F≠S 《インフィニット・ストラトス》   作:バンビーノ

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37.変化≠逆戻

 布仏本音は些か驚いていた。生徒会室に男児二名が運び込まれたのは約半刻前。楯無が息も絶え絶えに抱えてやってきたのだ。

 それを見た本音の姉、虚は肩を落としつつ何があったのか問えば、バトってきたと。見ればわかることだった。

 

「だからそこに至るまでの、いえもうお嬢様が唆したことはわかりましたのでいいです」

「お嬢様じゃなくて会長。あとその私に対する信頼感はなんなのかしらん?」

「ご自分の胸に聞くのが一番かと」

「いやん、虚ったらセクハラ」

「…………」

「ちょっとー、無視はよくないわよー」

 

 問答を聞き流しつつ、呻き声を上げている出路はなにを夢見ているのか。本音の主観から見れば夢見が悪そうなのだが辛そうに見えないのがやや不思議。

 しかし、その有り様はボロボロなものの、ふたりしてさほど間を開けることなく目覚めそうだ。一夏は体力のあるうちに落とされたから、出路は夢見が悪いがゆえにと理由は真っ二つに別物だが。

 

「かいちょー、それでどうでした~?」

「まぁ概ね良好よ」

「概ねに入らないところが気になるかなぁ」

「本音ちゃんは間の抜けた喋りなのに鋭く痛いところ突くわねぇ」

「えへへぇ、それほどでも~」

 

 適当な席に男子二名を置きため息ひとつ。ため息が疲れたからなのか、やや良好にいかなかったことを思ってかは本人のみぞ知る。

 

「出路君に嫌われちゃったかも、テヘッ?」

「テヘッ? じゃないですよ。なにしているんですか……」

「キャラが想像よりも違ったのよー」

「資料ばかりに頼るからですよ」

「いえね、話したことはないけど何度か実際に見かけたことはあって……学園(ここ)に来る前のことはそりゃ資料だけだったのだけれどね?」

 

 けどそれも彼と親しかった友人たちから更識関係の者が直接情報収集されたもの。主観による多少のズレはあれど楯無であればそこは些末な問題だったはずなのだがどういうことか。

 ちなみに彼の両親は頑なに話してくれなかったそうな。訪問時にぶぶ茶漬けを出されてたとかインターホン押せばひたすらセールスとして対応されたとか訪問時に扉の前に塩が置かれてたとか。なんかもう保護プログラムが適応されてるから許されるギリギリのラインの失礼さを突っ走っていた。

 

 よくよく考えればそんな両親から生まれた彼が、彼の友人から聞き及んだようなただただ平凡な没個性なものだろうか。学園に来てから性格に変化があったにしても、有りすぎる。

 

「可能性としては彼のお友だちが適当に語った、もとい騙ったかなのだけれど」

「……そりゃああれだろ。友人ってのがたっつんとみーちゃんなら揃って口裏合わせて嘘吐いたんだろ」

 

 いつの間にか起きた、鼻が痛むのか眉を顰めている出路がいた。散々に打ちのめされたせいか気怠い身体を起こしながらなんてことないかのように言った。

 

「勝手に環境変えられて、好き勝手に根掘り葉掘り身の回りを調べられて、挙げ句の果てには人間関係とその相手のことまで話せって言われりゃ……言われなくてもやりそうだなアイツら」

 

 たっつんとみーちゃん。このふたりがどのような人間か真に知るのは出路(でっち)のみ。その彼が懐かしそうにしながら笑みを浮かべている。

 

「嘘のひとつやふたつ吐かれたんだろ……というかアイツら俺のことなんて言ってたんだよ。むしろ俺が心配だぞ」

「そう、それなら納得だわ。君の在り方にもあの怒りようにも。友人に想われていたのね」

「俺は納得いかねぇけど、というか私怨じゃねえかと思うんだが」

「納得がいかなくても君は負けたんだから従ってもらうわよ?」

 

 楯無は扇子で口元を隠しながらムフフとイヤらしく笑う。その扇子には“絶対服従”の文字があるも出路は腕をクロスさせてバツをつくる。

 

「断る。俺はその条件を承諾してねぇ」

「いやいや、出路君はたしかに乗ると言ったよ」

「ああ。挑発に乗るとは言ったが誰も一夏と会長さんの勝負事に乗るとは言ってねぇぞ」

 

 その言葉に楯無は停止して記憶を掘り起こす。

 

「……あっれー、たしかに言ってない」

「よっしゃ。じゃあこの話はここまでってことで」

「いやいやいや、待ちなさい。一夏君を置いていってもいいのかな?」

「いつだって平和は誰かの犠牲のもと成り立ってんですよ」

 

 揚げ足取りのように煙に巻いて、それらしいことを吐いてサラリと友人を見捨てていこうとする。口の回転が上々なことに併せて頭の回転も比較的良好。あの挑発に乗ったときには一夏に提示された条件に自分も乗ったつもりでいた。

 のだが避けられるなら避けたいわけで。思いつきにしてはうまく躱せたのではないかと自画自賛しつつ、桐也は更に先を考えてみる。

 

 ……先がどこにあるのかわからずいつも通り思考が脱線。勝手に環境変えられてとか、誰かの犠牲と言えばシャルロットって割りと不憫な理由で学園来てたなぁ、なんて関係ないところに思考が飛んだ。

 

「男友達をひとり置いていくのは忍びなくないかい?」

「……あー」

 

 悩んでるような適当な生返事をして目の前の楯無へ思考を修正しつつ、桐也は一夏をどうするか再考。

 

「ほらほら、遅刻しそうな一夏君を待って、逆に自分が遅刻しちゃったくらいのキミなんだから、ね?」

「なるほどなぁ。会長さんはあのときのこと知ってんのか」

 

 知ってるというか見てたし声もかけたんだけどね、という呟きは楯無の口のなかで留まりニコニコとしたフェイスを保つ。

 

 桐也は記憶を掘り起こして、なるほどたしかに見覚えがあった。二十五キロマラソンをしてたときに声をかけられていた。覚える気も余裕もなかったために顔を見ても思い出せなかった桐也だが、芋づる式にあのときの記憶が呼び覚まされた。

 ──一言で言えば超しんどかった。

 

「けど俺はこう思ったんだよ──やめときゃよかったってな! 帰るわ!」

 

 マラソンついでに桐也はひとつ思い出した。シャルル、つまりシャルロットが転校してきた翌日の学食でも楯無に話しかけられていた。二人前食べることをつつかれてたが、もしかしたらなにか知っていたんじゃないだろうかと邪推する。

 しかし、帰る気満々で特に確認するつもりもないのであった。

 

「待った待った。本音ちゃーん、出路君のこと引き留めといてー」

「あいまむー。いひひっ、そういうわけで~、でっちーここを通りたくば私を倒すことだ~」

 

 タイムを要求した楯無により召喚された本音はゆるゆると生徒会出入口を塞ぐ。小脇を抜けようとするもフラフラとした動きが出路の進路を上手く遮ってくる。

 

「……一夏と一緒に生徒会に監禁されたって織斑センセに言えば、ワンチャンIS使っても許されねぇかな」

「でっちー真顔で私にIS使うか検討しないで~!」

「いや、のほほんさんにじゃなくてだな。壁抜きとかそういうんだ」

 

 視線を窓や扉に向けて思い出すのは織斑家での大掃除。打鉄の拡張領域でも十分に量子変換して収納できるかの確認。

 しかし、道が出来たところで部屋の隅でヒソヒソと虚と話している水色が彼を組伏せるだろう。生身でもISでもだ。

 

「まーまー、落ち着いて。かいちょーは強いし権力も下手な先生たちより上なんだよ?」

「……クッソ、またIS学園が俺の中の常識を壊していきやがる!」

「加えて更識家っていうのはね~」

「これ以上変な情報を言うのはやめろのほほんさん! 俺の脳の容量(キャパ)が一気に溢れるだろーが!」

 

 制止はサラリと無視して更識家についてユルッと伝えるのほほん劇場が始まった。

 

 日本には古来より暗部というものが存在した。時代によってそれは忍やスパイと名称を変えたものの公にできない、もしくは伏せておきたいことを遂行するための存在しない組織として機能する。縁の下の力持ち、見えないが重要な役割を果たした彼らはとある時代に最盛期を迎えた。

 

「けどね~、暗部が横行すると存在しないはずの組織の存在感が大きくなってきちゃったんだよね~。それに権力を持った組織ってよく横暴になっちゃったりして」

 

 国のお偉いさんが暗部処すか。そう言ったそうな。

 実際のところはもっと厳格な言葉ややり取りがあったかもしれないが一言でまとめると大体あっている。暗部が行き過ぎた行動を取らないための抑止力、及び国のための暗部もしくはもとより敵サイドの暗部を叩くための存在。

 それが対暗部用暗部“更識家”。

 

「ってわけだよ~」

「重いわ。急にのほほんと語られた内容にしては濃すぎるし胃もたれ起こしそうだ……え、ガチもん?」

「本物って書いてマジもんだね~」

「対暗部用暗部ってややこしい名称も?」

「そうだね。まー、会長に限らずこれだけ多国のエリートが集まってる時点でさ~、スパイとかって確実にいるよね~」

「……まぁ、学園のスパイはどうでもいいか。どうせ男にとっては嫌いな相手にも笑顔で語らえる女子なんて皆スパイみたいなもんだ」

 

 空を仰いで現実離れしたゲームの設定のような現実の事実を飲み込もうとする。いや、上を向いたところで染みひとつない天井が見えただけなのだが。

 

「よし、一夏連れて帰るわ」

「かいちょー、信用度が減っちゃったよ~」

「本音ちゃんもっと頑張って!」

「あいあい~。でっちーもうちょっとお話タイムだよ」

「帰りてぇ」

 

 出入口は布仏本音に塞がれ窓からワンチャンは普通に楯無に止められる、桐也は頭を抱えるしかなかった。

 

「まーまー、そう落ち込まない落ち込まない」

「落ち込んでねぇ……」

「なら~、諦めた?」

「ねぇわ、そりゃねぇわ」

「でっちー、なんか諦め悪くなった?」

「……そうか? 元々こんなだぞ」

 

 本音はそろそろこのグダり始めた空気に流されて、クソ面倒くさそうにしつつも仕方ないと折れるかと予想してたのだが。予想に反して折れてくれない。ダボついた袖をパタパタしながらどうしようかなとシンキングタイム。

 

 桐也は桐也で現状に悩む。一夏を見捨てるかどうかで言われれば置いていってもブーブー言われるくらいで問題はなさそうではある。しかし困ったことは他にある。視線の先にはまだ虚と話しているブルーヘッド、つまりは楯無。

 

 ──どう考えても出し抜けなさそうなこの生徒会の面々から、この場を切り抜けたとしてもどこかで詰みに入るんだろうなぁ。

 

 鍛えられることは嫌ではない。避けられないし強くなるべきなことも理解してるし強くもなりたい。ならなんで断るかと言われれば、単純に桐也が楯無のことを苦手に思っている、好ましくないと感じているだけ。

 

「でっちー、お菓子あげるしゆっくりしていきなよ~」

「露骨に引き留め方が雑になってんぞ。ちなみになんだが、更識家ってどれくらいの力がある?」

「ゴリラかオランウータンくらいかなぁ」

「物理的にじゃね、待て物理でも怖いわ」

「冗談冗談~。権力でも実際のところ強いよ? 国家間で問題が起きたときに更識家が対応することもあるからね~」

「そうか、そうか……よし」

 

 足りない頭での奸計は終わったようだ。本音はニッコリと笑みを浮かべる。

 いつの間にか虚との会話を終えていた楯無も桐也を向いていた。

 

「会長さん、ちょっといいか?」

「ちょっとと言わずドンと来なさい」

「Don't来なさい? 帰れってなら帰るんだが」

「違うわよ。君の耳どうなってるのよ」

「まぁ、冗談だ。本題は別でだな……会長さんがまた本気で俺を巻き込もうとしたら逃げ切れる自信はねぇや」

 

 頭を掻いて心底嫌そうな顔をしているが本気で言っているのが楯無にはわかった。だから諦める、というわけでもなさそうなのでおどけながらも続きを促す。

 

「あらら、後輩君にこんなにも信用されてて照れちゃうわ。それで出路君はどうしようというのかな?」

「どうしようってほどのことでもねぇよ。提案がある。あんたの条件を飲む代わりに俺の頼みも聞いてくれ」

「聞くだけでいいのかしら?」

 

 揚げ足を取るような言を返して開いた扇子には“口約束反故”と書かれていた。それを宴会芸の小道具かと桐也は流す。

 

「……たぶん割りに合わないこと頼むからな。考えてくれるだけでも俺の悩みが軽くなる」

「へぇ、聞くわ」

 

 ──彼の話はわかりやすく単純だった。楯無、いや更識家当主であれば叶えられなくもない。彼がそこまで考慮していたかは定かではないが、なるほどたしかに一考の余地のある頼み事であった。

 

 ただ気になる点があるとすればだ。

 

「ふぅん、けれどいいのかしら。その願い事は君に対してメリットがないよ。卒業後の安全確保とかいいのかしら」

「あ、やっべ……」

 

 なにもいいことはなかったらしい。いつもの考えなしの思いつきで提案したようだ。面倒くさそうにしながら思考を巡らせ、ようとして止めた。先に提案したことも、卒業後の己の安全もどちらも大切だが天秤にのせて比べるようなことじゃない。早々にその結論に落ち着いたらしい。

 

「それは追々考えるわ。まだ2年半以上もあんだ。先に目下の悩みごと解決してからでも遅かねぇだろ」

「アハハッ、いいね。君のそういうところお姉さん好きよ?」

「ほーん」

「褒めたんだから照れるかしたらどうかな?」

 

 半目で見られるが桐也はいつもの着信拒否。口にされないとわからないと言いながらも、ときには口に出されても無視するのが彼であった。

 

「条件は飲んでくれるのか?」

「いいよ。前向きに善処するとも約束してあげようじゃない」

「ならいい。正直元々がマイナスしかねぇ状態だったんだ。その口約束引き出せただけ俺的には頑張ったわ」

 

 口には出さないが出路にとって鍛えてもらうこと自体は悪くない。その対価に強制部活加入は釣り合わないとも思うが、出路にとって今の条件を飲ませたことである程度釣り合いは取れた。

 

 楯無はメリットがないというものの、自身だけの力で解決困難な問題に助力を得られただけで助かる。いや、もしかしたらお節介でしかなく無駄な懸念かもしれないのだが、それでも彼にとっては気にせざるをえない問題なのだ。

 

「じゃあこれからよろしくね」

 

 手を出さずに桐也が無言で数歩下がる。

 

「ちょっと? ここは交渉成立して仲良くしていくところじゃないかな?」

「いや、なんか私怨込みでプライベートでは踏み込みたくねぇなって」

「君ってそんなに失礼なキャラだったっけ」

「だからもともとこんなんだっての。さっきからなんだ人が変わったみたいによ。人間そうそう変わんねぇよ」

 

 人が変わるなんてのは、それこそよっぽどのことがないとおかしい。言外にそう含みを持たせたかのような発言に楯無は内心で眉をひそめる。その物言いはまるで出路桐也には()()()()()()()が起きていないとでも、自身に変化を与えるほどのことが起きていないかのような言い方じゃないか。

 

 そんなはずはない。

 

 桐也は変わってなんかいない。ただ環境の変化に合わせて──

 

 

▽▽▽▽

 

 

「──だから私が“僕”でいたのはただ取り繕ってただけなんだよ。学園っていう女所帯の環境じゃなくて少人数の男の子に紛れ込むためにね」

「ふむ、なるほどな。根底の変化というほどのものではなく、ペルソナを被っていたようなものか」

「んー、ザックリいうとそうかな? でもラウラってば急にどうしたのさ。私が入学してきた頃の話なんて」

「ん、なに。大したことはない。クラリッサが僕っ娘? というものにハマっているらしくてな。そういえばシャルロットは昔そうではなかったかと」

「昔ってほどじゃないけどね」

 

 シャルロットは喉仏なんかで性別がバレたことを思い出して思わず苦笑する。あれから連絡を取っていない父もどう思っただろうか──どうでもよかったのかもしれない。チクリと胸が痛くなるが頭を振って切り換える。今の話題はなんだったか、学園に来たときに比べて伸びてきた、ミディアムほどの長さになってきた髪の毛を指先で弄りながら思い出す。

 ……僕っ娘とかいうものだったら切り換える必要はなかったのかもしれない。

 

「えっと、だから人が変わることはそうそうないかな。ラウラはどう思う?」

 

 話題も切り換えることにした。

 

「そうだな……私はあり得ると考える。いや、私がそうだったというべきか。前にいつか言ったかもしれないが私は試験管ベイビーでな」

「待って待って聞いてない聞いてない! そんな軽く言っちゃっていいの!?」

 

 大慌てでラウラの口を閉ざすがペロッと出された舌に思わず手を引いてしまった。

 思わずキョロキョロとするもそこは自室。よかったと心底安心しながら気まずそうに舐められた手のひらを見る。ラウラは気にせずに話を再開。

 

「む、そうだったか? ……シャルロットならいいだろう。私がそう決めた。異論は認めん」

「え、えぇ、ラウラがいいなら私はなにも言えないけど……なんだかちょっと織斑先生みたいだったよ」

「そうか、教官に似ていたか。フッ」

 

 何故か満足げな顔をしたラウラだった。しばし無言の間が続いて、はたと手を打つ。

 

「話の腰が折れたな。なんやかんやあった私は軍で落ちこぼれとなってな。下しか見ることが出来ない人間に、人間以下のなにかに成り下がっていた」

 

 色々とツッコミを入れ損ねたシャルロットは黙って話を聞くことにした。ラウラ節の唐突さであれ、それはシャルロットを信じて話してくれることであったから。

 

「無駄に資源を消費してただ生きているだけ。ああ、やはり人ではなかったのだろうな。肉袋に命が入っただけの何かだった私は織斑教官と出会った。強烈で鮮烈で滅裂なあの人にな」

「滅裂は褒めてないよラウラ」

「語呂がよかったのだ流せ。教官は厳しかったが私を直ぐに人に変えてしまった。人が変わる、とはまた違うのかもしれないがな。

 だが似たようなものだろう。そこまで落ちた状態でもよほどの幸運に恵まれれば人は変わる」

「そっか。ラウラの持論は実体験に基づいてるんだね」

「ああ、なんならもうひとつあるぞ?」

 

 ニヤリとシニカルっぽく笑みを浮かべる様はやはり何処か織斑千冬の面影を思わせる。それほど強烈に彼女のなかにあった存在だったのだろう。そして、あとひとり。

 

「それなら私でもわかるよ。一夏だよね?」

「む、当たりだ。嫁に対して私は初め敵意を抱いていたからな」

「それが今ではこんなにべた惚れだもんねぇ。うんうん、たしかに人は変わるねぇ」

「ぐぬぬ、そういうシャルロットはどうなのだ!」

 

 にへらっとしたシャルロットに頬をつつかれたラウラは反撃の狼煙をあげた。ドイツの冷水と呼ばれた彼女、男に惚れて割りと温水になっちゃったがただでやられはしないのだ。

 

「私……?」

「急に学園に来ることになっていい気はしなかったはずだ。だが今は私をからかって笑えるほど楽しんでいるではないか!」

「ああ、ごめんごめん。そんなに怒らないで」

「……怒ってなどいない。それでどうなのだ?」

「んー、私は変わったというよりも」

 

 フランスにいた頃。それも母と暮らしていた頃。

 優しかった母と外に出て駆け回ってお花畑にダイブして泥んこになりながら笑っていた。家のなかでも落ち着きなく花瓶を割ってしまったこともあった。結局母は叱らずに優しく諭されて心配されたのもいい思い出で。

 

 何が言いたいかって、結構やんちゃにしていた。

 さすがに母を煽ったりしてはいなかったけど、方向性の違いや環境による多少の影響だろう。

 

「うん、私は変わったっていうより戻ったっていうのが近いのかもしれない」

「戻った?」

「そうそう、今からじゃ想像できないかもしれないけど、昔の私ってやんちゃだったんだよ?」

 

 ラウラは口元に手を当て少し考えてキッパリ言い切った。

 

「いや、普通に想像出来るぞ?」

「えぇー!?」




ここまで読んでくださった方に感謝を。

出路の両親:この親にしてこの子あり。
たっつん&みーちゃん:でっちフレンズ。類友。
更識家:さてはおめー暗部アンチだな。たぶんそのうち対暗部用対暗部用暗部が出てくる。出てこない。
記憶を堀り起こす:3話と10話にちょろっと出ている会長さん。前から軽くちょっかいかけてました。

僕っ娘:お嬢様口調もいると聞いてテンション鰻上がりの副隊長がいるらしい。
伸びてきた髪の毛:忘れられてそうな設定。“シャルル転校時の髪の長さはボブ(not人名)程度”
試験管ベイビー:ドイツの科学力は世界一かは知らないけどそういうことしてた。
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