呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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ほぼ悪役サイドの話になり、普段よりほんの少しだけ短いです。

明良 二樹がほぼメインな悪役回(笑)

見滝原ではこの日は、上条恭介に憑依したホラーとの決着があった日です。





呀 暗黒騎士異聞 アスナロ市編 捌

アスナロ市 明良 二樹 自宅マンション

 

「調べようと思えば、調べられるものだね・・・」

 

明良 二樹は御崎海香が魔法少女であることを”真須美 巴”から聞いてはいたが具体的な情報までは持ってはいなかった。

 

彼が現在見ているのは、自宅バルコニーで取材を受ける作家 御崎海香の特集記事であった。

 

当然のことながら似たようなデザインのバルコニーは幾つもあり、自宅住所の詳細を突き止めるのは困難である。

 

彼が注目したのは画像の御崎海香の瞳に反射して写っている自宅周囲の景色であった・・・

 

とある住宅地にあるらしいということが分かり、さらには近くにある景色にある建物を”衛星を使ったビュアー”を使い、そこからさらに範囲を絞っていく・・・・・・

 

「ハハハハ・・・ここだ。いい家に住んでいるんだね。さすがは大作家先生だ・・・」

 

明良 二樹の手元には御崎海香著の書籍があったが、彼も一応は呼んだが特に心を惹かれることはなかった。

 

言うまでもなく彼の嗜好に合わなかったのだ・・・・・・

 

彼が好むのは”フィクション”よりも”ノンフィクション”である。

 

架空の恋愛に希望を求める世の読者と違い、彼が求めているのは”残酷で陰惨な現実”なのだ・・・・・・

 

さらに目的地までの経路を確認したうえで準備を行う。魔号機人達の輸送は自前の車を使う為、キーを手に取る。

 

キーが普段置いてある場所には、彼の唯一の身内であった”兄 明良 一樹”と一緒に写った写真が立てかけられていた。

 

準備に勤しむ明良 二樹に対し、写真の中の兄の笑顔は本当に笑っているかのように明るかった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

アスナロ市 御崎海香の自宅 周辺

 

「え~~と、さすがに電話番号までは分からないか・・・」

 

御崎海香の自宅が見える位置まで来ていた明良 二樹は門から堂々と入ろうかとも考えたが、ここはやはり一言挨拶を入れておくべきではないかと思い直していた。

 

突如として明良 二樹のスマートフォンがLINEアプリがメッセージの受信を知らせる。

 

「うん?巴ちゃん・・・ハハハハハ、巴ちゃんと僕は本当に気が合うな~~」

 

受信したメッセージは、真須美 巴が入手していた”御崎海香”の個人情報であり、そこには家族構成からさらには彼女の携帯電話などの番号まで記載されていたのだった・・・・・・

 

メッセージには”二樹♪楽しんでね♪”とあり、これを見て更に彼は嬉しそうに笑いながら、その番号に電話を掛けた。

 

そして・・・待機状態であった魔号機人6機を起動させ、さらに1機の手に孵化寸前にまで濁らせた”グリーフシード”握らせた。

 

 

 

 

 

 

 

結局は昨夜は眠れない夜を過ごし、各々がリビングで動かずにジッとしていた。

 

そんな中、突如として御崎海香の仕事用のスマートフォンが鳴り出した。

 

「仕事かしら?」

 

このスマートフォンの番号は基本的に担当編集者以外誰も知らせていない為、何かしらの仕事が入ったのではと思い電話を取るが・・・・・・

 

「はい、御崎ですが・・・」

 

『やぁ、魔法少女ちゃん♪あぁ、失礼、御崎海香先生だったね』

 

御崎海香の表情が強張った。言うまでもなくこの声は昨晩、自分達を真須美 巴と共に襲撃をしてきたあの一般人の声であったからだ・・・

 

「ねぇ、海香・・・誰からなの?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

牧 カオルは電話の主に嫌な予感を覚え、浅海サキは無言の視線を向けていた。

 

『いやぁ、今日ね。みんなと一緒に遊びたくてね、近くまで来ちゃいました♪』

 

「遊びたい?あなた・・・何を言って・・・・・・」

 

『言ったままそのままの意味だよ・・・さぁ~て、まぁじょぉ~は、お・う・ち・のなぁかぁ~♪』

 

陽気な声と共にリビングの窓が割れ、勢いよく何かが飛び込んできたのだ。

 

それは孵化寸前のグリーフシードだった。

 

「おのれ!!ここまで来るとは!!!!」

 

浅見サキは、自分達を攻撃してきた明良 二樹に怒りの声を上げながら”グリーフシード”を自身の魔法である”雷撃”を使って破壊する。

 

『あ~~あ、勿体ない・・・魔女を狩ればグリーフシードを落とすのに・・・せっかくのプレゼントは気に入って貰えないみたいだね』

 

「貴様!!どこに居る!!!姿を見せろ!!!卑怯者め!!!!」

 

御崎海香から強引にスマートフォンを奪い取り、明良 二樹に怒りの声をぶつけるが・・・

 

『いいよ。ただし、魔号機人を倒せればの話だよ・・・』

 

窓から6機の魔号機人達が飛び込んできた。赤く目を光らせながら、刀を抜いていた。

 

「数が昨日よりも増えてる・・・」

 

前回は数合わせのために態々5機の内、4機で対応してきたが攻撃に加わっているのは6機であり、プレイアデス聖団の現在のメンバーは4人の為、状況は最悪であった・・・・・・

 

『ハハハハハハ、プレアデス聖団の魔法少女ちゃん♪あぁ~そぉ~びましょ♪』

 

明良 二樹の言葉を合図に魔号機人達は一斉に向かっていく。

 

若干半開きになった口元は感情のない機械人形である彼らが笑っているようにも見えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「おのれっ!!!」

 

御崎海香のスマートフォンを苛立ちながら叩きつけ、魔法少女に変身し自身の武器である”乗馬用の鞭”を手に取り、浅海サキは魔号機人へ攻撃を行う。

 

伸縮する鞭を使い、魔号機人の左手首に巻き付ける。これで刀を握る手を片方封じ、その間に胸元か頭部に雷撃を加えるべく左手に電撃を発生させるのだが・・・・・・

 

「なにっ!?!うわぁ!!!」

 

魔号機人はそのまま強引に左腕を引き、浅海サキを引き寄せる。

 

見た目骸骨でそれほど力強く見えない印象である魔号機人だが、その力は見た目に反して強い。

 

そのまま引き寄せ魔号機人はその強固な頭部を使って浅見サキを攻撃する。

 

突然の反撃が頭突きであった為か、されるがままに浅海サキはその攻撃を受けてしまった。

 

顔に衝撃を受け、彼女は力なく倒れそうになるが魔号機人には、例え少女であっても容赦しなかった。

 

さらに腹部目掛けて足蹴りをしそのままリビングの壁に勢いよく吹き飛ばしてしまう。

 

鈍い音を立てて浅海サキは倒れ込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「サキっ!!!く、くそっ!!!」

 

牧 カオルは倒れたサキへ駆け寄りたかったが、魔号機人が2機は張り付いている為進むことができないでいた。

 

相手が人体、人間の骨格を元に作られているのならば当然のことながら可動範囲も人間と同じではと判断し彼女はかつてサッカーで鳴らしたフットワークと反射神経を持って振り下ろされる刀と蹴りを回避し、背中を抜けた。

 

「伊達にサッカーをやってたわけじゃない」

 

3機目の魔号機人が迫ってきた。獲物は刀ではなく槍であった・・・どうやら武装の切り替えは自由らしい。

 

突かれてくる槍の切っ先を回避し、足元に向かってスライディングで回避したうえで、魔号機人の足元を崩したうえでカウンターとして脚を硬化させて態勢の崩れた魔号機人の首元目掛けて強烈な蹴りを喰らわせた。

 

強い衝撃を感じつつ、魔号機人の首は強い衝撃を受けそのまま左に吹き飛び壁を突き破って廊下へと本体ごと倒れ込んだ。

 

「やった・・・・・・っ!?!」

 

脚に痛みが走る。一度経験した痛みだった・・・魔法少女になる前の・・・・・・

 

魔号機人の頑強さは想像以上であり魔法で硬化させても骨に皹を入れるほどであった・・・・・

 

瓦礫を押しのけ魔号機人は少しだけずれた首を強引に修正し、牧 カオルに向かって足を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

御崎海香は自身の魔法である「イクス・フィーレ」を使い、魔号機人達の弱点を探しているのだが・・・

 

「これといって特徴がないのが特徴って・・・こんなにも厄介なモノだったの・・・・・・」

 

魔号機人達は、元々はある人物が”量産”を目的とした”魔道具”として設計されている為、これといった特徴はなく、”兵器”としてどのような人物が使っても十分な戦果を挙げられる。

 

魔法少女の魔法は契約した本人でしか使用できないのだが、魔号機人は魔法を使えない一般人であってもその力を使うことができ、使用者の技術次第で大きな戦果をあげることも可能だった・・・・・・

 

魔号機人達は当然のことながら御崎海香にも迫っており、彼女は魔法で光弾を作りそれらをぶつけることで距離を取るが、昨夜、浅海サキの雷撃を封じたように刀に炎を纏わせ、それらを飛ばすことで相殺し、さらに他の魔号機人が斬りかかって来るため彼女は完全に防戦であり、時間がかかればかかるほど疲弊していく。

 

一発逆転の弱点を見つけられないことに御崎海香の神経はすり減っていた。

 

 

 

 

 

 

 

明良 二樹は魔号機人達の様子を彼らを指揮する為に用いられる操作用の魔道具から映し出される映像を笑いながら見ていた。

 

「ハハハハ、魔号機人はこれと言った特徴がなく地味かもしれないけど、それが最大の武器なんだ」

 

時折見る”アニメ”等では、主人公専用の専用機であったり、また凄い武装盛りだくさんの兵器等があるが、そのようなモノは主人公だからこそ使えるもので、それ以外が使えないモノはハッキリ言って欠陥品であると彼は考えていた。

 

興味本位で”兵器”とはどういうモノのかを調べてみれば、使用方法さえ理解すれば誰でも戦果をあげられるものこそが”兵器”として優秀なものであるという・・・

 

その定義を当て嵌めれば、魔号機人は”兵器”として完成されていた・・・・・・

 

プレイアデス聖団の魔法については昨晩の戦闘で粗方把握しており、さらには真須美 巴からの情報もあり、彼は自身が有利になるように戦況を進めていた。

 

「さてと・・・そろそろ一人は退場を願おうかな・・・・・・」

 

明良 二樹は浅海サキの髪を掴み上げている魔号機人に指示をだす。

 

「その子を殺して他のプレイアデス聖団に見せつけろ、魔号機人」

 

彼の指示に了承した魔号機人は躊躇なく浅海サキの胸元目掛けて刀を突きさしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「サキっ!!!!」」」

 

その光景に御崎海香、牧 カオル 宇佐木里美は悲鳴を上げた。

 

「あぁああああああああああっ!!!!」

 

胸に突き立てられた刀に力を込められるたびに痛みが走り、浅海サキは苦痛に表情を歪ませる。

 

一思いに殺さずじっくりと時間をかけて死に至らしめるつもりのようだった。

 

宇佐木里美はその光景を止めようと自身の魔法である”意識”を憑依させる魔法を発動させるが、魔号機人達には効果がなかった・・・・・・

 

昨晩の戦闘でも使用しても効果がなく、この魔号機人は考えられるだけの魔法や術への対抗策を持っている為、倒すには強力な力による攻撃でしかない・・・・・・

 

「ダメ・・・この骸骨には魔法が通用しない」

 

魔女どころか、ホラーですら倒すことができる魔号機人達に宇佐木里美の心は折れかけていた。

 

だがその間にも魔号機人は浅海サキを痛めつける。助けようにも助けられない状況にプレイアデス聖団は絶望の色を深くするのだが・・・・・・

 

不意に宇佐木里美に話しかけてくる声があった。それは彼女にしか聞こえない”友達”からのものだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

「シロ!!!来ちゃダメ!!!!」

 

彼女の悲鳴を合図に窓ガラスを割り数十羽のカラスがリビングに雪崩れ込んできたのだ。

 

白いカラスを先頭にカラス達は魔号機人に一斉に群がる。突然のカラス達の奇襲に魔号機人達の動きが鈍ってしまった。だが、これが彼女の友達が彼女の為にできる唯一の手段だったのだ・・・・・・

 

「・・・・・・分かったわ。みんな、はやくこの場から!!!!」

 

瞳を涙で潤ませて、プレイアデス聖団のメンバーにこの機を逃すなと叫ぶ。

 

浅見サキも刀から解放されぐったりと倒れ込んでいるが、彼女を御崎海香が回収し、4人は無我夢中でその場を離れるのだった・・・

 

昼間であるが人目を気にする余裕などない。

 

今は、逃げれるだけ逃げるしかなかった・・・可能な限り遠くへ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

プレイアデス聖団が逃げ去った後、カラス達もその場から離れていった。

 

一羽の白いカラスを含めた十数羽の亡骸がリビングの至る所に散らばっていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・あちゃ~~、あの子の能力は正直知らなかったわぁ~、あと少しだったのにな」

 

残念そうに明良 二樹は大きくため息を吐いた。表情は言う程落ち込んではいなかった。

 

「まぁいいか・・・そろそろ遊びの誘いが・・・巴ちゃん・・・それはないよ」

 

いつの間にか受信していたLINEのメッセージの内容は・・・

 

 

 

 

 

 

 

     『逃がしちゃって残念でしたね♪キャハハハハ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

明良 二樹が見た目だけで落ち込んでいる同時刻、御崎海香の自宅近くの傍に来ている魔法少女が一人居た。

 

ユウリである。彼女は勢いよく逃げ出す4人の”プレイアデス聖団”を目撃し、彼女自身も追いかけようと考えたのだが、拠点である御崎海香の自宅から逃げ出していることが気になった。

 

「何があったんだ?・・・って、あの明良 二樹の奴か・・・エグイ事しやがるな」

 

内心、明良 二樹のプレイアデス聖団の攻撃は少しやりすぎなのではと思わなくもなかったのだが、実際はプレイアデス聖団がこれまでに行ってきた方がより”悪質”であると気が付いた・・・・・・

 

明良 二樹も真須美 巴も自分達が”悪い事”をやっていることを自覚したうえで”悪事”を行っている為、そういう意味でいうと二人は真っ当な”悪”であろう・・・・・・

 

自分も彼女らに復讐する為に”魔法少女”の契約を結んだのだが、ここまで怨みを買い徹底的に攻撃を受けている彼女らを見ているとその気さえ失せてくるのを感じていたのだった・・・・・・

 

「アタシは”ユウリ”の命を引き継ぎたいから・・・ユウリを殺したアイツらが許せなくて・・・・・・」

 

あの時、魔女に襲われ”プレイアデス聖団”に助けられたのだが、魔女こそが親友である”ユウリ”の変わり果てた姿であり、ユウリが倒されたことを感謝した浅はかな”自分”が許せなかった・・・・・・

 

何も知らない自分が許せなかった・・・・・・

 

ユウリは自分に敵討ちを望んでいただろうかと考えることがあった・・・・・・

 

今までの自分ならこんな事を考えることもなかったのだが、真須美 巴という極悪人と接する内に自身は彼女と比べれば、遥かにマシな部類に入るのではと考えた・・・・・・

 

親友 ”飛鳥ユウリ”が魔法少女になったのは”自分”の病気を治すということだった・・・

 

その後も自分と同じ難病の少女達を助けていたと”キュウベえ”から話を聞いていた・・・・・・

 

「アタシには・・・・・・復讐なんて向いていなかったのかな・・・・・・」

 

これ以上、真須美 巴らとも関わるつもりもなかった・・・

 

あの恐ろしい”金色の雷獣”の力を目の当たりにし、その邪悪さと強大さをユウリは恐れた。

 

故に彼女は、ここで”プレイアデス聖団”への復讐をやめることにした・・・・・・

 

既に”プレイアデス聖団”はその行いによる”罰”に等しい痛みを受けている・・・

 

それ以上のことは自分にはできそうにない・・・・・・

 

頭に浮かぶのは、まだユウリではなく彼女が”杏里あいり”だった頃の記憶だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

”聞いたでしょ・・・・・・もうあと三か月なんだって・・・・・・”

 

”・・・・・・もう終わったの・・・私の人生・・・・・・”

 

”終わってなんかいない・・・アンタが生きたいのならどんな手を使ってもアタシが助ける”

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はね・・・ユウリ。一緒に楽しいことをして笑って、美味しいモノも一緒に食べたかったんだ・・・」

 

気が付けばユウリの口調ではなく”杏里あいり”の・・・本来の自分の口調になっていたことに彼女は笑った。

 

「だからね・・・ユウリ。私・・・もう復讐はやめるよ。もしかしたら、それを望んでいたかもしれないけど、考えてみればユウリが私に復讐を託すなんてありえないもんね」

 

”プレイアデス聖団”の行いは、真須美 巴から聞いているが、彼女達も自分と同じで”死んだ仲間”の為になにかをしたかったのかもしれない・・・

 

その為に仲間が望まない”罪”を犯してきた・・・・・・

 

結局自分はプレイアデスを殺すどころか、詰めが甘くただ単に痛めつけるだけに終わってしまった・・・・・・

 

「・・・・・・まだ引き返せるかな・・・・・・」

 

”そうだよ・・・だって、あいりはまだ生きているから・・・・・・”

 

不意に親友 ”飛鳥 ユウリ”の声が聞こえてきたが、そんなことあるわけないと思い笑った。

 

「生きている限り終わらないよね・・・ユウリ」

 

新しい門出を思ってか、ユウリは大好物の”バケツパフェ”が食べたくなり、喫茶 アミーゴへと向かっていった。

 

彼女の胸にはあの日”ユウリから返してもらった夢色のお守り”が顔をのぞかせていた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

アスナロ市 第三ドーム イベント会場

 

イベント会場の奥で使徒ホラー バグギは自身の能力を使い、このイベント会場にあるあらゆるもののを自身の糧とすべく取り込みを行っていた・・・・・・

 

このイベント会場は、現代の科学の最新鋭の技術を用いたモノが多く展示、運び込まれておりバグギはそれらを自身の”力”に変えていく・・・

 

バグギはアスナロ市の古い伝説で”雷獣”と呼ばれ、恐れられていたが、魔戒騎士、法師からも使徒ホラーの名だけではなく”魔雷ホラー”としての名も持っている。

 

雷との結びつきが非常に強く、さらには現代の人類の文明が電気を土台としていることが古の時代以上の”力”をバグギに与えていた・・・・・・

 

電エネルギーを操り作業用の機械、さらには喰らい下部とした”元人間”等を使い、イベント会場全体を自分好みの住居へと改造を行っていた・・・・・・

 

全ては”暗黒騎士”と戦い、喰らい、無様な最期を与える為であった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ・・・みんな、大丈夫?」

 

無我夢中で逃げ、気が付けばアスナロ市の郊外まで来ていた。

 

都市部ではなく、開発区域から大きく離れた場所だった。

 

「えぇ・・・でもサキはまだ気を失っているわ」

 

未だに気を失っているサキの姿は痛ましく、直視できるものではなかった。

 

牧 カオルは悲痛な表情でサキを一瞥し、ここがどこなのか改めて確認する。

 

「みんな、ここはアスナロ市の東北の地域だって・・・ほら、あの山」

 

宇佐木里美は直ぐ近くに居た野良猫に話かけ、今どこに居るのかをメンバーに伝える。

 

「あの山は・・・確か何かが出るって噂の・・・・・・」

 

御崎海香は以前取材などで調べた”アスナロ市”に伝わる”曰く付きの場所”であった為、口を噤んだ。

 

口に出したくなかったのだ。既にアスナロ市が”呪われた場所”であることと伝説の雷獣の出現に彼女の精神は限界に近かったのだ・・・・・・

 

「今はもうその話は止そうよ。それよりもサキを早く手当てしないと・・・・・・」

 

改めてではあるが、サキは酷い重傷を負っていた。手持ちのグリーフシードは無く、このままサキのソウルジェムが濁ってしまったら、魔女になってしまう・・・

 

もしも魔女との戦闘になったら、今の自分達ではあっという間にやられてしまうであろう・・・・・・

 

「うん~~誰だ、こんなところで何をしている?」

 

誰かがこの場所に近づいてきていた。プレイアデス聖団は近づいてきた人物に対して身構えた。

 

「まぁ~、待て待て!!!おいらはこの近くの京極神社で神主をやってる京極 カラスキってんだ」

 

”怪しい者じゃない”と両手を上げて自分には敵意がないと伝える。

 

「そんなこと信じられないわ!!」

 

御崎海香がカラスキに対し、声を上げる。

 

一般人による悪意を受けた彼女にとっては見知らぬ一般人もまた警戒すべき存在なのだ。

 

今も気を失っている浅見サキを除いた牧カオルも睨んでいた。宇佐木里美はどうフォローしてよいのか分からないのか何も言うことができなかった。

 

「信じるも信じないも少しは冷静になったらどうなの、プレイアデス」

 

カラスキの背後から長い黒髪の少女が出てきた。

 

「あ、アナタは!?!」

 

牧 カオルが叫ぶ。そう、彼女達の前に暁美 ほむらが再び現れたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

  続  呀 暗黒騎士異聞 アスナロ市編 玖

 

 

 

 

 

 




あとがき

予告通り 明良 二樹によるプレイアデス聖団への襲撃。

これだけで普段の話の半分の量になりました(笑)

書いていて魔号機人が正直強すぎるのではと言われそうなんですが、スペックでは魔戒騎士と斬り合える程の性能を持っており、対ホラー用なのでその頑強さは相当なものです。
それでも単なる戦闘員にしては強すぎるのですが(汗)

やられ役のつもりがどうしてこうなってしまったのか・・・・・・

魔法や術の類に惑わされないようにもなっているところが無駄に高性能・・・・・・

操作用の魔道具を使えば、離れた場所からの操作も可能です。

そんな魔号機人も牙狼の主要 魔戒騎士達からすれば大した相手ではなかったり・・・

悪意を持って痛めつける明良 二樹と違って、悪意も良心も持たずにただ与えられた指示を淡々とこなす魔号機人の組み合わせは悪役としては上出来だと思います。

当初では浅海サキは殺される予定でしたが、さすがにやりすぎと思いやめました。



今回でユウリ様ことユウリが退出。

ユウリ=杏里 あいり

理由は”プレイアデス聖団”への復讐に意味を感じなくなり、また真須美 巴という魔法少女食いの極悪人と接したことで自分自身を振り返った事とさらには一般人でありながらその真須美 巴と大差ない悪である明良 二樹の存在を知ったこと。
”金色の雷獣”ことバグギの邪悪さに恐れを感じた為です。
そして親友の”飛鳥ユウリ”の事を改めて振り返り、彼女の姿で彼女の分まで生きていこうと前向きに歩いていくことを決めたからです。
とは言っても”プレイアデス聖団”を助ける気はなく、これまでの行為から助けても恩を仇で返されると認識していますので関わったらいけないと考えています。
先の未来では、原作のかずみ☆マギカよりも態度が丸くなった彼女が笑っているかもしれません。
今作では使徒ホラー バグギ、魔法少女喰い 真須美 巴 明良 二樹の極悪三人衆がいるのでユウリはこの三悪と比べたらはるかにマシです。



プレイアデス聖団が逃げ出した先には、バラゴらが滞在する京極神社・・・・・・

クライマックスまで後4話程で目途を付けています。



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