魔法少女リリカルなのはties   作:ハルハルharuharu

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vivid編 8話『 正しき間違い 』

 

 

 

 

 

――――――――一緒に笑ってあげる。

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

笑顔のまま解散した後。

大宮、中野、小山は、三人で本日の振り返りを行っていた。

「嬉しいなぁ……」

 大宮は、満面の笑みでストラップを振る。

「なのはちゃんとの距離が縮まりましたね」

「わたしたちが貰うことになるとはね」

 あれやこれやと暗躍しているが、三人の行動の根幹にあるのは、『なのはと友達になりたい』という一心なのである。

 時刻は間もなく17時。すっかり夕方。

「よーし、二次会行くよー!」

 このまま夕食へ。そう、三人で拳を突き上げ……

 

「――――いけませんわよ」

 

 …………行く手を阻む、小柄な人影があった。

「え……? だ、だれ?」

 困惑する大宮。だが、その小柄な人物が着用しているのは、見覚えのある服装。

「タスミンさん……?」

 エルス・タスミン。英国からの帰国子女……というプロフィールだけを知っている程度の、クラスメイトの少女であった。

 物静かで、当たり障りのない会話を行い、特に問題行動も起こさない……という、あの学園の生徒としては、至極常識人の部類である、とも認識している。学業不振ということもなく、むしろ優秀である。目立たないが、優等生。そういう少女だ。

 

 そんな彼女が、休日に制服を着用し、立ちはだかっている。

 

「? タスミンさん、何か用?」

「今までどちらに?」

「え? ……そこのモールだけど」

「良いと思っていますの?」

「な……何が? タスミンさん、あなた、何が言いたいの……?」

 会話が噛み合っていない。じわじわと、その違和感が、威圧感へ、やがて、恐怖へと変わっていく。

 

「――――校則第十七条四項。『外出時は制服着用が望ましい』

 

――――守っていませんわね。ギルティ(有罪)

 

――――校則第十一条二項。『繁華街への外出は保護者同伴のこと』

 

――――守っていませんわね。ギルティ(有罪)

 

――――校則第八条一項。『午後17時以降の外出は、特別な理由の無い限り控える』

 

――――守っていませんわね。ギルティ(有罪)

 

――――――ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)……スリーアウト制度の採択に則ると、これはもう最重度の刑罰を以て、」

 

「…………何を、言っているのか聞いて、」

 

――――ジャリィイイインッ!!

 

「――――『他者の話を遮る』…………ギルティ(有罪)。」

 

 頬に、衝撃と、熱を感じた。

「あ、あ……」

 エルスの差し向けた掌から、漆黒の鎖が一直線に伸びている。大宮の頬を掠め、背後の自販機をブチ抜き、壁面へ亀裂を生じさせている。

 

――――ギャリギャリギャリッ……!!

 

 鎖は、まるで大蛇のごとく大宮、中野、小山の身体を束縛した。

「ぎッ……!! あぐ、」

 鎖を猿轡のように噛まされ、悲鳴をも封じる。

 

 そして、気付く。これだけの破壊活動にも関わらず……不気味な静寂が、街を覆い隠していることに。人も、灯も、音さえも……。

 

「――――正しくないですわ。正さねばなりませんわ。どう正して差し上げればよろしいのでしょう」

 静寂の中、少女の声だけが有る。まるで、絶対者のように。

「――――始めましょう」

 その絶対者……エルス・タスミンは、にぃ……と、愉悦に歪んだ醜い笑みを、その顔に浮かべる。

 

 

 

「――――――――審判(ジャッジメント)ですの」

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

「……!!! 現地の聖王閣下へ連絡を。至急。至急。」

 教室の一席で、ヴェールを目深にかぶった少女が声を上げる。

 その眼前に据えられた水晶玉が、暗い淀みを映し出していた。

 

「危険です。極めて。かつてなく、強大」

 

 予知能力者である少女、モイラが、静かに、切迫した状況を伝える。クラスメイトたちは、上層部への連絡に走る者、かの『神』へ気取られぬよう、ヴィヴィオへ秘密暗号通信を行う者、現地対応に跳ぶ者に分かれ、行動を開始する。

「――――フェイズ1突破。フェイズ2突入。あぁ、あぁあ……」

 

――――バキンッ……!!

 

 ……モイラの水晶玉が、爆発したように砕け散る。

 それは、状況が絶望的であることを意味していた。

 

 

「――――フェイズ3(・・・・・)、……完全発症(・・・・)です」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

「んむ、ンンーーーー……!!!」

 

――――ギシッ…………!

 

 鎖による束縛は強力さを増し、華奢な少女の肉体は悲鳴を上げる。

「……弁明の機会を与えますわ。なぜ、四つ、四つも…………法を犯しましたのッ!?」

「………………!!!」

 弁明と言うが、口元まで拘束されていては不可能だ。そのことに思い至ったのか、嫌々といった様子で、猿轡だけは多少緩められる。

「さぁっ、弁明なさいッ!!」

「……………………」

 しかし、未だ混乱の渦中にある大宮に、エルスを納得させるだけの言葉など、期待できよう筈も無かった。

「黙秘、ですの? 機会を与えたといいますのに……これだから罪人は……」

 大宮は、ただ、この凶事が過ぎ去ることを待っていた。どうしようもないのだ。命だけでも拾えれば、御の字かもしれないと。過去に母の再婚相手たち(・・)から受けていた暴力の経験が、そう言っていた。自分さえ我慢していれば、弟妹たちには危害が及ばないことも。

「……ぐ、う…………」

「この国では、罪人を絞首刑にしますの。母国の手法で、罪をあがなえる……素敵ですわねぇ」

 恍惚とした様相で力を振るう。完全に、力に呑まれている。

「正しく……正しく、正しく…………そうあれば、いいのですわッ!! あなたが悪いんですのよッ!! 正しくない、あなたが悪いんですのっ!!」

(………………あなたが悪い、か)

 遠のく意識の中で、かつて母だった女性の言葉を思い出す。

(……いつも、こんな感じだったなぁ…………わたしを殴るのに熱中している隙に…………弟たちを、逃がしてたっけ)

 視線の先。中野と小山の拘束が、緩んでいた。同時に同等の力を振るえるだけの力量は、まだ無いのだろう。

 少なくとも、あの二人は逃げられる。この空間がどこまで続いているのかは分からないが、この暴力から逃れることさえできれば良い。

(……もう少し、引き付けておかなきゃ)

「………………………で、……」

「あァ!!? 聞こえませんわねぇ!」

 自らの眼前に引き寄せるエルスに。

 

「……六法全書で、マスでもかいてろ……!」

 

 エルスの表情が、一瞬真顔になり……凄まじく、歪む。

「ぎ、ぁ、ああ、あああああああああーーーーッッ…………!!!」

 

――――ガシャアンッ!!

 

 鎖ごと、地面に叩きつけられる。

「おまえ、お前っお前お前お前ェェエエエエエエエエ! ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ギルティ(有罪)ですわよこのゴミカスがぁあああああああああああああッッ!!!」

 狂乱し、意味も無く大宮を足蹴にする。だが、時間稼ぎが出来た。これであの二人は完全に意識の外だ。きっと逃げられたことだろう。もう、痛みも感じなくなってきた。あとは惰性で暴力を受け続け、飽きられるのを待つだけだ。

 

――――ブシュウウウウウウッ!!

 

 ……が。白煙が、視界を埋め尽くす。

「大宮さんを、離せっ!!」

 逃がした筈の中野が、消火器をエルスの顔面目がけて噴射する。

「うあっ……!!」

 エルスが怯み、拘束が緩んだ。

「大宮さんっ!!」

 小山が、大宮を拘束から引っ張り出す。

「クズども……!」「死ね!!」

 

――――ガィイイイインッ……!!

 

 エルスの脳天に、使用済み消火器が垂直に直撃する。

「。コっ…………か…………!」

「死ね!!」

 

――ガンッ!

 

 蹲るエルスの後頭部に消火器を捨てる。

「逃げるよ、早く!!」

 小山とともに、エルスから距離を稼ぐ。

「二人とも……どうして…………?」

「 「 馬鹿!! 」 」

 同時に面罵される。

「友達捨てて逃げるほど、人間腐ってないっつーの!!」

「友達同士、助け合うのが当然っつーか、あんなん助けるのが当然っしょ!」

 今はひたすら、その場から離れることしか出来ない。だが……鍛えてもいない女の足だ。

 

――――――ギャリリリリリッ!!

 

「きゃあっ!!」

 中野の両足首を、鎖が絡め取る。

「こんなのっ……、くそっ……このっ……!!」

 見えている。触れている。だというのに……その鎖に触れることが、出来ない。

 

――――バチィンッ!!

 

「ぎゃっ……!!」

 咄嗟に大宮を庇った小山の背を、鎖が鞭のように強く打った。

 

 ゆらりと、幽鬼のような足取りで、エルスがやってくる。

「どうして、どうして、どうして、」

 ぶつぶつと、ただ繰り返す。その体表には…………黒い、羽根が。

 

――――メキ、メキメキメキ……!!

 

 骨格が、歪んでいく。身体各所の関節部が、明らかな破砕音を立てながら。唯一、変異を免れている箇所など、顔面程度のものだ。その口腔内ですら、鋸のような牙がゾロリと並んでいる有様だった。

 

「どうしぇ、ぎ、ぃ、……『――――ケァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーッ!!!』

 

 顎関節を裂けんばかりに開放し、怪鳥そのものの咆哮を上げる!!

 

「…………」

 かたかたかた、と、自らの歯が恐怖に鳴っている事さえも分からず、その変貌を茫然と見つめる。

『――――クァアアッッ!!』

 

――――ギャララララララララッ!!

 

 鎖の能力は、健在。羽毛の内側から、比較にならぬ程の縛鎖が迸る!

「きゃああああああっ!!!!」

 生命の危機が、身体を間一髪、動かすことに成功した。

 

――――ゴリィイイイッ!!

 

 絡み付いた鉄柱が、鎖の造形そのままに圧搾される。もはや、捕獲・拘束などといったレベルではない。鎖と共に撒き散らされた衝撃に、身体が吹き飛ばされる。

「…………、」

 危機感は既に過ぎ去り……どうしようもない現実が、そこには在った。

「、え、遠足…………行きたかったなぁ…………お父さんもお母さんも、すごく、喜んでくれてて……わたし、学校に通うの……ひさしぶり、だったから……」

 小山が、涙を零しながら、儚い願いを口にする。

「……ちゃんと、真人間になろう、って……もう、暴走行為はやめて、悪い連中とは、縁を切って…………刑事さんが言ってくれたみたいに……不貞腐れないで、自分にできることを、一所懸命に頑張ろうって、思ってた……」

 中野が、痛めた足首を庇いながら、小さな希望を口にする。

 

「…………」

 庇われる大宮は、知っていた。あの学校の外部からの評価が、決して良いものではないことを。偏見ではなく、ある面では真実であるということを。既に退学者も出ている。暴力行為も窃盗行為も頻発している。自らの19という年齢が、女子高生という立場には似つかわしくないということも理解している。

 

――チャリンッ……

 

 ……ポケットからはみ出したストラップが、地面と触れ、金属音を鳴らした。

「…………」

 ストラップを握りしめる。

 

大宮は、知っていた。それでも、あの学校が希望であるということを。自分のような、世間からのはみ出し者が、最後に自ら、未来を選び取れるチャンスが与えられる場だと。

 

小山が、オリンピック・レスリングメダリストの両親から受け継いだ190cm75kgという体格と、受け継がなかった身体能力のギャップから心無い嘲笑を受け、部屋の外に出られなくなっていたことを。

 

 中野が、中学に上がっても、分数だけがどうしても理解できず、劣悪な教師から馬鹿呼ばわりされ続け、大学教授である両親にすら愛想を尽かされ、非行の道へ走ったことを。

 

強引なハリー・トライベッカに、無理やり引き合わされた、凸凹な自分たち。

 

――――それでも、大宮は知っていた。

 

『でくの坊』とよく自嘲する小山が、男子の殴り合いの喧嘩の間にも、身体を盾に割って入り、怪我をしながらも両者を等しく諌めることのできる、心の強さを持った人間であることを。

 

『頭脳がコドモ』と冗談めかして言う中野が、絵本の読み聞かせや、点字翻訳・手話翻訳のボランティアを自発的に行っている、心の優しさまでは腐らせなかった人間であることを。

 

 そんな二人と友達であることが、大宮の誇りだった。何も無い自分だけれども、友人には恵まれたのだと。年齢の差から頼られても、話を聞いてあげることしか出来ない自分には、もったいないくらい、素敵なお友達に出会えたのだと。

 

 

――――中野と小山は知っていた。

 

 

『自分には何もない』と卑下する大宮が、クラス内外の生徒たちの相談に乗り、その一人一人のために、心から怒り、心から泣き、心から喜ぶことのできる……辛い境遇にあっても、心の純粋さを失わなかった人間であることを。

 

――――皆が憧れる、素敵な大人のお姉さんであることを。

 

 目の前の怪物が理想と語る、正しいだけの人生ではなかった。間違い続けてきた人生だった。犯した罪の数は、一つや二つでは無い。言葉の暴力に、力の暴力で報復したこともある。貶められた尊厳を、破壊行為で誤魔化したこともある。自分が死なないために、母親だった女性へ、包丁を突き刺したこともある。そんな自分たちが、汚点だらけの自分たちが、何かを望むことなど、許されていないのかもしれない。

 

――――それでも。

 

 今から自分が行う行動は、恐らくは『間違い』と呼ばれる類の行いだ。

「友達、って、いうのは」

 ホイッスルを、口元に運ぶ。

『鳴ったら、困ったら、助けに行きます』――ただ、その言葉だけをあてにして。

 

――――助かりたい。

 

 そのために、巻き込む。

「ただ、一方的に、与え、得るもの……」

 

――――死にたくない。

 

 そのために、迷惑を掛ける。

「じゃあ、無くって」

 

――――生きたい。

 

 そのために、信じる。

「信じて、頼って……」

 

――――生きていたい。

 

 信じて、頼る。頼るからこそ。

「お返しに、信じてもらって、頼ってもらって……

 

重たい荷物を、ヨイショ、って半分こにできる……!

 

 魔法のような関係のことを、言うんだよ……!」

 

 願いを込めて、祈りを込めて、希望を込めて。ホイッスルを、吹く。ぴゅひいいい、と、精度の低い笛の音が、高らかに。

 

――――間違えた選択を、正しく選び取る。

 

『…………コうきょうノ、ばデ、ソウオンッ! ギギギ、ギ、ぎる、ティ……ぎる、ギルルルルルルルルルルルルァアアアアーーーーーーーーッッ!』

 異形の翼が、翻る。目を、閉じる。信じる。信じて、強く、願う。

 

 

――――神様(・・)

 

「うん」

 

――――叶えたい夢があるんです。

 

「そう」

 

――――友達と、語らいたい夢があるんです。

 

「好きにすれば」

 

――――だから、時間を。わたしたちが、夢を叶えるための時間を、もう少しだけ、取っておいてください。

 

「で、どんな夢なの?」

 

――――。笑いませんか。

 

「――一緒に笑ってあげる」

 

 

 

 

――――――――――――――素敵なお嫁さんになりたい。

 

 

 

 

「――――きっと、叶うよ」

 風が、吹き抜ける。

 

『……ぎ……?』

 エルスは、不思議な現象を体験した。翻した翼が、射出するはずだった鎖が、己の背より根元から分離する現象だ。確認するために伸ばした手が、肩から大地に滑り落ちる現象だ。膝から下の感覚が無くなると同時、地面が顔目がけて起き上がってくる現象だ。そして、激痛が『ギャあァアアアアあああああーーーーーーーーーーーッッ!!!』激痛が・激痛が・あし激痛激痛うで『ギイィイイイイー!! ゥギィイイイイイイイイイーーーーーーッッ』激痛。激痛…………

 

 

「――遅くなって、ごめん。」

 堅牢だったはずの鎖を、手にした刀で切り砕く。

「約束、したから。」

 異形の怪物。異界化した町。その中に在りて、眩く輝く生命の炎。

 

「いま、助ける」

 

 烈風一陣。吹き荒れる。痛快に、絶望を吹き散らす。

『ギルルルル……、な、治ル……コノ程度ォ…………』

 流石に、しぶとい。だが。

「――うるさいよ」

 

――――バゴォンッ!!!

 

 爆破魔法を纏った拳が、その唯一ヒトの面影を残した顔面を……ブン殴った!

「うるさい。うるさい。うるさい。正しさを声高に叫ぶ声がうるさい。得たばかりの未熟な力で変異しただけのただのヒトが、誰を馬鹿にした。何を以て馬鹿にした。お前が彼女たちの何を知っている」

 

――――バゴォンッ!

 

 二度、三度、四度…………頭蓋がその都度砕け散り、牙が散乱する。

『ギルルルルルァアアアアアァアアアアアアアアアア!!!!』

 それでも尚、衰えず。口腔より迸る鎖状の魔力弾が天を射抜く。

 

『――――正シクナイやつハ、殺シテモ良イッ!』

 

 その身勝手な暴論に……なのはの眉が、ぴくりと動く。

『正シイワタしは、正しクナイヤツニ、ナニをシてモ許されル!! ワタクシは、エラバれたノダカラ! ワタクシがセイギッ! セイギ! ワタシノオコナイはスベテがセイギ! セイギにあだなすキサマは、悪ッ!!』

 

「正義だから、悪だからって………………だから、何よ」

『ナニィ……!?』

「悪いだけの人も――正しいだけの人も、そんなのはいない。正しさも間違いも、正義も悪も、どちらも内包する、どちらにもなってしまい、どちらにでもなれるのが、ヒトっていうモノなのよ。

 

どんな間違いからでも、正しく歩き出そうと前を向く。

 

――――だからこそ、命というものは素晴らしいものなのよ」

 

 切っ先を、突きつける。それは、審判するように。

 

 

「それでも、自分が絶対的に正しいと言い張り、私のお友達(・・・)を傷つけるっていうのなら……――

 

――――お前は、『正しさ』に逃げた卑怯者……即ち、『悪』だッ!!」

 

 

 言い切られ……エルスは、ただ狼狽える。

『……誰ナンダ、何なンダ、オマエはぁああアアァアアァッ!!?』

 なのはは……己が存在を、語る。

 

 

私立(わたくしりつ)月村学園。

 

海鳴本校第一期生・一年D組・出席番号1番。

 

性を吾妻。名をなのは――」

 

 

 

 絶対の戦神が、宣言する。

 

 

 

「――――通りすがりの、神様だ」

 

 

 

 

 

 

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