艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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どうもです。 久しぶりにこちらも更新しました。
一応ネタは上がっているものの、それを上げるモチベーションが上がらないというジレンマ。 もどかしいですね…

艦これでは今日新たにザラの改二が出ましたが、練度はまさかの88。 …現状はしばらくレベリングの日々になりますね……





第91話 託された手紙と二人の思い

 

 

 

夜空の星々に交じって、空を駆ける黒い塊。 加賀が放った艦載機は『ブロロロ…!』というエンジン音とともに一斉にばらけ、対象となる人物……幸仁へと襲い掛かる。

 

 

「ふっ…!」

 

 

だが、幸仁も艦載機の音と風の流れを便りに、巧みなステップで自分へ飛来する艦載機を躱していく。 が…

 

 

「ぐぁっ!?」

 

 

いきなり足元から襲い掛かる爆炎と水流が、幸仁の体を吹き飛ばす。

どうやら、加賀の放った艦攻から発射された魚雷が爆発したらしく、その攻撃が幸仁を襲ったのだ。

幸仁は海面を転げまわりながらも、素早く体勢を立て直し、残りの艦載機の攻撃をぎりぎりで躱していった。

 

 

「なるほどな… 艦攻の突撃で俺の気をそらし、そのスキを狙って海中から魚雷で攻めるか。 やってくれるな」

 

「昨日と同じ轍は踏まないわ。 貴方は、私の手で仕留めて見せる。 何としても、ね…!」

 

 

背中の矢筒から新しい艦載機を抜き、再び加賀は弓を構える。 幸仁もその姿をとらえたまま、刀を視線の先に合わせながら構えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜のトラック泊地。 すっかり暗くなった外では、提督である正也が今日のトレーニングを終えて一人戻る姿があった。

 

 

「あー疲れた。 さすがにちょっと気合い入れすぎたな、こりゃ… あいつをぶっ飛ばすためとはいえ、ウチが飛ばしすぎたらこっちが先にばててしまうな。 いかんいかん…!」

 

 

来るべき戦い。 深海棲艦たちの背後にいる黒幕、櫟谷葬壱との戦いを想像し気が高ぶりそうになるのを必死に抑える。 自分が突っ走ったら、その分周りを困らせるようなことになるのは、カスガダマの時の戦いで学んでいた。

同じ失敗を繰り返さないためにも、正也は自分に言い聞かせると、私室へ戻って休もうとした。

 

 

「…にしても、兄ちゃん最後まで来なかったな。 タウイタウイ泊地に戻る準備とはいえ、こんなに遅くなるもんなんか?」

 

 

一人ブツブツ言いながら、正也は私室のある中央建物へとやってきた。 …その時だった。

 

 

 

 

 

「あっ、弟さん。 ここにいたんですか」

 

「おや、赤城さん。 ちょうど良かった、ちょっと聞きたいことが」

 

 

中央建物の入り口、そこで赤城とばったり顔を合わせる。

ちょうどいいと言わんばかりに、正也は赤城に、赤城は正也へ尋ねてきた。

 

 

「赤城さん、兄ちゃん見なかった?」

 

「すみません、加賀さんを見ませんでした?」

 

 

お互いに質問がかぶってしまい一瞬戸惑うが、お互い見ていないと返事を返す。

 

 

「そっか… 赤城さんも見てないか」

 

「弟さんも、加賀さんがどこか知りませんでしたか」

 

「兄ちゃん、明日の帰りの準備をするって出て行ったんだけど、赤城さんはどうして加賀を探してたの?」

 

「……。 じ、実は…ですね……」

 

 

もじもじした様子の赤城に首をかしげる正也。 そして、彼女は正也に今までの出来事を打ち明けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええーっ!? 赤城さんが兄ちゃんに告った――!!?」

 

「大声で言わないでください! 恥ずかしいです…!」

 

「あっ… ご、ごめん……」

 

 

顔を赤くしながら叫ぶ赤城に、正也は素直に頭を下げる。

赤城が落ち着くのを待って、正也は話をつづけた。

 

 

「そっか… 兄ちゃんは赤城さんの告白を断って、加賀さんがそのことを聞いちゃったのか」

 

「あの時の加賀さん、何か思いつめたような顔をしていたので、正直不安で……」

 

「そういや兄ちゃんも部屋を出るとき、なんか妙な質問をしてたな。 そのこととなんか関係があるんか?」

 

 

ふと、執務室から出るときかけられた質問を思い出す。 あの時は深く気にしなかったが、今思い出すと何か意味があったんじゃないかと気になってきた。

 

 

「ひとまず、お互い分からない以上仕方ないですね。 私も、提督についてわかったら知らせますので、弟さんも加賀さんを見たら知らせてください」

 

「うん、分かった。 じゃあ、また明日」

 

 

お互い手を振って、正也は赤城と別れていった。

執務室まで戻ってきた時、正也はあるものに気づく。 執務机の上、そこには一枚の紙が置いてあった。 見ると、それは手紙らしく、字体から見て書いたのは幸仁のようだった。

 

 

「これは兄ちゃんの字か。 何だろう、いったい…?」

 

 

訳が分からず手紙を読み始める正也。 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也と別れた後、赤城は艦娘寮の自室へとやってきた。

普段は加賀が使っているこの部屋だが、本来は二人部屋として広かったので、彼女も一緒に泊めさせてもらっていた。

赤城は畳に腰を下ろすと、窓に目をやった。 窓から見える空はすっかり暗くなり、明るいときは見えなかった星々がまるでプラネタリウムのように燦々と輝いていたのであった。

 

 

「……。 加賀さん、一体どうしたのでしょう……?」

 

 

誰にでもなく一人呟いていると、赤城はぽつんと置かれた一枚の紙を見つける。 小さく折りたたまれた紙で、『赤城さんへ』と表に書かれたところを見ると、自分あてに書かれた手紙だということが分かった。

 

 

「これって、加賀さんの手紙? なぜ、この様な物を……」

 

 

赤城は手紙を広げて、内容を読み始める。 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じとき、同じ瞬間に正也と赤城は手紙を手に部屋を飛び出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は再び海上。 加賀の放った艦攻は幸仁めがけ再び突撃をするが、

 

 

「食い千切れ、天噛っ!!」

 

 

幸仁は艦攻が来るより早く斬撃を放ち、艦載機をバラバラにしていく。

それを見た加賀は小さく舌打ちすると、次の艦載機を飛ばそうとするが、

 

 

「ふっ!」

 

「くっ…!」

 

 

幸仁は斬り落とした艦載機の破片を掴むと、加賀目掛け投げつけた。

突然飛んできた破片を加賀は躱すが、その一瞬にできた隙を狙って幸仁は加賀へと特攻を仕掛けた。

一気に接近し、幸仁は加賀めがけ斬撃を繰り出す。 頭上から振り下ろされる幸仁の攻撃。 しかし、加賀も負けてはいなかった。

 

 

「何っ!?」

 

 

加賀はとっさに自分の飛行甲板のふちを幸仁の刀に当て、そのまま斬撃を受け流した。

幸仁の攻撃をいなしたと同時にバックステップで一瞬の距離を稼ぎ、至近距離から素早く艦載機を飛ばし、幸仁へと反撃を試みた。

 

 

「くそっ!」

 

 

だが、幸仁も負けじともう一本の刀を展開し、加賀の飛ばした艦載機を斬り落とした。

お互い体制を整え向かい合うと、額の汗をぬぐい幸仁は加賀を見た。

 

 

「…以前にも艦娘と戦ったことはあるが、こうして本気で戦うのは初めてだ。 本当に強いな、艦娘は……」

 

「そうは言ってるけど、あなたその艦娘を相手に息切れ一つしてないじゃない」

 

「まあな… 俺も、そう易々とやられるつもりはないぜ」

 

「…本当に、腹の立つ男ね。 貴方は」

 

 

不敵な笑みを浮かべながら刀を構えなおす幸仁。 悪態をつきながら再び艦載機を弓につがえる加賀。

武器を握りなおす両者は、刹那の間を置いたのち、再び戦闘を再開するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也が入ったばかりの中央建物から飛び出したとき、そこには先ほど別れたばかりの赤城がいた。

お互い息を切らせながら、二人はお互い手にしていた手紙を差し出した。

 

 

「あっ、赤城さん! ちょうど良かった、兄ちゃんから手紙が…!」

 

「弟さん! これ、見てください。 加賀さんの手紙が部屋に…!」

 

「…赤城さんにも来てたのか!?」

 

「…あなたにも来てたのですね」

 

 

お互い手にしている手紙を見て驚く。

正也と赤城の持ってきた手紙には、こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『正也、俺はお前の艦娘、加賀と決闘を行うことにした。 急なことで済まない、俺のどっちつかずの判断がこの事態を招いてしまったんだ。 俺は勝とうが負けようが、二度とお前や叢雲たちの前に姿を見せることはないだろう。 許してくれというつもりはない。 …ただ、もし俺のようなろくでなしの頼みを聞いてもらえるなら、俺がいなくなった後の泊地を頼む。 それと、赤城にもすまなかったと伝えてほしい。 お願いだ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

『赤城さんへ… 今夜、私はあなたの提督、中峰幸仁をこの手で討ち取ります。 この様な事、あなたは望んではいないのでしょう。 ですが、私はあの男のことで悲しむあなたを見ていられませんでした。 私が負けたときは私はこの世におらず、勝ったとしてもここに戻ることはありません。 赤城さん、そして提督… あなた方の大事な人をこの手にかけるという非礼、心からお詫び申し上げます。 そして、願わくば私が去った後の貴方に新たな出会いがあらんことを……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いに持ってきた手紙を読み終えると、正也は握りこぶしを作りわなわなと震え、赤城は手紙を手に黙り込んでいた。

 

 

「兄ちゃん、何考えてんだよ…!?」

 

「加賀さん……貴方はなんて事を……!!」

 

 

幸仁に対するぶつけようのない怒りを抑え、正也は声を上げた。 今は、ここで立ち止まっている場合ではない、と…!

 

 

「赤城さん、今は立ち止まっている場合じゃない! 二人を止めないと…!」

 

「弟さん… そう…ですね。 すみません、私としたことがつい弱気になってしまって」

 

 

赤城も正也の言葉に後押しされ、凛とした表情を取り戻す。 すぐに、探しに行こうという話になったが…

 

 

「でも、二人は一体どこに行ったのでしょう? 私たち二人だけで探すにはここは広いですし、ほかの皆さんへ協力を呼びかけるには時間がありません」

 

「うっ… た、確かに……」

 

 

赤城の考えに、正也も冷静さを取り戻す。 彼女の言う通り、このトラック泊地は小島と言っても二人で探すにはあまりに広く、泊地から港をつなぐ獣道にはジャングルがあり、鬱蒼と木々も生い茂っている。 何より、今は夜。 赤城の艦載機を飛ばして捜索を行うこともできない。 現状、二人だけで居場所を突き止める方法については絶望的と言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

(クソー、兄ちゃんだったらこれぐらい容易に思いつくだろうけど、ウチだとさっぱり思いつかん…! どこか、二人だけで戦えるような場所……場所……?)

 

 

一人頭をひねりながら思考していた正也。 しばらく必死に頭を回転させながら考えていた時、あることを思い出す。

 

 

「二人だけで戦う… つまり邪魔が入らない場所… それで、戦える場所となると………あっ!!」

 

「ど、どうしました弟さん!?」

 

 

突如素っ頓狂な声を上げる正也に驚く赤城。 彼女が尋ねようとするより早く、正也はその場から一目散に駆け出してしまった。

 

 

「ちょっと、どこへ行くんです弟さん!? そんな急に飛び出して…!」

 

「分かったんだ赤城さん! 兄ちゃんと加賀が決闘を行っている場所が…!」

 

「本当ですか!? それは、一体…?」

 

 

赤城も正也を追いかけながら質問を投げかける。 正也は、前を向いて走ったまま、その問いに答えた。

 

 

「もしウチの予想が外れてなければ、兄ちゃんと加賀がいるのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日ウチらが戦った場所……演習場だ!!」

 

 

 

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