艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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第11話 綾波を救出せよ! 沖ノ島海域攻略戦 (前編)

 

「ついに来たな…」

 

 

ウチは今、漣を旗艦とする第一艦隊に同行して沖ノ島海域にやってきた。

正確には作戦海域の一歩手前の位置にいるのだが、少し離れた場所から絶え間なく聞こえてくる砲撃音や所々から上がっている砲弾の煙が見えるあたり、ここが激戦区だということがひしひしと伝わってくる。

 

 

 

「話には聞いてましたが、想像以上の場所ですね…指令」

 

「ここに漣さんのお姉さんが…… 絶対助けましょう!」

 

 

霧島と羽黒の声にウチは大きくうなずく。

今回、ウチはここで待機して第一艦隊の皆に通信機で指示を出すことになった。

さすがにこの危険な海域に人間であるウチが足を踏み入れるのは許容できない、というのがみんなの結論だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、第一艦隊出撃します!!」

 

 

漣の言葉を筆頭に彼女たちは沖ノ島海域に向かって行った。

彼女の姉、綾波がいるであろう魔の海域に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全力で行くわよ。 全機爆装!さあ、飛び立って!」

 

「しょっぱなから大層なお出迎えだねえ…。 よーし、攻撃隊!発艦しちゃってー!」

 

 

沖ノ島海域に突入してまもなく、漣たちは敵水上打撃艦隊と交戦しています。

事前に飛鷹さんが艦載機で周囲の敵を確認してくれていたおかげで、こちらが先制攻撃を仕掛けることができました。

 

 

「ていとく~! 作戦通りあたしと飛鷹で駆逐ハ級エリート2隻をつぶしたよ。 こっからどうすんだい?」

 

『そしたら彗星で戦艦ル級を牽制しつつ攻撃しろ! その隙に山城と霧島は一気に戦艦ル級に接近して砲撃で沈め、羽黒と漣は重巡リ級と軽巡ト級エリートを狙え。 飛鷹は漣・羽黒のサポートを頼む!!』

 

「分かりました。 羽黒さん、重巡リ級はお願い。 軽巡ト級は漣が行きます!」

 

 

ご主人様の指示通り、漣は軽巡ト級エリートに砲撃を仕掛ける。

確実に被弾はさせているが軽巡とはいえエリート、なかなか倒れそうにありませんでした。

 

 

「くう…硬い…!」

 

 

漣が攻めあぐねていると、今度は軽巡ト級が漣目掛けて砲撃を仕掛けるため主砲を構えました。

 

(まずい!!)

 

とっさに漣が回避しようとしたとき、

 

 

 

 

 

《ギャッ!?》

 

 

軽巡ト級の側面から砲弾が着弾、よろめいた軽巡ト級に砲撃した羽黒さんが声を上げた。

 

 

「あの、漣さん。 砲雷撃戦って、これでいいのかしら…?」

 

「…クスッ♪ ナイスです羽黒さん!!」

 

 

隙ができた軽巡ト級の口にトドメの主砲を撃ち込む。

漣が撃ち込んだ砲弾は軽巡ト級の口内で爆発、見事撃沈することができました。

見ると、羽黒さんのほうはすでに重巡リ級を撃沈させていました。 彼女曰く、飛鷹さんの艦載機ですでに中破していたのですぐにこちらのサポートに来てくれたとのことでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっちも終わったようね。 それじゃ、進撃を続けましょうか」

 

 

霧島さんの言葉に皆うなずくと、再び艦隊は海上を移動し始めました。

その後は敵艦隊に出くわすことはありませんでしたが、同時に捜索対象である綾波お姉ちゃんの姿も捉えられませんでした。

 

 

「ここも捜索対象の姿はなし。 これで半分ほど捜索したわね」

 

「それでも見つからないなんて、一体どこにいるのかしら…?」

 

 

飛鷹さんと山城さんがため息混じりにつぶやく。

さすがに捜索してかなりの時間がたつし、少し休みましょう。 と漣が皆に声を掛けようとしたとき、準鷹さんが不意にこんなことを言い出しました。

 

 

 

 

 

 

「あのさ、漣。 あんたの姉ちゃんは本当にここにいるのかい?」

 

「何言ってんのよ準鷹。 ここで行方不明になったっていうから捜索に来たんでしょ」

 

「いや、そういう意味じゃなくてさ……」

 

「…どういうことですか?」

 

 

漣が意味を理解できず首をかしげると、準鷹さんは真剣みを帯びた顔を漣に向けて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きついことをいっちゃうけど、その綾波って子が轟沈してたらあんたはどうすんだい? ってことさ」

 

「準鷹さん、いくらなんでも不謹慎です! 私たちは漣さんのお姉さんを助けるために来ているんですよ!!」

 

 

突然の非常な宣告に食って掛かる羽黒さん。 そんな彼女に動じることなく準鷹さんは話を続ける。

 

「落ち着きな、あたしは最悪の事態を想定する必要もあるって言ってるんだよ。 ここは戦場、いつ誰が沈んだっておかしくない場所なんだ。 もし現実が理想と間逆の結果だったとき、あんたはその現実に耐える覚悟があるのかい?」

 

「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃんが轟沈…

その可能性は考えなかった。 …いや、考えたくなかった。

もうここにはいない…… もう二度と会えない……

そんなこと、考えたくもなかった。

しかし、準鷹さんの言うことも間違っていない。 可能性がある以上、そうなることを覚悟しなければならないことも……

でも…それでも漣は……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会えますよ。 絶対に…」

 

 

誰かの凛とした声が準鷹さんの問いに答える。

対する彼女は答えた相手に不敵な笑みを浮かべながら質問を続ける。

 

 

「わざわざ断言するとは、何か根拠でもあるのかい? 山城…」

 

 

凛とした声の主、山城さんはまっすぐ準鷹さんの目を見つめ返しながら答える。

 

 

 

 

 

「私も…不幸戦艦と呼ばれた私も姉様に会えたんです。 漣のお姉さんも無事でいるはずですよ。 必ず会える…いや、私が会わせて見せます」

 

「なんだいそりゃ? 結局ただの願望じゃないか。 それであたしが納得するとでも……」

 

 

準鷹さんはそこで言葉をとめました。

山城さんの決意を秘めた真っ直ぐな瞳を見て、準鷹さんも彼女の覚悟を察したからでした。

 

 

 

 

「…悪かったよ、漣は大丈夫か一応確認しときたかったんだ。 もし最悪の結末になった場合、一番つらいのは漣だからね…」

 

 

どうやら、準鷹さんも準鷹さんなりに漣のことを気に掛けてくれてたみたいです。

そんな彼女に漣は、大丈夫ですよと返答しました。

そして山城さんにもありがとう、と…

 

 

 

休憩も終わり探索を再開しようとみんなが集まったとき、

 

 

「…なんですって!?」

 

 

ついさっき戻ってきた索敵機からの報告を聞いた飛鷹さんが声を荒げました。

 

 

「飛鷹さん、どうかしたんですか?」

 

 

隣にいた羽黒さんが飛鷹さんに声を掛けると突然飛鷹さんは周りに言いました。

 

 

「私たち、どうやらとんでもない大物に出くわしちゃったみたいよ……」

 

「…どういうことですか?」

 

 

漣の質問に飛鷹さんは何も言わず、向こうを見るように指差しました。

そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ホウ、コンナトコニモカンムスガイタノカ…》

 

 

水平線の向こうから見えたのは、戦艦ル級フラグシップ率いる敵侵攻中核艦隊でした。

準鷹さんは状況を把握すると、即座に無線機をとりご主人様に連絡しました。

 

 

「提督、聞こえるかい?」

 

『どうした、準鷹?』

 

「どうやら、あたしら敵の主力にかち合っちまったみたいなんだよ。 敵は戦艦ル級フラグシップを旗艦に戦艦ル級エリートと駆逐二級エリートが2、重巡リ級エリートが1だ。 これから交戦するから、指示を出してくれよ」

 

『…まず艦載機で駆逐二級エリートを叩いていけ。 それから山城と霧島で戦艦ル級エリート、漣と羽黒で重巡リ級エリートを倒すんだ。 作戦通り敵の頭数を減らすことに集中しろ!!』

 

 

準鷹さんは了解、と返事をすると飛鷹さんとともに艦載機を敵艦隊めがけ放つ。

狙い通り駆逐二級エリートの撃破に成功、山城と霧島さんも砲撃で敵を牽制しつつ戦艦ル級エリートに接近して行った。

 

 

「羽黒さん、漣たちも行きましょう!!」

 

 

漣も重巡リ級エリートを倒すべく、主砲を構えて接近しようとしたときでした。

 

 

 

 

 

 

「行ってはダメです漣さん!!」

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

《カカッタナ!》

 

 

こちらが随伴艦に気を取られている間に、敵旗艦の戦艦ル級フラグシップが漣目掛け砲撃を仕掛けてきたのです。

羽黒さんが庇おうと向かいましたが、距離があったため砲弾が先に飛んできました。

よけることもできず、漣が目を閉じたとき…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛い!…やっぱり不幸だわ…」

 

 

漣と戦艦ル級フラグシップの間には大破してボロボロの姿の山城さんがいました。

 

 

「山城さん!?」

 

《アノセンカン、トッサニヤツヲカバッタカ。 マアイイ、ツギデシトメテクレル》

 

 

戦艦ル級フラグシップは戦艦ル級エリートに山城さんを狙うよう指示してきました。

戦艦ル級エリートをとめようにも、霧島さんはもう一隻の戦艦ル級エリートと、羽黒さんは重巡リ級エリートに阻まれ助けに行けず、飛鷹さんたちも艦載機を飛ばしたばかりで止める手段がありませんでした。

 

 

「山城さん、漣が助けに行き…」

 

「こないで! ……各艦は私を顧みず前進して! 敵を撃滅してください!」

 

「山城さん、何を言って!?」

 

「言ったでしょ、漣…。 あなたは必ずお姉さんに合わせるって…。 だから、ここで沈んでもらっては困るのよ…」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃ…!?」

 

「扶桑姉様に…伝えて頂戴…。 山城は先に逝きます……あちらの世界でも、ご一緒にって……」

 

「山城さん!!」

 

 

気づくと、戦艦ル級エリートはすでに山城さんに主砲を向けていました。

あとは、主砲から砲弾が放たれれば山城さんは轟沈する。

そんなことさせない!!

とっさに漣は山城さんの前で仁王立ちになりました。 自分が砲弾を受けるために…

 

 

《バカナクチクカンダ。 ナラ、ソコノセンカントイッショニシズメテヤレ!!》

 

 

戦艦ル級エリートが主砲を構え、発砲しようとしたとき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェストー!!」

 

 

それは突然の出来事でした。

とつぜん何者かが戦艦ル級エリートの砲門を下から突き上げ、漣たちを狙ったはずの砲弾が戦艦ル級エリートの頭上に撃ち上げられました。

それと同時に、

 

 

「おらもういっちょ!!」

 

 

今度は戦艦ル級エリートの顔面に一発の砲弾が命中、爆発しました。

よろめいている戦艦ル級エリートでしたが、先ほど自分が撃った砲弾が頭上に落下してきてそのまま被弾・轟沈していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あれってまさか…」

 

 

山城さんをはじめ、第一艦隊の面々は突然現れた人物にあっけにとられていましたが、漣だけはいつも通りに接していました。

 

 

「やっぱり来てたんですね、ご主人様」

 

「当たり前だ。 言ったろ、お前の姉ちゃんはウチが必ず見つけてやるってな」

 

 

ご主人様は周りを見渡すと、大声で皆に指示を出した。

 

 

「漣、お前は雷撃で重巡リ級エリート、霧島は砲撃で戦艦ル級エリートを倒してくれ。 飛鷹は漣、準鷹は霧島のサポートにまわれ! 羽黒は山城の護衛を頼む!!」

 

「わ、分かりました。 山城さん、こっちです!」

 

「ご主人様、戦艦ル級フラグシップはどうします?」

 

「敵の旗艦、戦艦ル級フラグシップ。 あいつは…」

 

 

ご主人様は戦艦ル級フラグシップを睨むと、槍を構えなおしこう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あいつは、ウチがブッ飛ばす!!!!」

 

 

 

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