艦隊これくしょん 提督代理、着任する   作:なかむ~

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今回番外編ということでピクシブで上げた話を投稿します。
元々他の人が上げてた話に影響されて、自分でも書いてみました。 思いのほか長くなったので4話に分けて投稿します。






番外編 親しい艦娘に嫌われる薬1 嫌われ提督の日々

 

正也「うう… まずい、これは非常にまずい…!」

 

 

ある日のトラック泊地。

ウチことトラック泊地提督、中峰正也は頬をかきながら手にした空の薬ビンを見る。

それは、一般で販売されている栄養ドリンクのラベルが貼られていたが、その中身が問題だったのだ。

 

 

正也「艦娘から嫌われる薬って… 何でそんな薬作ったのかねぇ……」

 

 

ウチはため息を吐きながら、先の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今朝大本営から送られてきた一本の栄養ドリンク。

新しく開発されたという新薬の試供品であり、ぜひ飲んでモニターになってほしいという手紙が同封されていたので、ウチも何気なく飲んでみたのだが、その直後にタブレットから突然の着信が入った。

 

 

正也「はい、中峰です。 って、大淀さん? どうしたんですか急に」

 

 

通信の相手は大湊警備府の提督を務める大淀こと、大道寺中佐からだった。

大淀さんはえらい切羽詰った口調でウチに尋ねてきた。

 

 

大淀『中峰さん、さきほど大本営から送られてきたという栄養ドリンクはありますか? あれは絶対に飲んではいけません!!』

 

正也「ええっ!? そ、そんないきなり言われても、もう飲んじゃったんですけど…」

 

大淀『…っ!? なんてことなの…』

 

大淀『中峰さん、落ち着いて聞いてください。 それは栄養ドリンクなんかじゃなく、親しい艦娘から嫌われる薬なんです。 どうやら、他所の鎮守府の提督が他の提督たちを蹴落とすため極秘に作っていて、それを大本営宛と偽って送ってきたんです』

 

正也「な、なんだって!? そ、それってもしかして兄ちゃんや神原さんにも送られたんじゃ…!?」

 

大淀『幸い、神原さんは事前に警告して免れたし、お兄さんの方も怪しいと踏んで飲まずに置いていたそうなんで被害はありませんでした。 でも、そのせいで貴方に警告するのが遅れてしまって……』

 

正也「…そんなに気に病まないでくれ、大淀さん。 元はうっかり飲んだウチのせいなんだから、ウチはウチでなんとかやってみせるよ」

 

大淀『……。 分かりました。 私が調べたところ、その薬の効果は数日ほどとされているようですが、その分効果が強いようなんです。 現に、他の鎮守府では被害が出てるようなので、中峰さんも危ないと感じたらすぐに泊地から逃げてください』

 

正也「分かりました。 報告、ありがとうございます」

 

 

そういって、大淀さんは通信を切った。

それから、ウチは艦娘たちからひどく邪険に扱われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽炎「はいこれ報告書。 さっさと読んどいて」

 

 

遠征から戻ってきた陽炎には、そういいながら報告書を床に投げ捨てられ、

 

 

霧島「ああ、やだやだ。 なんで貴方みたいな人の執務を手伝わなきゃいけないんですかねほんと…」

 

 

霧島からは舌打ち混じりに不満を言われ、

 

 

鳳翔「すみません、ここは艦娘用の食堂なので部外者の方は……ああ、提督でしたか。 すみません、思い出したくない顔なのですっかり忘れてて、うっかり食事を用意するのも忘れてました」

 

 

鳳翔さんからも食事を出してもらえず、周りで食事を取っていた艦娘達からは憎悪や蔑みの目で見られ、今にも襲われそうな雰囲気を放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ウチは今、そんな食堂から逃げ出してこの工廠裏へとやってきた。

結局、飯は食えず下手すれば命の危機もありえたのでここへと避難して来たのだ。

 

 

正也「はあ… まさかここまで効果の強い薬だとは。 これから、どうしようかな…?」

 

 

空腹に苛まれながらも、ウチは空を見上げながらこれからどうしようかぼんやり考えている。 そのときだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督。 そんなとこで寝転がって、執務はどうしたんですか?」

 

 

叱責するような口調でウチに話しかけてくる声。

慌てて体を起こし声のしたほうを見ると、

 

 

「そんなところでサボりなんて感心しないわよ、全く」

 

 

そこには先ほど工廠で装備の手入れをしていた山城がいた。

ウチは慌てて逃げようとしたが、山城の様子は普段と全く変わっていない。

「あれっ?」と内心思いつつ、ウチは山城に尋ねて見た。

 

 

正也「や、山城? お前はウチのこと不快だとか死ねとか言わないのか?」

 

山城「いきなりなんですか急に? 正直、提督には扶桑姉様を取られるんじゃないかって懸念はありますが、私だってそこまで嫌ってはいないですよ!」

 

正也「あ、ああ。 ごめん、てっきり山城にも嫌われるんじゃないかと思って…」

 

山城「……。 本当に一体何があったんですか? 詳しく教えてください」

 

 

真摯にウチの顔を覗き込む山城。

ウチは小さく頷くと、山城に一連の出来事を説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山城「…なるほど、そんなことがあったんですか。 まったく、誰だか知らないけど傍迷惑な物を作るわね」

 

正也「ほんとだよ、もう。 そのせいでウチは飯にもありつけんし散々だわ…!」

 

山城「そんな怪しい物を飲んでしまう提督も提督ですけどね…」

 

正也「…あっ、はいサーセン……」

 

 

山城にジト目で睨まれ、ウチは縮こまりながら謝った。

 

 

山城「ところで提督はこれからどうするんです? 大淀さんの話したとおり、ここから逃げますか?」

 

正也「いや、それは最終手段として取っておくよ。 あいつらのためにも、ここはいつも通り提督業を全うして行こうと思う」

 

山城「こんな状況なのに!? 下手したら命の危険だってありますよ!!」

 

正也「まあ、そうなんだけど… それでもウチはあいつらを見捨てて逃げるなんて真似はしたくないんだ。 もし本気でやばくなったらそのときは逃げる。 それで了承してもらえないか?」

 

山城「……はあ、分かりました。 その代わり、薬の効果が切れるまで私が臨時秘書艦を勤めさせてもらうわ」

 

正也「で、でもそれじゃ山城もやばいんじゃ…!」

 

山城「貴方一人にしたほうがよっぽど危険でしょ!? それに秘書艦がいないこの状況、提督一人で執務全部こなせるんですか!?」

 

正也「うぐっ… そ、それは…」

 

山城「分かったらいきますよ提督。 いつまでもここにいるわけには行かないでしょ? 早く戻って、執務をこなしましょう」

 

正也「あ、ああ。 ありがとな、山城。 正直助かったわ」

 

 

先にすたすたと中央建物へと向かっていく山城に、ウチは正直な気持ちを伝える。

駆け足で戻っていく山城の背中を追ってウチも執務室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(全く、ほんと世話の焼ける提督なんだから)

 

 

(でも、私だってそんな提督の事は嫌いじゃないし… それに…)

 

 

(こんな風に提督に頼られるのも、悪くないわね……)

 

 

 

 

 

 

早足で正也に背を向けながら歩く山城。

彼は気付いていなかったが、そのときの彼女の顔はほんのり薄紅色に染まっていた。

 

 

 

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