魔法少女リリカルなのはties   作:ハルハルharuharu

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A's編 第七十七話

 

 拘束されたフィアットは、ブリッジを見渡し、艦長席を見上げ…………自分を除く全員が、状況を理解していることを察した。

「…………隠蔽は、完璧だと自負していたのですが」

 普段の、ポケーっとした雰囲気はすっかり鳴りを潜め、冷徹な目つきで、己を拘束するクロノを眺めていた。

「わたしが内通者である事には、いつ頃お気付きで?」

「秀人への懲罰の際、全く予定外の危険地帯に転送されたことが切っ掛けだ。数度にわたる襲撃。君がオペレーターを勤めていた時にのみ……転送に割り込みが入っていた」

 割り込みがあったのは事実。

「だが……君の技量なら、あの割り込みは防げた筈だ」

 エイミィの代役を任されているのは、伊達ではない。フィアットには、それだけの技術があった。それを見過ごしたということは……

「君は、敢えてそれを見過ごし、痕跡を消去していた」

その痕跡は、いつも不自然に消去されていた。遠隔操作で、システムに干渉しているとばかり思っていたのだが……手元のコンソールで、手作業で直接、その痕跡を消去しているのだとしたら、頷ける。

「フィアット、何で……?」

 なのはが……ショックを受けた顔で、フィアットに問いた。

 奈々に、話は聞いていた。だが……信頼していた友人に、ずっと裏切られていたという事実は、なのはの心に、酷く突き刺さった。

 

「……………………………………………………あ、なのはさんっ!」

 

 フィアットは、冷徹な目をなのはに向け…………態度を豹変させた。

「先日は、ありがとうございましたっ!」

 拘束されているというのに、いつも通りの態度で、なのはに笑いかける。

「え…………? な、何が……?」

 その異常さに、なのはも気付いた。

「やだなぁ、オムライスの上手な作り方ですよぉ」

「フィアット、あの」

 

「ほんと上手に作れて…………おかあさんも、すごく喜んでくれました!」

 

 会話だけを聞くと、ただの世間話だ。

だが…………事情を知った、なのは達にとっては…………

「フィアット。あなたの、お母さんは……」

「お母さんは、体調が悪くてあまりたくさんは食べられなかったんですけど、」

「フィアット、聞いて」

「そのせいなのかなぁ。最近、あまり家にいなくて…………」

 その目は……なのはを見ているようで、誰も、何も、映してはいなかった。

「フィアット。ルカさんは、十年も前に……!!」

 なのはが、必死に言葉を届かせようとする。だが……

 

「――――うるさいッ!!!」

 

 ……誰もが初めて聞く、フィアットの切り裂くような声に、かき消されてしまった。

「おかあさんは、遠くまで出かけてるだけだ! 闇の書の事件さえ終われば、すぐに帰ってくるんだ!」

 こうまで頑なに認めないということは……恐らく、気付いているのだろう。母が既に、この世の人ではない、ということに。

「おかあさんは、死んでなんかいない!!」

 だが……認めない。認めるわけにはいかない。認めてしまったら……崩れてしまう。

 母への愛と、闇の書への憎悪。

 それは、すでに分離することの出来ない物だ。

 闇の書を憎み続けることでしか、母を愛せない。

 

――捩れ、歪んだ心。

 

奈々が言ったのは、そういう意味だったのだろう。

「…………フィアット」

 なのはは……いや、そこにいた誰もが、それ以上声を掛けることができず……

「……!!」

……フィアットの挙動を、見落とした。

 

――ピピピッ!!

 

 フィアットはカード状の機器を起動させ、バインドを解除し……コンソールを、神業の如き速度で操作した。

「くっ!! 何を……!」

 腕を取り、物理的に拘束する。エイミィは、恐らくは最後の悪あがきであったであろうその操作をキャンセルしようとした。だが、既に遅く……

「…………駄目。転送先の座標が、ジャミングされてる……」

 これで、秀人とアイを手助けすることができなくなってしまった。

「……これも、グレアム提督の指示か」

「…………あはは……あははははははははははははは!! やった! これで、全部カタがつく!! 闇の書も、ここで全部おしまいだぁ! あははははははははは!!」

 哄笑するフィアット。彼女はそのまま、連行されていった。

 

「……モニターと音声だけは、なんとか回復させたよ。でも、現地に転送できるまでは、まだ……」

 エイミィが、状況を告げる。

「映してくれ」

「了解」

 

 そして、モニターに現地の映像が映りこむ。

 

 そこには…………

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

「……っと!」

 転送され、危なげなく着地する秀人。だったのだが……

「とーう」

 

――どかっ。

 

 後から着いてきたアイの着地台にされ、地面に倒れた。

「お前なぁ…………」

 咎める秀人だったが、今はそれどころではない。

 周囲の状況を見る。すると……

「……ここって、」

 荒野と、渓谷と、針葉樹林が延々と続く……寒々しい世界。

 はやてと一月ほど過ごした、あの世界だった。

「……」

 はやてと、初めてまともに出会ったのも、この世界だった。

「あっちだ」

 秀人は、迷うことなく歩き出した。

『修練の門』での戦闘の際、生活拠点であった洞窟は崩落してしまったが…………

「…………よっぽど、悔しかったんだろうな」

 アイを伴って歩きながら、秀人は言う。

「だからって、どうして山篭りを実践するかなぁ、あいつは……」

 思えば、はやては秀人に初対面から攻撃的だった。

 いや、別に秀人だけに限った話ではないが……秀人だけは、はやてにとって特別だった。

 はやてはああ見えて、決して自分からは他者に関わろうとしない。それはきっと、事故後の出来事からの、他者への不信感が根強く残っているからだ。

 だが、それを飛び越えて……はやては、秀人に突っかかってきた。

 僅か一ヶ月ながら、はやての素というものに、触れた。

 行儀が悪く、口が汚く……手が早く短絡的で短気で我を失いやすく単細胞で……

「でもまさか、あそこまで強くなるとはなぁ…………」

 負けず嫌いからくる向上心と、それを実行する行動力。戦闘になれば機転も利き、秀人を指示する場面も出来てきた。

 その成長を見守るのは……楽しかった。追い越されまいと、自身の鍛錬にも気合が入った。

「……ま、俺も得るものは大きかったわけだが」

 魔力資質のコントロールと、新たな力、圧縮。

 それらは、はやて無しには得られなかったものだ。

 

「……ねぇ、ぼけなす」

 と、黙って聞いていたアイが、聞き返してきた。

「アイは、おまえが闇の書の主に対抗するため、作られた」

 ヴィータとの初戦闘において、レイジングハートの共有が限界に達し……秀人は、レイジングハートとの契約を解除することに決めた。

 レイジングハートは当然、怒って暴れて泣いて、それはもう散々な状況だった。

「闇の書が無ければ、おまえはまだ、姉上をなのはと共有し続けていた」

 ジュエルシード事件という、大きな危機が去り……平穏な生活は、緩やかに続いていた。

「闇の書が無ければ、アイが造られることは無かった」

 そういった点では……アイは、闇の書の因果によって生まれたようなものだ。

 

 

「――アイの力を使えば、闇の書を、存在の根底から滅することが出来るの」

 

 

 秀人は、立ち止まり…………アイを見る。その瞳には、虚飾も誇張も、存在しなかった。

「おまえは……アイとの契約を、望む?」

 今、この局面で……アイがその話を蒸し返す、ということは。

 

「このまま挑めば、おまえは負けるの」

 

 復活した闇の書と、秀人。彼我の力量差を計算した、その結論。

「…………」

「正直、アイは『今のおまえ』とは契約を結びたくは無いの」

 何度も言うけど……と前置きする。

「……おまえは、自分の命を全く省みていないの。そんなんじゃ、遅かれ早かれ、自滅するの」

 アイは、常日頃から言っていた。『自分の身を大事にしろ』と。

「アイの力は、おまえにとって追い風になるの。届かない『あと一歩』を到達させる、幸運の追い風に。けど……お前が破滅へと歩むのなら、それを後押しする凶兆の風になってしまうの」

 力は、ただ純粋に力なのだ。どう使うかによって、良い結果も、悪い結果も呼び込む。アイは、後者を恐れていた。

「……でも、今はその『力』が、必要とされている時なの」

 アイは、秀人の専用機として、秀人を守るため、この世に生を受けた。

 今まさに、秀人が死地へ向かおうとしているのであれば……その力にならずして、何が専用機か。

「…………本当は、おまえがちゃんと、自分を大切にするって言ってくれてから…………」

 苦悩を吐き出すアイ。だが…………

 

――彼方から、凶悪なまでの魔力反応が飛来した。

 

「、ッ!! ぼけなす! 伏せるのっ!」

「!!! アイ、伏せろッ!!」

 ぴったり同じタイミングで、秀人とアイは、お互いを押し倒すように、地面にダイブする。

 

――ズガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 ……着弾し、猛烈な勢いで炸裂した攻撃。その衝撃は、地面を捲り返し、撒き散らされた爆風は、秀人たちを容易く宙に放った。

「何だ今の、砲撃か!?」

「いや、違うの。砲撃では無い……でも、射撃でもない」

 その正体に気付くより早く。

 

――――ギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!!

 

 低空を駆ける流星のように、ソレは飛来した。

 数は、三つ。そのどれもが、等しく膨大な魔力を秘める、必殺級の一撃だった。

「…………」

 アイは目を強化し、その正体を探る。

「……なんと」

「アイ! あの攻撃の正体は何だ!?」

 アイを小脇に抱えながら、その流星から逃れる。秀人は、思考のほぼ全てを回避に費やす必要があるため、自ら観測することはできない。

 

「弓矢、なの」

 

 思わず、理解までの一瞬、ラグが生じた。

 弓矢。戦闘において、全く遭遇したことの無い攻撃手段だ。

「離れれば不利なの! 距離を詰めるの!」

 威力が減衰するまで離れることも考えたが…………あの速度、あの威力。とても、射程の外に逃げる余裕があるとは思えない。

 砲撃と違うところは……敵の真上に仰角で打ち上げてしまえば、重力で落下してくれるというところだ。直線で射れなくとも、魔力の塊で爆撃することができてしまう。

「……くそっ! 馬鹿みたいな魔力で乱射しやがって!」

 初戦のような、むやみやたらな乱用ではない。必要十分な(それでも、常人には致死量だが)魔力を、最適な形で運用している。

 直上から降り注ぐ流星を回避し、爆風に煽られ、身体をいくらか削られ……

 

――ギィイインッ!!

 

 次弾は、真正面。

 爆撃に注意を払っていた秀人には、不意打ちだった。

「!」

 だが秀人も、ただむやみに避けていた訳ではなかった。

 破壊力を発揮するのは、矢の先端……鏃の部分。

「ここだっ!」

矢柄を横合いから掴み取り、軌道を修正。矢が飛んできた方向へ、投げ返した。

 

――ガゴォオオオンッ!!

 

 正確に迎撃され……だが、発生した閃光で、視界が曇る。その僅かな隙を見逃さず、一気に距離を詰めていく。

 辿りついた先は……崩落した渓谷の、岩石の山。

 

 その頂上に、はやてがいた。

「あ……やっぱり、秀人だ」

 常日頃から愛用していた魔剣を変形させたらしき弓を手に、亡羊と佇んでいた。

「……ひっでぇ格好だな」

 思わず、秀人は苦言を呈する。

 はやての姿は……言ってしまえば、異様な風体だった。

 肩まで伸びた髪は、白銀と漆黒……単色であれば美しいそれも、マダラに混ざってしまっては、見苦しいだけだ。

 甲冑を生成し損ねたのか、装甲やジェネレーターが中途半端に身体に付着し、無残な様相を呈している。

「うるさいな…………関係ないだろ」

 弓を魔剣へと変形させ、だらりと提げた。

 

……まだ、会話をするだけの理性は残していた。

 思考の大半は、既にテンタトレスの支配下に置かれている。

 はやては、少し濁った目で……それでも秀人を、見据える。

「秀人」

 闇の書の支配を受け……それでも尚、はやては望んだ。

 

「勝負だ」

 

 ……秀人との、決着を。

「……ああ、いいぜ」

 連れ戻すとか、どうとか……そのような些事は、頭から消えた。

 全てを捨て去り……最後に叶えたいと望んだ、はやての願い。ならば……

 

「――全力で、相手してやるッ!!」

 

 応えてみせるのが……男というもの!

 

――バゴンッ!!

 

 大地を蹴り砕き、はやてに肉薄する。

「……!! 来い!!」

 はやては……好戦的な笑みを浮かべ、それを迎え撃つ!

 

――ビキィイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!

 

 強化した拳と、魔剣。

 衝突し、火花を散らす。

「お……おおおっ!!」

 力で押し切ろうと、力を籠める。

「カートリッジ、ロード!」

 

――ガキュンッ!!

 

 はやては、魔剣に魔力を注ぎ込み、拮抗させる。

 秀人は、残った左拳を振り上げる。だがはやては、それを読んでいた。

「はぁっ!!」

 拮抗を崩すように、跳躍。

「お……ッ?」

 がくんっ、と体勢を崩した秀人の腕に、足を絡めて捻じ切りにかかる。

「……うおりゃあああああああああああああっ!!」

 秀人は、はやてを巻きつけたままの腕を、地面に振り下ろす。

「……ブラッディ・ダガー!」

 はやては、誘導弾を生成。

 

――ドガガガガッ!!

 

 秀人の顔面めがけ、滅多打ちに乱射した。

「がぁっ……!!」

 何発かは直撃したが……それに構わず、腕を振り下ろす!

 

――ドゴンッ!!

 

 背からまともに叩きつけられ……呼吸を一瞬、止めた。

「あ、ぐっ……!!」

 まだはやては、秀人の腕関節を極めたまま。

「……ああああああっ!!」

 

――ベキンッ!!

 

 ……秀人の利き腕を、へし折った。

「この……程度ッ!!」

 秀人は、肉体の性能でゴリ押しにかかる。

 だが、はやてが欲したのは、秀人の片腕を潰すことではなく……治癒までの一瞬を、稼ぐこと。

 

――ガチンッ!!

 

 秀人の四肢を、バインドで固定。

「フランメ・シュラーク!!」

 胴体直撃の一撃。四肢を拘束された秀人には、回避は難しい。故に秀人は……

「だあああああっ!!」

 

――ゴ、ゴンッ……!!

 

 唯一、自由に動かせる頭部……ヘッドバッドで、焔の拳を迎撃した!

「うぐっ……!!」

 砕けた……のだろう。だがそれも、テンタトレスの膨大な魔力による修復で、回復する。

「……はぁあああっ!!」

 バインドを破壊し……

 

――ズドンッ!!

 

 渾身のアッパーを、はやての胴体に叩き込んだ!

「あぐぅ……ッ!!」

 冗談抜きに、内臓が損傷した。

 

――ドズッ、ドゴォッ!!

 

 宙に投げ出されるはやてに、容赦の無い連撃をかます。

 ドサッ……と、地面に落ちるはやて。

「うおおおおおおおっ!!」

 

――ボゴォッ!!

 

 その土手っ腹を、サッカーボールにするかのように、蹴り飛ばす!

「……はぁ…………!」

 秀人は、腹部に食い込んだ魔力刃を抉り出す。あの攻撃の最中、反撃されていたようだが……ダメージ差は歴然だ。

 

――おかしい。

 

 アイの見立てでは……秀人は、負けると言われていた。だが、今は明らかに、秀人が圧倒していた。

「……立て!」

 秀人が、はやてに怒鳴る。

 

「手加減なんてしてんじゃねぇ!! お前の全力を、ぶつけてこいッ!!」

 

 そう。確かにはやては、手加減していた。何も、技術を出し惜しみしていたわけではないが……

「……いい、の?」

 ゆら……と、立ち上がったはやては、恐る恐る、といった調子で、聞いた。

「全部、出しても、いいの……? もう……我慢、しなくて……いいの……?」

 抑えられた口調。だが、その裏には……抑えきれないほどの、歓喜があった。

「私……たぶん、あんたを……殺しちゃう、よ?」

 脅しではなく、確信の言葉。

 

「ああ。来い、はやて…………………………、テンタトレス!」

 

 秀人は、笑みさえ浮かべ、受け入れる覚悟を決めた。

 はやての闇を。

テンタトレスの力を。

 

――はやての、全てを。

 

「う……!!」

 

――バチィッ……!!

 

 取り巻く空気が、スパークする。

 

「『うァああああああああああああああああああああああああああああっ!!』」

 

 はやてとテンタトレスの咆哮が、重なった!

 

――バォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

 解き放たれた膨大な魔力が、旋風を生み出す。

 その中で……はやては、武装する。

 左右非対称の戦闘装束を纏い……完全な白銀に染まった頭髪は、腰にまで伸長する。

 そして、最も顕著な変化は……身体の成長。

 

――バサッ……!

 

 展開したスレイプニルが、周囲を覆っていた旋風を撒き散らす。

 その姿は、以前見たのと同じ……いや、それ以上の力を秘める、

 

 

「――『闇統べる王』……」

 

 

 武装を完了した『闇統べる王』……はやては、何故かまだ、仕掛けてこない。

「アイ」

 秀人は、傍観に徹していたアイを呼ぶ。

「なに?」

 今度は茶化さず……秀人の傍に、寄ってくる。

「俺はまだ……自分の命が、大事かどうかわからない」

「……そう」

 哀しげに、目を伏せる。

「でも、俺はまだ、ここで死ぬわけにはいかない」

 はやてを、助けるまでは。

 

「――お前の力が、必要だ」

 

 秀人は……契約を望んだ。

 アイは、僅かに逡巡し……

「……了解、なの。『マスター』」

 

――パシュッ……

 

 その身を、晒した。

現れたのは……空色に輝く、宝玉。

 

『我との誓約を望む者よ』

 

 声は変わらず……しかし、厳かだ。

 

『汝が名を、我に捧げよ』

 

「……吾妻、秀人」

 

『我が名を、汝に捧ぎ……誓約の証とせん。我が名を、我に重ね告げよ』

 

 そして……秀人の前に、文字が表示される。

 ミッドチルダとも、ベルカともつかない……だが、秀人には理解できる。発音ではなく、『意味』として、脳にするりと入り込んできた。

「……いい名前だ」

 秀人の、率直な感想に、アイは僅かに、笑うような気配を見せた。そして……

 

『 「 我、使命を遂げる者なり 」 』

 

 ……契約が、始まった。

 

『 「 誓約のもと、我が力を、意思と束ねん 」 』

 

 眩いまでの光……いや、炎が、辺りを眩く、暖かく、照らし出す。

 

『 「 涙を炎に。慈悲の光を、その腕に」 』

 

それは、レイジングハートのものと、どこか似ていた。違うとすれば……

 

『 「そして、我が名を告げるべし――!! 」 』

 

 そこに籠められた、意思の強さ。

 

 

「 『 我が名は!! 』 」

 

 

――――――――――――!!!

 

 

 蒼き炎が…………地平線の向こうまでを、余さず照らし出した――――

 

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