魔法少女リリカルなのはties   作:ハルハルharuharu

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StrikerS編 第十八話

――――かつ、こつ。

 

 艦内へと突入したなのはは、大理石のような、はたまた金属のような、未知の素材の敷かれた通路を、隠れるでもなく真正面から闊歩していた。

 

 突入した時点で、居場所は知れている。隠蔽も無意味。であれば、堂々と歩いたほうがロスは少なくて済む……という、いかにも、なのはらしい考えだった。

『ガジェットは出さないようですね』

『無駄だからね』

 その行く先には、何故か、一機のガジェットも存在しない。やはり、この艦内は、『聖王』の城そのものであり、無粋な兵に居場所は無い、ということだろう。

 なにより、閉所だ。なのはが愛用するプラスチック爆弾でも使えば、威力は空間内に効率よく伝播され、何ら痛痒を与えないどころか、下手をすれば艦内が損傷する。こういった、いわゆる『戦艦』の類は、外部からの衝撃には滅法強い反面、内部からの工作には、驚くほど脆い一面を持つ。

『むかし見つけた、永久凍土に埋まってた旧暦時代の飛空艇に近い構造だね』

『……』

 レイジングハートが、思案するように押し黙る。その、『昔』とは……

『いいんだよ、もう』

 なのはは、その気遣いを窘める。

『……もう、逃げてる場合じゃないから』

 決意を込めて……目の前に現れた、荘厳な扉を見据える。

 

――――ゴゴゴゴゴ

 

 扉は……やはりというか、なのはを迎え入れるため、開く。

『――ヴィヴィオ』

 ……その名を、呼ぶ。

 

 吹き抜けの空間。だだっ広い空間に、ただ一つ設置された大仰な玉座。そこに、不釣り合いに小さな体が収まって……否、縛り付けられていた。

 

――――ゴォン…………。

 

 背後で、扉が閉まる。なのはは、玉座へと向かって歩き出す。

『……、』

 ホルスターから、スローイングナイフを抜き…………玉座へめがけて、投擲。

 

――――カキィンッ!!

 

 甲高い音を立て、ナイフが砕け散り………………

 

――――ザ、ザザザ……

 

 玉座と、ヴィヴィオの姿が、ノイズと共に掻き消える。

『案外、見え透いた真似をするものね。試しているつもり?』

 

『――ご明察。ちなみに、触れていれば高電圧で焼死していましたよ』

 

 ……なのはと同質の声が響く。

『わざわざご足労、ありがとうございますねぇ。お姉さま(・・・・)ぁ?』

 癇に障る喋りで、なのはを煽るクアットロ。

『御託はいい。ヴィヴィオはどこだ』

『あらぁ……? 『高町なのはさん』は、ヴィヴィオを……

 

――『私の娘』を、どうするおつもりですかぁ?』

 

 ビキッ……と、刀の柄が握力に軋む。

『――――』

 が、応じては思う壺。顔面を叩き割るのは後回しに、まずは、ヴィヴィオの奪還が最優先だ。

『そんなに会いたいんですかぁ? 

 

……いいですよぉ、他ならぬ、お姉さまの頼みですからねぇ?』

 

――ゴゴンッ……

 

 偽の玉座のあった床に、六角形の光が走り…………階下から、真の玉座が、せり上がってくる。

「……………………う」

 果たして、ヴィヴィオはそこに居た。肉眼、義眼のセンサー、レイジングハートによる走査が、今度は本物であると判断する。

『今度は別に、罠とかはありませんので……お好きなだけ、触れ合ってくださぁい?』

 いちいち癇に障るクアットロだが、無視し、ヴィヴィオへ近づく。

『ヴィヴィオ、助けに来ましたよ』

「………………」

 そして、緩やかに顔を上げたヴィヴィオと、なのはの目が、合う。瞬間。

 

 

「――――――――こないで(・・・・)!!」

 

 

――――バチィイイイイインッ!!!!!

 

 ……なのはが、電撃が走ったかのように弾き飛ばされる。

『……!!?』

 クアットロの仕掛けた罠か、とも考えるが……それは、無いだろう。

『そうそう……触れ合うのは勝手にどうぞ?

 

――――やれるものなら、ねぇ?』

 

「こないで…………こっちにこないで……! あっちいって!!」

 ヴィヴィオは……怯えに支配された様相で、拒絶の言葉を呟いていた。

『ヴィヴィオ……?』

(洗脳か、いや……これは)

 クアットロの哄笑。

『さぁ、かわいいヴィヴィオちゃあん? あなたを拒絶した、こわぁいこわぁい、なのはさんがやってきましたよぉ?』

『――!!!』

 

 拒絶。あの日……感情を暴発させたなのはは、無我夢中だったとはいえ……ヴィヴィオの手を、払いのけてしまった。そして、和解らしい和解もせず……

『私の、せい…………』

 思わず、そう口をついてしまう。クアットロは、嗜虐に満ちた声色で……

『――さぁ、ヴィヴィオちゃあん。大丈夫だからねぇ。ママ(・・)が守ってあげるからねぇ』

 

――――ヴゥンッ……!!

 

 玉座へ伝う無数のケーブルから、ヴィヴィオの小さな肉体へ……膨大なエネルギーが流入する。

『触れられない、脅かされない……絶対たる力が、あなたにはあるのだから!』

「……あ、ああ、!!!」

『あなたを拒む世界なんて……みんなみんな、ブッ壊してしまいなさい!!』

「うわぁあああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!」

 

――――ズァアアアアアアアッ!!!!

 

 なのはと同色の、栗色の頭髪が…………黄金色(・・・)に、輝いた!

『!! ヴィヴィオ!!』

 

 凄まじい光と衝撃に、弾き飛ばされるなのは。そして……光が、収まる。

「…………。」

 ヴィヴィオは、なのはと対峙する。

 

――かつん。

 

 装甲を兼ねたブーツが、踏み出す。

『、その、姿は、』

 

――なのはよりも高い身長。

 

――伸長した頭髪。

 

――敵意に満ちた異色の瞳。

 

――七色に変遷する魔力光。

 

『――聖王』

 ……数多の物語に綴られる、『ゆりかごの聖王』、その顕現だった。

『……。仕方がない、か』

 なのはは、両の刀を抜刀する。保護のためには……無力化は、やむを得ない。できるだけ……そう、出来るだけ、意識のみを刈り取る。

 

――と。

 

――――ゴギャッ!!

 

『がぁッ……!?』

 突如として発生した、胸部への衝撃。視界には、右足を振り抜いた姿勢の、ヴィヴィオの姿。

『ぐっ……!!』

 プロテクターが、蜘蛛の巣状に破壊されている。もし、これが無ければ、胸骨を粉砕され、戦闘不能になっていたに違いない。

『高速、移動魔法……?』

『いえ、マスター。これは……!!』

 

――ヒュ、ガッ!!

 

 視覚ではなく、経験からの感覚で、側頭部をガード。

『くっ……!』

 重い。そして、これは速いのではなく…………なのはの、意識の外からの、不意打ち。

 

『私の、無拍子打ち……!?』

 

 ようやく、思い至った。なぜ、ヴィヴィオがそれを使えるのか。教えた記憶など無い。では……と、その結論へ、至る。

『訓練で……私を見ながら、学んだ……ッ!?』

 

――ビシュッ!!

 

 接近からの高速肘打ちが、ジャケットの肩口を切り裂いた。

『驚いた、けど……!』

 なのはは、刀を収め……平手の、前羽の構えを取る。

(私の技は、私自身が知っている……!!)

「……っ!」

 ヴィヴィオの続く一撃を、いなすことに成功する。たたらを踏むヴィヴィオ。

 やはり、と、なのはは得心する。

(まだ、慣れていないんだ)

 急激に成長させられた肉体に、感覚がマッチしていない。

 

 ならば、今しかない。ヴィヴィオが、身体に、慣れるよりも先に……!

 

――――ギィイイイイイイインッ!!

 

 アンカーワイヤーが、ヴィヴィオの身体に巻きついたのと同時、弾け飛んだ。

『!!』

 体表を、薄く、しかし強力な防護膜が覆っている。恐らく、最初になのはを弾き飛ばしたのも、この防護膜だ。守りには当然のことながら、攻撃の際には、全身が凶器となる。

『伝承の……《聖王の鎧》!!』

 おそらく……生半可な力では、ダメージどころか、破ることさえ不可能。先ほどのワイヤーと同じように、バインド系も消し飛ぶだろう。もちろん、組みつくなど自殺行為。

 

『……なんとか、なる!』

 

 ヴィヴィオは、無拍子が露見するや否や、スバルのマッハキャリバーの加速にも匹敵する蹴り出しを以て加速し、なのはへ肉薄!

『――はぁあっ!!』

 

――――ズダァンッ!!

 

「!?」

ヴィヴィオは、背中から床面へ倒れ込んだ。聖王の鎧により、外傷こそ無いが……

「うぐっ……!」

 ……衝撃は、内部へ浸透する。

『組みつかずに投げる』という技能を、なのはは持っている。ファールボールが迫る観客が、フェンスがあっても思わず回避してしまうような……人間という『動物』の、『本能的防衛行動』を逆手に取った……なのは曰く、『真・空気投げ』である。

 

『ああぁーーーー! ひっどぉおおおい!!』

『うるさいッ!!』

 クアットロを怒鳴りつけながらも、油断なくヴィヴィオを視界に捉える。

 

「う」

 ヴィヴィオが、呻く。そして、……

「うぁああああああ!!」

 そして……なのはは、信じられない現象を、目の当たりにした。

 

――――ズォオオオオオオッ!!!

 

 ヴィヴィオの魔力光が……幾人かの人型を形成し、なのはへ殺到する!!

『こ、これはっ……!?』

 なのはは、構えを捨て、全力の回避行動!!

 

――――掬い上げの拳。

 

――――大地を割らんばかりの踵落とし。

 

――――突撃槍による刺突。

 

 その三つの、強大無比なる三撃が、なのはの身体を木の葉のように吹き飛ばした!!

 

『……ごふっ……!』

 肺の酸素と共に、真っ赤な喀血。

『な……なにが、いま……!』

 

 拳は、掠っただけで防具を消し飛ばし。

 

 蹴りは、鎖骨を粉砕し。

 

 刺突は、臓腑を強く叩いた。

 

 これが、直撃ですらない……『不発』による、損害である。意識が残っていることが、僥倖と言えよう。

『あは』

 と、なのはが、謎の現象へ考えを巡らせていると……クアットロが、喜悦の笑みを零した。

『あははははははは!! 凄い! 凄いわ、ヴィヴィオ!!』

 そしてそれは、哄笑へと変わる。

『《聖王の鎧》さえ再現できれば御の字と思っていたら…………まさか、《英霊使役》まで可能にするなんて!! やっぱりあなたは、私の最高傑作だわ!!』

 

 

――――英霊使役。

 

 

 その単語の意味するところは。クアットロは……開示しようと、しなかろうと、勝利を確信しているのか、べらべらと説明した。

『ヴィヴィオのオリジナルは、《最後の聖王》・オリヴィエ・ゼーゲブレヒト! 彼女が保有していたとされる希少技能、それこそが――

 

――――《英霊使役》!!

 

彼女の血族にある、全《ゆりかご》のデータベースに記録・蓄積された、歴代聖王の至高の一撃を、現実へエミュレートするという、まさに王の力!!』

 

『英雄の、一撃を…………』

 では、あの三体の魔力の人型は。歴代の、聖王たちの再現体だとでもいうのか。

『馬鹿げている……!』

 だが、このダメージは、全て現実。発動に、僅かなタイムラグがあることだけが、まだ救いのようなものだ。

 そして、なのはが持てる、有効な攻撃手段は限られている。

『……あの、最初のエネルギーの伝送……あの中には、データベースからの、聖王の記憶も含まれていた、って、ことか……げほっ、』

 既に、ダウンロード済みということは……『元を絶つ』という手段は無意味。

『発動までの、タイムラグは……どのくらい?』

『魔力発露から、人型形成・一撃行使まで――およそ2.8秒』

『……やるしかないね』

 あまりにも、短い猶予だが……ヴィヴィオを救うには、やらなければならない。

『……ふー』

 呼吸を整え、両の刀を床に置く。銃器や爆薬、暗器の類は、先ほどの一撃で消し飛んでしまっている。だが……なのはの目的は、はじめから決まっているのだ。

 

――――ヴィヴィオを、無傷で保護すること。

 

 武器も……拳も、ヴィヴィオには向けない。

(……レイジングハート、お願い)

(All right.)

 

――シャキィンッ。

 

 なのはの戦法に合わせ、普段は発動補助のみに留めているレイジングハートを、浮遊砲として展開する。そして、これは……

 

『――ああ、あの構えですかぁ?』

 

 ……当然、開発者の秀人が敵の軍門に下っている以上、筒抜けで当然。しかし……この構えの対処法は、極めて限られている。足場を崩すか……さもなくば、こちらから攻撃をしないか。

 

 だが……恐らく、慣れていないのだろう。ヴィヴィオは射撃や砲撃は使わず、専ら格闘での戦闘を行っている。だとすれば、『攻撃をしない』という選択は、しない筈だ。特に、敵意に支配された、子供の考えだ。そういった計算も、度外視して……こちらを、叩き潰しに来るだろう。

『ヴィヴィオ、やりなさい』

 クアットロの声と、同時に…………

「うわぁあああああーーーーーー!!!!」

 ヴィヴィオが、再び魔力を滾らせる!

『!! ヴィヴィオを、道具扱いして!!』

 非難するなのはに、しかし、クアットロは平然と…………

 

『――――親が子をどう扱おうと、勝手でしょう?』

 

 身勝手な論理で、返す。

『ヴィヴィオ! 話を聞いてください!!』

 必死に呼びかけるなのは。しかし、ヴィヴィオは十分な魔力を精製し終えており……また、それを振るうことへの躊躇が見られない。

『ああ、声を掛けても無駄ですよぉ。専用のチャンネルからのアプローチ以外では、聖王の鎧に、すべて遮断されてしまいますからねぇ。音声はもちろん、視覚にも、特殊レイヤーが貼られますので……きっと、いま、誰と戦っているのかも分かっていませんよ! あはははは!!』

 そして、その嘲笑へ言葉を返す余裕も無く……

 

「――ぁああああああああ!!」

 

 吶喊!!

『……!!!』

 しくじるわけにはいかない。

 聖王の鎧といえど、その源は魔力。その大小で強度に違いは出るが、理論上、魔力には、魔力で対抗できるのだ。

『全盛期よりは、少ないのですが……!!』

 

――バチィッ……!!

 

 なのはは……生身の肉体よりも頑健な、鋼の義手に、出力できる魔力を全て収束させる。

『…………!!!』

 更に、神速。リンカーコア、思考、肉体。その全てを、極限まで研ぎ澄ます。

 

 ヴィヴィオの、渾身の拳が、真っ直ぐに突き出される。

 

――――……、

 

 なのはの左腕が、辛うじて、そのベクトルをヴィヴィオの、聖王の鎧へと跳ね返す。続いて、左腕の魔力を、一気に右腕に移動!

 

――ズ、ズズッ……!!

 

『……』

 ……悪寒戦慄。毛細血管に、動脈の血液流を流し込むが如き所業に、肉体が悲鳴を上げ始める。

 

 肉体へのダメージは不可。であれば、物理的な副次効果を生む魔法が望ましい。

 

――――インパクト。

 

 ……魔力の衝撃波が、空気を弾き飛ばす。ヴィヴィオの姿勢が、僅かに揺らぎ……、

(レイジングハート!!)

(All right !!)

 クロック数を限界まで加速させたレイジングハートもまた、衝撃波を射出する!!

 

 二重に増幅された衝撃波による、昏倒ダメージ狙い。

(通れぇええっ!!)

 

最善の一手だっただろう。

 

発動に不備は無く。

 

会心の手応え。

 

 

――――しかし(・・・)

 

 

 

 

 

――――――……………………バチィイイイイイインッ!!

 

 

(な、)

 驚愕する。ヴィヴィオは。

 

――――神速を行使するなのはと、同等の領域で。

 

 

――――左手の掌打で衝撃波を跳ね返し(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

――――先ほどの倍。6体の英霊(・・・・・)による一斉攻撃が。

 

 

 

――――モーションを終え、無防備となったなのはに殺到した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく取り戻した感覚に、まず感じたのは、冷感。己の頬が、床材へ触れている感触。

次に感じたのは、温感。

『………………、』

 左腕…………鋼の義手が粉々に砕け散り、アタッチメントごと生身全身が切り刻まれ、血液が川のように流れ出す感触だった。

『あはは……あーっはっはっはっは!! 馬鹿! 本物の、馬鹿ですねぇ!』

 クアットロの、本懐を遂げたような狂喜の声が、鼓膜に届いた。

 

『――――吾妻秀人の遺伝子を持つヴィヴィオが、あの構えを、万全に使えないワケが無いでしょう! あーっはっはっは!』

 

 ……そう。ヴィヴィオの行った行動は、至ってシンプルなものだった。

 

――構えには、構えを。

 

 なのはが最初に行ったカウンター。それに跳ね返された、己の拳の威力と、二重の衝撃波を…………再び、なのはへとカウンターしたのだ。

 

『自己修復能力により、肉体面へのリスクはゼロ! リンカーコアにはレリックを埋め込み、負担はゼロ! さらにぃ……励起させた魔力を、そのまま英霊使役へと転用可能! あなたが唯一縋った発動までのタイムラグも……ゼロぉっ!!』

 

 秀人が、苦心に苦心を重ねた課題は、クリアされていた。旧式の、リスクと負担がそのまま残り、また、肉体強度的に不完全にしか扱えないなのはでは、太刀打ちなど出来よう筈も無い。

 

『既存の魔法で、瞬間発動される英霊使役を破ることは不可能! 

 

まさにこれぞ、完全無欠の力ぁ!!』

 

 勝ち誇るクアットロ。なのはは止血をして、どうにか立ち上がる。既に、死に体だ。先ほどの倍の威力の英霊使役を受けて、生きていることが奇跡のようなもの。クアットロは、なのはが立ち上がり……敗北感と死の恐怖で歪んだ顔を、心待ちにしていたのだ。

 

 しかし。

 

『――――やっぱりね(・・・・・)

 

 

 

 なのはが呟いたのは、そんな、確信めいた言葉だった。

『…………え?』

『艦船クラスのデータベースのダウンロードとインストール。その再現のための魔力。

……いかに聖王の資質、不死身の遺伝子を持っていようと………………キャパシティには、限界がある』

 いくら、『絶対に壊れない車』があったとしても、その『絶対に壊れない車』のスペックでは、『タンカーを牽引』することは、できないのだ。

 

『だから、レリックを埋め込んだ。

 

――いや、埋め込むしかなかった(・・・・・・・・・・)

 

『……!』

『……でも、限界はある。魔力結晶は、肉体にとっては、あくまで異物。……不死身の肉体は、それを排除し始める』

 ……彼の右手には、かつて、魔力結晶が埋め込まれている時期があった。しかしそれは、一代変異である、10割が『吾妻秀人』である彼だからこそ、完全に癒着していたのであって……何割かが聖王であり、何割かが高町なのはでもあるヴィヴィオでは、そこまでの効果は望めない。

 

『…………英霊一体の使役につき、レリックはいくつ必要? そして、それだけの異物を、肉体が排除し終えるまで、あとどれくらい?』

 

 

『あなた……まさか!!』

 クアットロが……その事実に、手遅れに、気付いた。

『その情報を引き出すために、わざと……!?』

『…………口の軽い奴で、よかったよ。聖王オリヴィエ……そのクローンである、ヴィヴィオを利用する計画。その伝承を、調べていない訳が無いだろう』

 ……あの過酷な戦闘も。決死のカウンターも。

 英霊使役を使わせたのも……いや、何もかも、全て……

 

これで(・・・)ヴィヴィオを助けてあげられる(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 全ては、ヴィヴィオの救出のためだったのだ。

 クアットロは……完全に騙しきられ、情報を引き抜かれた屈辱に、怨嗟を漏らす。

『この……くたばり損ないがっ……! ふ、ふん。そんなボロボロの身体で、何が出来るっていうのよ!! ……ヴィヴィオ!!』

「…………!!」

 

――ガコォンッ!!

 

 なのはの顔面を掴み、地面へ頭部を叩きつける。

『…………』

 後頭部へバリアを展開し、衝撃を緩和する。

 その中で……なのはは、手をヴィヴィオへと伸ばし……

「! ……うぁああっ!!」

 払いのけられ、癇癪を起したように、顔面へ拳を振り下ろした。

『…………』

 ……唯一残された素手で、その拳を受け止める。聖王の鎧が、その手を弾く。

 

――ガスッ!!

 

 蹴り飛ばされる。

『ははは……ざまぁ無い、』

『…………』

「……!」

 血反吐を吐きながらも……なのはが、立ち上がる。

 クアットロの放つ雑音など、とうに届かない。

「あ、ああああ…………!!」

 ヴィヴィオは、頭を抱え……何かしらに、苦しみ始めた。

『こうなったら…………出力を、もっと……!!』

 

――――ズバァアアアアアアアアアアッ!!

 

「あああああああああああ!!!」

 自身の制御を離れ、魔力が増大する。

 

『――――ヴィヴィオ! やりなさい!!』

 

――――ヴィヴィオは、転がされたままのなのはを、マウントポジションに取り……今度こそ、顔面へ凶器と化した拳を、振り下ろした!!

 

 

――――ズガァアアアアンンッ!!!!

 

 

『あっはっはっはっはっはっは!! 最後は、あっけないモノですねぇ、……………………………………え、え?』

 ……クアットロは、目を疑う。なのはの顔面を、頭部を、弾けさせたと思った一撃は。

 

――――なのはの顔、その僅か数センチ横に……外れていた。

 

「……………………」

『……、ヴィヴィオ。聞こえていますか?』

 は、とせせら笑うクアットロ。専用のチャンネルを握っているのは、自身のみ。それ以外は、全て、聖王の鎧が遮断する。そう、思っていた。しかし。

 

「……………………なのは、さん……?」

 

 ヴィヴィオが、ぽつりと……確かに、反応を返した。

『なっ……!?』

 チャンネルをハックでもされたのか。しかし、モニターは全て正常値。では……と、映像をズームする。

 

――――糸。

 

 恐らく、ほんの数ミクロンの、極細の繊維が、光を反射していた。桜色に輝いている、ということは……

『ぼ……防御に使う魔力を、全部……その糸に……!?』

 糸の触れる、僅かな……面積とさえ呼べないような面積。聖王の鎧を中和し、ヴィヴィオの身に触れるため。そして、触れることさえできれば…………

『震動による骨伝導で、会話を……!?』

 ……どうかしている、と、クアットロは驚愕した。

 手段そのものではない。

計算では、可能だ。だが…………戦闘力の要である片腕を奪われ、身体を切り刻まれ、臓腑を傷つけられ、その状態で、無防備を晒す? ありえない。と。

 

「ああああああ……!!」

 なのはを手に掛けようとしていた事実に、ヴィヴィオは戦慄と共に恐怖した。視界レイヤーは、なのはを認識した時点で解除されている。だからこそ、見えてしまう。今の、なのはの惨状が。己の所業が。

『………………ヴィヴィオ』

 なのはの言葉に、びくっ……と、ヴィヴィオが固まる。責められる。恨まれる。嫌われる。その恐怖が、ヴィヴィオを責める。

 

『――――ごめんなさい(・・・・・・)

 

 しかし……出てきたのは、謝罪の言葉だった。

「…………え?」

 全く予想していなかった言葉に、きょとん、と呆ける。

『ごめんなさい、ヴィヴィオ。

 

――――ひどいことをして、ごめんなさい。

 

――――冷たく当たって、ごめんなさい。』

 

 それは……あの日まで、ついに言うことのできなかった言葉だ。間違ったまま、すれ違ったまま……だから、必ず伝えると、決めていた。

「なのは、さん……」

 ヴィヴィオは、茫然と……頬に触れる手に、自身の手を重ね……

 

『――――ヴィヴィオ!!』

 

「あっ……!!」

 ……クアットロの命令に、弾かれるように、飛び退いてしまった。

『どうして外したの!? まさか……ママの言うことが聞けないっていうの!?』

「……ごめんなさい。………………、」

 でも……と、言おうとして、それを引っ込めた。しかし。

 

『――――――わかった(・・・・)

 

 ……なのはは、その意味を理解していた。

『そうよ! あなたは、私の言うとおりにすればいいのよ!! さぁ……今度こそ、その死に損ないに、トドメを刺しなさい!!

 

――――最大数……12体の英霊使役で! 粉微塵にしてしまいなさい!』

 

「……!!」

 ヴィヴィオは……泣いていた。その命令に従うことで……なのはが、傷つくことが分かっていたから。

 

――そして(・・・)……

 

「…………わかっ、た……!!」

 涙を流したまま、それに従った。

 

――――ヴァアアアアアアアアアアッ……!!

 

 魔力の人型が、現れる。

 

屈強な体躯の男性。細身で腰の曲がった老人。年若い少年。肥満の男性。椅子に座った男性。ポニーテイルの少女。三つ編みの女性。結合双生児の少女。武者鎧を着こんだ女性。修道服を来た老女。本を携えた少女。……両腕の無い少女。

 

 荘厳で、神々しき……破壊の使者たち。

「……………………」

 しかし……突撃させず、未だ、躊躇するような様子を見せるヴィヴィオ。

「…………、」

 クアットロの命令に、抗っているのだ。

 なのはは…………外していたため無事だった刀……その一刀、『桜花』を握る。

『ヴィヴィオ。…………全力で、おいで』

「なのはさん……」

 そう。なのはは、決めたのだ。

 もう逃げない。目を逸らさない。痛みも、嘆きも、後悔も、弱さも…………

 

 

 

『――――全部、受け止めてあげるから!!』

 

 

 

――すべてを、受け入れると!

 

「うわぁああああああああああああ!!!」

 

 殺到する、12の英霊。比類なき歴代聖王たちの、至高の一撃!

 

蹴りが、膝が、棍棒が、斬撃が、刺突が、ショルダータックルが、火炎が、砲撃が、鞭が、粉塵が、水圧が、……無双の拳が、なのは目がけて殺到する!!

 

『――オウルさん……カレン……! 行くよ!』

 

――友に託されし、最後の切り札!!

 

『――開け、桜花!!』

 桜花の刀身が、砕け散る!!

 

――――カシャァアアアアアン……!!

 

 砕けた無数の刀身が……なのはの魔力光を帯びて、英霊たちを包み込む。そして、それに触れた英霊たちの攻撃が、分解…………否。

 

 

――――分断(・・)される!!

 

 

 残された桜色の魔力刃が……英霊たちの終撃、無双の拳を迎え撃つ!!

「ぁあああああああああああっ!!」

 そして……ヴィヴィオが、拳を振り上げ、なのはへと振るう!!

 

『――ディバイドぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!』

 

――――ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ……!!!!

 

 魔力光が、空間を埋め尽くした――――!!!

 

 

 

 

 

 

 

『………………ヴィヴィオ』

 なのはは、腕の中に納まる、小さなヴィヴィオの身体をしっかりと抱きしめていた。

分断され、遺棄されたレリックの残骸が、僅かな光を放ちながら、さらさらと風化していく。

「なのはさん……」

 安心してしがみついてくるヴィヴィオに、なのはは、視線を合わせる。

 

『――何か、食べたい料理は、ある?』

 

 …………柔らかで、温かな……素の、なのはの声だった。

『こう見えて、私、料理は得意なんだ。何でも作ってあげるよ』

 ヴィヴィオは……むずがゆそうに、やや俯きながら、答えた。

「………………ハンバーグ、が、いいな」

『うん……得意だよ。美味しいの、作ってあげるね。

 

――他には?』

 

「……なのはさんと、いっしょに、食べたい」

 ……その一言を、皮切りに。

「なのはさんとブランコで遊びたい。なのはさんに絵本を読んでほしい。なのはさんとお昼寝したい。なのはさんとお風呂に入りたい。なのはさんとお出かけしたい。なのはさんとお買いものにいきたい。なのはさん、なのはさん…………なのはさんの、こと……、」

 ……なのはの胸元に、顔を埋めてしまう。だが……もうなのはは、それを聞き流すことも、誤魔化すことも、しない。その言葉を、一つ一つ、胸に留めて…………

『――うん、大丈夫だよ。全部……ちゃんと全部、叶えてあげる。新しいことも、いっぱい、一緒に始めよう。だって、……だって、私は……』

 

 

――――ずっと自分に嘘をついていた。

 

――ズルい自分は、誰よりもそれを望んでいたくせに。

 

――大事な気持ちを、心に鍵を掛けて閉じ込めていた。

 

――温もりを手にすることに、慣れていなかったから。

 

――いつか来る、『もしも』に恐れ、動けずいたから。

 

――でも。自分の『弱さ』を受け入れて、初めて思う。

 

――自分が、『守りたい』と感じた気持ちは――――

 

 

 

『  ――――――私は、あなたのお母さんだから    』

 

 

 

――――今、ここに共にいること。それが、真実なのだから。

 

 

「…………お母、さん」

『なぁに、ヴィヴィオ』

「お母さん……お母さん、お母さん、お母さん……!!!」

『うん……うん……』

 抱き合う二人。そこへ。

 

――じ、じじッ!!

 

『な、何が……!? どうして!? どうしてなのよっ!? どうして、私の言うことを聞かないのよぉっ!!』

 ばんばん、と、機能を失ったコントロール盤を狂ったように叩く音が聞こえてくる。

『子供は、親の言うことを聞くんでしょうっ!? そういう風に決まっているんでしょう!? じゃあ、何で……何でぇッ!!』

 癇癪を起こすクアットロ。なのはは、恐らくスピーカーがあるであろう方向へ、思いっきり息を吸って。

 

 

『――――――――いい加減になさいッ!!』

 

 

 ビクッ、と、クアットロが身を竦ませる気配が伝わった。

『ヴィヴィオは、……あなたのコントロールなんていつでも抜け出せた! 気づいていなかったの!?』

『そ、そんなわけ……、!?』

信じられない風のクアットロ。しかし、実際ヴィヴィオは、自らの意志で視界レイヤーを解除し、絶対の命令であるはずの攻撃を押し留めた。

 なのはが幾度も英霊使役から生還できたのもきっと……ヴィヴィオが、手加減をしたからだ。

そして今、最終的に、クアットロのコントロールを抜け出していたことから、事実と分かる。

『何で、あなたの言葉に従っていたんだと思う!? 何で、最後に私に攻撃をすると決めたんだと思う!?』

『そ、それは……!! それは、…………』

 尻すぼみになる、クアットロの声。しかしそれは、既に正解に気付いている証拠でもあった。

 それは……、

 

『ヴィヴィオは、『ママ』である、あなたのことだって大切にしたかったから!!』

 

 …………操られているのであれば。従う気が無いのであれば。『ママ』などという呼称は、きっと使わない。

「嘘よ……そんなの、嘘っぱちよ!!」

 しかし……クアットロは……誰も信じることのできない、かつてのなのはの生き写しのような少女は、認めることが出来なかった。

「私は、あなたを倒して、『高町なのは』になるのよっ!! あなたよりも優れていることを示して、証明して……そうすれば……そうすれば、私は、『私』になれるの!! あの人に、愛してもらえるの! だって、だって……それが、私にできる、唯一で…………そうじゃなきゃ……」

とうとう、仮面で覆っていた、弱気な本性を覗かせた。

 

「……あなたの劣化コピー(・・・・・)でしかない私を、誰が、愛してくれるっていうのよ!!」

 

ヴィヴィオを、他人を機械で縛るのは……裏切られることへの、恐怖だったのだ。

「どうして、どうして……私には、何もないの……? あなたと、何が違うっていうの? 同じ遺伝子なのに! ……ズルい!! こんなの、ズルいよ!!」

 稚拙で幼稚な主張。しかし…………実年齢で、10にも満たない、クアットロという少女の、偽らざる本音なのだ。

 

「私、頑張ったわ……いっぱいいっぱい、頑張ったわ……なのに……なのに……どうして私は、『高町なのは』であることしか、許されないの……? 

 

 ねぇ、どうして!? どうしてなのよっ!?

 

――――『私』は、『私』なのに!! 

 

――――誰か『私』を見てよ!! 

 

――――誰か『私』を愛してよ!!

 

――――模造品の四番目(クアットロ)じゃなくて、ちゃんとした名前で、呼んでよ……!!」

 

 タイプ高町なのは・プロジェクトF被験体第4号。それが……クアットロと自称した少女の、正式名称だった。

ママ(・・)……」

 なのはの腕の中で、ヴィヴィオが、きゅっと服を握る。

『………………』

 さんざんの悪行を働いてきたクアットロの、あまりにも痛切な叫びに……なのはは、憐み以上に、感じる物があった。

どうしようもなく弱い心。彼女は、秀人と出会わなかった……誰にも助けてもらえなかった、自分の姿だったのかもしれないから。

「誰か……誰か…………『私』を、助けて……」

荒い息をつきながら、嗚咽しながら。クアットロは……、ようやく、心の奥底にあった『本音』を、他の誰でも無い、『高町なのは』へ、吐露することが出来た。

 

 

 

「――――――助けてよ…………お姉ちゃん(・・・・・)……!!」

 

 

 

彼女は……ただそれだけの、救いが欲しかったのだ。

 それに対する、なのはの返答は…………

 

『――任せなさい』

 

 ……実に、頼りになるものだった。

『――レイジングハート。もうひと踏ん張り、行けるね?』

『――All right .《 Starlight Breaker 》』

 魔力は既に尽きかけ。カートリッジ残弾ゼロで補助動力も無し。満身創痍のなのはには、ややバックファイアがキツい魔法だ。しかし……

 

――――キュイイイイイイイイイイイイイイインッ…………!!

 

 空間内の魔力。レリックの残骸に残された魔力。その全てを、収束していく。

『ちょっと痛くするわよ』

『…………がまんする』

 これは、姉としての折檻も含めているのだ。これで……こうして罰を与えることによって、少なくとも自分に関することは、チャラにしてやろうという意味もある。もちろん、周囲の追及からも守ってやるつもりだ。なんだったら、一緒に謝罪行脚に付き合ってやってもいい。更生プログラムだって立ててやる。何故か。そんなこと、決まっている。

『スターライト…………!!』

 

――――――血を分けた、妹なのだから。

 

 

『ブレイカァアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 

――――――ズゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!

 

 

『…………!!』

 砲撃は、艦内をぶち抜き、玉座の間と管制室を一直線に繋げた。バックファイアに蝕まれる体を引きずりながら、ヴィヴィオを連れ、クアットロのもとへ行く。

「…………」

 衝撃でズリ落ちたバイザーから、毒気の抜けた…………なのはにそっくりの顔が覗いている、

『……』

蹲ったままのクアットロを引き起こす。そして、パンッ、と頬を張る。

『この馬鹿。ほんっと、馬鹿。どうしようもない馬鹿。頭良いくせに何でこんな簡単なことが分からないの』

「ひどいぃ……ひどいよぉ……」

怒涛の馬鹿呼ばわりをされているというのに、彼女は、どこか幸せそうだった。

 

『……ま、そんな私も、結構なお馬鹿かもね…………』

 

なのはは、ポケットからリボンを取り出した。幼少のころ、美由希から貰い……何となく、今でも持ち続けているもの。

『あげる。大事にしなさい』

それで、彼女の髪を結んでやった。そして……

『ここは、はやてに倣うところね』

「え……?」

 彼女の望みが、まだ一つ、残っている。

 

 

『――――名前を、あげる』

 

 

 驚いた顔の彼女に、なのはは、厳しくも優しく、語りかける。

クアットロ(四番目)じゃない、《高町なのは》でもない……あなただけの、名前をあげる』

劣化コピーではない。誰かではない。彼女は、他の誰でもない……彼女なのだから。

 

 

『愛と、希望と、幸運と……幸福のしるし。

 

 

――――四葉(よつば)

 

 

「ヨツバ……四葉……」

何度も、確かめるように口にする。

『ちなみに、高町家四兄妹(・・・)の末っ子という意味もあるわ』

「嬉しい……嬉しいよ……お姉ちゃん……」

 それが、彼女の名前だ。

「でも、ごめん……」

謝る理由が分からないなのはだったが……理由が、判明する。

 

――――聖王閣下、ロスト。聖王閣下、ロスト。緊急事態発生。緊急事態発生。

 

「……聖王とのリンクが切れた『ゆりかご』は……それを緊急事態だと判断して……動力炉以外の区画を、圧搾消滅させてしまうの」

 聖王を打倒し得た存在を、抹消するための罠。

「ごめんね……ごめんね……せっかく助けてくれたのに…………」

泣いて謝る四葉。

『えいや』

その頭頂部に、なのはのチョップが落ちる。

「え……?」

 きょとん、とする四葉に、なのはが……ヴィヴィオと、四葉の手を握る。

 

 

『――――大丈夫。秀人さんが来てくれる』

 

 

 

 えっ、と驚く四葉とヴィヴィオに、絶対の信頼と共に、断言する。

 

 

 

『――――秀人さんが、来てくれる』

 

 

 

 

 

 

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