魔法少女リリカルなのはties 作:ハルハルharuharu
「なんだよもー……マリーのうそつき! もういっしょにゲームしてあげない!」
ぷりぷり怒るフェイト。
最近よく、マリーの所に入り浸っていると思ったら……
『……形状の変化はありませんが、機構は最新式を組み込んであります。数値にして15パーセントの出力アップが』
「えー……よくわかんなーい」
『……………………』
……がんばれ、バルディッシュ。
「まーいいや!」
『 Axe form 』
――ジャキンッ!!
いつ見ても物騒な形のデバイスを構える。
「ん? ……おお!? なにこれなにこれ! なんかついてる!」
その基部に、回転式拳銃の弾倉のようなものが追加されていた。
もしかして、これが……
『カートリッジシステムです』
……やっぱり。
「なーんだ! ちゃんとかっこよくなってるじゃん!」
……口調は軽く、戦闘体勢に移行した。
「来るぞ!!」
――ドババババババババババババババババッ!!
校庭に、多数の魔方陣が出現する。
そして出現する、雑魚騎士。
「……守護騎士は、いないみたいね」
「いたらキレるわ」
「え?」「なんでもねー」
隊列を組む……が、砲手が不足気味だ。
何せ、以前まで砲手だった私の砲撃の威力がほぼ半減して、誘導弾さえマトモに操れないのだ。
秀人さん(近接特化)、フェイト(近接型)、アルフ(近接型)、八神(多分、近接型)が集まり……後方支援にユーノくん一人を置くだけという、とても偏った編成になってしまった。
……と、いうわけで。
「とりあえず、突撃じゃね?」
「うんっ、そうだね!」「それっきゃないよね!」「おっしゃー! あたしの本領だ!」「チッ……お前が仕切るなよ……まぁ、突撃でいいけどさ」
秀人さんの提案に、ほぼ全員が頷いた。
「ユーノ。索敵支援回復捕縛その他色々全部任せた!」
ぐっ! と、サムズアップする秀人さん。
「……………………………………………………………………うん、頑張るよ!」
ユーノくんは、全てを悟った晴れ晴れとした笑顔で、サムズアップを返した。。
よーし……!!
「殲滅だああああああああああぁぁ「ちょっと待てえええええええええええええっ!!」
――バシュッ!!
……私たちと、雑魚騎士の一団の間に割り込むように、転送魔法の光が輝いた。
出てきたのは、口うるさい執務官。
「あ、クロノだ」
「何で君らはそう、前に前に出ることしか考えられないんだ! ……というか、フェレットもどき! お前はこいつらを止めろ!」
「ああ……うん。本当なら、そうするべきなんだろうね」
「…………おい、フェレットもどき……?」
クロノが、流石に訝しげに聞く。
「………………人生、流されることも必要だよね」
ふふっ……と、シニカルに笑った。
「……………………なんか、すまんかった」「……………………うん、謝らないで。切なくなるから」
……謎の共感が発生していた。
『アアアアア……!!』
雑魚騎士の一体が、そんな二人に、剣を振りかぶって……
「ええい五月蝿い!!」
『Stinger Snipe』
――ズバババババッ!!!
近づく雑魚騎士たちを、多数の射撃で牽制する。……そうだ!
「クロノ、砲手になって! 私たち、前線でぶった斬ってくるから!」
「だから、待てと言ってるだろう!!」
再三、制止される。
……何か、話があるらしい。
「あの雑魚騎士と呼ばれる存在は……闇の書の主に、一度殺害された被害者だということが判明した」
え!? アレ、中身あったんだ!?
「ああ。…………まだ、救助できる可能性が大きい」
「ええっと……もし、ぶった斬ったら……?」
「……今度こそ本当に、死ぬ」
「つまり……死なない程度に手加減をしろ、と」
「そういうことになる」
やっぱり、闇の書の主は性根が腐ってる。
「倒したからって、元に戻る確証があるのか?」
秀人さんが、もっともなことを尋ねた。
「ああ、ある。秀人、キミの力が不可欠だ。キミの魔法……あの、不死鳥の力が」
「……」
不死鳥? 何のことだろう。
「アレか」「アレかぁ……」『アレですね』
秀人さんと、八神とリーゼは、しっかり理解しているっぽい。
「はぁ……アイツを呼ぶのかぁ……嫌だなぁ……」
……あいつ? 何かを呼び出す……召喚魔法?
「キミは気を失っていたから、覚えていないのも無理はない」
そして、クロノは話し始めた。
私が自爆した後、秀人さんとレイジングハートがどうなったのか……そして、どうやって状況を打破したのか。
――蒼炎。
あのヴィータを……闇の書による強化もされていたであろう守護騎士を、一帯ごと焦土に変える程の破壊力。
闇の書の呪縛をも焼き尽くす、強力な浄化作用。
それが、秀人さんの新たな魔法。
『…………』
秀人さんと八神は、わざわざクローズチャンネルの念話で、何かを話している。八神を口止めしているんだろう。
……偶発的に編み出した蒼炎。それを掌握できるようになったのは……おそらく、八神と一緒に過ごした一ヶ月。
「んじゃあ、アイツの蒼炎で焼き払えば万事オッケー?」
「…………希望的観測を言うなら、だが」
「あ、だめかも」
と、魔方陣を展開して索敵していたユーノくんが、軽く駄目出しをした。
「何がだ?」
「この雑魚騎士たち……遠隔操作されている端末みたいだ。大本を叩かないと、いくら浄化しても……」「元通り、か」
クロノが、忌々しそうに眉根を寄せた。
「……一度破られた呪縛は、改良していて当然か」
「基本的な術式そのものは、変わってないんだよね?」
「うん。多少、応用の式が入っていたりはするけど……基本的な呪縛効果は、同じものだ。闇の書から、結界内部にいる大本を中継して、雑魚騎士……端末を操作している」
「その中継地点ってのは、結界内にいるのか?」
「うん、いることは間違いない。気配が茫洋としていて、うまく掴めないけど……なんとか、探し出してみせるよ」
「よっし……んじゃ、作戦ちょっと変更!」
――ゴシャッ!!
『グァ……!』
顔面をぶん殴られ、無様に地面を滑る雑魚騎士。
「ユーノが中継地点を探し出すまで、雑魚騎士を叩く! ただし、絶対に殺すな! 特にはやて!」
「何で私だけ名指しなんだよ!」
――バキンッ!!
『オァッ……!』
刀の峰で肩をブッ叩かれ、折れた腕がぶらん……と垂れた。一瞬だけ動きが止まる。だが、完全には止まらない。浅ましく残った手を伸ばし、八神にのしかかろうとする。
「チッ……!! めんどくせぇな、もう!!」
――パンッ!!
剣の腹で、雑魚騎士の胴を引っ叩いて遠ざける。
「斬れないんじゃ、剣なんか持ってるだけ邪魔か……」
カシンッ、と鞘ごと革ベルトに差込み、無手になった。
「オラ、来い!」
ひょいひょい、と手招きして挑発する。
『ウウウウウ……』『オオオオオ……』
ちょ、バカ! 無手でどうしようってのよ!
『ガアアアアアッ!!』
って、やっば! 私も、人のことばっかり気にしていられない!
「てえぇいッ!!」
交差させた回天桜花で、西洋剣を受け止め……受け流す!
――ガンッ!!
重量のある西洋剣が、地面に切っ先をめり込ませる。
『アアアアッ!!』
――バゴッ!!
掘り起こすように、振り上げる! ここだっ!!
「せやああああッッ!!」
――ザザンッ!!!
……確かな手ごたえ。
『ア、ア……!』
――ガランッ……
重ったるい音を立てて、西洋剣が雑魚騎士の手から落ちる。
どんなに強靭な鎧でも、絶対に薄くなっている箇所――関節には、必ずと言っていい程、靭帯がある。それは、人間を素体にしている雑魚騎士も同様のはず。……読みは、当たった。どんな膂力があろうとも、靭帯を切断してしまえば、剣を握れなくなる。
『ア、 アアア!!』
悪あがきのように突進してくる雑魚騎士。
「…………ごめんね」
……私だって、好きで斬ってるわけじゃないんだ。
半歩移動して、突進を回避。すれ違い様に……
――ザキュッ!!
……両膝の靭帯を、切断。
『ガアッ……!』
ガシャン! と、倒れ込む。これで、しばらくは動けないだろう。
「……、そうだ、八神!?」
さっき、二体に挟まれれなかった!?
――ゴシャッ……!!
『ゴ……グブッ、』
振り向いた先。今、まさに剣を振り下ろそうとしていた雑魚騎士が崩れ落ちた。
「……来世から出直して来い、ザコ」
プラプラと手を振り、余裕だった。残る一体も、既に倒れ伏している。
『ゴアアアアッ!!』
仲間をやられた怒り……ではないだろうけど、もう一体が、八神に仕掛ける。
――ビュオンッ!!
ここまで風切り音が聞こえる、豪速。だが、その後には何の音も続かない。
「……っと」
くいっと軽く、首を横に傾げるだけで、その一撃を回避していた。
ボクシングのファイティングポーズのまま、懐に深く入り込み……!!
「だありゃあああああァッ!!」
――ゴキッバキッメキャッグシャッ!!
『ガ、ガグアア、アッ……!』
……一撃一撃が、やたらと鋭く疾く……重い。
瞬速の四連撃は、命中した箇所の鎧を窪ませ、抉り、砕き…………露出した下地に、直に拳がヒットした。
「……」
鎧を回避して攻撃を通した私。鎧の上から叩き壊した八神。
……同じ近接戦闘でも、正反対な戦い方だった。
「チッ……暴れ足りねぇし、つまんねぇな……おい、お前ら!」
「あ!?」「なにー!? ……うひゃっ、あぶなっ!」
八神は、凶暴に歯を剥き出し……
「ゲームしようぜ! 誰が一番多く、雑魚騎士をブッ倒せるか!」
は、はぁ!?
「あなた、こんな時に何言ってるの!?」
――ヒュカカンッ!!
『ギャッ!』
もう一体、雑魚騎士を潰す!
「スコアは、そこのスクライアに計上させる! トップの者は、最下位に何でも一個命令できるってルールだ!! んじゃ、決まり!!」
返事も待たず、八神が敵陣に突っ込んだ!
「あ、ちょっと待て!」
「あ、ふらいんぐだぞ! まてー!!」「ちょ、待ってよフェイト!」
フェイト、アルフ!? 何で釣られてるの!?
「くっ……世話の焼ける!」
クロノまで!
「こらああああああっ!! 好き勝手するなああああああああっ!!」
怒鳴っても、既にフェイト達は戦闘を続行してしまっている。
と、隣に秀人さんが並んだ。
「……アイツ、一方的にルールと罰ゲームを決める悪癖があって」
「秀人さん……秀人さんは、参加しないよね?」
あんな、一方的なゲーム。
「…………正直、アイツの罰ゲームだけは御免なんだ! すまんっ!」
秀人さんは片手を挙げ、八神の後を追った。
「ひ、秀人さんまで……!!」
まごまごしていたら……八神は、とても腹が立つ顔で、言った。
「はン! やらねぇなら、そこで案山子みてぇに突っ立ってろ!」
「んぐっ……! な、何だとぉ!?」
「ひゃーっはっはっは!! おい秀人! 最下位は、高町で決定らしいぜ!!」
――ぶっちん。
……明らかに切れてはいけない類のモノが、ブチ切れた。
「みんなの……バカーーーーーーーーーーーーッ!!!」
こうなったら、とことんやってやるううううううううッ!!