艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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はい、いよいよ北方・西方海域編もラストになりました。

今回のラスボス、戦艦棲姫に挑む二人の戦う提督と艦娘たちのバトル、楽しみにしていてください。

そしてお気に入りしてくれた方々、評価・感想を送ってくれた人達、ここまで見てくれた皆さん、本当にありがとうございます。 自分にとって最大の励みになっています。

ここからは番外編も挟みつつの投稿になりそうですが、この提督代理シリーズをこれからもよろしくお願いします。





北方・西方海域編 Part Final  決戦! カスガダマ沖海戦編
第60話 動き出す恐怖


 

 

トラック泊地の執務室。

そこにいたのはこの泊地の提督であるウチこと中峰正也と、ウチの兄ちゃんでありタウイタウイ泊地の提督中峰幸仁。

そしてウチをこの泊地の提督として推薦してくれた人物、横須賀鎮守府の提督神原駿少将だ。

 

 

現在、ウチ等三人は険しい顔で中央のテーブルに広げられた数枚の写真を凝視している。

無言のまま写真を睨む兄ちゃんに、ウチも何も言わずその写真に目を向けている。

重苦しい空気が流れる中、最初に神原さんが口を開いた。

 

 

神原「他の鎮守府から連絡があってね。 数日前、深海棲艦の大規模進攻が確認されたとのことで、偵察隊が調べた情報によると、敵の旗艦としてこの深海棲艦の姿が見受けられたんだ」

 

 

その言葉とともに、神原さんは一枚の写真を指差した。

それは、さきほどからウチと兄ちゃんが凝視していたものだった。

 

 

正也「兄ちゃん、これって…!」

 

幸仁「間違いない… こいつ、俺を拉致した深海棲艦。 戦艦棲姫だ」

 

神原「それも、この深海棲艦はこちらに視線を向けている。 偵察隊に気付いていながらあえて見逃したというのだ。 このメッセージを残してね…」

 

 

神原さんは自分のタブレットを操作し、そのメッセージを再生する。

そこには、偶然偵察隊が録音した戦艦棲姫の言葉が録音されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《アナタタチ、運ガ良カッタワネ。 私ハ今、アル提督ノ兄弟ヲ探シテイテネ、アナタタチノ相手ヲシテル暇ハナイノ。 今回ハ見逃シテアゲルカラ、オウチヘ帰リナサイ。 ウフ、ウッフフフフ…!》

 

 

 

 

 

 

 

 

無音の執務室に流れる奴の声。

その言葉が何を意味しているのか、ウチと兄ちゃんは察しが付いていた。

 

 

正也「これ、もしかして…」

 

幸仁「ああ。 おそらくこれは、俺達を探しているんだろう…」

 

神原「私もそう思う。 今は目立った行動は起こしていないが、このまま奴らを野放しにしておけば、ほかの鎮守府や海沿いに住む人たちにも被害が及ぶのは時間の問題だ。 だから…」

 

 

深刻な表情を崩さず話す神原さん。

その様子を見越すように、ウチと兄ちゃんは声を揃えた。

 

 

正也「皆まで言わずともわかってます、神原さん。 こいつは、ウチがブッ飛ばしますよ」

 

幸仁「元は、俺がこうなる原因を作ってしまいました。 そのけじめは、きっちりつけますよ」

 

 

そう、元はウチ等があいつを取り逃がしたのがそもそもの原因。

だから、こうなった以上あいつとはきっちりケリをつける。 ウチと兄ちゃんは胸を張って討伐宣言をした。

 

だけど、そんなウチと兄ちゃんを見て、神原さんはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神原「…そうではない。 姫討伐に関しては大本営の方に任せ、君達二人には通常通り任務をこなしてほしいんだ」

 

 

予想とはまるっきり違った神原さんの返答にウチは目を丸くする。

まさか、神原さんがウチ等に行っては駄目だと言うのだから…!

 

正也「ど、どうしてですか神原さん!? あの戦艦棲姫って、相当やばい奴なんでしょ!? 何でウチ等はダメなんで…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危険だからこそお二人には関わってほしくないんです」

 

 

 

ウチの疑問を遮るかのように執務室に響く声。

執務室の入り口にいたその人をみて、ウチは思わず声を上げた。。

 

 

正也「ま、間宮さんっ!?」

 

 

ウチの視線の先。 そこには舞鶴鎮守府の提督であり、給糧艦として艦娘たちのサポートを勤める『間宮』こと槙野瀬美也子提督の姿があった。

傍らには、秘書艦の綾波とともに北上と大井も同行しており、他にも佐世保鎮守府の提督である明石さんや大湊警備府の提督である大淀さんも自分達の艦娘を連れてきていた。 どうやら、事態は思った以上に深刻なようだ。

 

 

幸仁「そちらは、確か明石さんと大淀さんでしたね。 隣にいるのはお二人の艦娘ですか?」

 

明石「そうですよ。 まあ、何人かとは以前顔合わせしてましたけどね」

 

 

苦笑いを浮かべながら兄ちゃんに視線を向ける明石さん。

その後ろでは、彼女の担当する鎮守府の艦娘たちが挨拶して来た。

 

 

伊勢「久しぶりだけど、改めて名乗るわ。 私は伊勢型の航空戦艦1番艦、伊勢よ。 よろしく」

 

日向「同じく。 伊勢型航空戦艦2番艦、妹の日向だ。 こんな形で再開する事になるとは、正直思わなかったよ…」

 

 

佐世保鎮守府所属の艦娘、伊勢と日向はウチ等に軽く会釈しながら挨拶する。

続いて、大淀さんの所属する大湊警備府の艦娘たちがこちらにやってきた。

 

 

青葉「ども~! 青葉型重巡洋艦のネームシップ、青葉といいます。 いや~ お二人が例の戦う提督さんですね、司令官からいつもお話は窺ってますよ。 弟さん確かにかわいい顔してますが、お兄さんの方も中々のイケメンですね~! よろしければ少しインタビューを……って、衣笠~!!」

 

 

大淀さんの秘書艦だという艦娘、青葉はいつの間にか手にしていたメモ帳片手にウチ等に詰め寄ってきたが、後ろにいた艦娘にメモ帳を取り上げられ右往左往していた。

 

 

衣笠「もう、青葉ってばそれどころじゃないでしょ…。 あっ、あたし青葉の姉妹艦で衣笠って言うの。 よろしくねっ♪」

 

 

メモ帳を取り上げた艦娘、衣笠はそう挨拶すると軽くウィンクを送ってきた。

ウチと兄ちゃんも軽く微笑みながら挨拶を返し、ようやく落ち着いた所で間宮さんが本題を切り出してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間宮「中峰さん達が交戦したという深海棲艦、戦艦棲姫ですが、彼女は他の深海棲艦と比べて少し異質なんです」

 

 

正也「異質って…。 一体どういうことですか、間宮さん?」

 

 

北上「あいつはね、部下の深海棲艦に私達艦娘を指揮する提督を調べさせ、気に入った者を拉致しているんだよ」

 

 

幸仁「なんだそりゃ? なんで、そんな事をするんだ…」

 

 

大井「私達艦娘に提督が付いているように、向こうも自分達を指揮するものを欲しがっているのよ。 それも、前線で活躍したり短期間で名を上げている優秀な提督をね…」

 

 

日向「今までも、奴は多くの提督たちを拉致してきた。 しかし、奴の要求を拒んだ者は皆殺され、指揮官になっても下手な采配をしたり逃げようとした者また、容赦なく手にかけていったんだ」

 

 

正也「そ、そんなっ!?」

 

 

幸仁「……。 ひでえことしやがる…」

 

 

青葉「そして、今その矛先は貴方達二人に向けられているのです。 他の提督に見向きもしない所を見ると、あの深海棲艦は貴方達を相当気に入っているみたいなんです」

 

 

衣笠「そういうこと。 このまま君達が向かえばトンビに油揚げを差し出すようなものだから、神原少将は君達に出て欲しくないんだよ」

 

 

正也「…そうだったんだ」

 

 

神原「すでに大本営も姫を討伐するべく、連合艦隊を結成している。 提督も艦娘達も、皆優れた精鋭ばかりだ。 心配要らないさ」

 

 

神原さんはウチを安心させようと、肩に手を置きながらそう話す。 でも、ウチは落ち着けなかった。

曲がりなりにも戦艦棲姫はウチ等を狙っているというのに、そのウチ等が他の人にこんな危険な任務を任せ、自分達は安全な場所でいつも通り過ごそうとしている。

そんなこと、はいそうですかと納得できるわけがなかった。

 

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸仁「落ち着け正也、頭を冷やせ」

 

正也「兄ちゃん…」

 

幸仁「お前の考えてる事は分かる。 俺達の起こした問題を人任せにできない、大方そんなところだろ」

 

正也「うっ… ばれてる…」

 

幸仁「気持ちは分かるが、敵の狙いが分かっている以上、俺達がうかつに出るわけにはいかないだろ。 ここは神原さんの言うとおり、俺達は待機していよう。 時には耐える事も大事だ」

 

正也「で、でも…」

 

幸仁「それに今回は大本営も動いている。 下手に俺達が出て面倒を起こせば、困るのは俺達だけじゃない。 俺やお前の艦娘たち、そして神原さんにもそのしわ寄せが来るんだ。 そんなこと、お前だって望んではいないだろ?」

 

 

さすがに、その言葉にはぐうの音も出なかった。

漣たち艦隊の皆にはもちろん、神原さんにも日ごろからお世話になっている身で厄介ごとを引き起こすのは流石にウチも望んではいない。

ウチは兄ちゃんの言うとおり、今回は討伐には向かわずおとなしくする事に同意し、兄ちゃんも姫討伐に関しては大本営に任せると神原さん達に話した。

 

 

神原「すまないね。 本当は君達の手で、事を収めたかったはずなのに…」

 

幸仁「いえ、そんな気になさらないでください。 神原さんには色々お世話になっていますし、これぐらいお安い御用です」

 

大淀「もし何かあれば、私の方から連絡いたしますので。 では、失礼します」

 

 

大淀さんは、ウチ等に一礼すると神原さん達とともに執務室を後にしていった。

残されたウチと兄ちゃんは机の上の写真を片付けるためまとめていたが、ウチは写真に写った戦艦棲姫の姿を見るたび、何か妙な胸騒ぎがするのをひしひしと感じていたのであった。

 

 

 

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