呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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八月には番外編として”明良 二樹”を中心とした話を書こうと言っておきながら、一か月程遅れてしまいました。



番外編「明良 二樹と言う男」(前編)

アスナロ市の繁華街に存在するとあるBARにて・・・

 

奥のステージでは今夜の”JAZZ LIVE”が行われており、

 

落ち着いた曲調に耳を傾けながら思い思いにそれぞれが過ごしていた・・・・・・

 

「ねぇ、おにいさぁん。こんな噂、知ってる?」

 

カウンター席で一人の女性がバーテンダーである男性に話しかける。

 

気分が良いのか口調も明るかった。

 

「なにかしらの怖い話かな?僕も結構知っているつもりなんだけど・・・聞いても良いかな?」

 

バーテンダーの男性・・・明良 二樹は人の好さそうな笑みを浮かべる。

 

彼自身の容姿は一言でいうのならば、ハンサムでありバーテンダーファッションも様になっている。

 

ファッション雑誌の読者モデルと名乗っても納得である。

 

「うん・・・アスナロ市にねぇ、不思議なBARがあるって噂」

 

「へぇ~~、それは流行りなのかい?」

 

女性の話に明良 二樹は内心、彼女の言う”噂のBAR”を察するが・・・

 

「なんでも、怪物になった人達を破滅させる人を紹介してくれるって噂なんだ」

 

カウンターテーブルに置かれたアロマキャンドルの火が僅かに揺らめいた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナロ市のとある場所に行くとこう尋ねられる・・・

 

 

 

”♡貴方の陰我を発散させます♡”

 

 

 

それは繁華街にあるとある”bar”にいる年若い店主が”陰我”を晴らしてくれるという・・・

 

 

 

”陰我は人の邪心。それを抱え込んだら、身体に悪いし、今後の人生にも悪影響を及ぼすんだよ”

 

 

 

”だから、望みを言ってごらん。君の抱えている陰我を・・・”

 

 

 

”誰を・・・堕としたいのか教えてほしいな”

 

 

 

”ぶっちゃけなよ。誰が憎いんだい?誰の死を望んでいるんだい?”

 

 

 

彼は魔戒の力を利用し闇社会で暗躍する”一団”の長である・・・・・・

 

 

 

アスナロ市にあるbar ”Heart-to- Heart ”

 

 

 

今宵も”陰我”を抱えたお客様をお待ちしております♡

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ!!?!なんで、あんなことになったんだ!!!!」

 

アスナロ市の人混みを外れて、その青年は先ほどまであった出来事を振り返っていた。

 

彼はアスナロ市の企業に勤める会社員であったが、ここ最近は会社の不正を告発する活動を行っていた。

 

彼が務める企業は”アスナロ市”の中でもトップ企業に名を連ねる大企業ではあるが、ここ最近の会社の方針は、大きく変わってきていた。

 

ここ最近、ある会社役員の”不正”が陰で横行しており、本来ならば罰せなければならない立場にある”懲罰委員会”もまたそれを見て見ぬふりをしていたのだから・・・・・・

 

会社の不正を告発することは、確かに企業の浄化するうえで重要な事ではあるが・・・

 

”告発”を行ったとしてもそれをしっかりと聞いてくれる組織なり、人達が居なければならない。

 

だが、この国の人間の悪い性癖でもある”厄介ごと”には関わらない。

 

もしくは”得になることはしない”ということで”告発”の在り方が成り立っていないこともある。

 

例え不正が行われていても、自身が危機に陥らなければ動くこともない。

 

幸いにも社内の志を同じくする”同僚”達と協力し、不正の真実を暴いた。

 

企業の資金の一部が不正に使われていたのだ。

 

それを証明する”記録”は改竄されていたが、一部のログは残っており糾弾するには十分だった。

 

不正を行っていた役員を糾弾し、不穏分子を放逐し、企業は浄化されるはずだったのだが・・・・・・

 

だが・・・追い詰められた役員に信じられない事が起こったのだ。

 

前日までは、不正を糾弾され青ざめていたのだが・・・

 

当日になっていきなり強気になり・・・・・・

 

”常務!!!今回の件は、然るべきところに提出させていただきます!!!”

 

”・・・・・・やれるのかね?君なんかが強気になったところで・・・”

 

放心した様子から、自棄になったのか分からないが、落ち着いていた・・・

 

”今日であなたは、終わりです!!!あなたのしてきたことを全て!!!!”

 

”終わりだって?いや、終わるのは君たちの方だよ・・・この人間がっ・・・・・・”

 

常務の表情が人ではなく、何か獣を思わせる何かに変化していく・・・・・・

 

それは身体を突き破ると同時に巨大な肉塊を思わせる”両生類”にも似た奇怪な”怪物”であった。

 

”う、うわああああっ!!!!”

 

”あはははは!!!!私は、人間を超えたのだ!!!!こんなところで終わる私じゃないんだ!!!”

 

巨大な口を開けると同時に告発に協力してくれた”同僚”が舌によって捕らえられ、そのまま食われてしまった・・・・・・

 

あまりの光景に呆然としていたが、すぐに他の同僚たちと逃げ出すものの怪物と化した常務によってほとんどの社員が・・・他の役員も喰われてしまった・・・・・・

 

唯一、生き残れたのが自分であった・・・

 

あまりの事に暫く自宅マンションに引きこもってしまったが、それを咎める連絡はなくあろうことか常務が社長に就任したという知らせを聞いた時、彼の中に怒りとも虚しさとも言えない感情が渦巻いた。

 

その時、社内の女性社員が話していた奇妙な噂話を思い出した。

 

今の今まで気にも留めなかった単なる”噂話”の内容が何故か鮮明に脳裏に響いた。

 

”知ってる人間の邪な感情に憑依する化け物の話?”

 

”なにそれ?私の姪も奇妙な化け物が時々出るって噂してたけど・・・同じ話?”

 

”そっちじゃなくて、こっちは何でも悪魔みたいな黒い怪物が行き過ぎた欲に惹かれてやってきて、その人を魂ごと食べちゃって、そのままなり変わってしまうのよ”

 

”うわぁ、なにそれ?それって、取り憑かれるよりもヤバいじゃん。うちの常務とかその内・・・というか既になっちゃってたりして”

 

”化け物の嫌な所は、その人になり変わったまま人を食べること。だけど、そんな化け物に怨みを持つ人の望みを叶えてくれる場所があるんだって"

 

この”無念”を晴らすためにある噂のBARに向かうのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日間、噂のBARを求めてアスナロ市中を訪ねたが、それらしいBARは何処にも存在しなかった・・・

 

噂は噂でしかないというのだろうか・・・

 

彼は、数日前の”怪異”を思い出しつつも何もできないでいる自分自身に怒りすら抱いていた・・・

 

昨日まで普通の人間だった人物が怪物に変化するという、”フィクション”も目にすることがほとんどなくなっているモノを現実に目の当たりにしたことに”彼”は自身の常識が崩壊する様と誰にも”真実”を知らせる事もできない事に強い孤独感を感じていた。

 

自分が居なくなったことについて”連絡”が来ることはなく、何をしても無駄であると言わんとしているようにも見えた・・・

 

あまりにも悔しかった・・・

 

怪物に身を堕とし、今も人を喰らいながら、自身の欲望を叶えている存在をどうすることもできない自分が・・・

 

噂のBARを求める過程で様々な怪異に関する噂話を耳にした・・・

 

人の邪心・・・”陰我”に憑依する怪物が居り、それを討伐する”鎧を纏った騎士”が居ると・・・

 

常務の身に起こったあれは間違いなく”陰我”のそれであり、それを狩る”騎士”というのは、もしかしたら自分のように理不尽な出来事に何もできない自身への怒りとあり得ない”希望”の産物なのかもしれない

 

現実に怪物を見ても誰も信じてくれないし、現実の怪物は人の皮を被って大手を振って人前に出ている。

 

何もできない自身の無念を力強い騎士に投影し、それが滅ぼされることを夢想することしかできないことに悔しさだけが募っていく。

 

「・・・・・・どうしたの?何か怖いものでも見たの?」

 

顔を上げると目の前に少女が立っていた。

 

「その怖いものを何とかしたいのなら、私から紹介するよ」

 

”Heart-to- Heart ”へ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのBARは繁華街の奥まった場所に存在しており、少女 聖 カンナに導かれてBARの年若い店主明良 二樹に出会うことになる。

 

BARの奥の席は、異質な空間でありJAZZの演奏が行われているがそれすらも聞こえてこない。

 

まるでその場所だけが切り取られているかのように・・・・・・

 

僅かに聞こえてくるのは壁際に配置されたアクアリウムの水槽に浮き上がるエアポンプとエアーストーンによるエアースレーション・・・所謂ブクブクの音が微かに聞こえてくるだけだった。

 

「やあやあ、お疲れ様、カンナちゃん。下がっていいよ」

 

人の好さそうな笑みを浮かべるバーテンダー風の青年 明良 二樹は少女 聖カンナを下がらせる。

 

「ここから先は大人の話になるからね。通常業務に戻ってかまわないよ」

 

男は、一瞬未成年の少女をこのような店で働かせていることに疑問符を浮かべるが、あの少女のことよりもここが噂のBARであることを確かめることが重要であった。

 

「カンナちゃんは訳ありでね。魔法少女はこういうところに来ることはないから、身を隠すにはちょうど良いんだよ」

 

「魔法少女?」

 

男は、そんなファンシーなモノが存在するのだろうかと疑問に思うのだが、あの常務が変化した怪物の事を考えると存在するのではと不思議と納得してしまった・・・・・・

 

魔法少女が他の魔法少女から身を隠しているというのも気にはなるが、そこは今は気にするところではないだろう・・・・・・

 

「ここには色んな人間が集まって来るんだよ、お客さん・・・」

 

笑いながら明良 二樹は男に問いかける・・・・・・

 

「お客さんもそうじゃないのかい?」

 

「えっと・・・それは・・・・・・」

 

気さくに話しかけてくる若い店主に戸惑うが、彼の事情に構う素振りはなかった。

 

「あははははは。良いんだよ・・・遠慮しなくて、ここは敢えてこう言うよ・・・」

 

明良 二樹は人の好さそうな笑みを”悪意”を前面に押し出したそれに変える。

 

「本音を話そう・・・お客さんの望みを言いなよ」

 

それは、”依頼”というよりも何かを代償にして”望み”を叶える”悪魔”との契約ともとれる問いかけだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥の席を少し離れたところから聖カンナは様子を伺っている。

 

業務に戻るように言われたのだが、あの男が明良 二樹とどうのような話をするのか純粋に興味があったからだった。

 

「何をしている?好奇心旺盛なのは結構だが過ぎると碌でもない目に遭うぞ」

 

「紅蜥蜴さん。二樹に街で見かけたら声を掛けろって頼まれたから・・・」

 

聖カンナは、何故、明良 二樹があの男を此処に連れてくるように頼まれた理由を把握しかねていた。

 

ドレッドヘアーの男 紅蜥蜴は明良 二樹がまた何かしらの・・・彼の言葉にするのならば”面白い”事を嗅ぎつけたのだろうと察した。

 

「ここ数日前にホラーが出たそうだ。しかもまだ討伐されていないときた・・・」

 

紅蜥蜴は、聖カンナにここ数日の間に現れたホラーについて語る。

 

「現れたホラーは、ガマール。カエルに似たホラーでな・・・人を丸のみにして喰うのもそうだが、人を自身の身体に取り込みそのまま魂を抜き出してしまう存在だ」

 

「人を身体に取り込む?」

 

「言い方が少し違ったな・・・カエルの卵はチュウーブに似た膜に覆われているだろうアレに似たモノを持っている。そこに人間を押し込み、好きな時に喰らう」

 

カンナは改めてだが、実物を見ないうちに今回の件には関わらないようにしようと考えた。理由は言うまでもなく、女子として”カエル”に似たホラーと関わりたくなかったからだった・・・

 

「少し悪趣味な話になったな。すまない・・・」

 

紅蜥蜴は、女の子の苦手なモノのトップに入る嫌いな生き物に”カエル”であったことを思い出し、そんな話をしてしまった事を素直に詫びるのだった・・・

 

「・・・今回は関わらないから、別に気にしていないわ。だけど、この集まりっていつものことながら思うんだけど・・・こんなんで良いの?」

 

「そこは、うちはうち、よそはよそで良いだろう。役割が違うだけで、この団体には上下関係がなく、全員が平等だ。嫌なら断っても構わん。それがここでの唯一のルールだ」

 

紅蜥蜴は、ドレッドヘアーの強面の男ではあるが、この一団の中では聖カンナが知る限りでは、一番真面な存在である。

 

ある意味酷すぎる上に性質に悪い魔戒法師 香蘭の存在がさらに紅蜥蜴の真面さを際立たせる。

 

この一団は名前などなく、明良 二樹を中心に色々と訳ありな人間が集まっており、それぞれが自分達の思い思いに過ごしており、明良 二樹が何かしらの提案をすると集まってきて、やるかやらないかで”依頼”をこなすというものである。

 

組織としては、いい加減にも見えるが、やりたい奴はやっていいし、やりたくないのならやらなくていいという方針は、中心人物である明良 二樹の性格もあり、彼自身が誰かに干渉されたり、命令されるのを嫌っていることからきている。

 

”自分がされて嫌なことを人にするのはよくないよ”

 

と腑に落ちない事を言った時は、思わずお前が言うなと心の内で言ってしまった。

 

あの男 明良 二樹は人の好さそうな顔をしているが、本性は純粋なまでの悪であることは、彼を知る者達の共通の認識であった・・・

 

「前から聞きたかったんだけど、紅蜥蜴さんは、どうして二樹と一緒に居るの?」

 

魔戒騎士の逸れモノと聞いているが、彼女から見た紅蜥蜴は至極真っ当であり、どうしてこのような人物が明良 二樹と一緒に居るのか疑問が浮かぶのだ。

 

「そうだな・・・俺自身に魔戒騎士の誇り、守りし者の心があると言われれば、そんなものは、俺には荷が重すぎた。だから、相応の振舞をするのにアイツと一緒に行動する方が何かと都合がいいからと言っておこう、カンナ」

 

紅蜥蜴にどんな過去があったかは知らないが、彼自身は今の自分自身に満足しているし、個人的な理由で明良 二樹と一緒に居るであろうと彼女なりに察するのだった。

 

「あまり人の過去を詮索はしない事だ・・・カンナも知られたくないことの一つや二つはあるだろう」

 

「そうね・・・分かったわ。ここに集まるのは、物好きってことで納得しておくわ」

 

紅蜥蜴の横を過ぎ、カンナは普段の日課であるアクアリウムの魚たちに餌をやるべくスタッフルームへと向かうのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥の席では、明良 二樹が男の体験した”怪異”を聞き、それをどうしたいのか、問いかけるのだった・・・

 

「・・・一度だけだよ。僕達が”依頼”を受けるのは・・・一度きりのチャンスをどうする?」

 

「お・・・俺は・・・・・・」

 

男の望みを聞き、明良 二樹は”ニンマリ”と笑う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき

明良 二樹を中心とした勢力をメインの話を上げました!!!

時期としては、”アスナロ市編”の手前ぐらいだったりします。

彼の勢力は、それぞれの役割が違うだけで、明確な上下関係は存在しません。

一種のサークル活動に近いです。

例外は彼自身が使う”魔号機人”達です(上下関が存在するとすれば)

彼が面白そうな事を提案し、それに参加するかしないかはそれぞれの自由であり、場合によっては、明良 二樹だけのケースも存在します(笑)

時期によっては、真須美 巴も居るので彼女が付き合ってくれます(笑)

前、中、後編で行うつもりです。

中編を投稿するタイミングで、キャラ募集を行う予定です。

後日、活動報告で募集する予定です。








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