IS(インフィニット・ストラトス) 2人目の男性IS操縦者 作:スーパープルコギ
今回処女作でございます『インフィニット・ストラトス』の二次創作。
頑張ってみたいと思います。
更新ペースはあまり速くはないですが。
あ、因みにセシリアがオリジナル主人公寄りですが、私はガッツリのシャルロッ党なのであしからず。
至らない部分も多いですが宜しくお願い致します。
━へぇ。面白いね君は━
「ん……」
寒い。意識が覚醒した時一番に思ったのはそれだった。
4月の初め、俺はいつもと特に変わらない朝にいつもと特に変わらない欠伸を1つ。
「……何時……」
ベッドの脇に置いた小さな手作りのテーブルからフューチャーフォンを掴んで時刻を確認。既に9時を回っている。
寝過ぎだ。
『優太、いつまで寝てるんですか』
「ん、今起きたよ。すぐ下りるからぁふぁ……」
ドア越しによく聞く声がする。本当に聞き慣れた、いつもの声。だが今日はやや溜め息がちに─
『……昨日も遅かったんですね』
「ん、まぁね。でも稼ぎは良いんだ」
『貴方はまた……はぁ。取り敢えず、今日はルイディナが日本に発つ日ですよ。早く起きてください』
「……忘れてた。すぐ起きるわ」
俺の部屋は2階だ。だから今日みたいな寒い日は階段が冷たくてよく目が覚める。
◇
「おはようルディ」
「おはようユウ。珍しく遅いじゃん」
食堂に着くと既に見覚えのない白い制服に身を包んだ妹、ルイディナ・ニコラエフの姿があった。
俺が物珍しく見ているとそれに気付いたルディが自慢気に立ち上がり、胸を張ってみせる。
「可愛いでしょ。これが、IS学園の制服。私も遂にIS学園の生徒になったんだよ」
『IS』それは俺にとっては良いイメージのない物だ。
「おう。似合ってんじゃん」
「えへへ」とルディがニヤニヤし始めた所に数人の子供達が続々と食堂に入ってきた。
「あ!ルディ姉ちゃん『あいえす』の服着てるー」
「お姉ちゃんかわいー」
「おはよー」
各々が色んな反応を示しながら俺の腹をどついてくる。いつもの事だ。何でこんな事をするかも分かりきってる。
「こぉら。誰だ俺のくすぐり攻撃を食らいたい奴はぁ?」
五指をワキワキと動かして子供達に近付くと直ぐ様楽しそうな声を上げて逃げ出す。
「こらこら。ちゃんと礼拝堂のお掃除は出来たんですか?」
と、そこに優しい聞き慣れた声が聞こえる。
「今やるー」
「お姉ちゃん頑張ってねー」
「うん。今度お土産買ってくるからね」
子供達が手を振りながら礼拝堂へと駆けて行く。
「おはよう母さん」
「はい。おはようございます」
彼女はこの孤児院の院長、皆が「お母さん」と呼ぶ人だ。
此処に居る皆は血の繋がりは無い。だからルディも妹ではあるが、彼女もそして先刻の子供達も俺と同じく、孤児だ。
「お母さん、本当にありがとう。私、夢が叶ったよ」
「ええ。ええ。本当におめでとう。ルイディナは頑張りましたもの」
「でもお母さんが今まで学費を出してくれなかったらここまで来れなかった。本当にありがとう」
「良かったなルディ。お前頑張ってたもんな」
「まあね。ところでユウ……本当に学校行かないつもり?」
またその話か……。
そう、俺は高校どころか義務教育すら受けていない。ルディは母さんが学費を出してくれたお陰でここまで漕ぎ着けたのだ。まぁ、俺はやることがあるしな……。
「ん。今年も稼ぎ時なんだ。勉強なんてしてる暇ねぇよ」
「毎年稼ぎ時言ってるよ。……ねぇ、今日こそ話して。ほぼ毎日仕事だ、なんて言って出掛けてるけど……何をしたらあんなに稼げるの?」
「秘密だよ。皆には関係ない」
(言える訳無いだろ……)
そう、言える訳無い。何しろ俺がやっているのは某資本家の警護だ。つまり命の危険が伴う仕事だ。幸いにも資本家のおじさんには贔屓してもらって稼ぎも多いし、信頼も得ている。
勿論その資本家だけではない。他にも大臣クラスも陰ながらではあるがやったこともある。ただ、俺の存在はあまり公表したくはないので、いつもは借りたスナイパーライフルで遠距離から警護、たまにすぐ横で居たりする位だ。当然、警護中に危険人物を“処理”した事も多くある。だからこそ、言えない。
それに、俺が稼いだ金はこの孤児院に入れてるし、ルディの今までの学費にも入っている。母さんは、この孤児院は決して潤ってる訳ではない。孤児も多く居る。お金は足りていないのだ。皆働けるような歳ではない。だからこそ、そう言った仕事は“専門”の俺が、一番年上の俺が稼がねばならないのだ。たとえ母さんが今に至っても反対していたとしても。
そうしないと、此処は、皆の家は無くなってしまう。
「……じゃあ約束して。危ないことして、死なないって」
一体何の仕事を想像しているんだ……。
「何を想像してるか分かんないけど、それは無いから安心しろって。ほら、もう電車だろ?」
時計を見ればルディが決めた出発時間に迫っている。
「……じゃあ、また今度ね」
昨夜出発パーティして一杯泣いたからもう泣かないだろうと思っていたが、目が潤んでる。
「おう、またな。頑張れよ!」
背中を一発叩いてやった。
「いってらっしゃい」
「行ってきます、お母さん、ユウ」
ドアを開けてルディが行く。
ん、孤児院の外はやっぱり寒い。だからこういう日は“接合部”が痛む。
4月の始め、俺はまたいつもと特に変わらない日々がまた明日も来ると思っていた。
◇
孤児院から離れて森の中。トレーニング中に悲劇は起きた。
『もすもーす。ゆー君ですかぁ?皆がだぁい好き!たb』ブツッ。
「……面倒臭ぇ」
見送ってから大分経って日が沈んだ頃、面倒臭い相手からハイテンションな電話が掛かってきた。
別に出なくても良かったんだが、如何せん出ないと何をするか分からないから思わず出てしまった。
実は相手はかの有名な篠ノ之束。前に色々あって助けて貰ったり諸々してもらったのだが、近くに居ると頭が狂いそうだから逃げた。
いやね、確かに恩知らずだと思うよ。だけどね、んまぁ、あれだ。……到底理解出来ない事ばかり有るとね……うん。だから切った。
「むー。ゆー君ってばヒドーイ」
「んぬぁ!?」
いきなり後ろからドロップキックされて地面に顔から突っ込む。
「はーいどうもー!今日はゆー君で遊ぼうと思ってねー。ていやっ!」
最早此方の意見など知ったこっちゃないと起き上がろうとする俺に何かをくっ付けてきた。
ヤメロー!ろくなことにならねぇ!
「おお!?こいつ、動くぞ!?ゆー君良いねー。おっ?相変わらず良い筋肉だね。ハァハァ」
「クッソォ!テンション高いわ話しは一貫してないわ最悪だー!」
ジタバタしてもビクともしない。相変わらずは此方だわ!
「よーし。これなら大丈夫そうだねー。ゆー君ありがとー。じゃねっ」
シュバッ!と擬音を口で放って姿を消した天災。
地面にキスして、女1人退かせなくて、惨めだ……。
「……嫌な予感しかしない!!」
後日、俺は黒服の男達に連行され、何処かの部屋に放り込まれた。
「展開速すぎるだろ……」
ぼやいても仕方がない。無論理由は知ってる。
『曽我美優太。これよりISの適正テストを行う』
そんな馬鹿な、と最初は思っていた。いや、今も思ってる。ISは女性にしか使えない。それは俺が身をもって体験している。ただ、例外で1人日本に居るが、彼とは俺は無関係の筈だ。
「あの、俺は何をすれば……」
『其処に有る『打鉄』に乗れ』
何処かで喋ってるのは女性だな。明らかに男の俺に対して嫌悪感を抱いている声音だ。
無理もない。ISが世界に登場してから、社会の女尊男卑が著しくなった。
ISは女性にしか使えない。これこそが世界で起きた意識の変化の元凶だ。あの天災、何のためにそんな設定にしたのか知らないが、お陰でとんでもない迷惑だ。
それに、俺はIS絡みで体の一部が無い。だからISに対して俺は嫌悪感を抱いている。
「……」
だが、心当たりが無いわけでもない。だからそのIS絡みの事が大変気になって仕方がない訳で……。
『早くしろ。ったく面倒な……』
聞こえてる。いや、聞こえるように言ったのか。
兎に角、ここで何か起こさないと帰れそうにもない。
ガンガン嫌な予感しかしないが、こうなったらやるしかない。
「……『打鉄』か……。『マリオネッタ』以降だな、ISに触るのは」
放り込まれた部屋。その中心に佇む鎧のような妙ちくりんな形を成した機体。それこそが『IS』。正式名称『インフィニット・ストラトス』宇宙運用が目的だったマルチフォーム・スーツ。
ただ、現在は宇宙運用云々よりも『スポーツ』へと落ち着いた飛行パワード・スーツだ。そんな事は知っている。兎に角俺がこいつをどうにかして帰れれば万事解決なのだ。
「……」
静かに佇む『打鉄』はとても冷たかった。
─『打鉄』起動。
─ハイパーセンサー接続……完了。
─スキンバリアー展開……完了。
─PIC作動。
─完了。完了。完了……。
頭の中に膨大な量の情報が流れ込んでくる。
そして解る。俺はこいつを動かせてしまう。
─パイロット確認……照合。曽我美優太 確認を。
目の前に現れるYesかNo。俺としては非常にNoを押したい。だが、それは叶わぬ夢だ。
『嘘!?本当に!?こんな事が有り得るの!?』
『直ぐに学園に連絡を!それと手続きの準備を!』
「……『打鉄』、No押しても良い?」
応える筈もない。相手は機械。考えれば分かる。
「はぁ……。してやられたよ。全く……」
ハイパーセンサーのお陰でマジックミラーの向こうやら部屋の外やらが慌ただしくなったのを知覚しながら、俺は諦めてYesの押した。
この日、俺は篠ノ之束の仕業により、「ISを使える第2の男」として、世間に名と顔を知られることになった。
誤字や変な部分が有りましたら遠慮なくどうぞ。