艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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今回の話はピクシブに上げてる物を加筆修正しました。

ピクシブに上げた奴は続きがR-18になっているので、こちらでは健全にしました!(キリッ
正直、R-18を書くのがこんなに大変だとは思わなかった。 ある意味、いい経験になりました。


一応、続き(R-18)が見たい人はピクシブでどうぞ。





第59話 聖夜の時は貴方とともに

 

 

 

タウイタウイ泊地の鎮守府。

地理的には南にあるこの島だが、日本の暦では今は12月の聖夜。 そう、クリスマスだ。

クリスマスといえば、メインはやはりサンタクロースからのプレゼント。

とはいえ、サンタもさすがにこの南の島国には来てくれそうにない。

そこで…

 

 

 

 

 

 

幸仁「よし、こんなもんか」

 

 

俺ことタウイタウイ泊地提督、中峰幸仁は執務室で袋の中のプレゼントを指差しながら一つ一つ確認していく。

それは正也の知り合いの提督である赤羽中佐と大道寺中佐の協力により、ここへ用意してもらった物だ。

島風や夕立のような幼い艦娘ならまだしも、長門や陸奥といった大人組までも、『私達にはどんなプレゼントが来るのかしら? 今から楽しみね、提督♪』と明らかに気付いている口調で俺に話す奴もいた。 しかもちゃっかり自分達の分まで頼んでいるし…

さすがにそこについては、俺なりに考えプレゼントを選んだ。

そして、そのプレゼントが今しがた届いたのだ。

後はこれを配るだけ。 俺はプレゼントを配るためサンタの格好……をしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「後はサンタ待ちか。 そろそろ向こうも着替え終わったかな?」

 

 

今、俺はトナカイの着ぐるみに身を包んでプレゼントを配る役であるサンタを待っていた。

本来なら俺がサンタ役をやるべきだろうが、曲がりなりにも今回行くのは女子しかいない艦娘寮、それも部屋へ入るのだ。 そんな事を野郎の俺がやったら憲兵さんは免れない。 だから、今回サンタ役を艦娘に引き受けてもらい、俺はプレゼントを運ぶトナカイ役として行う事になったのだ。

一人静かな執務室だったが、その静寂を破るように控えめな音とともに扉を開き、一人の艦娘が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしてすみません、提督。 あの… おかしくない、ですか…?」

 

 

その姿を見た途端、俺は言葉を失った。

 

 

サンタ衣装に身を包んだ艦娘、航空母艦『赤城』は俺に尋ねてきたが、俺にとってはどういえばいいか正直なやんだ。

それはサンタらしく赤と白を基調とした衣装だが、下は冬にしては短いミニスカートに、上は袖がなく今にもへそが見えそうな丈で、おまけにボディラインを強調させるかのように服のサイズが若干小さめになっている。 これじゃサンタというよりアイドルをイメージしたようなものだ。

現に今の赤城の姿はすらりとした足と、普段は着やせしていたのかと言わんばかりに胸と腰の部分が強調されている。 男の俺にとっては正直目の毒だ…

俺は頭に手を置きため息を吐き、赤城はそんな俺の姿を見て気まずそうに聞いてきた。

 

 

赤城「あ、あの… やっぱり、変ですよね。 私がこんな格好なんて、不釣合いですもんね…」

 

幸仁「ああ、悪い。 そういう意味じゃないんだ。 むしろ似合いすぎてて、直視できないんだよ。 ぶっちゃけて言うとエロい…」

 

赤城「そ、そうだったんですね…! 良かった、てっきり似合ってなかったらどうしようかと…」

 

赤城「でも、この格好は恥ずかしいですけど… 提督にそう言って頂けるのなら悪くないですね…」

 

幸仁「少なくとも、俺は似合ってると思うぞ。 とりあえずさっさと配りに行こう。 いつまでもそんな格好じゃ風邪を引くぞ」

 

赤城「…その、欲を言えば……もっと提督にみてほしいかなって……///」

 

幸仁「じゃあ俺プレゼントもって先行ってるからなー」

 

 

その場の雰囲気に耐え切れなかった俺は、急いで袋を担ぐと執務室を後にする。 俺が出て行った扉を見ながら赤城は、

 

 

赤城「もう、提督のいけず…!」

 

 

一人むくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と赤城は泊地の中央建物を出て、隣にある艦娘寮へとやってきた。

まずは島風・朝潮・時雨・夕立たちがいる1階からだ。

深夜の寮は薄暗く、廊下のところどころについてる常夜灯がぼんやり光を放っている。

早速、赤城にはこちらが用意したプレゼントを持って潜入。 艦娘たちが寝静まっている間に枕元にプレゼントを置いてきてもらった。

俺は赤城がプレゼントを置いてくる間、廊下で待っていた。

数分後、プレゼントを配り終えた様子の赤城を出迎える。 戻ってきた彼女の手には、数枚のメモがあった。

 

 

幸仁「赤城、なんだそれは?」

 

赤城「ほしいプレゼントを書いた用紙です。 皆さん、純粋ですね」

 

幸仁「そうか。 それで、あいつらは何を希望していたんだ?」

 

 

プレゼントそのものはすでに用意していたから希望のものは渡せないだろう。

だが、皆が何をほしがっていたのか次の参考になるし、何より俺自身も興味がある。

早速俺と赤城は枕もとのメモを確認するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

島風 『早く走れるよう改良型のタービンが欲しい!!』

 

 

赤城「島風さんらしい希望ですね」

 

幸仁「こんな事もあろうかと明石さんに頼んだ甲斐があったよ。 あいつのことだから絶対こういうの欲しがると思ってたからな」

 

 

 

 

 

朝潮 『索敵を上げるため、小型の電探を希望します!』

 

 

赤城「これはまた真面目な朝潮さんらしいですね」

 

幸仁「こっそり開発まわしてできたが、島風といい朝潮といいもうちょっと子供らしいチョイスできんかったのか…? まあ、あいつのプレゼントにタービンを選んだ俺が言えた義理じゃないが…」

 

 

 

 

 

 

時雨 『あまり飾りっ気がないから、おしゃれなアクセサリーとか欲しいかな?』

 

 

赤城「清楚な時雨さんにしては意外なチョイスですね」

 

幸仁「あいつのプレゼントはブレスレットにしたんだけど、結果的には良かったかな?」

 

赤城「まあ、それで時雨さんが喜んでくれればいいんじゃないですか。 って、あれ? 端っこに何か小さく書いてある…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『追記 …できれば、提督が欲しい…かな?』

 

 

幸仁「……。 あいつ、なに考えてんだ?」

 

赤城「………」 グシャッ!!

 

幸仁「おーい赤城ー。 無言でメモ用紙握りつぶすのはやめろ、怖いから」

 

 

 

 

 

 

 

夕立 『提督さんのために、素敵な首輪つけてほしいっぽい♪』

 

 

幸仁「……。 なんであいつらこんなチョイスばかりしてくるんだよ…?」

 

赤城「…それだけ提督が慕われているということですよ。 素敵じゃないですか……」

 

幸仁「赤城、お前目が笑ってないぞ… 夕立も、プレゼントにチョーカーをやるからそれで我慢してくれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人にプレゼントを配り終えた俺達は、今度は2階へとやってきた。

ここでは長門・陸奥・利根・筑摩、そして飛龍がいる。

赤城が部屋へ行ったら5人ともすでに寝ていた、とのこと。 まあ、狸寝入りだろうが…

そしてここでもプレゼント希望のメモが置かれており、俺は興味半分、不安半分でメモを覗いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸奥 『新しい化粧品とか欲しいかな~?』

 

 

幸仁「ちょうど新作のマニキュアができたって言うんで用意してもらった。 大淀さんの読みがピタリだったな」

 

赤城「…陸奥さんって、スタイルもいいうえにおしゃれに敏感ですよね。 私じゃかないませんね…」

 

幸仁「…まあ、俺はいつも自然に振舞う赤城も十分綺麗だと思うぞ。 俺はな…」

 

赤城「…提督」

 

 

 

 

 

 

 

長門 『試製51cm連装砲を希望する!!』

 

 

赤城「……。 流石に長門さんは希望するプレゼントも豪快ですね。 今度明石さんに頼んで作ってもらいますか…?」

 

幸仁「…んっ? ちょっと待て赤城。 このメモ、一度消して書き直した後があるぞ」

 

赤城「あっ、本当ですね。 でも、なんて書いてあるのかまでは分かりませんね…」

 

幸仁「いや、こういうのは鉛筆で黒く塗りつぶせば………よっし、見えた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『連装砲ちゃんぬいぐるみが欲しいです♪』

 

 

赤城「……提督、これは…」

 

幸仁「……みなかったことにしよう。 悪いな長門、プレゼントに間宮さんのアイス引き換え券置いとくから、駆逐艦娘たちと一緒に食べに行ってくれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

利根 『我輩達のプレゼントは一体何なのじゃ?』

 

 

赤城「プレゼントの希望どころか逆に質問されましたね…」

 

幸仁「あいつ、そこは嘘でもいいから空気読もうぜ…」

 

 

筑摩 『姉さんが苦労かけてしまってすみません、提督』

 

 

赤城「もうこればれてますよね? 完全に提督って言ってますし…」

 

幸仁「姉妹揃って空気読まない所が似てしまったのか…」

 

 

利根『ちなみに、我輩へのプレゼントは提督でも一行に構わんぞ♪』

 

 

幸仁「……。 どんな頼み方だよ、それは…」

 

赤城「……。 利根さんとは一度話し合う必要がありそうですね…」

 

 

 

筑摩『本当にすみません提督。 利根姉さんが苦労かけてしまって…』

 

 

幸仁「筑摩も、そこはサンタさんに謝ろうぜ…」

 

赤城「もう提督がサンタ役って、バレバレになってますね…」

 

 

 

赤城「ところで提督、二人へのプレゼントは何を?」

 

幸仁「これだよ」

 

赤城「わあ… 綺麗なリボンですね」

 

幸仁「利根がいつも髪留めにまいてたからどうかと思ってな。 筑摩も、姉妹揃って同じリボンならきっと喜んでくれるとおもってな」

 

赤城「……。 本当に、提督ってそういうところで優しいんですから…」

 

幸仁「…っ? なんか言ったか、赤城?」

 

赤城「うふふ。 何でもありませんよ、提督」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通り確認し終え、残りは飛龍だけになった。

飛龍の希望は一体なんだったのか、俺は赤城に確認しようとしたとき、

 

 

赤城「…っ!?」

 

 

なぜか赤城は顔を赤くしながら、飛龍のメモを懐にしまってしまったのだ。

 

 

幸仁「…っ? どうした赤城、そんな顔真っ赤にして」

 

赤城「な、なな、なんでもありません!!」

 

幸仁「そ、そうか…。 ところで、飛龍は何を希望してたんだ?」

 

赤城「そそ、そんなことより急いで残りを配っちゃいましょう! 早くしないと夜が明けちゃいますからね!!」

 

幸仁「うお、そんな押すなって! 落ち着け赤城…!!」

 

 

赤城の奴、完全にパニックになってるじゃねえか…

飛龍、あいつ一体何を希望したんだ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城に押されるまま、俺たちは3階へとやってきた。

ここにいるのはこの艦隊の最古参でもある叢雲と夕張の二人だ。

再び赤城が部屋へプレゼントを置きに行き、その間俺は部屋の前の廊下で待ちぼうけ。

そして戻ってきた赤城の手には、他の皆と同じようにプレゼントの希望を書いたメモがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕張 『開発のときに使っている作業用手袋がボロボロだから、新しいのが欲しいな』

 

 

赤城「夕張さんには、いつも開発でお世話になっていますからね」

 

幸仁「それなら、バッチリ用意しておいたぞ。 以前、新しい手袋が欲しいって呟いていたからな」

 

赤城「用意がいいですね、提督」

 

幸仁「なにせ、わが艦隊の開発担当だ。 ちゃんとねぎらってやらなきゃバチが当たるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に残った叢雲のメモ。

あいつは一体何を希望していたのか。 赤城は内容を読もうとメモを開くと、

 

 

赤城「………」

 

 

どこか悲しげな顔になり、読むのをやめた。

 

 

幸仁「…? どうした赤城、叢雲は何を希望してたんだ?」

 

 

俺の質問に赤城は答えず、代わりにあいつの希望を書いたメモを渡した。

俺は赤城の様子に首をかしげながら、メモの内容に目を通した。 それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叢雲 『…これからも、あいつの艦娘としてそばにいたいです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを確認した途端、お互い無言になってしまった。

艦娘は深海棲艦と戦う海の戦士。 だからこそ、常に戦闘で命を落とすという危険と隣り合わせになっている。

ただ生き続けたい。 それさえも、彼女達にとっては切なる願いなんだ。

 

 

赤城「…行きましょうか、提督」

 

幸仁「…ああ」

 

 

そういうと、俺と赤城は艦娘寮を後にした。

ちなみに、俺があいつへのプレゼントとして選んだのは、身につけていれば願いがかなうという星を模ったペンダントだ。

あいつの願いをプレゼントという形で汲み取ってしまうとは、なんとも皮肉な結末だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外へ出ると、深夜だからか冷たい風が吹きすさんでいた。

さすがに雪は降ってはいないが、この寒さは十分応える。 俺は急いで赤城に戻ろうと伝えようとしたとき、

 

 

赤城「………」

 

 

赤城は小さく震えながら両手で肩をさすっていた。

そりゃ、こんな露出の多い格好でこんな寒空の下にいればそうなるのも当然か。

俺は震える赤城の元にやってくると、

 

 

幸仁「よっ…と」

 

赤城「ひゃんっ!?」

 

 

赤城をお姫様抱っこで持ち上げた。

 

 

赤城「て、提督っ!? 一体何を…!?」

 

幸仁「今の俺は提督じゃなくトナカイだろ? サンタの仕事がプレゼントを配ることなら、そのプレゼントとサンタを運ぶのがトナカイの仕事だ。 いいからじっとしてな」

 

赤城「だ、だからってこの抱え方は恥ずかしいです…!」

 

幸仁「このまま寒空の下を歩くよりはましだろ。 すぐに向こうに行くから、それまで我慢してくれ」

 

赤城「は、はい…。 分かりました…」

 

 

一瞬慌てて抵抗する素振りを見せた赤城だが、俺の言い分に同意したのかすぐに借りた猫のようにおとなしくなった。

 

 

赤城「………」

 

幸仁「どうした赤城? やっぱり寒いか…?」

 

赤城「…いいえ。 トナカイさん、あったかいですね…」

 

幸仁「…そりゃどーも。 じゃあ行くか、サンタさん♪」

 

 

それから、俺は赤城を抱えたまま中央建物の執務室まで戻ってきた。

ほんとは建物の入り口についたところで赤城をおろすつもりだったのだが、その赤城が『トナカイさんなら、最後までちゃんとサンタさんを運んでください』と駄々をこねたので、結局この執務室につくまで俺は赤城を抱えたまま移動したのであった。

 

 

幸仁「お疲れ、赤城。こんな寒い中すまなかったな」

 

赤城「いえ、提督こそお疲れ様でした。 帰り道、提督につれてってもらって本当に助かりました」

 

 

明るい笑顔でそう話す赤城に、俺は思わず照れ笑いを浮かべた。 その後、俺は執務室の近くにある私室へ一端向かうと、置いてあったポットを使ってホットココアを用意した。

赤城に差し出すと、嬉しそうにお礼を言って受け取ってくれた。

 

 

赤城「あらっ? この柄のカップ、ありましたっけ?」

 

幸仁「ああ。 それは俺からお前へのクリスマスプレゼントだ」

 

赤城「本当に!? あ、ありがとうございます提督!」

 

幸仁「本当はもっとちゃんとしたプレゼントを選びたかったんだが、時間がなくてそれしかできなかった。 悪いな…」

 

赤城「そんなことありません! 提督が私のために選んでくれただけで十分嬉しいです。 これ、大事に使いますね♪」

 

 

そう言いながら赤城はカップを手にとって子供のようにはしゃいでいた。

こんなささやかな品でも、そこまで喜んでもらえれば俺も送った甲斐があるというものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「……。 赤城、今はそれくらいしかお前達にしてやれないが、俺はいつか必ず正也とともにこの戦争を終わらせる。 いつか必ず、お前達に戦争の終わった平和な未来をプレゼントする。 約束するよ…」

 

赤城「…はい、提督。 その日が来るまで、私達は誰一人欠けることなく貴方の側にいます。 だから、そのプレゼントは私達全員に上げてくださいね…」

 

 

赤城の言葉に頷いた途端、俺は疲れがたまっていたのか大きくあくびをしてしまった。

時計を見ると、すでに午前1時に指しかかろうとしている。 流石に、俺も睡魔に襲われてきているようだ。

 

 

幸仁「…悪い、流石に俺も疲れた。 すまないが、先に休ませてもらっていいか?」

 

赤城「はい、どうぞ。 私もこれを飲んだら休みますので、提督も戻って休んでください」

 

幸仁「ああ。 ありがとな、赤城…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を振って見送る赤城と別れ、俺は自分の部屋へと戻ってきた。

寝ぼけ眼で布団を敷くと、俺はばったりと倒れこむ。 日ごろの執務の疲れもたまっていたのか、床についた瞬間俺は意識が遠くなっていった。

 

 

幸仁「…俺も、だいぶ疲れがたまってるな。 明日に備えて、今はゆっくりやす…も……」

 

 

瞳を閉じながら、そのまままどろみの中へと意識を沈めていこうとした。 そのときだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「…っ?」

 

 

それは微かにだが聞こえた。

カチャリ、という扉のドアノブがひねられる音。

そして、扉がゆっくり開く音。

妙な違和感を感じ、どうにか意識を取り戻そうと俺は瞳を開こうとしたとき、

 

 

幸仁「…っ!?」

 

 

突然、布団の上に何かがのしかかってきた。

俺の体は布団と何かに下敷きになって動けない。

俺はどうにか体の自由を取り戻そうと必死になって抵抗しようとしたときだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いてください提督。 私です…」

 

 

暗闇の中耳元で囁く声。 それは、

 

 

幸仁「あ、赤城っ!?」

 

 

暗闇の中、うっすらと見えたのは俺の布団にまたがった赤城の姿だった。

なぜあいつがここへいるんだ? それも先のサンタの格好のままで。

俺は困惑しながらも、どうにか赤城へと尋ねた。

 

 

幸仁「お、お前こんな所で一体何してんだ!?」

 

赤城「お静かに。 そんなに騒いだら、他の皆さんに聞こえてしまいますよ」

 

 

赤城はそう言いながら俺の口元へ人差し指を押し当てる。

徐々に目が慣れてきたからか、そのときの赤城の表情はうっすら微笑んでいるように見えた。

 

 

赤城「それに、今の私は赤城ではなくサンタさんです。 実はまだ、サンタさんとしてやり残した事があったんですよ」

 

幸仁「やり残した事? プレゼントならもう全部配ったろ。 他に何があるって言うんだ?」

 

 

赤城の言ってる事に皆目検討が付かない俺。

そんな俺を見下ろしながら、赤城は嬉しそうに答えた。

 

 

赤城「知りたいなら教えてあげます。 それはですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城「今日一日頑張ってくれたトナカイさんに、ご褒美を上げることです♪」

 

 

そういって、赤城は布団の中にいる俺に向かってきた。

抗おうにも、俺の体は布団の下。 動く事などままならなかった。

言いようのない不安に思わず目をつぶってしまったその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「…んっ?」

 

 

俺の唇に何かが触れていた。

その感触はやわらかく、ほんのりと甘いにおいがする。 でも、どこか心地よい。

数秒間続いた感触は唐突に終わり、俺はまぶたを開けるとそこには少し頬を赤らめる赤城がいた。

 

 

幸仁「…あ、赤城? 今のは、一体……」

 

赤城「…はい、サンタさんからトナカイさんへのプレゼントです。 お気に召していただけましたか…?」

 

幸仁「えっと…、これって…もしかして……」

 

赤城「ほ、他の皆さんには内緒にしてくださいね! これ…、トナカイさんが初めてなんですから…!」

 

 

そう言って、慌てて部屋を飛び出す赤城。

俺は唇を指でそっとなでて、顔の前にやる。 唇に触れたその指からは、ほんの微かにココアの香りがしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日のタウイタウイ泊地。

 

 

食堂で鼻歌交じりに朝食をとっていた飛龍の元へ、赤城はものすごい勢いでやってきた。

 

 

赤城「ちょっと飛龍さん! 夕べはなんて注文つけてくれたんですか!!」

 

 

すさまじい剣幕で飛龍に詰め寄る赤城。

対する飛龍は目を白黒させながら戸惑っていた。

 

 

飛龍「お、落ち着いてください赤城さん! 一体何の事ですか!?」

 

赤城「とぼけないでください、これのことですよ!」

 

 

そういって、赤城は懐から一枚の紙を取り出した。

それは、夕べ長門たちと同じようにサンタ宛に出したほしい品を書いたメモ用紙だった。

メモには、飛龍が書いたであろう文字で、こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サンタさんへ トナカイさんにご褒美のキスをしてあげてください』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛龍「あっ、あーそれですか」

 

 

思い出したと言わんばかりに手をぽんと叩く飛龍。

だが、赤城の方はより激昂しながら叫んだ。

 

 

赤城「あなたがこんな注文つけたおかげで、私、夕べは提督の唇奪ってきちゃったんですよ! うう… 私も初めてだし、こういうのはもっとムードを考えてからしたかったのにー!」

 

飛龍「へっ、唇って? 私はほっぺたとか額にさせるつもりで書いたんですけど……」

 

赤城「…えっ?」

 

 

その言葉を聞いた途端、赤城は急に顔が真っ青になった。

そして気付く。 自分が大きな勘違いをしていた事に…

 

 

飛龍「唇って……つまり、そういうこと…なんですか?」

 

赤城「あっ… いや、それは…その……」

 

 

青ざめる赤城に対し、徐々に顔を赤くしていく飛龍。

そして、その感情を爆発させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛龍「きゃあああ―――――!! もしかして赤城さん、提督とファーストキス!? やるじゃないですか――――!!」

 

赤城「そ、そんな大声で言わないでください!! 私だって、死ぬほど恥ずかしかったんですから――――!!」

 

飛龍「えっ? それじゃあ、提督とのキスは嫌だったんですか?」

 

赤城「そそ、そんなことありません! むしろ、危うく提督の事襲っちゃいそうになったし……///」

 

飛龍「えっ、ほんとに? 赤城さんって、意外とむっつりスケベだったんですね…」

 

赤城「って、ああ…!! 今のなし、忘れてください!! こんなこと皆さんや提督にばらされたら私もう……!」

 

飛龍「大丈夫ですよ赤城さん! 私だって言いふらす趣味はありませんし、それに…」

 

 

にやけ顔の飛龍は赤城の体をチラリと見ながら、

 

 

飛龍「赤城さんだって十分エロい体してるんですから、赤城さんに迫られれば提督だってイチコロですよ♪」

 

 

そう言いながら、親指をビシッと立てて励ます飛龍。

その言動は完全にただのエロ親父だが、それを咎める者は近くにいなかった。

赤城は恥ずかしさに顔をうずめ震えていたが、突然ぴたりと震えが止まる。

 

 

 

 

 

 

 

赤城「だ…」

 

飛龍「だ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城「第一次攻撃隊、発艦してください!」

 

飛龍「ちょっ、赤城さん!? 食堂で艤装を展開するのはまずい……キャア――――!!」

 

 

赤城は飛龍目掛けて一斉に艦載機を発射。

結果、飛龍は大破して食堂は半壊。

この後、二人は幸仁や叢雲からこっぴどく怒られたというのはまた別のお話である。

 

 

 

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