艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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どうも、これにて『打倒、ブラック鎮守府編』も完結となります。
次回からは少し日常パートの話を挟んでいきますので、そちらもよろしくお願いします。
ピクシブにてPart3も投稿してますので、そちらも近いうちに投稿しようかと…


第31話 希望ある未来(あす)へ

 

 

夕暮れのショートランド泊地。

外では大淀が呼んだ憲兵隊が迅速に働いていた。

 

今まで提督と共に艦娘達に暴力を振るった作業員達が連行され、思い切り顔面を殴られのびたままの提督は担架で運ばれ、そして…

 

 

 

 

 

 

正也「いーでででででで!! 痛い痛い痛いっての!!」

 

漣「はいはい我慢してください。 しっかり消毒しないと後が大変ですからね」

 

 

ここの提督をブッ飛ばした張本人であるウチは、秘書艦の漣に傷の消毒をしてもらっていた。

 

いや、傷の治療をしてくれるのはありがたいんだけど、さっきから肩の傷にぐりぐりと消毒液をしみこませた綿をこすり付けてくるのがめっちゃ痛いんだけど…

 

 

綾波「もう漣ってば、そんな乱暴にやったら中峰さんがかわいそうでしょ」

 

 

漣のやり方を見かねたのか、綾波が漣に変わりウチの肩の傷に包帯を巻いてくれた。

こちらは漣と違って懇切丁寧に巻きつけてくれた。 包帯はきつくもなければゆるくもなく、傷が痛まないよう巻きつけてある。

 

 

正也「おお、ありがと綾波。 これは動かしやすいし傷も痛まないし、いい感じだわ」

 

綾波「いえ、私も中峰さんのお役に立てたのなら嬉しいです。 沖ノ島の事といい、今回の事といい、中峰さんにはいつも助けてもらってばかりですから」

 

正也「おまけに漣と違って優しいし… ああ、いっそのこと綾波が秘書艦やってくれないかな~」

 

綾波「も、もう中峰さんってば…、冗談が過ぎますよ…!」

 

 

ウチが半分冗談でぼやくと、なぜか綾波は顔を赤くしながら走り去っていった。

ウチは思わず「あっ、どうした綾波…」と言おうとしたそのとき、

 

 

 

 

 

 

 

漣「えいっ♪」

 

 

 

 

 

ウチの背後にいた漣が消毒液をたっぷり染み込ませたガーゼを、今度はウチの足の傷口にこすり付けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒後、顔を覆いながら走っていく綾波の背後で、「だおお―――――――!!!!」という声にならない声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泊地の中央建物の前、正面玄関でウチは先ほどまで漣に消毒液をこすり付けられた足をさすりながらぼやいていた。

 

 

正也「漣め、思い切りこすり付けやがって。 いまだに傷口がヒリヒリするわ…」

 

漣「人のお姉ちゃんに色目使った報いですよ。 ご主人様のような人には口で言うより身をもって知らしめたほうがいいですからね」

 

正也「怖い事言うなっつーの。 つーか、ウチがいつ綾波に色目使ったんだよ…?」

 

 

ウチはジト目で漣を睨みつけ、対する漣はそんなウチの視線を毛ほども気にせずふてくされる。

 

 

漣「どうせ漣は綾波お姉ちゃんみたいに気立てが良くありませんよーだ。 悪かったですね、かわいげのない秘書艦で」

 

正也「そうか? 漣だって見た目かわいいし、執務もそつなくこなすし、十分綾波とタメ張れるレベルだと思うぞ?」

 

 

何気なく言った本音。 ウチにとっては他愛のない一言のつもりだったのだが、聞いた相手は眼を丸くしながらこっちに顔を向けてきた。

 

 

漣「えっ…えっ!? ちょっ、どうしたんですか急に? ご主人様、どっかで頭でも打ったんですか!?」

 

正也「何じゃその台詞は! ウチがお前を褒める事がそんなおかしいか!?」

 

漣「だ、だっていま漣の事かわいいって…。 えっ、ホントどうしたんです急に!?」

 

正也「普通に思った事言っただけだよ。 そういうお前こそどうしたんだ? そんなしどろもどろして」

 

漣「いや、だってご主人様が漣たち艦娘のことかわいいとかいったことなかったし…。 正直、面食らったって言うか、いつものご主人様らしくなかったって言うか…」

 

 

顔をそむけながらぼそぼそと話す漣に、ウチは言われて初めて気付いた。

確かにウチの中では艦娘は仲間であり、いつもフランクに接していたから彼女達を異性として見る機会はほぼ皆無だった。

そんなウチから『かわいい』とか言われれば、意外すぎてびっくりするのも無理からぬ話だ。

 

 

正也「あ~、なるほどな。 すまん、急に変なこと言って」

 

漣「あっ、いえ… 別に漣もそんなふうにいわれて悪い気はしないっていうか… むしろ、少し嬉しいっていうか…」

 

正也「あっ、でもウチにとってはしょっちゅうしばいてくるから、少女の皮をかぶった悪魔…いや鬼婆と言うイメージが…」

 

漣「……。 漣、ちょっと高速建造材(バーナー)持ってきますね。 そんな悪い事言う汚物は消毒しないと♪」

 

正也「どこのヒャッハーさんだお前は!? やめてくださいしんでしまいます」

 

 

ニッコリ笑顔で答える漣をウチは全力で引き止める。

そうこうやっていると、憲兵と話をしていた神原さんがこちらへやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

神原「そこにいたか中峰君。 さっきの悲鳴、こっちまで聞こえていたよ。 よほどすごい荒療治をされてたみたいだね」

 

漣「荒療治とは失礼ですね神原さん。 漣、ちゃんと愛情を持ってご主人様の治療をしてたんですよ」

 

正也「文字通り人の傷口えぐるのが治療かよ…」

 

漣「今後は勝手にこんなバカな事しないでくださいね。 という思いやりをこめて治療しました」

 

正也「それは愛情じゃねえ、警告文句だ!」

 

漣「ところで神原さん、潮達のほかにここで囚われてた艦娘たちはこのあとどうなるんですか?」

 

 

ウチの突込みを華麗にスルーし、漣は神原さんに問いかける。

「人の話を聞けっ!」と言いたいところだったが、確かにウチもそれは気になっていた。

 

 

あの後聞いた話では、大本営の判断でショートランド泊地提督は今回の一件で提督を解任される事になったらしい。

それ以前にウチにボコボコにされたせいで、提督どころか普通の生活を送る事もままならない、というのが主な理由だ。

まあ、そっちはどうでもいいとしても残された艦娘達のほうが心配だった。

大半の艦娘たちは、ここでの生活で心に傷を負っているし、よその鎮守府に移ったとしても、そこの提督もあいつのように悪辣なやつだったら困る。

そんな漣の質問に、神原さんは笑いながら答えてくれた。

 

 

神原「大丈夫、私の後輩たちが彼女達を預かってくれる。 彼女達も間宮君と同じで艦娘を大事に思っているからね、心配要らないよ」

 

漣「そうですか、それはよかったです」

 

正也「神原さん、その後輩ってどんな人なんですか?」

 

 

ウチがそうたずねたとき、神原さんの後ろからウチに向かって手を振ってくる二人の女性の姿が見えた。

 

 

 

 

 

明石「へえ、君が神原さんの言ってた戦う提督君ね。 案外かわいい顔してるじゃん♪」

 

大淀「ここの子達は私と明石さんで責任を持って預かりますので、安心してください」

 

正也「あっ、ども! もしかしてお二人が神原さんの言ってた後輩さんですか?」

 

明石「そうよ。 あたしは佐世保鎮守府提督、赤羽栞。 君と同じ適合者でね、この姿のときは工作艦『明石』と名乗ってるわ」

 

大淀「同じく適合者であります。 大湊警備府提督、大道寺恵です。 私もこの姿のときは軽巡洋艦『大淀』と名乗っています」

 

 

艤装を身にまとい現れた二人の女性提督、明石さんと大淀さんはウチに軽い挨拶を入れながら話しかけてきた。

ひとまず、ここの艦娘達の身の安全が保障されている事を知り、ウチと漣はほっと胸をなでおろす。

 

 

明石「君の活躍は神原さんから聞いてるよ。 なんでも美也子の秘書艦を助けるために、あの戦艦ル級と一騎打ちしたんだってね」

 

正也「えっ、そんな事まで知られてたんですか!? というか、間宮さんの事もご存知なんですか?」

 

大淀「はいっ。 私達三人、神原さんの後輩であり軍学校の同期でしたから彼女の事もよく知ってるんですよ」

 

 

それは初耳だった。

間宮さんも自分や神原さん以外にも適合者がいると話をしてくれた事はあったけど、それがこんな接点があるとは知らなかったな。

他にどんな話があるかウチが聞こうとしたとき、囚われた艦娘たちがいた艦娘寮のほうからこちらにやってくる数人の艦娘の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕雲「ここにいたんですね、中峰さん」

 

正也「夕雲っ!」

 

 

やってきたのは執務室で一緒だった面々。 夕雲、巻雲、鳳翔さん、龍驤、そして潮の五人だった。

皆格好はボロボロの服のままだったが、夕暮れに照らされた表情はまるで憑き物が落ちたかのように晴れやかだ。

 

 

 

 

 

 

夕雲「このたびは夕雲達を助けていただいて本当にありがとうございます」

 

巻雲「巻雲からもお礼を言わせてください。 しれーかんさまが夕雲姉さんを助けてくれた事、本当に感謝しています」

 

鳳翔「あなたがここに来てくれなかったら、私達はこの地獄で死ぬまで苦しめられていたことでしょう。 ありがとう、中峰さん。 このご恩は一生忘れません」

 

潮「えっと… あの… あ、ありがとうございます。 私も、中峰さんのおかげでお姉ちゃん達に会える事が出来ました。 本当に、感謝してます…」

 

 

真っ直ぐにウチの顔を見据えて深々と頭を下げる四人。

ウチは思わず、「い…いや、そんな感謝するほどの事じゃ…」と言おうとしたが…

 

 

 

 

 

 

 

スパーン!

 

 

正也「ぐわっち!!」

 

 

いつの間にか背後にいた龍驤に、思い切り尻を蹴り上げられた。

 

 

龍驤「キミな、女に恥掻かすもんやないで! キミはウチ等に心から感謝される、それだけのことをしてくれたんや。 下手にかしこまらんと、堂々と胸張って受け取ればいいんやで!!」

 

 

龍驤の気迫に気圧されて、ウチは「わ、分かりました…」とかしこまった口調でコクコクと頷く。

その様子がおかしかったのか、漣や明石さんや大淀さん、そして向かいにいた夕雲達も一斉に吹き出した。

ウチは「ちょっとー! 皆笑うなんてひどくない!?」と言いつつ、内心良かったと思っていた。

こうして、皆で腹の底から笑いあえる。

そんな時間を過ごせる事がウチにとっては一番嬉しいことだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、艦娘たちを連れていくということで明石さんと大淀さんはこの場を去り、残ったのはウチと漣と神原さん、そして夕雲達となった。

さて、これからどうしようかとウチが話を切り出そうとしたとき、神原さんが神妙な面持ちでウチに声をかける。

 

 

神原「盛り上がっていた所に水を差してすまないね。 実は、中峰君に言っておかねばならないことがあるんだ…」

 

正也「えっ? 何ですか、一体…?」

 

 

文字通り頭に疑問符を浮かべるウチ。

神原さんは少し辛そうな表情を浮かべたまま話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

神原「今回君が引き起こしたブラック鎮守府壊滅の件について、大本営は艦娘達のためとはいえ海軍に所属している提督がよその鎮守府で問題を起こした事について看過するわけには行かないと結論を出した。 よって、君には何かしらの罰則が下される事となったんだ」

 

正也「…なるほど」

 

 

確かに、言われてみればもっともだ。

元代理とはいえ、ウチも今はトラック泊地を担当する立派な海軍所属の提督。

その提督が問題行動を起こしたとあれば、上層部も放っておくわけには行かない。 考えて見れば分かりそうなことだった。

 

 

潮「そんなっ!? 中峰さんは私達のために一生懸命戦ってくれたのに、そんなのあんまりです!」

 

漣「神原さん、ご主人様は一体どうなるんですか!?」

 

神原「一応、艦娘たちを助けたということで情状酌量の余地はあるから、それほど重い罰にはならないだろう。 私からも大本営に罰を軽くしてもらうよう説得してみる。 だから、心配しないでくれたまえ」

 

 

神原さんは二人の目を真っ直ぐ見返して言った。 真剣さを帯びたその目に二人ともそれ以上は何も言わずお互い口ごもったが、いまだに不安の色は顔に表れていた。

これ以上皆に余計な心配はかけたくない。

ウチはいつもの軽い調子で漣たちに話しかけた。

 

 

正也「そう心配するなって。 小学校から高校時代まで、よくバカやっては怒られてきたウチにとって、こんな罰ぐらいどうってことないよ」

 

漣「ご主人様、あなたって人は…」

 

 

露骨な呆れ顔をこちらに向けてくる漣。 だが、すぐにいつもの口調でウチに言ってきた。

 

 

漣「そうですね。 いつもバカな事ばっかりやってるんですから、たまには大本営からきつくお灸を据えてもらった方がよさそうですね」

 

正也「そうそう、そういうこと。 と、いうわけだから皆そんなに心配しないでくれって」

 

 

ウチはそういっておどけた口調で皆に声をかける。

そんなウチの気持ちが通じたのか、潮や夕雲もお互い顔を合わせると、分かったと言わんばかりに明るい顔を向けてくれた。

神原さんは、一人ウチの姿を見ながら小声でこういっているのが聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「中峰君。 本当に…君にはかなわないな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ブラック鎮守府壊滅から翌日の事。

 

 

正也「あのー? 神原さん、これは一体どういう…?」

 

 

トラック泊地の港でウチと漣は朝からやってきた神原さんを出迎えていた。

クルーザーからは神原さんのほかに数人の艦娘も一緒に乗っており、彼女達は一人ずつ前に出てウチに挨拶してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕雲「本日よりここトラック泊地に正式に配属となりました、夕雲型一番艦『夕雲』です。 提督、甘えてくれてもいいんですよ?」

 

巻雲「同じく今日からここで働きます、夕雲型二番艦『巻雲』です。 夕雲姉さんと一緒に頑張りますね、しれーかんさま♪」

 

鳳翔「軽空母『鳳翔』です。 何かと至らぬ事もあると思いますが、よろしくお願いします」

 

龍驤「同じく軽空母『龍驤』や。 今日からこの艦隊の一員となるからよろしく頼むで、提督♪」

 

 

そこにいたのは昨日ショートランド泊地で出会った艦娘たち、夕雲・巻雲・鳳翔・龍驤・そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潮「特型駆逐艦…綾波型の『潮』です。 あの… その… よ、よろしくお願いします…」

 

 

漣の妹、潮の姿があった。

 

 

突然の来訪者に困惑を隠せないウチ。 そんなウチを見て、神原さんは何があったかを話してくれた。

 

 

 

 

 

神原「実は大本営から君への処罰について結論が出て、それを報告しにやってきたんだよ」

 

正也「そう…だったんですか…」

 

漣「それで、潮達はなぜここに?」

 

 

神原さんがなぜここに来たかは分かった。

でも、どうして彼女たちまでここに…?

 

 

神原「昨日、大本営に中峰君への処罰について検討してもらった結果、彼に彼女達の指導を行ってもらうという結論になったんだ」

 

正也「それはまた急ですね。 でも、大本営はなんでそんな罰則を…?」

 

神原「それが、今回の一件でショートランド泊地は閉鎖される事になってね、それでここに所属していた艦娘たちの処遇についてどうするか話し合った。 結果、他の鎮守府で彼女達を引き取ろうという事になって、そのうち何人かを君にも引き取ってもらうという事になったんだよ」

 

正也「なるほど、そうだったんですか」

 

神原「ちなみに、ショートランド泊地にいた艦娘たちは大半が君のいるトラック泊地への異動を希望していてね、これでも少なくしたほうなんだ。 彼女達を説得するのはさすがに骨が折れたよ」

 

正也「……。 神原さん、マジ、すんませんでした…」

 

 

朗らかな笑顔で話す神原さんに、ウチはいつのまにか地べたに頭をつけて土下座していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神原「まあ、そういうことだから彼女達をよろしく頼むよ」

 

 

そう言い残して港を後にする神原さん。

ウチらは彼の乗ったクルーザーが見えなくなるまでずっと見届けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「さて…」

 

 

そう呟いてウチは夕雲達を見回す。

 

 

正也「それじゃ、そろそろトラック泊地に戻るか。 もうすぐ朝飯の時間だし、案内は食事が終わってからにするか」

 

漣「そうですね、漣もおなかペコペコですよ」

 

正也「よし、それじゃ夕雲達も一緒に来てくれ」

 

夕雲「分かりました、提督」

 

 

ウチの言葉に頷く夕雲。

早速戻ろうと歩き出したとき、突然夕雲がウチの横に来て、

 

 

正也「えっ!?」

 

漣「ちょっ!?」

 

 

ウチの腕に抱きついてきた。

 

 

夕雲「うふふ♪ どうかしましたか、提督?」

 

 

いたずらっ子のような微笑を浮かべてウチの顔を見る夕雲。

明らかにウチの反応楽しんでるでしょ、これ…

というか、さっきっから腕に何かやわらかいものが押し当てられてるんだけど……

 

 

漣「ちょっと、何急にご主人様に抱きついてるんですか!?」

 

夕雲「落ち着いてください漣さん。 あくまで、これはただのスキンシップですよ」

 

正也「いやいやいや! さすがにこれはちょっと恥ずかしいから離れ…!」

 

 

ウチは思わず夕雲を引き離そうと左腕を出そうとした、が…

 

 

漣「えーいっ!」

 

正也「えっ、ちょっ!? 漣っ!?」

 

 

なぜか漣までもがウチの左腕に抱きついてきた。

 

 

正也「うおーい! どうしたんだお前まで!?」

 

漣「いえ、漣も急にご主人様とスキンシップを取りたくなりまして。 それとも何か? 夕雲はよくて漣は駄目と申しますか?」

 

正也「いや、そういうわけじゃないけど…。 って、二人ともそんな抱きつくなって、うーごーきーにーくーいー!!」

 

 

右腕に抱きつく夕雲と左腕に抱きつく漣に引っ張られ、ウチの体はヤジロベーのように揺らされ歩きにくかった。

そんなウチらの背中を見ながら、鳳翔さんたちは楽しそうに笑っていた。

 

 

鳳翔「あらあら。 提督ってば人気者ですね」

 

龍驤「まったく、モテ男くんは大変やな~」

 

巻雲「うう~。 しれーかんさまってば、あんなに夕雲姉さんに甘えてもらってずるいです…」

 

潮「でも、お姉ちゃんとっても楽しそう。 あんなお姉ちゃんの姿、私初めて見ました」

 

 

潮は提督の隣で楽しそうに笑う漣を見ていた。

いつもはおどけた素振りをしてるけど、本当は真面目で繊細な姉が心から楽しそうに笑う姿を。

そして気付いていた。

彼女の隣にいる男が、自分の姉を笑顔にしてくれたということを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潮「良かったね、お姉ちゃん。 いい司令官(ひと)に会えて…」

 

 

徐々に遠くなっていく三人を見ながら、潮は一人静かに呟いた。

 

 

 

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