艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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どうもです。 この話も後半に入りましたので、どんどん投稿していこうかと。

この中峰兄弟邂逅編が終わりましたら、またしばらくは閑話休題の話になりそうです。
そっちも出すのが楽しみなので、見ていただけるとありがたいです♪





第45話 中峰兄弟、再会する

 

 

金剛たちと別れ、リランカ島に到着したウチ等4人は島の内部にあった洞窟を突き進んでいた。

あたりに敵の姿はないが、以前金剛が比叡を見つけたのも洞窟の中だと聞いていたし、兄ちゃんもここにいるかもしれないと踏んでの突入だった。

洞窟は数人が楽に入れるほど広く、奥まで真っ直ぐに道が続いていた。

だが、いつまでも真っ直ぐというわけでもない。

時に左右に分かれる道になっており、どちらが先に進む道かは分からない。

だから、ウチは漣にどちらを選ぶかと聞かれたとき、こう答えた。

 

 

正也「真っ直ぐ進んだほうが早いだろ!!」

 

 

ウチは槍を構え砲弾を発射。

正面の壁を破壊し、向こうに見えた通路をひたすら突き進んでいった。

 

 

霧島「司令、いくらなんでも無茶がすぎますよ!」

 

正也「兄ちゃんの命がかかっているんだ! ちんたら進んでなんかいられるか!!」

 

 

ウチはそう叫ぶと次に見えた壁を派手にぶち抜く。

そのたびに、砲撃による爆発の影響で洞窟が揺れ動く。

 

 

響「落ち着いて司令官! 気持ちは分かるけど、落ち着いて!」

 

正也「止めるな響! 男にはな、時にやらねばならんときがあるんだ!!」

 

漣「でもそれは今でもないし、ここでもないですよ…」

 

 

ウチを引き止める響と呆れ口調でたしなめる漣を尻目に、ウチはさらに目の前の壁に突撃した。

破壊した壁の先に見えたもの。 それは別ルートから入った叢雲たちに、馬鹿でかい艤装を背負った深海棲艦。

そして、いつ以来だろうかこの世界に来て初めて見た自分の肉親、ウチの兄ちゃんである中峰幸仁が磔になっているところだった。

 

 

正也「兄ちゃんを返せオラ―――――!!!!」

 

 

兄ちゃんの傍らにいる深海棲艦。 あいつが兄ちゃんを拉致した張本人であることは、言われずともわかっていた。

ウチは勢いよく跳ぶと、本体(?)である女の深海棲艦目掛け槍を突き出し特攻した。

 

 

戦艦棲姫《フッ!》

 

 

だが、深海棲艦も自身の艤装を前に出しウチの槍をガードする。

ダメージは与えられなかったものの、深海棲艦を突き飛ばし兄ちゃんから離させることはできた。

 

 

正也「てめえが親玉か、ブッ飛ばす!!」

 

戦艦棲姫《ドウヤラココヲカギツケテキタヨウネ…!》

 

 

深海棲艦は忌々しげにウチを睨みつける。

槍を携えるウチに向かい、敵も反撃をしようと艤装を構えてきたが、

 

 

 

 

 

 

 

霧島「下がって司令! 砲撃開始よ!!」

 

長門「提督に近づくな! 全砲門、撃てー!!」

 

 

ウチの背後にいた戦艦二人、霧島と長門が援護射撃を行い深海棲艦を牽制した。

 

 

戦艦棲姫《チッ、目障リナ連中ガゾロゾロト…!!》

 

 

二人の砲撃は真っ直ぐに深海棲艦に向かって飛んで行ったが、またも背後の艤装が二人の砲弾を弾いて直撃させることはできなかった。

 

 

戦艦棲姫《艦娘ダケナラマダシモ、アノ男ノ相手ヲスルノハ厳シイワネ。 ココハ、素直ニ引クトスルワ》

 

 

戦艦棲姫は背後の壁に艤装の砲台を向け、砲撃。

壁は土煙を上げながら崩れ落ち、青々と海が広がる外の景色を露にした。

 

 

戦艦棲姫《ジャアネ、戦ウ提督サン。 機会ガアッタラマタ会イマショウ》

 

正也「…っ、逃がすか!!」

 

 

外へ飛び出した深海棲艦を追おうとウチも壁に開いた穴に向かおうとしたが、

 

 

幸仁「深追いはするな、今はここから逃げるのが先だ!」

 

正也「……。 兄…ちゃん…」

 

 

ウチの背後にいた人物。

叢雲に拘束を外してもらった兄ちゃんが、ウチを引きとめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直、なんて声をかければいいか分からなかった。

この異世界でウチ等兄弟は再会することができたが、ついさっき兄ちゃんがこの世界にいることを知ったウチは、かける言葉が見つからない。

気まずい空気だけが流れる中、兄ちゃんはただ一言、

 

 

 

幸仁「…本当に、お前なんだよな? 正也…」

 

 

 

正也「…うん。 そうだよ…」

 

 

 

幸仁「正也、俺は今は何も聞かない。 でも、もしもどったら全部聞かせてもらうぞ」

 

 

 

幸仁「お前が連れてきたその艦娘たちのこと。 そして、お前のその姿のことをな…」

 

 

 

 

正也「……。 うん、分かった」

 

 

 

 

ウチは短く答えると、兄ちゃんは何も言わず『ついてこい』と手振りで合図する。

ウチも小さく頷くと、漣たちを連れて洞窟の外へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「ずいぶん長いなこの洞窟…。 こんだけ走ってまだ出口が見えないとは」

 

利根「もうすぐ出られるはずじゃ、辛抱せい!」

 

響「お兄さんは大丈夫かい?」

 

幸仁「俺は平気だ。 ありがとな、気にかけてくれて」

 

 

蛇の胴のように長い洞窟内をひたすら走り続ける一行。

ウチや艦娘たちはほとんど息も切らさず走っていたが、普通の人間である兄ちゃんにはさすがに辛い。

長い事走り続けたせいで表には出さないものの、息が荒くなっていた兄ちゃんに響が心配するが、兄ちゃんも兄ちゃんで自分が辛い事はあくまでひた隠しにしていた。

 

 

叢雲「見えてきたわ、あそこが出口よ!」

 

 

叢雲が指差す先、小さいが洞窟の出口がうっすらと見えてきた。

あと少しだ。 皆心の中でそう言い聞かせラストスパートをかける。

そうして、ウチ等は洞窟の外に脱出する事ができたが、

 

 

 

 

 

 

 

漣「こ、これは…!?」

 

 

目の前の光景に、ウチ等は我が目を疑った。

洞窟を脱出して目の前の海。 そこには何十という深海棲艦たちが海の上でウチ等を待ち構えていたのだ。

 

 

叢雲「なによこれ、多すぎじゃない!?」

 

霧島「これだけの数、一体どこから…」

 

幸仁「おそらく、戦艦棲姫が呼びよせたんだ。 あいつは自分の部下が見聞きした事を知る事ができると言っていた。 なら、逆に自分の伝達したい事を部下に伝える事もできるだろうからな」

 

正也「くそ、なんて奴だ…。 だったら、ウチがどうにか突破口をこじ開ける!」

 

 

ウチは勢いよく海面へと飛び出そうとしたが、それをさせまいと兄ちゃんがウチを引き止めた。

 

 

幸仁「バカかお前は!? お前一人でどうやってこの軍勢を押し切るって言うんだ!」

 

正也「それはウチにも深海棲艦と戦う力が…」

 

幸仁「それはお前が戦艦棲姫に突撃したとこを見た瞬間わかってたよ。 でもな、もしお前が前衛として入っても一人じゃ力不足だ。 この状況を打破するには側面や背後からも敵の襲撃を捌かなくてはならない、艦娘達の力を借りても今の戦力では厳しいんだよ…」

 

 

兄ちゃんの分析に、ウチは二の句を告げられなかった。

ウチは戦況分析とかそういった事は分からないが、兄ちゃんの言ってる事は理解できる。

現在、戦える戦力はウチを含めても7人、これだけの大群相手にはあまりに厳しい…

それでも、それでもどうにかここを脱出しなければならない。

なにか、なにかこの状況を打破できる方法はないか…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら二人ならどうにかなりそうかな?」

 

 

突然ウチの近くから聞こえてきた声。

他の皆も驚き、声のしたほう…ウチの肩にいる者に注目した。

 

 

正也「こ、工廠長!? いつのまに…?」

 

工廠長「一度君のお兄さんに会ってみたくてね。 君が泊地を飛び出すとき、こっそり同行してきたんだよ」

 

 

ウチの肩にいたのはトラック泊地で整備・開発を指揮する妖精。 工廠長と呼ばれている戦艦武蔵の元装備妖精だった。

工廠長はにっこり微笑んでいると、近くにいた兄ちゃんが工廠長に詰め寄ってきた。

 

 

幸仁「工廠長と言ったか。 さっきの言葉、あれはどういう意味なんだ?」

 

工廠長「言葉通りの意味だよ。 君は彼一人じゃ突破口を切り開くのは難しいと言っていた。 なら、二人なら突破口を切り開くことはできるのか、ということさ」

 

 

工廠長の言葉に兄ちゃんは顎に手を置き一瞬考え込んでいたが、すぐに頭をあげその質問に答えた。

 

 

幸仁「…可能性はある。 だが、一体どうやって…」

 

工廠長「こういうことさ…」

 

 

工廠長は背中に背負っている小型のリュックから取り出したもの。 それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「そ、それって…!?」

 

 

そこにあったのはリングだった。

装飾のないシンプルなシルバーリングで、本来ならケッコンカッコカリに使われるものだ。

だが、今工廠長が取り出した物はケッコンカッコカリ用のリングではない。

それはあの時ウチがつけたものと同じ、人間に深海棲艦と戦う力を付与するリング。

適合者と呼ばれる人間を生み出す、あのリングだったのだ。

 

 

幸仁「そのシルバーリング、一体何の意味があるんだ?」

 

工廠長「これが君の弟が強くなった理由だよ。 彼はこのリングをつけて深海棲艦と戦う力を得た。 『戦う提督』として彼は艦隊の皆を守る決断をしたんだよ」

 

幸仁「なるほどな…」

 

 

兄ちゃんはそう短く答えると、工廠長からリングを受け取り躊躇なく指に嵌めようとする。

 

 

正也「待ってくれ兄ちゃん! それは…」

 

 

このリングはただつければ力を得られるわけじゃない。

つけるとリングが適合者にふさわしいかどうか調べ始める。

だが、それは同時に全身に激痛が走り、激しい眩暈を感じることになる。

兄ちゃんはさっきまで深海棲艦に捕まり衰弱していたというのに、そんな体でリングの負荷に耐えられるとは思えない。 下手すれば死ぬ事にもなる。

 

 

幸仁「おおかた、これをつけたら何かやばい事が起きるんだろう?」

 

 

ウチがとめようと声をかけようとしたとき、兄ちゃんはウチの言おうとしてる事を見透かすように返事を返す。

 

 

正也「わかっているならなんで…!?」

 

幸仁「なめんなよ正也。 お前や仲間達が体張って戦っているっていうのに、俺だけただ指をくわえてみているなんて真似できるわけないだろ。 それに…」

 

 

兄ちゃんはゆっくりと、だが確実に自分の薬指にリングをはめ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「(おまえ)にできたことが、(おれ)にできないわけないだろ!!」

 

 

兄ちゃんの指にリングが収まる。

そして、例の負荷が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「うっ!? あっ、がああ…!!」

 

 

うつぶせに倒れこみながら苦悶の表情を浮かべる兄ちゃん。

その痛みと苦しみは、あの時リングをつけたウチもよく分かっていた。

尋常ではない苦しみように、叢雲や長門は不安の色を隠せなかった。

 

 

長門「提督っ!? しっかりしろ、提督!!」

 

叢雲「ちょっとアンタ、あいつになんてもの与えたのよ!? このままじゃあいつ死んじゃうじゃない!」

 

 

叢雲は怒りを露にしながら工廠長に食って掛かろうとする、そのときだった。

 

 

利根「叢雲、上じゃっ!!」

 

 

利根が上空を指差し叫ぶ。

そこには敵の空母が飛ばしてきた艦載機が一直線に叢雲に突っ込んできていた。

弾丸のようにすさまじい速度で飛来する艦載機。 直撃すれば命はない。

ウチは駆け出したが、向こうの方が叢雲に当たるのが早い。

まずい、このままじゃ…

 

 

叢雲「い、いや…」

 

 

見る間に縮んでいく艦載機と叢雲(ひょうてき)との距離。

くそっ、間に合わない…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叢雲「いや――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは一瞬の出来事だった。

突然どこからともなく聞こえた風切音。

次に見えたのが、叢雲目掛けて飛んできた艦載機が真っ二つに分かれる所だった。

二つに分かれた艦載機はコントロールを失い、叢雲の両脇に落下し砕け散った。

何が起きたか分からずウチ等は呆然としていたが、沈黙の中一人の人物の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ったく、想像以上だなこれは」

 

「やばい事になるっていうのは分かっていたが、まさかこれほどきついとは俺も思わなかったぞ。 まあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「そのおかげで、俺もあいつを死なせずにすんだ訳だけどな」

 

正也「に、兄ちゃん!?」

 

 

叢雲の後ろ、そこにいたのは両手に刀を模した艤装を手にした兄ちゃんの姿だった。

左手の刀を地面に差しこみ体を支えているのに対し、右手の刀は中空に向かって大きく振り上げられていた。

 

 

叢雲「あんた、その格好…」

 

霧島「今の、もしかしてあなたが艦載機を斬ったんですか…!?」

 

幸仁「まあ、そういうことだ。 聞け、正也っ!」

 

正也「なにっ?」

 

幸仁「これからこの包囲網を突破する。 左右後ろは叢雲達に入ってもらい、お前は前線をこじ開けろ。 漏らした敵は俺がやる、できるか?」

 

 

そういって、ウチの目を真っ直ぐ見据える兄ちゃん。

その目には必ず皆を守り抜く、と言わんばかりの強い意志を感じさせる。

そんな目を向けられて、ウチの返答は決まっていた。

 

 

正也「もちろん!」

 

幸仁「なら決まりだな。 いけるな叢雲?」

 

叢雲「と、当然じゃない。 今までアタシがどれだけアンタの無茶な作戦に付き合ってきたと思ってるのよ?」

 

利根「サポートなら任せておけ、提督。 我輩達の実力、その目にしかと焼き付けておくのじゃぞ?」

 

長門「まさか提督と肩を並べて戦う日が来るとは… フフ、これはこれで胸が熱くなるな」

 

 

まさかの共闘に俄然やる気を起こす叢雲・利根・長門。

そして、

 

 

漣「それじゃ、漣たちも頑張りましょうかね」

 

響「司令官、正面は任せたよ。 こちらも全力で敵を退けるから」

 

霧島「私も艦隊の頭脳の名に恥じないよう頑張りますので、司令の力をお兄さんに見せてあげてください」

 

 

ウチの仲間達も負けてられないと闘志を燃やす。

これは、格好悪い所は見せられんな…

 

 

幸仁「正也、準備はいいな?」

 

正也「オッケーだ、一気に行こう」

 

 

編成について話し合い陣形を整え、ウチ等は正面に立つ。

陣形は複従陣。 作戦としてはウチと兄ちゃんの二人が正面の敵を蹴散らし、両脇から攻めてくる敵は漣と霧島・叢雲と長門が捌き、しんがりを響と利根にフォローしてもらうという流れになった。

まさか兄ちゃんと共に戦う事になるとは思わなかったが、それでもウチのやる事は変わらない。

この島へは兄ちゃんを助けるために来た。 後は艦隊の仲間と共に脱出するだけ。

ウチは深呼吸すると、バクバクとなる心臓を落ち着ける。

 

 

正也「作戦開始だ、行くぞ皆!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正也「トラック泊地提督、中峰正也!」

幸仁「タウイタウイ泊地提督、中峰幸仁!」

 

 

 

 

 

 

 

「「いざ、抜錨するっ!!」」

 

 

 

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