艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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第6話 覚醒! 戦う提督 (後編)

 

…間に合った…

 

漣も…響も…皆…いる…

 

………

 

 

 

「ご主人様っ!?」

 

 

 

おっといけね、ほうけてる場合じゃなかったな。

 

さて、と

 

 

「漣、よくがんばったな」

 

「ご主人様、どうやってここまで? えっ、えっ??」

 

「響や球磨も皆無事みたいだな。 いや、皆ボロボロだけど、全員いるようで何よりだ」

 

「司令官、本当に司令官なの!?」

 

「今、どうやって漣を助けたクマ!? 提督って、ただの人間のはずじゃ…」

 

「待った待った、いきなりそんないっぺんには答えられんから話は後でな。 ただ、ひとつ言っとくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウチは間違いなくみんなの知ってる提督だ。 トラック泊地の提督代理、中峰正也だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ウチは皆をなだめると目の前の敵を確認する。敵は三体、そしてあの空母ヲ級が旗艦か…

 

そんじゃ、いっちょやりますか!

 

 

 

 

 

「うらあああああ!!」

 

 

ウチは一気に敵艦隊に突っ込む。 最初に狙うは一番近くにいる軽巡ヘ級。

軽巡ヘ級もこちらに気づきウチに向けて砲撃を放つ。 

 

 

「あらよっ!」

 

 

軽く身をひねり、へ級の砲弾をかわすと同時に槍を一気に突き立てる。

 

 

「ガッ!?」

 

 

槍はヘ級の体を貫通させ、そのまま槍を引き抜くためウチはヘ級の体を蹴り飛ばす。 まずは一体っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオン

 

 

「なっ!?」

 

 

砲撃音に気づいて振り向くと、重巡リ級が漣たち目掛けて砲撃をしていた。 被弾したら轟沈は免れない。

 

 

「させるかよっ!!」

 

 

ウチは槍の柄につけてあるスイッチを押す。 すると、槍の先端が分かれ中に仕込んであった銃身が現れ銃弾が飛び出す。

リ級の放った砲弾にウチの放った銃弾が命中し、空中で爆発。 どうにか味方に被弾は免れた。

 

 

「お返しだ、この野郎っ!」

 

 

今度はリ級向けて銃弾を放つ。 漣たちに気をとられていたリ級は気づくまもなく銃弾の直撃を受け、爆発に巻き込まれた。

 

 

「この銃弾、一体どんな仕組みなんだ…」

 

 

改めて自分の持ってる槍を見る。

この槍は妖精が開発した仕込み銃で、銃弾も威力は艦娘たちの使ってる主砲並の威力があると聞いていたが、正直ここまですごいとは思わんかったぞ… 軽く見ても重巡、ヘタすりゃ戦艦クラスの破壊力だよこれ…

その時、

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオン

 

 

黒煙の中にいたリ級が、今度はウチ目掛けて発砲してきた。 どうやら今の攻撃でもダメージは中破程度だったらしい。

 

 

「司令官、危ないっ!!」

 

「心配すんな響、見てろっ!!」

 

 

そういってウチは敵の攻撃に備え構える。

 

 

「何してるんですかご主人様!? ふざけてると本当にブッ飛ばしますよ!!」

 

「心配すんなって言ったろ漣! っていうか、もう一回ぶっ飛ばされてるわ!!」

 

 

その構えはどう見ても野球のバッティングポーズだった。 漣が怒声を飛ばすのも無理はない。

だが、そんな彼女の声にウチは突っ込みを入れると砲弾目掛け勢いよく槍を振った。

 

 

「くらいやがれっ!!」

 

 

ウチは渾身の力をバット代わりの槍にこめる。 砲弾は槍にヒットし、爆発することなく槍の柄に押され反対に飛んでいく。

打ち返された砲弾はリ級目掛け一直線に進み直撃。 結果、重巡リ級は自身の砲弾で撃沈された。

 

 

よし、後一体! 空母ヲ級だ…け…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブオオオオオオオオオオオン

 

 

空母ヲ級のほうから大量の羽虫が飛ぶような音が聞こえ、同時に空を覆いつくさんばかりの艦載機がこちらに飛んでくる。

やばい、これはマジでやばい! あんなに飛んできちゃ避ける事もできない、どうすれば…

 

 

 

 あっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオン

 

 

最後に見えたのは、ご主人様目掛けて大量の艦載機が爆撃を繰り出してきたところだった。

あんなの、直撃すれば私たち艦娘でさえひとたまりもないのに、人間であるご主人様があれを受けたら……

 

 

 

ようやく爆撃がやんだが、そこにご主人様の姿はなかった。

 

 

「そんな…」

 

「し、司令官さん…」

 

「ク、クマ…」

 

 

辺りを見回しても確認できたのは艦載機を飛ばした空母ヲ級だけ…。それじゃ、ご主人様は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人様―――――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、呼んだか?」

 

 

えっ…?

突然聞こえてきた声に、漣たちも、そして空母ヲ級も驚いて振り向く。 そこには…

 

 

「とっさに海中にもぐって正解だったよ。 あんなんまともに受けたら死んでたからな」

 

 

全身ずぶぬれになりながら空母ヲ級の背後に立つご主人様の姿があった。

 

 

「さて、空母ヲ級… さっきはよくもやってくれたな」

 

 

ゆっくりと槍を竹刀のように振り上げるご主人様とたじろぐ空母ヲ級。 どうやら、勝敗は決したみたいね

 

 

「ウチの仲間に手を出したこと、存分に後悔しやがれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海の底でなあっ!!!」

 

 

空母ヲ級は勢いよく槍を頭からたたきつけられ、そのまま水底へと押し込まれていった。

 

 

 

 

 

 

「敵主力艦隊の全滅を確認しました。作戦大成功です」

 

「おう、皆よくがんばったな」

 

 

南西諸島の海上でウチは漣から最後の戦果報告を確認。 こうして、ウチの提督代理は終わりを迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウチがトラック泊地に来て8日目の朝

 

 

「確かに今日本来の提督が来るけど、皆で来なくてもいいんじゃないか?」

 

「なに言ってるんですか、新しいご主人様のお迎えとお兄さんの見送りもかねてきてるんですよ」

 

 

建物の前にはウチと漣、そして艦隊のみんなが集まっていた。

ウチはここに来たときと同じ身一つで迎えが来るのを待っている。 予定ではもうすぐ神原さんが本来着任するはずの提督を連れてくるからだ。

 

 

「司令官、短い間だけどお世話になったね」

 

「ああ、響も元気でやりなよ」

 

「向こうに戻っても、球磨たちのこと忘れないでほしいクマ」

 

「安心しな、お前たちのようなおもしろいやつ忘れるほうが難しいよ」

 

 

さすがに皆と分かれるのは少し寂しい気もするが、ウチは本来ここにいるはずのない人間だ。

漣たちだって、ウチのような一般人じゃなくちゃんとした提督の下につくのが一番いいもんな。

 

 

 

余談だが、ウチがリングをつけて深海棲艦と戦ったことは神原さんには報告しなかった。 もっとも、人間が深海棲艦と戦うなんて話、まず真に受けてもらえないだろうけどね。

 そうこう話しているうちに水平線の向こうから一隻の船が現れ、港に停泊した。

 

 

 

 

 

 

 

「提督代理お疲れ様。 1週間とはいえ、なかなかハードだったろう?」

 

「まあ、大変と言えば大変でしたけど、漣たちのおかげでやってこれました」

 

「漣、君もご苦労だったね。 配属されたばかりなのによく頑張ったよ」

 

「いえ、むしろお兄さんと一緒にいられて楽しかったです。 漣が頑張れたのも、この人のおかげですから」

 

 

神原さんは、「そうか…」とつぶやくと少し心苦しそうな顔になった。

どうかしたのか? せっかく、新しい提督がきてくれるのに…

その時、不意にウチの後ろにいた響が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神原さん、と言ったね。 ちょっといいかな?」

 

「…ああ、なんだい?」

 

「私たちの提督になる人は、なぜ姿を見せないのかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

響の言葉にウチは思わず辺りを見回す。 彼女の言うとおり、船から降りてきたのは神原さん一人だけで

他に降りてきた人はいなかった。

 まだ船に乗っているのかとも聞いたが、船に乗っているのは乗組員だけだと言う。

 

 

「神原さん…、一体どういうことなんすか?」

 

 

ウチが睨むように視線を向けると、神原さんは観念したかのように答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本来ここに着任するはずの提督だが、大本営から急遽よその鎮守府が人手不足ということで配属先が変更されたのだ」

 

「な、なんすかそれ! あんまりじゃないすか!!」

 

「私も大本営に掛け合ったんだが、結果は変わらなかった。 すまない…」

 

「…それじゃ、漣たちはどうなるんすか! また提督不在になってしまうんですか!?」

 

「…………方法がないわけではない。 ただ、そのためには」

 

「話してください。 ウチにもできることなら協力しますよ!」

 

「…分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「君が、このトラック泊地の正式な提督になるんだ」

 

「…ウチが、正式な提督。 そんなの、可能なんですか…?」

 

「私が君を推薦する。 君は他の新米提督より多くの戦果を、わずか1週間で上げているからね。大本営にとっても君が正式な提督になるのは渡りに船だろう」

 

 

正直、こんなことになるなんて思わなかった。

ウチが、正式な提督だなんて…

でも、それでも…

 

 

 

 

 

 

「神原さん、ウチをトラック泊地の提督に推薦してください!!」

 

「引き受けてくれるかね…?」

 

「それで皆を助けられるなら、やってやりますよ!」

 

「…ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、神原さんはウチが提督になる旨を伝えるため横須賀鎮守府に戻り、

ウチはまたこのトラック泊地に取り残されることになった。

 

 

「んー、まあそういうわけだ。 スマンが皆、これからもよろしく頼むわ」

 

 

漣はうつむいたまま何も言わない。

無理もないか、本来着任するはずの提督がこられなかったんだから。

 

 

「漣、ウチも頑張るからそんなに気を落とすなって」

 

「……は」

 

「えっ?」

 

「お兄さんはこれからもここにいてくれるんですか? ここの提督でいてくれるんですか?」

 

「もちろんだ。 帰らなくていい、と言えば嘘になるけど、やっぱりウチも皆と一緒にいたいから」

 

 

後悔なんかしていない。 またしばらく兄ちゃんや妹に会えなくなるのは寂しいが、ウチはやっぱり漣たちを放っておく事なんてできないから

 

 

「ありがとう、お兄さん…。 そして…」

 

 

漣はウチの前に来ると、涙交じりの笑顔で元気よく言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさい、ご主人様♪」

 

 

 

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