話し的にはエピローグのようなもの
adamant faith(「OVAうたわれるもの」op)でも聞きながら見てください
ゴトゴトと……身体が揺れる感覚を感じ、自分は再び鋼の身体で意識を取り戻す。
『……ここは?』
どうやらここはすでにクンネカムン城ではないようだ。
というか辺りが暗いし先程からずっとゴトゴトと揺れているのだが、ここは一体何処だ?
(そうだ、クーヤは何処に……)
「ビャクヤーーー!」
ゴン!
何事かと思ったらいきなりクーヤが頭から突っ込んできた。
しかも凄い勢いでこの身体にぶつかってきたが……あ、頭を痛そうにしている。
「うぐううう……ビャ、ビャクヤ、戻ってきたんだね、お帰り」
涙目ながらも最高の笑顔で自分を出迎えてくれたクーヤ。
「もうクーヤ様ったら、嬉しいのはわかりますがもう少し抑えてください。ここはそんなに大きくないんですから」
おや、この聞き覚えのある声は……
『サクヤ、どうして』
確か安全な町にいるはずでは?
というより今の状況が理解できない。
自分の記憶が混乱してるのかとも思ったが、今まで起きたことはハッキリ思い出せる。
クンネカムン城でクーヤと想いを通じ合わせ、ラクシャインとの最終決戦、そして先輩と決着をつけこの身体に戻ってきた。
『えっと……ここはどこなんだ?』
「ここは馬車の中だよ。今はトゥスクルに向かってる途中なの」
『いやだからどうしてそんな状況になってるんだ?』
「ビャクヤさんが不思議に思うのも仕方ありません。ここまでずっと意識がなかったんですから」
意識がなかったというより元の体に戻ってただけなんだがな。
まぁその点に関してはおいおいわかってもらうとして。
「実はあの後、どうしてもビャクヤさんのことが気にかかって……ベナウィさんに無理を言って城の前で待つことにしたんです。そしたら中で激しい轟音と共に城が半壊して。心配しながら待っていたらクーヤ様がビャクヤさんを背負って出てきたんですから本当にビックリしましたよ」
クーヤが自分を?
『どうして?』
「わたし、何か役に立ちたくて……。だからビャクヤが戻ってくるまではわたしがビャクヤのこと守ってないとって思って安全なとこまで運ぼうと思ったの」
「本当に驚きました……。いつの間にか記憶も戻っていて、それでいて昔とも今までともお変わりになっていましたから」
なるほど、これもクーヤという新しい自分ってやつなんだろうな。
「わたし、もう待ってるだけの女はやめたの。自分から動かないと何も変わらないってわかったから」
ふふんと胸を張るクーヤ……張るほどないけど……。
「まぁ、結局は城の入り口で重さに耐え切れずに押しつぶされていたので、最終的には我々が運ぶこととなりましたが」
ん、この声は外からだな。
確かクンネカムン城に向かう前にサクヤを預けた……
「ちょ、ちょっとベナウィ! そういうことはバラさないでいいの!」
「ちなみにここまでの用意を行ったのも我々です」
そうそうベナウィさん。
なるほど、どうやらこの人が自分達の安全やらこの馬車などを用意してくれたらしい。
「お、鎧の旦那、やっと起きたかい。その様子じゃどうやら大丈夫みてぇだな」
こっちは……確かクロウさんだったな。
『ええ、おかげ様でなんとか』
なんというか……こうしていると本当にすべて終わったんだと実感させられるな。
長いようで短かった旅の終わり……。
『それで、これからトゥスクルというとこに向かうんだったよな』
そこが物語の最終地点。
「はい。それで……ビャクヤさんはこれからどうされますか?」
どうする……というのは、自分のこれからの身の振り方についてだろう。
「わたしはこれからもビャクヤと一緒にいたいな。ね、サクヤ」
「そうですね。ビャクヤさんさえよろしければこのままトゥスクルで一緒に暮らしていくのもいいと思います」
『……そうだな、これから……か』
正直どうするかなんて何も思いついていない。
自分もクーヤ達と一緒に暮らしていくのはアリだとは思う。
でもまだ決められない……だって、自分はまだ何も知らなさすぎるから。
『ま、トゥスクルに着いてから考えるよ』
「もー、優柔不断だなぁビャクヤは」
まずはこの穏やかな時間を、楽しんでいたいから。
数年後……
自分は、トゥスクル城の門を抜け旅立つ準備をしていた。
「むぅ……本当に行っちゃうの、ビャクヤ……」
『ああ、やり残したことがまだまだあるからな』
あの後自分は、トゥスクルで過ごすとともに遺跡調査の第一人者として本土の遺跡を調べ尽くした。
まぁ実際は遺跡……というか昔人間の生活施設や研究施設を調べて、今の時代に行き過ぎたテクノロジーを持たせないよう細工をして回っているだけなんだが。
しかし調査に出る度に毎回ついてくるあのお転婆お姫様がいっつも何かに気づきそうで怖……っとこれは余談だったな。
國作りに関してもチョコチョコ口出しさせてもらった。
作物の育て方から城周りや住宅地の構造なんかも、宇宙ステーションの旧時代の資料が乗っているデータベースを参考に、時代風景に合った発展を考案した。
まぁアヴ・カムゥなどのすでに世に広まったテクノロジーに関してはもう手遅れだし、ちょっと助言させてもらったが……。
とまぁここ数年間でいろいろやらせてもらったわけだ。
けれど人類や自分の事についても、まだ何もかも解決したわけじゃない。
先輩の話では未だ世界中にはタタリ化を免れないコールドスリープ状態の人間がいるようだし、そのタタリに関しても現状を打開できる案を見つけたい。
それに何より、自分がこの身体ではなく本来の肉体でこの地に降り立つための技術を手に入れなければならない。
(いや、この身体でもクーヤとイチャイチャするのは充分楽しいんだが……やっぱりナマで感じてみたい!)
もしかしたらこれが一番の理由かもしれない……。
「ん? どしたのビャクヤ? そんなにジーっと見つめて」
『え!? あ、いや……クーヤは今日もかわいいなって』
「ちょ……! こんな往来でやめてよ、恥ずかしい!」
こういうクーヤとのちょっとしたやり取りも慣れたものだ。
だからこそ今度会う時には、本来の肉体で触れ合いたいものだ。
『それじゃあクーヤ……これから暫く会えないかもしれないけど……』
「うん、大丈夫。わたしはいつだってビャクヤのことを想ってるから」
この数年でクーヤは本当に強くなった。
もう恐怖に囚われていたあの頃のクーヤはもういない。
だからこそ自分はこの旅に出ることを決めた。
「だから、必ず帰ってこないと駄目なんだからね」
『ああ、じゃあ帰ってきたらクーヤの手料理を食べさせてくれ』
「え!? う、うーん……わかった、頑張る」
こうしてクーヤは自分のために頑張ってくれる。
だからこそ、自分も頑張れる。
『それじゃあ……行ってきます!』
「うん、行ってらっしゃい!」
これは誰にも語られないお話
地に住まう辛き過去を背負いし少女と
天にて目覚めた時を超えた青年の
絆を繋ぐ物語
しかしそれは誰も知らない うたわれ"ぬ"もの の物語
うたわれるもの外伝 ~天と地を繋ぐ絆~ -完-
……これにて『うたわれるもの外伝 ~天と地を繋ぐ絆~』本編終了となります。
ここまで読んでくださった方々、感想をくださった方々、お気に入り登録や評価してくださった方々……本当にありがとうございました!
最初は適当に思いついた設定で、「こういうのアリじゃね?」と思って手を出してしまいました。
二次小説を書くのは初めてなので、やはり至らない点はいろいろあったと思います。
それでもここまで書いてこれたのは読んでくれる皆様のおかげです、本当に感謝です!
しかし二人の白皇までに完結できてよかった……これで心置きなくやれる……
二人の白皇で気になるのはやっぱりトゥスクルの内情ですね。
こんな二次小説書いてるせいか妄想がバンバン膨らみます。
PVに出てたあのアヴ・カムゥっぽい足は一体……
とまぁそれはさておき、これにて本編は終了となりましたが、できれば2、3話ちょろっとおまけを書きたいと考えています。
ビャクヤが旅立つまでの『トゥスクルほのぼの滞在記』です。
できれば月一くらいで書いていきたい……
ではまたお会いできればその時はよろしくお願いします。
8/26追記
オープニングムービーきてた!
オシュトル(ハク)とミカヅチのぶつかり合いメッチャカッコええ!
そして最後に写ってたエルルゥらしき人物とその奥の人って……やっぱ復活してたんすか!?