよ・・・・・・だから、助けてくれそうなところを紹介するぐらいしかできなかったんだ・・・・・・感謝こそはそれても恨まれる筋合いはないと思うんだけどね」

 

『そんなこと聞いてないわよ!!!アンタが助けてくれれば・・・・・・』

 

「馬鹿を言っちゃいけないよ。君は男を都合の良い何かと勘違いしているんじゃないかい?僕はね、自分にできる範囲で手助けはするよ・・・でも、その範囲を超えられたら僕もどうすることができないから・・・まぁ、頑張ってよ」

 

『ちょっと、待って!!ねぇ・・・』

 

そのまま電話を切り、LINE等をブロックするのだった。彼の顔は非常に晴れやかだった・・・

 

「キャハハハ♪結局、そのこどうしたの?どうするの~~?」

 

「どうもしないよ・・・実際に目で見て、実物にガッカリするよりも、楽しいことになっているのを想像する方がずっといいじゃないか」

 

明良 二樹は、かつての双子の兄 明良 樹 のように徹底的に相手を破滅させることはしない・・・・・・

 

「やっぱり変わっているわね・・・あなたのお兄さん、壊すときはとことん壊すのにね・・・」

 

「壊すことの何処が良いの?壊したらおしまいなんてもったいないじゃないか。人生を深く味わい深く過ごすためのスパイスはほんの少しの悪意と善意だと思うよ。このチョコレート箱のように・・・」

 

好物のチョコレート箱から一つチョコを摘み、口に入れる。

 

「うん。この少しの苦みが良いんだよね」

 

真須美 巴は微笑みながら、明良 二樹に手を伸ばし、

 

「わたしにもちょぉ~~だぁい♪」

 

「良いよ。君にあげなかったら、君に食われるかもしれないからね」

 

さすがの”兄”も目の前の真須美 巴には手を出さなかった、何をしでかすかわからない存在とはこのように適当な距離で付き合うのがベターなのだ。

 

初めての出会いも衝撃的だったのを覚えている。パパ活を行っているところを目撃し、ちょっとお節介をしようとついて行ってみたら、真須美 巴が人食いをしているところにそのまま遭遇してしまったのだ。

 

その時になって思い出したが、生前、兄が

 

”あの女だけは絶対に傍に置いておきたくない、寝込みを襲われたらたまったもんじゃない”

 

若干ながら苦手意識を持っていた少女だったことを改めて思い出し、その後食われそうになったが、色々あって時々話をしたり、二人でお節介をしたりとやりたいようにやっていたのだ。

 

「あっ?わたしもそろそろ、出かけなくちゃいけないわ。それじゃぁあねぇ~~♪」

 

彼女は誰かから連絡が来たのか、そのまま席を立って何処かへ行ってしまった。当然のことながら支払いはしていない・・・・・・

 

「奢るのも男の甲斐性って奴だからね・・・・・・兄さんはあの”人形”に殺されたけど・・あの”人形”も色々やらかしているみたいだけど、僕は関わらないよ・・・僕が関われるのは、舞台をほんの少しだけお手伝いすることだけだからね・・・・・」

 

真須美 巴が何やら大きな舞台で活躍するようであるが、自分は彼女の休憩時間に立ち会っただけなのだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バラゴはアスナロ市の京極神社に立ち寄っていた。

 

本来ならば、ホテルで待っているほむらとエルダに合流をしなければならないのだが、使徒ホラー”バグギ”の動きが予想以上に活発だった為、念には念を入れて此処に足を踏み入れていたのだ。

 

この京極神社は、魔戒騎士や魔戒法師の下請けを行っているのだが、その扱いはあまり良いモノではなかった。

 

魔戒騎士と魔戒法師の関係は、本来ならば協力関係が理想的であるのだが、”力”に優れる魔戒騎士が”力”に劣る魔戒法師を下働き扱いすることが多い。両者が互いの立場を尊重する人ができた騎士、法師は少数というのは嘆かわしいと思うどころか、バラゴにはある意味真実であった。

 

言うまでもなく、彼の父親こそ”力”で法師である母を虐げていたのだから・・・・・・

 

さらに立場の弱いこの”京極神社”の扱いは、察するべきだろう。

 

噂話だと、ある魔戒騎士がここの先代の神主を”ホラー”の巣に”餌”として利用した挙句、番犬所から制裁が加えられたというらしい。当然のことながら、一部の魔戒騎士、法師以外の関係はこれ以上になく最悪なのだ。

 

だからこそ、暗黒魔戒騎士である自身がここを”第二の拠点”として利用することも可能なのだ。

 

神社の鳥居を潜ると石段の先の神社の本殿が建っていた。先ほどのアスナロ市内と比べるとここだけ時代から取り残されたかのようだった。

 

神社の境内に踏み入れると古びた木製の掲示板があり、そこに彼にとっては身近な少女が映し出されていた印刷物が貼られていた。

 

 

 

 

”探し人 暁美ほむら”

 

 

 

 

「彼はここにも友人がいるようだ・・・交友関係は広いのだな・・・・・・」

 

ここにもあのほむらの兄である青年と交流のある人物がいるようだ。ならば、ここは見逃しても構わないだろうとバラゴは考えた。

 

京極神社の奥にある蔵には”陰我”を抱えたモノが多数封印、保管されているので今後の利用価値もあるのだが、それすらも”暁美ほむら”と関係があるのならば、手を出すべきではないだろう・・・・・・

 

ハッキリ言えば気に入らないことこの上ないが、彼女が慕う”兄”に手をかけ、それで彼女に”拒絶”されることに対してバラゴの中に怯えに似た戸惑いの念が浮かんでいた・・・・・・

 

「あんらぁ、今日は珍しい来客もあったもんだな、有名人が訪ねてくるとわね~~」

 

いつの間にか仕事を終えて戻ってきた 京極カラスキがバラゴに対して声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続 呀 暗黒騎士異聞 アスナロ市編 四

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき

次回、辺りでいよいよ本格的にバグギが動き出す予定です。

さらには、ほむらもまた色々な目に遭います(笑)

補足で京極カラスキは、魔戒騎士、魔戒法師らの協力者として下請けを行っています。

GAROの世界では、ホラー以外の怪異も存在している為、魔戒法師、騎士以外にもその方面を生業にしている人もいるのではと言うことでカラスキは、そういう役目を負っています。こちらでは、まどマギ関連の”魔女”も存在していますから、割とヤバい世界観だと我ながら思いました。

主に目に見えない”呪い”の類の封印やお祓いを生業にしている為かそういうモノを感じたり見ることができます。ちなみにキュウベえも見ることができます。

魔法少女の資格がない場合でも、霊感等そういう方面に強い人ならばキュウベえを認知できるのではと考えたからです。

「見滝原アンチマテリアルズ」では、キュウベえが古い神社に漂う幽霊を魔法少女候補として認識していた為(契約できるかは不明)そっち方面に強い人ならばもしかしたらという考えからです。

今回、見滝原にはどこかで見たような人が居ましたが、アスナロ市にも似たような人が居ました(笑)ただ、こちらは見たような人の身内ですが(爆)




キャラ紹介

明良 二樹 (アキラ フタツキ)

柾尾 優太に第二十一話「過 去」で殺害された明良 樹 (アキラ イツキ)の双子の弟。
アスナロ市在住のフリーター。見滝原に追い出された兄と違い、常識があると思われ、父親の手元に置かれていたが、派手に悪事をもしくは狙った相手を徹底的に破滅させる兄と違い、相手を破滅させず、ジワジワと相手が苦しむ様を想像し、直接自身は手を下さずに相手を地獄へ誘導することを好む。

真須美 巴とは、知り合いでお茶友達。費用は全て彼持ち。

魔法少女などの事も真須美 巴から知っていますが、自身がそれに関わる気はあまりなかったりします。言うまでもなく見滝原で破滅した兄は”魔法少女”に関わったからです。
故に、自身も同じ轍を踏まないように関わらないだけです。

彼はチョイ役なので、今回以降出てくるかは不明です。





前話のキャラ紹介

メイ ・リオン

ジンと同じ大学に通っているイギリス人の母を持つ赤毛のハーフの女性。

緑色の目をし、どことなく猫を思わせる容姿と悪戯好きな笑みをいつも浮かべている。

専攻は、IT情報技術を専攻しており、自作でアプリなども作ったりしており、ここ最近はやりの”おしゃれアプリ”を作るなど何気に凄いことをやっていて、自身のブランドを立ち上げ、企業などに売り込んでいる。

母の影響で、キリスト教 プロテスタントを信仰しており、自立心が強く、基本的には自分の事は自分で行う。実は、過去、キュウベえに勧誘されていましたが、魔法について魅力を感じなかった為、契約を断っています。

ジンとは、高校時代からの腐れ縁であり、京極神社に居る京極カラスキとは、割と仲が良い。カラスキが心霊体験などの話題が豊富な為、そっちで話が合うためである。





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