艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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もうすぐ終わりと言うことで2話続けて投稿です。

次から再び日常パートを投稿していきます。





第47話 幸仁の予感、暴かれた真相

 

 

漣「おお、やっと見えてきましたー」

 

 

西方海域・リランカ島を出てウチ等一行はようやく自分達の所属するトラック泊地のある島、トラック島へと戻ってきた。

よく皆で遊んでいる砂浜や、青々と茂ったジャングル。 いつもの見慣れた島の情景を目に漣は声を弾ませながら、ウチに早く行くよう急かしてきた。

 

 

漣「ほらご主人様、早く早く~♪」

 

 

嬉しそうにはしゃぐ漣。 それに対し、ウチは…

 

 

 

 

 

 

 

正也「……。 前が見えねぇ…」

 

 

漣に顔面ボコボコにされ、フラフラの体でどうにかクルーザーの操縦を行っていた。

あの時金剛がウチに抱きついてきた後、なぜか漣が

 

 

漣「ご主人様、調子に乗るとブッ飛ばすって言いましたよね…?」

 

 

と凄みのある声でウチに話しかけられ、その結果がこれだった。

ちなみに、兄ちゃんになぜあいつがあんなに不機嫌になってたのかこっそり尋ねてみたら、

 

 

幸仁「……。 お前バカだろ…」

 

 

と一蹴され、結局分からずじまいになってしまった。 なんでじゃ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トラック泊地の港へ降りた一行。

ウチは早速兄ちゃん達を泊地へ連れて行こうとしたとき、泊地の方からウチを呼ぶ声が聞こえてきた。

ウチは驚き、声の方へ顔を向ける。 だって、ウチを呼んだ声は艦娘達のものではなく、男性の声だからだ。

ここにはウチ以外男性はいない。 一体誰が…?

 

 

「よく帰ってきた、中峰君。 その様子からすると、無事作戦を達成できたようだね」

 

「か、神原さんっ!? いつのまに来てたんですか…!?」

 

 

意外な人物に、ウチは思わず素っ頓狂な声を上げる。

声の主は、ウチをこのトラック泊地の提督にしてくれた人であり、横須賀鎮守府の提督を務める男性、神原駿少将だった。

 

 

神原「泊地の子達が教えてくれたんだよ。 君のお兄さんが深海棲艦に拉致された事、それを君が助けに向かった事もね」

 

大和「それで、私達も心配になって駆けつけてきたんです。 でも、それも杞憂に終わったようです」

 

正也「そ、そうだったんですか。 ご心配かけて申し訳ないです」

 

 

ウチがぺこりと頭を下げていると、隣にいた兄ちゃんが神原さんに挨拶する。

ウチは、ここへは提督代理で来た事。 そしてそのことで神原さんにお世話になった事を話し、兄ちゃんは事の一部始終を聞くと神原さんに頭を下げた。

 

 

幸仁「本当にありがとうございます神原さん。 このバカが色々お世話になってしまって…」

 

正也「ぐぬぬ…」

 

 

ウチの頭をパンパンと叩きながらお礼の言葉を述べる兄ちゃん。

そんな兄ちゃんに神原さんは首を真横に振って答える。

 

 

神原「とんでもない、むしろ我々こそ彼に苦労をかけてしまった。 君の弟くんは本当によくやってくれたよ」

 

幸仁「そういっていただけるとありがたいです。 改めてご挨拶を、タウイタウイ泊地提督中峰幸仁です。 弟の件、本当にありがとうございます」

 

神原「横須賀鎮守府提督、神原駿だ。 彼女は私の秘書艦の大和、よろしく頼むよ」

 

大和「大和型戦艦一番艦、大和といいます。 あなたの弟さんには提督も色々助けてもらい、本当に感謝しています」

 

幸仁「いえ、こんなバカでもお役に立てたというのであればよかったです」

 

正也「兄ちゃん、そんなにバカバカ言わないでくれよー!」

 

漣「まあ、実際バカですし仕方ないですよ」

 

正也「ひでえっ!」

 

 

一通りの挨拶を終えると、今度は間宮さんや明石さん、大淀さんたちもやってきた。

どうやら、神原さんから兄ちゃんの事で話を聞いたらしく、気になってこちらにやってきたとのこと。

ウチはその事について間宮さん達にお礼の言葉を送ると、彼女はこんな提案をした。

 

 

間宮「もしよろしければ、今日はお兄さんの歓迎も兼ねてここで宴会でもしませんか? 私、腕によりをかけてご馳走を作りますよ」

 

 

その提案に、周りの皆も『おおっ♪』と目を輝かせる。 どうやら間宮さんの料理の腕は他所でも大いに知れ渡っているようだ。 流石は間宮さん…。

ご馳走に喜ぶ駆逐艦の子達や酒が飲めると心躍らせる空母や戦艦の面々、大和さんも料理を作るのが楽しみなのかそわそわしてるし、明石さんや神原さんも心なしか楽しみにしている。

ウチは兄ちゃんに視線を送ると、兄ちゃんは小さく肩をすくめて間宮さんに答えた。

 

 

幸仁「それじゃ、ここはお言葉に甘えようかと思います」

 

 

こうして、一行はトラック泊地に戻ると早速宴会の準備をすべく分担して作業に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんちゃん騒ぎで盛り上がるトラック泊地の食堂。

 

 

漣「う~ん♪ また間宮さんのご馳走が食べれるなんてお兄さん様々ですね~」

 

綾波「もう漣ってば、お行儀悪いわよ」

 

 

隼鷹「いやー、アンタ結構いけるくちだねぇ」

 

陸奥「あら、これくらい私にとって序の口よ?」

 

飛鷹「ちょっと、二人とも飲みすぎよ…!」

 

 

金剛「ヘイテートクー! この料理とってもおいしいですヨー♪」

 

扶桑「提督、一杯いかがでしょうか? 私、お酌しますよ」

 

正也「ちょっ、金剛…。 食べるから強引に押し込まないで…! 扶桑さんも、ウチ酒は飲めないんですがあぁ…」

 

幸仁「あっはっは! お前も人気者だな正也。 しっかり付き合えよ、部下をねぎらうのも上官の仕事だからな」

 

正也「兄ちゃん…、見てないで助けちくり~!」

 

叢雲「ちょっとアンタ、弟ばかり相手してないであたし達にも付き合いなさいよっ!」

 

赤城「提督、私料理持ってきましたのでどうぞ食べてください!」

 

幸仁「うおっ、そんな引っ張んなって叢雲! 赤城も、ちゃんと食べるからそんな強引に進めなくてもいいって」

 

利根「これっ! 赤城よ、お主さりげなく提督と間接キッスしようとしとるじゃろ!!」

 

赤城「そそ、そんなわけないじゃないですか利根さんっ!?」

 

筑摩「赤城さん、どもりすぎですよ…」

 

 

あちこちで酒や料理で盛り上がり、ウチと兄ちゃんの二人も周りの艦娘たちにもみくちゃにされながら、深夜まで宴会は続いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…! …きろ!」

 

「…う、ううん……?」

 

「…おい、起きろ!」

 

「…ふぁ? 兄…ちゃん…?」

 

 

突然ウチを呼ぶ声。

ウチは寝ぼけ眼でウチをたたき起こした人物、兄ちゃんに顔を向けた。

 

深夜の食堂は明かりが落ちて薄暗く、周りには宴会で酔いつぶれた艦娘や神原さんに間宮さんなど提督の人たちがあちこちで雑魚寝をしていた。

小さい駆逐艦娘の子たちもいたが、誰かがかけてくれたのか薄い毛布が体を覆っていた。

ウチは時計を見ると、時刻は午前0時を回っている。

なぜこんな時間に起きるのかウチが尋ねようとする前に、兄ちゃんはウチについてくるよう手振りで合図する。

 

 

幸仁「おい正也、行くぞ…」

 

正也「へっ? 行くって…どこへ…?」

 

 

突然何を言い出すのかと困惑するウチ。

そんなウチを見ながら、兄ちゃんはきっぱり言い放った。

 

 

幸仁「決まってんだろ。 工廠だ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウチは訳が分からないまま兄ちゃんに促されるまま工廠に向かう。

深夜になり外は星明りがうっすらと辺りを照らし、ウチは工廠の前までやってくると中に入った。

 

 

正也「あれっ? 何で明かりがついて…?」

 

 

本来、就寝時間である深夜になればほとんどの建物は灯りを落とすはずなのに、工廠内は一面照明の灯りに照らされている。

なぜか、と首をかしげているウチに、聞き覚えのある声が工廠の奥から聞こえてきた。

 

 

工廠長「やあ、来ると思っていたよ」

 

 

現れたのは、いつもと変わらない様子で挨拶する工廠長。 でも、その言葉には一種の疑問が感じられた。

 

 

幸仁「やはり…か。 そんな気はしていたがな」

 

 

来ると思っていたという工廠長の言葉。

その工廠長にやはりと返す兄ちゃんの言葉。

一体どういうことなんだ?

ただただ困惑するウチに、兄ちゃんは声をかける。

 

 

幸仁「正也。 その様子だとお前は気付いてないみたいだが、俺はこの工廠長って奴の声を前にも聞いた事があるんだよ」

 

正也「えっ、そうなの? でも、どこで…」

 

幸仁「知りたいなら教えてやるよ。 それはな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「この世界へ来るきっかけになった物。 お前のパソコンから流れてきたあの声と全く一緒なんだよ!!」

 

正也「なっ…!?」

 

 

一瞬どういうことか分からなかった。

確かにあのゲームはログイン時に『提督が鎮守府に着任しました』という艦娘の声が流れてくる仕様になっている。 ウチも、あの時艦娘の声が流れそのままこの世界へと飛ばされたんだった。

でも兄ちゃんは、そのときの声が工廠長のものと同じだと話している。 一体なぜ…?

そんなウチを他所に、兄ちゃんは工廠長に一つ質問をしてきた。

 

 

幸仁「お前に聞きたい事がある。 お前は正也がリランカ島に向かうとき、俺を一目見たくて同行してきたと言った。 しかし、お前はそれ以前から俺の事を知ってたんじゃないのか?」

 

工廠長「………」

 

幸仁「だんまりか… なら質問を変えるぜ。 俺と正也はこの世界に飛ばされたんだが、それは偶然ではなく誰かが仕組んでやった。 違うか…?」

 

工廠長「……。 どうしてそう思うんだい?」

 

幸仁「神原さんたちは正也が異世界の人間だと聞いて驚いたって話を聞くと、こっちの世界でも別の世界の人間が飛ばされるなんて話は常識では考えられない。 奇跡のような偶然でこのような事象が起きたと考えられなくもないが、奇跡ってのは一度しか起きないものだ。 俺と正也、二度も別の世界の人間が飛ばされたなんて奇跡は極めて考えにくい。 なら、他に考えられる理由があるとすれば、何者かによって意図的にこの世界に飛ばされた。 そう考えるのが妥当だろう?」

 

工廠長「………」

 

幸仁「単刀直入に聞くぞ。 俺達二人をこの世界に飛ばした奴は一体誰なんだ。 お前ならその犯人を知っているんじゃないか…?」

 

 

食い入るように工廠長に詰め寄る兄ちゃん。 工廠長は終始無言を貫いていたが、兄ちゃんの最後の質問を聞くと、大きく息を吐いて訥々と話しはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠長「…いずれ、頃合を見計らってから話すつもりだったんだけど、どうやらその必要はなさそうだね」

 

 

正也「…工廠長? 一体、何を言って……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠長「その通り。 君達二人をこの世界に呼んだのは私だよ。 理由は、ある目的のために二人の力を貸してほしいからだ」

 

 

幸仁「なんだ、その目的って言うのは…?」

 

 

工廠長「それはね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠長「中峰正也。 中峰幸仁。 君達二人にこの戦争を終わらせてほしいんだ。 これ以上、武蔵のような犠牲者を出させないためにね……」

 

 

 

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